2023年12月15日更新

監修記事

【土地購入の仕訳】複式簿記の仕訳について解説します

土地購入の仕訳と「借方」「貸方」の基本ルールとは

土地 購入 仕訳

複式簿記では、取引ごとに負債や費用、収益などの項目に分けて仕訳する仕組みがとられており、仕訳伝票の左側に資産の増加や費用の発生である「借方」、右側に負債や純資産の増加及び収益である「貸方」を記載します。

通常の商取引の場合、購入した物品は「借方」、購入に用いた費用は「貸方」として仕分けられるのが一般的です。

例えば、土地購入なら借方に土地と記載して土地の購入にかかった費用、貸方に支払いに用いた方法と支払った金額を記述します。

また、土地購入には土地の価格と仲介手数料の他に不動産取得税や登記関連の費用もかかりますが、こちらは費用のみが発生しますので、借方にのみ記載してください。

「貸方」「借方」という表記はどうしても金銭等の貸し借りをイメージしてしまいますが、これらはあくまで資産の増減を表す項目です。

土地取引等で複式簿記による帳簿の作成を行う際には、これらのことに注意し、購入にかかった費用等を正しい勘定科目に仕訳していきましょう。

土地購入の流れを仕訳するとどうなるの?

土地購入を行う際には、仮契約や契約、登記、不動産取得税の支払いなどさまざまなタイミングで支払いを行わなければなりません。

帳簿に記載する際には、この支払いごとに仕訳を行う必要があります。

仮契約時の仕訳

土地購入の際には、まず仮契約と手付金の支払いを行って物件を確保します。

この手付金は必ず現金で支払い、仮契約時に用いる印紙代についても現金で用意しておかなければなりません。

簿記上における勘定科目は、手付金は「前払金」または「前渡金」印紙については「租税公課」です。

仮契約時の簿記上の仕訳については、

借方 貸方
現金(手付金) 普通(当座)預金
現金(印紙) 普通(当座)預金
租税公課 現金(印紙)

という形で仕訳してください。

また、仮契約時についても別個に帳簿へ記載する必要があり、こちらは

借方 貸方
前払金 現金(手付金)

という勘定科目で仕訳します。

本契約時の仕訳

契約時の仕訳については、証明書などを用意するのに必要な費用は「支払手数料」の勘定科目で記載します。

この支払手数料は非課税ですので、記載する際には税金の項目を記載してしまわないよう注意しておきましょう。

契約に必要な書類の取得について帳簿に記載する際には、

借方 貸方
支払手数料 現金

と仕訳を行います。

土地の購入費用については、勘定科目を「土地」とします。

土地は固定資産として扱われますが、経年劣化が起こらないため、減価償却を計上することができません。

また、土地の購入にかかる費用についても経費として計上することができませんので注意しておきましょう。

その他の注意点として、不動産会社を経由して土地を購入した際には仲介手数料がかかりますが、これは土地購入にかかる費用ですので、土地項目にまとめて計上することができます。

同時に、仮契約時に支払った前払金については、土地購入価格の一部を先に渡しておくものですので、土地代の一部として貸方に計上してください。

帳簿の記載例は、

借方 貸方
土地 現金
前渡金(前払金)
租税公課 現金(印紙)

です。

契約を交わしただけでは土地の所有権は移行しません。

土地を自らの所有物とするためには、法務局へ名義変更の申請を実施し、法務局での審査で問題がないと認められたうえで、土地の所有権が移転します。

また、不動産登記の際には、登記名義人を会社名義とすることはできず、個人名で登記を行う必要がある点にも注意しておきましょう。

不動産登記に関する費用には役所での証明書発行費用と司法書士への手続き代行費用がかかりますが、こちらについては「支払手数料」という仕訳で帳簿に記載することができ、

借方 貸方
支払手数料 現金

という形で記載します。

登記の際には書類の取得費用や手続き代行手数料の他に登録免許税や収入印紙なども必要となり、こちらは租税公課として仕訳されます。

記載方法は、

借方 貸方
租税公課 現金

これらの科目については、個別での記載の他に「登記費用」として一括でまとめて記載することもできます。

この場合、帳簿には

借方 貸方
登記費用 現金

という形で記載してください。

この書き方は、帳簿の記述をまとめることができるため、見た目をすっきりさせることができる利点がありますが、各手数料等がどれだけかかったのか、税金はいくらだったのかなどの詳細がわかりにくくなる欠点もあります。

もちろん、領収書を残しておけばこれらの詳細について後から調べることもできますが、どうしても手間がかかってしまいますので、費用の詳細を後で確認する可能性があるという方は、個別に記載しておいた方が良いでしょう。

不動産取得税に関する仕訳

不動産登記の手続きが滞りなく完了したら、最後に不動産取得税の納付を行います。

不動産取得税とは、土地や建物などの不動産を入手した際に納める必要がある地方税で、固定資産税と違い、不動産を入手した際の1回のみ支払う税金です。

不動産取得税は税金ですので、帳簿上の仕訳は他の税金と同じく「租税公課」として扱います。

不動産を取得すると、お住まいの地域の県税事務所から不動産取得税の納税通知書が届きますので、納付を行った段階で以下のように帳簿に記載してください。

借方 貸方
租税公課 現金

不動産取得税については、他の税金や手数料などと違い、仕訳を「土地」として記載することも可能です。

この場合の記載方法は、

借方 貸方
土地 現金

となりますが、注意点として個人の場合不動産取得税を「土地」として計上しても資産として扱うことはできません。

法人の場合は不動産取得税を土地として仕訳を行うと資産計上が可能ですので、個人で土地を購入するという方は、間違えて資産として計上してしまわないよう、注意してください。

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ローンで購入した際の土地購入の仕訳方は?

