2021年04月09日更新
不動産一括査定サイトのおすすめの使い方とメリットデメリットについて
不動産の売却を検討する場合、まずは対象不動産の価値を査定してもらう必要があります。この時に鑑定会社や不動産会社によって査定書が作成されます。この記事では査定書の記載内容についてや、どのような観点でチェックすべきかについて解説します。
不動産査定書とは
不動産の価格を知りたい時に不動産の査定を依頼し、「不動産査定書」を受け取ることがありますが、大きく2種類に分類されます。
1つは不動産会社に査定を依頼した場合の査定書、そしてもう1つは不動産鑑定士に依頼したときの査定書です。
それぞれどのようなものなのか、その違いについてご説明します。
不動産会社が作成する不動産査定書とは
不動産会社が作成する査定書というのは、実際に査定書に記載された価格で売買取引が成立するであろう価格が記載されたものです。
不動産を売買する場合、まずは対象不動産の価値がどの程度であるかを知ることから始まります。
そのような時に不動産会社に査定を依頼すると無料で査定が行われ、不動産査定書を作成してくれます。
不動産会社は不動産売買の仲介によって得られる手数料を収益としています。
そのため、不動産の査定を依頼してくる顧客というのは売買契約の見込み客であると考えられるため、快く査定を行ってくれるでしょう。
また、不動産の鑑定評価に関する法律により不動産会社は査定を行うことで依頼者から報酬を受け取ることができないように定められています。
そのため、査定のみであれば無料で対応してくれる仕組みになっているのです。
鑑定会社が作成する不動産査定書とは
鑑定会社が作成する不動産査定書というのは国家資格である「不動産鑑定士」が作成します。
不動産鑑定士は不動産鑑定評価基準という基準に基づいて、取引事例以外にも様々な面から不動産を評価して査定額を算出します。
そのため、不動産会社が作成する不動産査定書よりも法的証明力が強く、裁判や税務関係など公的な場で通用する書類として扱われます。
不動産鑑定士は業務として鑑定評価書や不動産査定書を作成しているため、査定書作成の対価として報酬を得ることができます。
金額の相場としては1件あたり約15~20万円であることが多いようです。
不動産査定書の内容について
不動産査定書を受け取るとどうしても査定額ばかりが気になってしまうかもしれません。しかし、不動産査定書には査定額以外にも重要な情報が記載されています。
どのような情報が記載されているのか、不動産査定書の内容について見ていきましょう。
対象不動産の売り出し価格
対象不動産をいくらで売り出したらよいかという不動産会社からの提案価格が記載されています。
通常、不動産会社と売買の仲介契約を締結する際の有効期間は最大3カ月であるため、この期間内に売却が成立するような価格が記載されます。
ただし、実際にいくらで対象不動産を売り出すかについては売主と不動産会社で協議して決定します。
そのため、必ずしもここに記載されている金額で売り出しを開始しなければならないわけではありません。
対象不動産の査定地の価格
土地の面積や形状、立地などから算出した土地の査定価格や建物の査定価格を加えた対象不動産の査定価格が記載されます。
不動産の査定価格というのはあくまで1つの不動産会社から見たときの売買の目安となる価格です。
実際の売買ではもっと高く売却できることもあれば、逆に査定価格よりも低い価格でなければ買い手が付かない場合もあります。
そのため、査定価格と売り出し価格はそれぞれ別に記載されているのです。
対象不動産の査定額の根拠
対象不動産の査定を行う場合、近隣地域の取引事例を始めとしてさまざまな要因を元に査定が行われます。
たとえば駅までの距離や接道といった街路条件や、日照や採光に問題がないかといった環境条件等が加味されます。
鑑定会社に査定を依頼する場合は鑑定評価基準に則って査定が行われるため、査定依頼者へ説明するための根拠が必ず記載されています。
しかし、不動産会社が査定を行う場合は全社共通の査定方法が定められていません。
そのため、査定を依頼する不動会社ごとに査定方法にバラつきがある可能性があります。
何を根拠として査定額を算出しているかについては不動産会社によって異なる場合があるため、査定書に記載されている査定額の根拠は必ず確認しましょう。
対象不動産の査定額計算式
不動産鑑定士が不動産を鑑定する場合は原価法、取引事例比較法、収益還元法の3種類の方法を使って全て鑑定しなければならないことになっています。
しかし、不動産会社が不動産を査定する場合は特に査定の方法に制限はありません。多くの場合は原価法や取引事例法を使用して査定を行うこととなるでしょう。
「取引事例比較法」というのは周辺地域で過去に行われた取引の事例を参考として査定を行う方法です。
「原価法」は、経年劣化を加味した上での対象不動産と同じ建物を再度建築しようとしたときに、どの程度のコストが必要となるかといった考え方から計算される方法です。
