2018年12月27日更新
ローンが残ってるマンションを売却する方法について
目次
ローンが残っているマンションを売却できるのか
ローンがまだ残っているマンションでも、条件をクリアすることで売却が可能になります。その条件とは「抵当権を外す」ことです。
「抵当権」とは銀行などの債権者から住宅ローンなどのお金を借りたときに、建物や土地などを担保とする権利のことを言います。
もし、債務者が借りたお金を返済できなくなった場合、銀行などの債権者は担保とする建物や土地などを競売で売却してお金を回収します。
抵当権を外すには、ローンの残債を全額支払う必要があります。
この場合、マンションを売却した代金を残ったローンの返済に充てることができるため、マンションを売却するときは残ったローンより売却金額が高くなることが望ましいとされています。
しかし、ローン残高より高く売却できる保証はなく、売却金額より残ったローンが上回った場合は「オーバーローン」となり、不足分を自己資金で支払わなければなりません。
ローンが残っていてもマンションの売却益で完済できる場合
ローンが残っていてもマンションの売却益で完済できるケースをご紹介します。
マンションの売却方法は普通の不動産取引と同じ
マンションの売却方法は、普通の不動産取引と同じです。しかし、マンション売却を決めた際、マンションを売却してその代金でローンを一括返済したい旨を銀行などの債権者に申し入れておきましょう。
マンション売却の流れ
主なマンション売却の流れは以下の通りです。
1 相場のリサーチ
近隣のマンションの売却価格や同じようなマンションの売却価格などを調査し、市場相場をリサーチします。その他に成約事例なども参考にするといいでしょう。
2 不動産会社に査定を依頼する
相場がつかめたら、今度は実際に不動産会社に査定を依頼します。データで査定する「机上査定」と物件に出向いて査定する「訪問査定」があります。
3 業者を選定し媒介契約締結
複数の不動産会社の中から信頼してマンション売却を任せられる業者を選定し、媒介契約を締結します。
4 販売価格設定する
媒介契約を結んだら、マンションの売り出し価格を設定します。査定額と希望額を目安に市場の動向を見ながら、不動産会社と相談して決めるといいでしょう。
5 販売活動を開始する
不動産会社がマンションの販売活動を開始します。販売活動にはインターネットサイトへの掲載や広告、チラシなどの方法があります。
6 内覧
購入を検討する内覧希望者が出てきた場合には、実際に物件を見てもらいます。当然部屋の中をチェックするので、好印象を与えるためにも事前に清潔感のある空間にしておくことが大切です。
7 購入希望者決定
購入希望者が決定したら買主・売主・不動産会社で価格や条件などの詳細を決めます。このとき、譲渡日も話し合いで決めます。
8 決済
買主が売主に購入代金を支払い、決済します。
9 金融機関などへ一括返済し抵当権を抹消
決済が済んだら、金融機関などへ一括返済し抵当権を抹消してもらいます。このとき、抵当権抹消登記申請書や登記済証、登録免許税の収入印紙などの書類が必要になります。
10 引っ越し
引っ越しをしてマンションを明け渡します。
マンション売却が完了するまでの期間は、平均的に約3カ月程度です。媒介契約の契約期間が3カ月であるため、3カ月ごとの期間が目安になっているようです。
マンションの売却益がローン残高に満たない場合
マンションの売却益がローン残高よりも少ない場合でも、マンションの売却益で一括返済を行える場合と、決済までの流れはほとんど同じです。しかし買い手から購入代金を受け取ったとしてもローンの残債を完済しない限り、売却手続きを完了することができません。
そのため、自己資金をプラスしてローンを完済する必要があります。決済後の返済金額の不足分は預貯金や株の売却、保険の解約などで自己資金を得る方法や、新たななローンを組む方法などで賄うことができます。
新たなローンを組む方法とはローンの借り換えやつなぎ融資のことです。
ローンの借り換えは、新たなローンを金融機関で組んでローンの残債を一括返済するローンのことで、つなぎ融資はローン残高分を新たに金融機関から借りるローンのことを言います。
上記のような商品もありますが、一般的に多額のローン残高がある場合銀行から新たな借り入れをするのは難しくなります。
マンションの売却金額よりローン残高が多く、自己資金も用意できない場合などは売却活動自体を見直す必要があります。
マンションを売却する前にどれくらいの金額で売却することができるか、そして売却後の不足分はどのように賄うのかを検討しておくことをおすすめします。
マンションの住宅ローン返済が困難になった場合
マンションの住宅ローン返済が困難になった場合、「競売」または「任意売却」という方法があります。「競売」とは銀行などの債権者が抵当権を実行し該当不動産を強制的に売却することです。
これからもう一つの方法である「任意売却」について、詳しくご紹介していきたいと思います。
任意売却とは
「任意売却」とは住宅ローンなどの借入の返済が困難になり、不動産を売却してもローンの残債が残る場合に、金融機関などの債権者の合意を得て不動産を売却する方法のことです。
ローンの返済が滞ると債務者がローンを分割で支払う権利(期限の利益)が失われ、銀行などの債権者は抵当権を実行し、債務者が所有する不動産を競売にかけます。この場合、売却価格などは売主である債務者が決めることはできません。
