2021年05月27日更新

監修記事

不動産売却の税金対策でふるさと納税する場合の控除上限額の計算方法!

不動産売却の際、ふるさと納税を利用して税金対策を行う方法も有効です。ふるさと納税とはなにか、不動産売却によりふるさと納税の上限額が上がる仕組みや上限額の計算方法、居住用不動産の売却時に適用可能な3,000万円特別控除との比較について紹介します。

そもそもふるさと納税とは

不動産 売却 ふるさと 納税 計算

ふるさと納税とは応援する自治体に寄付することで税金の控除を受けられる制度です。

ふるさと納税とは、ふるさとや応援したい自治体に寄附を行うことによって、所得税と住民税の還付や控除が受けられる「寄付金控除」の仕組みを指します。

ふるさと納税では、好きな自治体を寄付先とすることが可能です。

また、寄附先となる自治体の数や金額、回数に上限はありません。寄付金の用途について、自治体がどのように使用するのかを選択することもできます。

寄付者に対しては、多くの自治体が地域の名産品などを「お礼の品」として届けています。

自治体にとっては、「お礼の品」が地域の名産品や産業を、全国の人に知ってもらえる貴重な機会ともなっています。

寄付者が寄付後に確定申告を行うことにより、収入などに応じて寄付の上限額(控除上限額)が決定されます。

ただし、寄付の上限を超える金額分は、自己負担金とされ税金控除の対象外となるので注意が必要です。

この「控除上限額」内の寄付金のうち、2,000円を越える部分について、所得税の還付や個人住民税の控除が受けられます。

控除上限額の範囲内であれば、実質的な自己負担額を2,000円とすることも可能となります。

税金控除を受けるためには、「確定申告」か「ワンストップ特例制度」の適用に関する申請が必要です。

なお、確定申告とワンストップ特例制度の併用はできません。

確定申告の場合の手続きでは、年に一度、確定申告書類とともに「寄附金受領証明書」を税務署に提出します。

所得税については控除または還付、住民税についても控除または減額が行われます。

ワンストップ特例制度は、1年間に5自治体までなら、確定申告をしなくても寄附金控除が受けられる仕組みです。

なお、自営業者や医療費控除など確定申告が必要な場合は利用できません。

寄付金控除の手続きは、寄附した自治体にワンストップ特例制度の申請書を送るだけで良く、控除上限額内の寄附合計額から2,000円を差引いた額が、住民税から全額控除されます。

「確定申告」を行った場合は、所得税分と住民税分に分かれて控除されますが、「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を申請した場合、所得税からの還付はなく、住民税からの控除だけとなります。

ワンストップ特例制度の申請書を提出後、確定申告に変更したいする場合は、対象となる年に行った全寄附分の控除申請をする必要があります。

なお、確定申告の内容が優先されるため、各自治体への連絡は必要ありません。

不動産売却時にはふるさと納税で税金対策ができる

不動産 売却 ふるさと 納税 計算

不動産を売却することでふるさと納税の上限額が上がる

ふるさと納税は、寄付を行うことによって税金が控除される制度ですが、寄付金額には上限が設けられています。

このため、上限を超える寄付金は、控除の対象外となります。

一般的に、総所得の金額が大きくなるほど、所得税や住民税は増えることになるため、ふるさと納税の寄付金の上限額も上がることになります。

このため、不動産を売却して利益が生じた場合、総所得額も増加することになることから、ふるさと納税における寄付金額の上限も上がることになります。

【不動産売却による譲渡所得の計算方法】

個人が不動産売却を行った際に生じた所得は「譲渡所得」と称され、他の所得とは切り離して「分離課税」が行われます。

不動産の売却に伴う譲渡所得は、次の計算式から求めることができます。

譲渡所得は、不動産の売却価格から、該当の不動産を取得した時の費用である「取得費」と売却に要した費用である「譲渡費用」を差引いた金額として、「譲渡所得=売却価格-取得費-譲渡費用」として表すことができます。

【建物の譲渡所得の計算について】

ただし、土地についての取得費は基本的に取得時の価格となりますが、建物の取得費は、建物の建築代金や購入代金などの合計額がそのまま取得費になるわけではなく、取得時の価値から経年劣化分が除かれます。