この原価法を使って建物を査定するときの計算式としては一般的に、延床面積×単価÷耐用年数×(耐用年数-築年数)となります。
一方、土地の場合は購入時の土地の価格に、盛土や切土を行った場合はその造成費分を加えて算出します。
対象不動産の周辺エリアの事例地情報
査定対象地の周辺地域や状況が類似する地域で、対象不動産と同様の不動産が過去にどの程度の価格で取引されたかといった事例地情報も不動産査定書には記載されます。
記載される情報としては事例地の大まかな所在、面積、単価などが地図や図表を使って示されます。
この事例地情報を確認することにより、対象不動産の売り出し価格をどの程度の価格にすれば売却できるのかといった参考とすることができます。
不動産査定の依頼について
不動産査定書ですが、どのようにして依頼すれば良いのでしょうか。
ここでは不動産査定を依頼するための方法について説明します。
不動産会社に依頼する不動産査定費用は基本無料
不動産の鑑定評価に関する法律の定めにより、不動産鑑定士の資格を持たない者が報酬を得て不動産を査定することはできません。
ほとんどの不動産会社は鑑定業務ではなく不動産の売買や賃貸の仲介を行うことを業務としています。そのため不動産鑑定を業務としていない不動会社は不動産の査定を無料で行ってくれます。
ただし、不動産会社によっては査定の依頼者が売買契約の見込み客であると判断できない場合、査定を断ることもあるようです。
査定依頼時には登記簿謄本と重要事項説明書があると便利
不動産会社へ不動産の査定する場合、土地や建物の面積、建物の構造、登記の内容などの情報があればより精度の高い査定を行うことが可能となります。
そのため、手元に登記簿謄本や不動産購入時の重要事項説明書がある場合はそれらの情報も提供すると良いでしょう。
一括査定サイトを利用すると効率的
不動産の査定を一括で複数者に申し込める一括査定サイトを利用することで効率的に査定を依頼することができます。
一軒一軒不動産会社を訪問して査定を依頼するとなると、依頼する不動産会社の数だけ書類を用意する必要があります。
また、手間や時間もかかってしまうでしょう。
しかし、一括査定サイトを利用すれば一度の情報入力で複数の不動産会社から査定書を受け取ることが可能です。
早い場合は査定を申し込んだ当日中に査定書を受け取ることもできるため、忙しい方でも気軽に査定書を入手することができます。
不動産会社によって査定額にバラつきがある可能性があるため、より正確な査定額を知りたい場合はできるだけ多くの不動産会社に査定を依頼すると良いでしょう。
一括査定サイトではまとめて複数の不動産会社が算出した査定額を知ることができるため、より良い条件で物件を売却できる不動産会社が見つかる可能性が高くなります。
一括査定サイトを利用する際の注意点
一括査定サイトで査定を申し込むと複数の不動産会社から査定額が届き、査定依頼者はそれらの不動産会社から売買の仲介を依頼する会社を選びます。
ほとんどの売主は、できるだけ高く売却してくれそうな不動産会社に売買の仲介を依頼したいと考えるでしょう。
そのため、不動産会社の中には相場よりも不当に高い査定額を査定依頼者へ提示することによって仲介契約を結ぼうとする業者もいるようです。
このような業者と仲介契約を締結して、査定額を参考に決定した売り出し価格で売り出したとしても、相場よりも高すぎるため不動産を売却することは難しいでしょう。
一括サイトで不動産の査定を依頼する場合、他の不動産会社と比較して明らかに査定額が突出している不動産会社は避けた方が無難でしょう。
不動産査定書を見る際のチェックポイント
査定書をチェックする際には次のような点に注意しましょう。
会社概要や営業担当者の紹介などが記載されているか
査定価格が適正なものであることはもちろん重要なのですが、査定を行った会社概要や営業担当者などの情報がしっかり記載されているかどうかもチェックしましょう。
不動産査定書は受け取ったらそれで終わりというわけではありません。不動産査定書をもとに不動産会社と協議しながら売り出し価格を決定し、不動産売買の契約まで結びつける必要があります。
そのためには仲介契約を締結する不動産会社の営業担当者と何度もやり取りをすることになるでしょう。
契約を締結する前に、自己紹介にあたる会社概要や営業担当者の紹介を行うことは最低限のマナーであると言えます。
大切な不動産売却の仲介を依頼するのですから、会社情報や営業担当者の紹介が最初の段階で提示されているかどうかも確認すべき内容です。
査定価格がわかりやすく記載されているか
不動産会社によっては査定価格に含みを持たせるかたちで、〇〇万円~〇〇万円というような記載をしてくる場合があります。
明らかな誤りではないものの、不動産を売却したいと考えている査定依頼者にとってはあまり親切な表記であるとは言えません。
