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2021年04月08日更新
住宅ローン残債のある不動産の売却方法
住宅ローン残債の残っている家は売却できるのか?
住宅ローン残債がある場合、家を売却することはできません。なぜなら、ローンを支払えなくなった時に、その家を債権者に差し押さえられて売却する権利である抵当権が債権者にあるためです。
つまり、住宅ローンが残っている状態で誰かに家を売却してしまうと、債務を支払えなくなったときに、別の人が住んでいるために債権者がその家を差し押さえることができなくなってしまうため、売却時にはローンの完済が必要なのです。
しかし、保有する不動産が住宅ローン残債の状態であっても、売却と同時にローンを完済できれば売却することは可能です。
どうすれば不動産の売却と同時にローンを完済することができるのでしょうか。大きく2つの方法で売却と同時に完済する方法がありますのでご紹介しましょう。
売却代金でローン残債を完済する方法
一つ目は売却代金で残りのローンの支払いに充てて完済する方法です。
これは全額繰り上げ返済と言われ、残債しているローンを売却した代金をそっくり充てて一括で支払って完済する方法です。
この方法で注意すべき点は、実際には住宅の購入時より売却時に価格が下がっていることが多く、売却した金額ではすべてのローン残債を完済することができない場合が多いということです。
その場合、後述するように売却代金に自己資金を追加して完済する方法をとることも可能です。
また、ローンの残りを一度に返済して完済する場合には以下のような諸費用がかかります。
売却代金で完済することを計画している場合には、これらの費用が別途かかることを念頭に置き、資金を準備する必要があるので注意が必要です。
印紙税
印紙税とは課税文書と呼ばれる印紙税法で定められた文書を発行する場合にかかる税金のことです
一括返済などの方法でローンを完済する場合は当初設定した住宅ローンの返済期間から変更することになり、契約文書も変更する必要があります。
そのため、新たに文書を作る必要があり、この文書に印紙税がかかるのです。
印紙税は文書に書かれた金額や文書の種類によって金額が決まっています。
抵当権抹消登記費用
住宅ローンが完済したら、完済したことがわかる書類を金融機関に発行してもらい、それを持って法務局に出向き、抵当権の登記から抹消してもらう必要があります。
抵当権を抹消しないと、たとえ住宅ローンを完済したとしても住宅を売却することができないからです。
抵当権抹消登記費用に関しては、登記費用が1筆1,000円と定められています。
司法書士報酬
上記の抵当権抹消登記の作業を行うにあたり、その手続きを自分で行えば無料で済みますが多くの場合、司法書士に依頼して行います。
そのため、司法書士にこの業務を依頼する費用がかかってきます。
この時にかかる司法書士への報酬の相場は約10,000円と言われています。
譲渡所得税
譲渡所得税とは不動産を売却した時に得られる金額に対して課せられる所得税で、通常の所得税とは別に納税する必要があります。
ただし譲渡所得が以下の計算式に当てはめてプラスになった時のみが課税の対象になり、マイナスの時には課税の必要はありません。
課税所得=譲渡収入額−(取得費+譲渡に係る諸経費)
繰上返済手数料
過去には数万円程度の手数料が発生していたこともある繰上返済手数料ですが、今は手続きの方法によってかなりその金額に差があります。
場合によっては無料のところもありますので、各金融機関に確認する必要があるでしょう。
なお、この繰上返済の手続きをして初めて前述の不動産抹消登記に関する書類がもらえます。
手続きをしてから書類が発行されるまでに時間がかかることもあるので、あわせて確認するといいでしょう。
売却代金+別ローンで残債を完済する方法
残った住宅ローンを完済するためのもう一つの方法が、売却代金に追加する資金を新たにローンを組む方法です。
この新たなローンには主に住み替えローンと無担保ローンの2種類があります。
ここからはこの2つのローンについてご説明します。
住み替えローン
住み替えローンとは、売却した代金では今の住宅ローンを完済するためには金額が足りないことに加え、次の家を新たに購入する必要がある時に適応されるローンです。
そのため、売却した代金ですでに借りている住宅ローンを完済できるときにはこのローンを利用することができません。
また、次の住宅を購入することが条件になることに加えて、住宅の購入と今ある不動産売却を同時に行う必要があります。
次の不動産を購入するときに利用するローンと残りのローンをまとめて1つのローンにして返済していくイメージになります。
そのため、まずは売却したい不動産の買い手が見つかり、売却する手筈が整ってから、新たに購入する住宅を決めることが理想の流れになります。
つまり、売却が決まってから新たに購入する住宅を決める時間があまりない、というデメリットがこのローンにはあります。
先に購入したい物件が決まっていても売却が決まらなければ、このローンは組めませんので注意が必要です。
無担保ローン
無担保ローンとはその名の通り、担保なしにローンを組むことができます。
キャッシング会社や消費者金融などが実施しているローンがこれに当たります。
テレビなどでも宣伝をしているのでご存知の方も多いローンだと思います。
手続きが容易で借入がしやすいという利点がある一方で、金利が高く借入の限度額が低いというデメリットもあります。
また返済の期間が短く設定されているという点も特徴のひとつになりますので、返済期間に注意が必要です。
それでもローン返済が難しい時は『任意売却』
任意売却とは?
