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2021年03月22日更新
そのマンションは建て替えしますか?
中古マンションを購入する際の懸念事項の1つとして、建て替えのリスクがあります。マンションの建て替えには多額の費用が生じるため、リスクを避けるためにも建て替え時期の目安や建て替えが決定するまでの流れを把握しておきましょう。
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- 監修者弘中純一
目次
建て替え時期の目安は?中古マンションの寿命と建て替え
どんなに丈夫な建物であってもいずれ物理的な寿命を迎え、建て替えが必要となります。
中古マンションを購入する場合、マンションの寿命はあとどの程度残っているのか、建て替え時期はいつ頃だろうかと気になる方も多いでしょう。
立て替えのリスクの少ないマンションを選ぶためには、マンションの寿命と立て替え時期の目安について理解しておくことが重要となります。
そもそもマンションは使用素材の種類ごとにRC造、S造、SRC造と分類され、それぞれ強度や耐用年数が異なります。
その中でも最も多くのマンションがRC造(鉄筋コンクリート)のものであると言われています。
ではこのRC造のマンションの寿命はどの程度なのでしょうか。
国交省が2013年に発表した資料によると、このRC造のマンションの耐用年数は68年であるという調査結果が出ています。
他にもコンクリートについての調査は数多くされており、コンクリート造りの住宅の寿命は概ね100年以上であると言われています。
しかし、寿命を迎えるまでマンションの建て替えが行われないかと言えばそうではありません。
2014年に行われたある調査結果によると、立て替えの行われたマンションの平均築年数は33.4年であったと発表されました。
このように、マンションの寿命と立て替え時期は必ずしも一致するとは限らないのです。
マンションの建て替えはいつ、どの様に決まるのか?
マンションを建て替える場合、建て替えが決定するまでの協議の流れは次の4つの段階に分けて進んでいきます。
準備段階
準備段階ではまずマンションの建て替えが必要だと考える有志が集まり勉強会を行います。
この時、修繕や改修ではなく本当に建て替えを行う必要があるのかといった検討や、どのような問題点があるために建て替えが必要なのかといった建て替えに関する基礎的な検討が行われます。
この検討結果を理事会へ提起し、理事会でもマンションの建て替えによる再生の必要性が認められた場合には検討に関する議案として取りまとめられます。
そして理事会によって取りまとめられた議案は今度は集会の議案として提起されます。
集会では次の2点についての議決を得る必要があり、これらについて認められれば正式に管理組合として建て替えについての合意を得られたということになります。
- 検討組織の設置に関する事項
- 検討に要する資金の拠出に関する事項
検討段階
検討段階では検討組織が結成され、マンションの再生方法として修繕や改修、建て替えの方法のうち、どれが最も適しているかについて専門家も交えて検討していきます。
そして検討結果を理事会へ提出し、理事会から区分所有者の集会へ建て替え推進決議案として提起されます。
この決議は区分所有法によって定められた手続きではないため、必ず採択しなければならない決議であるというわけではありません。
しかし、この時点で区分所有者の意向をある程度固めておくと後の手続きがスムーズになるため、通常は決議を受けることが多いようです。
計画段階
計画段階では、まず計画組織が結成されます。
この計画組織が実際に建て替えを行うデベロッパーを選定しますが、デベロッパー選定に関しては住人の信頼を得られる業者でなければのちの揉め事に発展する可能性があるので注意が必要です。
デベロッパーが決定したら建て替え計画を検討していきます。
内容としては建て替えの基本的な計画や費用負担をどうするか、建て替えに賛同しない区分所有者への対応をどうしていくかといったものです。
この時、住人へ対してアンケートや説明会が行われ、建て替えに関する理解を求める活動も行われます。
そして機が熟したら区分所有者の集会へ、実際に建て替えを実施することに合意する旨の建て替え決議を提起します。