土地を購入する際に、一括払いを行うのではなく、ローンを用いて支払った場合、仕訳はどうなるのでしょうか?

自己資金を用いた場合の仕訳では貸方に「現金」と記入しますが、ローンの場合は「借入金」と記載しますので、帳簿への記入は

借方 貸方
土地 借入金

という形で記載します。

長期間のローン商品を用いて土地購入費用を用意する場合については、1年以上のローン契約なら「長期借入金」として帳簿に記載することも可能です。

土地購入の際私的なお金を使った場合仕訳はどうすればいいの?

事業で使用する土地の購入費用を事業主が私的に支出した場合、「事業主借」という仕訳を用います。

これは、事業には関係のない入金を行った際に用いられる勘定科目で、事業用口座の残高が不足して事業主が補填した場合などにも用いられる仕訳です。

事業主が私的にローンを組んで事業用の土地を購入した場合についても、事業主借として扱いますので、どちらの場合も帳簿には

借方 貸方
土地 事業主借

と記載してください。

勘定科目には事業主借と似た科目として「事業主貸」というものもありますが、こちらは事業用の口座から事業主の口座に対して支出した場合、例えば、生活費が不足して事業用口座から引き出した場合などに用います。

個人事業主の方など、事業用口座と私的な口座が分けられていない、資金を相互に動かすことが多いという方は、仕訳を間違えてしまいやすいため、記述する際には注意してください。

基本的に、「事業主借」は事業資金を補填すること、「事業主貸」は事業資金から補填することだと覚えておけば、帳簿に記入する際に間違えにくくなるでしょう。

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土地付建物を購入した際の土地購入の仕訳方は?

土地 購入 仕訳

土地だけではなく建物付きの不動産を購入した場合、どのように仕訳を行うと良いのでしょうか?

基本的に、建物付きの土地を購入した場合、帳簿では土地と建物を別々に仕訳しなければなりません。

そのため、帳簿への記載は

借方 貸方
建物 現金
土地 現金

という形で行います。

不動産取引では、建物付きの土地であっても販売価格は土地と建物を合わせた額で記載されていることがほとんどで、契約書についても合計額が記載されており、個別の価格は記載されていません。

そのため、帳簿に記載する際には土地と建物の価格が単体ではいくらなのかを調べる必要があります。

個別の価格を調べる際には、土地に対して消費税が非課税という点を利用して計算を行うと良いでしょう。

計算方法は

消費税額÷消費税率×108=建物の税込金額

です。例えば、960万円で建物付き土地を購入し、消費税額が32万円だったとすると、

32万円(消費税額)÷8(消費税率)×108=432万円

となり、建物の税込み価格は432万円と計算することができます。もし、消費税率が10%に変更された場合は、

32万円÷10×110=建物の税込金額

で計算してください。消費税額がわからない場合には、固定資産税の評価額を用いて計算する方法もあります。固定資産税評価額を用いた場合の計算方法は、

購入価格×(建物の固定資産税評価額÷土地建物の固定資産税評価額合計)=建物の金額

です。例えば、購入価格1000万円の物件で建物の固定資産税評価額が300万円、土地の固定資産税評価額が500万円だったとすると、

1000×(300÷800)=375万円

となり、建物の価格は375万円、土地の価格は購入価格の合計から建物価格を引いた625万円と計算することができます。

ただし、固定資産税評価額は自治体によって減税などが考慮されており、土地と建物で別々の基準が用いられていることもありますので、正しい数値が得られない可能性があります。

消費税額を用いた計算方法なら正確な数値を得ることができますので、契約書に消費税額が記載されていない場合には、取引を行った仲介業者に連絡し、正確な消費税額を確認すると良いでしょう。

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こここまで説明してきた建て替えは、あくまで一例となっています。

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この記事の監修者プロフィール

【監修者】タクトホームコンサルティングサービス

タクトホームコンサルティングサービス

亀田融

一級建築施工管理技士、宅地建物取引士。東証1部上場企業グループの住宅部門に33年間勤務。13年間の現場監督経験を経て、住宅リフォーム部門の責任者として部分リフォームから大規模リノベーションまで2,000件以上のリフォームに関わる。2015年に退職して現在は、タクトホームコンサルティングサービス代表として、住宅診断を行う傍ら、住宅・リフォーム会社へのコンサルティング活動を行っている。

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