これまで説明してきた2つのローンの完済方法のほかに、保有する不動産が住宅ローン残債の状態であるものの、これ以上ローンの返済ができなくなったときなどに利用する方法として任意売却があります。
これは債権者の許可をもらって住宅ローンの担保にしている不動産の抵当権を外し、その住宅を売却して、売却して得られた金額をローンの返済に充て、それでもローンが完済できない場合に残りのローンを分割で少額ずつ返済する方法です。
誰でも簡単にこの方法が使えるわけではなく、病気にかかったり失業したときなどに適応される売却方法です。
任意売却の仕組み
住宅ローンの場合、家を担保にしていますが万が一債務者がローンを返済できなくなった場合、債権者はその家を競売にかけることができます。
しかし、競売で落札されると相場よりも低い金額になることが多く、債権者にとってその方法はあまり有益ではありません。
また、競売にかけるための諸経費もかなりかかるため、債権者はできれば競売にかけたくないという事情があります。
それよりも相場の価格で住宅を売却してもらい、その金額を残りのローンに充てて、それでも返せない部分のローンに関して債務者に少しずつでも返済してもらった方が、損が少ないのです。
任意売却は多くの場合、ローンの滞納が続いた場合に金融機関から申し出があることが多いようですが、返済に関して不安になったら一度相談してみるといいでしょう。
任意売却のメリット・デメリット
債務者にとってメリットが多いように見える任意売却ですが、メリット・デメリットは具体的にどのようなものがあるのでしょうか。
まずはメリットについてですが、病気や失業などでこれ以上のローン返済が難しくなった状況で任意売却し、残ったローンの返済が毎月1~2万程度で済むのは経済的な負担が軽減するという意味で大きなメリットになります。精神的にも随分楽になるのではないでしょうか。
また、ローンが返せなくなり、競売にかけられる場合は近所に知られてしまう可能性もあり、精神的に強く負担がかかることが多いのですが、任意売却の場合は通常と同じように売却しているように見えるのでプライバシーが保護され、そのような精神的負担が少ないこともメリットの一つと言えるでしょう。
その一方で、任意売却を行うと信用情報機関に登録されるため、これ以降はある一定の期間を過ぎなければは新たなローンを組むことはできません。
また同時に、クレジットカードが作れなかったり、携帯電話の契約を結ぶことができない場合もあります。
任意売却は不動産を売却しますので、今その物件に住んでいるという場合は基本的にはそこには住めなくなります。
これらのメリット・デメリットをよく知った上で任意売却をするべきかどうか検討してみることをおすすめします。
不動産売却に対応する優良な不動産会社を見つけるには?
ここまで説明してきた不動産売却は、あくまで一例となっています。
正確な売却金額を知るためには、売却前に「売却査定」を受ける必要があります。
そのとき大事なのが、複数社に査定依頼して必ず「比較検討」をするということ!
「調べてみたもののどの会社が本当に信頼できるか分からない…」
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そんな方は、簡単に無料で一括査定が可能なサービスがありますので、ぜひご利用ください。
一生のうちに不動産売却をする機会はそこまで多いものではありません。
後悔しない、失敗しない売却をするためにも、不動産会社選びは慎重に行いましょう!
この記事の監修者プロフィール

株式会社worth style home
濵田昭平2005年より東京急行電鉄株式会社財務戦略室主計部にて都市開発における多様な事業セグメントの業務を経験。2012年1月より都心部で高級マンション賃貸仲介業を展開する株式会社ModernStandardへ転職し、賃貸仲介営業職での最短トップ記録樹立。2014年1月より「株式会社worth style home」での総合不動産業をスタート。1,000万円~10億のマンション・土地等の売買仲介業務を行う。
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