査定価格はいくらであり、実際にいくらで売り出せば売却できる可能性があるのかが、わかりやすく具体的な数字が記載されていることが大切です。
仮に査定額が曖昧な表示であり、金額の幅が大きい場合は査定の根拠が不十分である可能性もあるため注意しましょう。
査定額の根拠が明確であるか
どのような根拠で査定額が算出されているかも気になるところです。
不動産の査定額は査定を行う不動産会社によってバラツキがあることがほとんどでしょう。これは不動産会社が行う査定に統一された基準がないためです。
そのため、対象不動産のどのような点に特に着目して査定を行うかということは不動産会社の判断に委ねられています。
査定書に記載されている査定額がどのような根拠であるかについては必ず確認し、根拠が曖昧でわかりづらい場合は営業担当者へ積極的に質問しましょう。
不動産に関するコメントなどが定型文的でないか
不動産会社は多くの不動産の査定を行うため、定型文やテンプレートを使用して査定書を作成している場合も多いでしょう。
しかし、肝心な対象不動産に関するコメント部分がテンプレートであることが疑われる場合は要注意です。
不動産に関しては、同じ地域内に建っている同じ構造の建物であっても全く同じ評価になることはありません。
査定を行う不動産ごとに価格を形成する要因が異なるため、査定書の内容も不動産ごとに異なるはずなのです。
定型文を使用すべきでない箇所に定型文が使用されていると感じる場合、対応が誠実ではない可能性が高いため、その不動産会社に売却を任せるのは避けた方が良いでしょう。
査定書が分厚すぎたり薄すぎたりしていないか
査定書に記載される情報量は不動産会社により異なります。
査定依頼者が最も知りたい情報は査定価格であるため、査定書が薄く最低限の情報しか記載されていないものでも問題ないと感じる方もいるかもしれません。
しかし、査定書を作成した不動産会社と売買の仲介契約を締結する場合、あまりに分厚すぎたり薄すぎる査定書を提出する不動産会社には注意した方がよいと言えます。。
薄すぎる査定書を提出してくる不動産会社は査定書の作成にあまり力を注いでおらず、その後の売却でも積極的な活動を行ってくれない可能性があります。
逆に分厚すぎて要領を得ない査定書を作成する不動産会社は顧客への情報提供があまり上手ではない可能性があります。
適切なボリュームで見やすい査定書を作成してくれる不動産会社を選ぶようにしましょう。
流通比率をごまかして査定額を操作していないか
「流通比率」とは簡単に言うと不動産の売却しやすさをパーセンテージで表したものです。
基準は1.00ですが、不動産を売却しやすければ+10%、逆に売却しづらければ-15%までの範囲内で査定額に補正がかかることがあります。
しっかりした根拠に基づいて流通比率の補正がついているのであれば問題ありませんが、単なる価格合わせのためだけに流通比率で査定額をごまかしていないか注意しましょう。
不動産査定書が必要となるケース
それでは不動産査定書はどのような時に必要となるのでしょうか。
不動産の訪問査定時に用意しておくのが一般的
不動産の査定には机上査定と訪問査定の2通りの査定方法があります。
一般的には机上査定で対象不動産の大まかな査定額を把握した後に、自宅に業者がやってきて査定を行う訪問査定を依頼します。
訪問査定では現場でしかわからないような物件の状態を材料に査定を行いますが、もちろん書類から得られる情報も参考にします。
この時、既に机上査定によって作成された不動産査定書を所持している場合は訪問査定時に用意しておき、担当者へ情報提供するのが一般的です。
不動産売却に対応する優良な不動産会社を見つけるには?
ここまで説明してきた不動産売却は、あくまで一例となっています。
正確な売却金額を知るためには、売却前に「売却査定」を受ける必要があります。
そのとき大事なのが、複数社に査定依頼して必ず「比較検討」をするということ!
「調べてみたもののどの会社が本当に信頼できるか分からない…」
「複数社に何回も同じ説明をするのが面倒くさい...。」
そんな方は、簡単に無料で一括査定が可能なサービスがありますので、ぜひご利用ください。
一生のうちに不動産売却をする機会はそこまで多いものではありません。
後悔しない、失敗しない売却をするためにも、不動産会社選びは慎重に行いましょう!
この記事の監修者プロフィール

株式会社worth style home
濵田昭平2005年より東京急行電鉄株式会社財務戦略室主計部にて都市開発における多様な事業セグメントの業務を経験。2012年1月より都心部で高級マンション賃貸仲介業を展開する株式会社ModernStandardへ転職し、賃貸仲介営業職での最短トップ記録樹立。2014年1月より「株式会社worth style home」での総合不動産業をスタート。1,000万円~10億のマンション・土地等の売買仲介業務を行う。
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