しかし任意売却を選ぶことで、売主である債務者が決めた売却価格で通常の不動産売買と同じように取引することができます。
任意売却は「競売」とは違い、強制的に自宅が売却されないため、近年選ばれるケースが増えています。
任意売却の流れ
任意売却の流れは以下の通りです。
1 相談先の選定
任意売却は法律の知識や債権者との交渉技術などの専門的な知識を有するため、任意売却を専門とする業者を選びます。
2 任意売却ができるかの現状確認
滞納している期間やローン残高など現在どのような状況なのかの詳細を、選定した専門業者に相談します。
3 マンションの査定
該当する物件の査定を行います。査定には「机上査定」と「訪問査定」があります。
4 業者と媒介契約締結
売主と業者の間で媒介契約を結びます。
5 債権者または抵当権者と保証人との交渉
金融機関などの債権者や抵当権者とマンションの売却価格などを交渉します。
6 任意売却の開始
業者間の情報システムやサイトの掲載などを利用して売却活動を始めます。他には新聞やチラシ、住宅情報紙などへの掲載も行われます。
7 購入希望者選定
該当不動産を高値で購入できる買主を選びます。
8 債権者の同意を得る
売買代金分配表や購入申込書を債権者に提出して同意を得ます。このとき売却代金には売却に関する諸費用(司法書士費用や仲介手数料など)や引っ越し費用なども含まれることがほとんどです。
9 任意売却契約の締結
買主と売買契約を締結します。
10 引っ越しまたはリースバック契約締結
引っ越しまたはリースバック契約を締結します。
「リースバック契約」とは業者や投資家などの第三者に物件を購入してもらい、その買主に月々の家賃を支払うことで該当不動産に住み続けることができる契約の事です。
11 任意売却契約の完了と清算
通常の物件売買と変わりませんが、差し押さえや抵当権を抹消し清算します。このとき引っ越し費用や余剰金などが支払われるケースもあります。
12 引っ越し
新たな住居へと引っ越しし、新生活が始まります。
任意売却の期間は約3カ月~約5カ月程で、最短で2カ月程かかります。
任意売却できない場合はどうなるのか?
任意売却ができないケースには、競売の手続きが進行しており任意売却での契約完了までの時間が足りなかったり、債権者が任意売却に同意しなかったりと様々ですが、任意売却できない場合はその後どうなるのでしょうか。
任意売却できなかった場合、最終的には競売にかけられます。競売にかけられることで立ち退きを命じられるため、自宅から強制的に退去しなければなりません。
ローンを滞納している期間が長いと競売の手続きが進行し、任意売却の契約完了までの時間が足りなくなったり、任意売却の申請をできる期日を過ぎたりしてしまうので、任意売却を考えたらできるだけ早めに専門業者に相談しましょう。
また債権者との信頼関係が破綻していると債権者の承諾が得られないケースがあるため、滞納した時点でこまめに連絡し、今後の返済の見通しなどを銀行などの債権者と相談するといいでしょう。
ローンが残っているマンション売却を依頼する業者の選び方
ローンが残っているマンションの売却を依頼する業者を選ぶときには、まずは不動産会社に訪問査定を依頼しましょう。
価格査定は、まず訪問前に物件の立地、築年数、平米数など入手できる情報を使っての「机上査定」で目安となる価格の提示があります。その後、「訪問査定」を依頼して、実際の物件に足を運んでもらい、その時の対応力や最終的な売却価格の見積もりなどを考慮して信頼できる不動産会社を選定しましょう。
任意売却するときの業者の選び方
先程「任意売却について」でもご紹介しましたが、任意売却するときの業者の選び方は「任意売却専門」の業者に依頼することが成功の近道になります。
一般的な不動産会社の場合、法的な知識や任意売却についての知識を持ち合わせていないこともあるため、任意売却自体を取り扱っていなかったり、金融機関ともうまく交渉ができずに任意売却ができないことがあります。
そのため、任意売却の際は必ず専門知識の豊富な任意売却専門業者を選ぶといいでしょう。
不動産売却に対応する優良な不動産会社を見つけるには?
ここまで説明してきた不動産売却は、あくまで一例となっています。
正確な売却金額を知るためには、売却前に「売却査定」を受ける必要があります。
そのとき大事なのが、複数社に査定依頼して必ず「比較検討」をするということ!
「調べてみたもののどの会社が本当に信頼できるか分からない…」
「複数社に何回も同じ説明をするのが面倒くさい...。」
そんな方は、簡単に無料で一括査定が可能なサービスがありますので、ぜひご利用ください。
一生のうちに不動産売却をする機会はそこまで多いものではありません。
後悔しない、失敗しない売却をするためにも、不動産会社選びは慎重に行いましょう!
この記事の監修者プロフィール

株式会社worth style home
濵田昭平2005年より東京急行電鉄株式会社財務戦略室主計部にて都市開発における多様な事業セグメントの業務を経験。2012年1月より都心部で高級マンション賃貸仲介業を展開する株式会社ModernStandardへ転職し、賃貸仲介営業職での最短トップ記録樹立。2014年1月より「株式会社worth style home」での総合不動産業をスタート。1,000万円~10億のマンション・土地等の売買仲介業務を行う。
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