この建て替え決議に関しては区分所有法により組合員及び議決権の4/5以上の賛成により決議されます。
実施段階
実施段階ではマンションの建て替え組合が結成されます。
そして住人が建て替え後にどこに住むかといった権利変換計画を策定して認可を受けます。
以上のようにしてマンションの建て替えに関する決定がなされていきます。
もしマンションの建て替えが決定したら?負担しなければならない費用について
マンションの建て替え費用の目安
マンションを建て替える場合、その費用は専有面積によって大きく変わります。
ワンルームマンションであれば約1,000万円前後と考えられますが、ファミリータイプになると2,000万円を超えるケースもあります。
その他、仮住まいの賃貸料や引っ越し費用などを含めた、いわゆる諸費用として数百万円の準備も必要です。
マンションの建て替えが行われる場合、建物が新しく綺麗になったり機能的な面が追加されたり、住人が受けられる恩恵は大きいでしょう。
その一方で、居住中のマンションが立て替えられることによって負担しなければならない費用がいくつか発生します。
具体的にはどのような費用が発生するのかについて見ていきましょう。
建物の建築費用と解体費用
建物の建築費用と解体費用を住人が負担するかどうかについては、そのマンションが賃貸であるか分譲であるかによって異なります。
費用を負担するのはオーナーであるため、賃貸マンションである場合は住人に費用負担はありませんが、分譲である場合は区分所有者がその費用を負担する必要があるのです。
分譲マンションの場合、この費用は管理費や修繕積立金から拠出される場合もありますが、その場合には必要な手続きを行わなければなりません。
元々の用途としては管理費はマンションの管理業務に充てる費用であり、修繕積立金はその名の通り建物の修繕等に充てられます。
修繕積立金については余剰金がある場合は建て替えの際に清算して住人へ返還されますが、規約を変更して建て替え費用に充てることも可能です。
解体や建て替えにかかる費用はマンションの規模や立地条件によっても大きく異なるため、建て替えの話が出た際には負担金についてもよく確認しておきましょう。
引越しに掛かる費用
居住中のマンションを建て替える場合、解体工事の前に一旦退去して新しい住居に引っ越さなければなりません。
また、マンションが完成したら新しいマンションへ入居するために再度引っ越しする必要があります。
一時的な引っ越しであるとはいえ荷物を残したままにはできませんし、家族が多ければそれだけ荷物も多くなり負担が大きくなってしまいます。
仮住まいの家賃等
マンションの解体から完成までの仮住まいにかかる家賃が発生します。
また、入居する際に敷金や礼金を支払わなくてはならない場合もあるでしょう。
マンションの建て替えが決まった場合に利用できる支援制度
マンションの建て替えに必要な費用は、安いものではありません。元々準備していればよいのですが、なかなかそういう訳にはいかないものです。
そのような方々のために、さまざまな支援制度があるのはご存知でしょうか。
ここでは、補助金による支援制度、融資による支援制度の他、さまざまな相談窓口についても説明します。
補助金による支援制度
国の補助金により、マンションの建て替え費用の一部を助成する制度があります。
例えば、マンションの共用部分などの整備について補助する「優良建築物等整備事業」などがあります。。
融資による支援制度
住宅金融公庫でも、マンションの建て替えに適用可能な融資を行っています。
例としては、「まちづくり融資」のうちの一つで、高齢者を対象とした「高齢者向け返済特例制度」というものがあります。これは、高齢者が建て替えしたマンションに居住するために借入ができる制度で、亡くなるまでの間は利息のみの支払いで済むようになります。
建て替えの不安やトラブルの相談は専門の窓口へ
マンションを建て替えするとなると、お金の面も含め、さまざまな不安を抱えることになります。また、マンションの管理組合で決まったことでも、住人とのトラブルになるかもしれません。
マンションの建て替えに関しては、地方公共団体の地方整備局、まちづくり住宅課などといった窓口で相談するとよいでしょう。
マンション再生協議会などの法人団体でも相談を受けつけているので、利用してみてください。