このため、建物の譲渡所得は、「売却価格-(取得費-減価償却費)-譲渡費用」として表すことが可能です。

この際、居住用建物の減価償却費は、定額法により、「建物購入代金 × 0.9 × 償却率 × 経過年数」で計算され、償却率は、木造建物で0.031%、鉄筋コンクリート造では0.015%が適用されます。

ふるさと納税の控除上限額の計算方法

ふるさと納税による寄付金控除は、各自治体に寄附をした金額に応じ、所得税分、住民税分、住民税の特例分の3つに分かれています。

この3種類の控除額を合計すると、「ふるさと納税の寄付金額 - 2,000円」となります。

所得税分の控除額は、復興特別所得税(所得税率の2.1%)も加えた「(寄附金-2,000円)× 所得税率×102.1%」と表せます。

寄付金額は、寄付を行った年の「総所得金額等の額の40%が上限」とされています。

住民税分の控除額は、「(寄附金-2,000円)× 10%」と表すことができます。寄付金額は、寄付を行った年の「総所得金額等の額の30%が上限」とされています。

ふるさと納税では、寄付金額から2,000円を差引いた額が、控除額合計と等しくなることから、控除額合計から、所得税分の控除額と住民税分の控除額を除いた残りが、住民税の特例分の控除額になると言えます。

このため、住民税の特例分による控除額は、「(寄付金-2,000円)×(100%-所得税率X102.1%-10%)」と表すことができ、控除額は「住民税所得割額」の20%が上限とされています。

つまり、控除額の上限=住民税所得割額×20%=(寄付金の上限額-2,000円)×(100%-所得税率×102.1%-10%)と整理することができます。

この住民税所得割額は、前年の所得などに応じて決定されるため、前年と同程度の所得が見込まれる場合などにおいて、通知された「住民税所得割額」から、寄付金の上限を試算することが可能です。

その際の計算式は、「寄付金の上限額=(住民税所得割額×20%)/(100%-所得税率×102.1%-10%)+2,000円」として表すことができます。

譲渡所得の税率は、所有期間が5年以下か、5年を超えるかにより適用税率が変わります。

売却した年の1月1日現在において、所有期間が5年以下の場合は短期譲渡所得、5年を超える場合は長期譲渡所得と区分されます。

不動産売却の際の税率は、長期譲渡所得の場合は所得税率15%、住民税5%、短期譲渡所得の場合は所得税率30%、住民税率9%が課されます。

このため、税率の高い短期譲渡所得が生じた場合、ふるさと納税による効果がより期待できると言えます。

ふるさと納税の活用と3000万円の特別控除はどちらがお得か

居住用の不動産売却によって得られる利益に関しては、譲渡所得に対して最高3,000万円の特別控除が適用可能なため、一定の要件を満たす場合、譲渡所得が3,000万円以上の場合に課税対象となると言えます。

このため、特別控除が適用される場合は譲渡所得がゼロとなり、ふるさと納税よりも節税効果が高くなります。

居住用不動産の買換えを行う場合、売却価格が買換え後の不動産の購入価格を上回る際には、売却価格と購入価格との差額についてのみ課税する「特定居住用財産の買換え特例」がありますが、特別控除とは併用できません。

この買換え特例を利用する際は、毎年の年末時点でのローン残高について、1%の所得税控除が10年間受けられる住宅ローン控除を併用することにより、節税効果を期待できる場合もあります。

このケースでは、売却時点での譲渡所得が発生し、基本的には、ふるさと納税の寄付金額の上限が上がることになるため、ふるさと納税制度の活用を検討することも考えられます。

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この記事の監修者プロフィール

【監修者】株式会社worth style home 濵田昭平

株式会社worth style home

濵田昭平

2005年より東京急行電鉄株式会社財務戦略室主計部にて都市開発における多様な事業セグメントの業務を経験。2012年1月より都心部で高級マンション賃貸仲介業を展開する株式会社ModernStandardへ転職し、賃貸仲介営業職での最短トップ記録樹立。2014年1月より「株式会社worth style home」での総合不動産業をスタート。1,000万円~10億のマンション・土地等の売買仲介業務を行う。

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