マンションの建て替えに賛同できないときは
住んでいるマンションの建て替えが決まっても、どうしても建て替え費用の捻出ができない方もいることでしょう。
マンションの建て替えに賛同できなければ、売却も検討してみましょう。売却が可能であれば、マンションのローン返済や次の住まいの入居費用にも充てることができます。
ただし、しっかりとマンションの価格相場を把握して、高く売却してくれる不動産会社を探すことが大切です。
建て替えのリスクが少ない中古マンションの選び方
マンションを建て替えることによって住人の居住環境は良くなりますが、建て替えには膨大な費用が必要となります。
建て替えリスクの少ないマンションの選ぶ場合は次の視点で検討してみましょう。
購入を考えた時点で、建て替えの検討や協議が始まっていないか
建て替えの協議が始まっているということは、それなりの築年数が経っていることが予想されます。
マンションの建て替えには多額の費用が必要となりますので、建て替えを行う場合は住人だけでなくデベロッパーにとっても相応のメリットがある場合が多いでしょう。
たとえば立地が良く、その土地に新しいマンションが建設されたらそこに住みたいと考える人が大勢いるかどうか等です。
マンションの建て替えの目安である築30年以上の物件である場合は特に、購入を考えた時点で建て替えの協議が始まっていないかどうかについて確認しましょう。
建物の管理が行き届いているか
マンションの平均寿命は30数年であると言われていますが、これはマンションの構造や管理方法によって差があります。
建物の管理が行き届いており、建物の劣化が少ないマンションの寿命は平均を上回る場合が多いでしょう。
マンションの建て替えには多額の費用がかかりますし、通常はマンション再生の方法としては建て替えよりも修繕や改修が優先されます。
きちんと管理されているマンションの寿命は他のマンションに比べて長く、建て替えのリスクは低いと言えるでしょう。
長期にわたってのメンテナンス等の計画があるか
マンションのメンテナンス計画を確認することも重要です。
長期にわたってメンテナンス等の計画がある場合、建て替えを行わずに修繕や改修を行って長期間マンションを利用していこうという住人の意図が読み取れます。
突発的な災害などによる被害を受けない限りは、少なくともメンテナンス計画に定められている期間中は建て替えは行われないものと考えて良いでしょう。
容積率緩和による建て替え
これはごく稀なケースですが、建て替え費用の負担無しで新しいマンションに引っ越しできる場合があります。
実際に東京都では、過去に老朽化したマンションの建て替えを促進するために容積率を緩和したという事例がありました。
容積率が緩和されることによってどのようなことが起こるかと言うと、建て替え後のマンションの部屋数を増やすことが可能となります。
するとデベロッパーは建て替えによる利益を得ることができるようになるため、マンションの建て替えに積極的になります。
古いマンションの住人は土地を提供して建て替えを認める代わりに、新しいマンションへ費用を掛けずに引っ越しできるといった事例がありました。
ただし容積率が緩和された地域で建て替えが行われるからと言って、必ずしも無料で新しいマンションを取得できるわけではありませんので注意しましょう。
建て替え・注文住宅に対応する優良な建設会社を見つけるには?
ここまで説明してきた建て替えは、あくまで一例となっています。
実際に建て替えをするべきなのか、リフォームをするべきなのかを検討するためには、プロに現状を相談し、「プランと費用を見比べる」必要があります。
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一生のうちに建て替えをする機会はそこまで多いものではありません。
後悔しない、失敗しない建て替えをするためにも、建設会社選びは慎重に行いましょう!
この記事の監修者プロフィール

一級建築士事務所アルド住宅研究所
弘中純一一級建築士、宅地建物取引士。プレファブ住宅の開発からスタートし、以来40年にわたり住宅産業に従事。建築設計事務所・住宅リフォーム会社の経営を経て、現在は住宅の悩みを解決する、コンサルティングを中心に活動中。
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