2023年12月12日更新

監修記事

住宅の建て替えに関わる法律の中で知っておきたいことを解説

建て替えは自由にはできない?!建て替えを規定する法律

建て替え 法律

建て替えを行う際、持ち家なのだから自由に建て替えてもいいだろうと考えがちですが、建て替えを規定する法律が存在するため、規定を守らなくてはなりません。

ここでは、住宅の建て替えに関わるいくつかの法律について解説します。

建て替え時の注意点として役立ててください。

都市計画区域では条件付きで建て替え可能

きちんとした街づくりを進めるための規定をまとめた「都市計画法」という法令があります。

この法令は、都市計画の内容や決定手続き、都市計画事業など、都市計画を進める上でのあらゆる事項を定めており、秩序ある健全な都市づくりができることを目的としています。

建築基準法とも密接に関係しており、都市における建築に関することについてもこの法令で規定が設けられています。

都市計画法の中では、各都道府県が主体となって将来的な街づくりに使われる用地を「都市計画区域」として区分しています。

この区域にある住宅の建て替えは基本的には可能です。

ただし都市計画区域の中でも「市街化調整区域」という市街地としての開発を抑制することを目的とした地域の場合、建て替えは可能ですが、下記のような条件が課されます。

  1. 敷地を広げない。
  2. 建て替えた建築物は、引き続き住宅として利用する。
  3. 建て替え後の建築物は、建て替え前の建築物と同じ規模のものとする。

しかし、自治体によって条件が異なることがあります。

また、市街化調整区域では市街化を抑制することを目的としているため、新たに建築物を立てたり、増築することは制限されています。

建て替えの前に条件を十分確認しておきましょう。

防火地域及び準防火地域の建築制限

都市計画法では、「防火地域」及び「準防火地域」と呼ばれる区域が指定されています。

防火地域及び準防火地域とは、市街地において火災が起きた場合にその火災の延焼を防ぐ目的で定められた区域です。

この区域では、住宅を含む建築物に制限を課しており、この区域にある建築物は耐火建築物または準耐火建築物でなくてはなりません。

使用できる建材等にも規定があるため、建て替えやリフォームの際には確認が必要です。

各地域で定められた建ぺい率や容積率

住宅の建て替え時に注意するべきことのひとつに、建築物の建ぺい率や容積率があります。

「建ぺい率」とは敷地面積に対する建築物の面積の割合のことです。

一方、「容積率」とは敷地面積に対してどれほどの延べ床面積の建物が建築できるのかを表しています。

各市区町村によって定められた規定の建ぺい率や容積率をオーバーした住宅の建て替えは禁じられています。

接道義務

「接道義務」とは、建築基準法により定められた建築物の敷地に関する規定です。

都市計画区域においては、敷地が道路に2m以上密接していて、且つ、面している道路のは幅4mなくてはなりません。

この規定に反する敷地での建て替えは、防災上の理由から禁止されています。

道路に接する面が2m以下の場合

旗竿状の土地や不整形の土地で道路に接する面が2m以下の場合、接道義務が満たされていないため、原則として建築などの許可を受ける手続き(建築確認)を受けられない可能性があります。

そのため、旗竿状の土地や不整形の土地で住宅の建て替えを考えている場合は、道路に接する面が2m以上あるかどうかの確認が必要です。

未接地や袋地の場合

次に全く道路に面していない未接地や他の土地に囲まれている袋地も接道義務が満たされていないため、原則として建築不可となります。

しかし、敷地が囲まれていても他の土地を通行する権利があるかどうかで建て替えできるケースもあります。

他の土地を通れる権利があれば接道義務に問題がないため、建て替えできる可能性があるでしょう。

ただし、接道義務は災害や火災などの緊急時の安全確保を目的としているため、囲まれている土地の中に公園や広場などが接している場合は、「建築基準法第43条但し書き」によって建て替えが可能になることもあります。

詳細は「建て替え条件を整えると建て替えできる」の項目でご紹介します。

接する道路の道幅が基準に達していない場合

一般的な四角形の土地であれば接道義務が問題になることは少ないのですが、道路に面していても気をつけなければならないことがあります。

道路に面していて見た目は道路であっても、その道路が建築基準法で認められていなければ接道義務を満たしていない可能性があり、建て替えができない場合があります。

また、土地に接する道路は道幅が4m以上であることが原則ですが、道路の道幅が4m以内の場合は接道義務を満たしていないことになるため建て替えができない可能性があり、建て替えする場合は対策を行わなければなりません。

接道面が短くとも「43条但し書き通路の許可」を得ることで建て替え可能

他の土地に囲まれた土地や袋地の場合、「43条但し書き通路の許可」を得ることで建て替えることが可能になります。

「43条但し書き通路」とは、建築基準法上道路以外の種別に区分され「建築審査会」の許可を得られた道路のことを言います。

建築基準法で認められている道路と違い、原則として建て替えや増改築することはできませんが、建築する際に「建築審査会」の許可を得ることで「建て替えが認められる道路」となります。

建築審査会へ申請すれば建築基準法で認められていない道路の全てが認められるというわけではないため、建築審査会に申請しなければ結果はわかりません。

また、一度建築審査会の許可を得られればその先も建て替えできる訳ではなく、建て替えや増築するたびに建築審査会へ許可を得る必要があります。

北側斜線制限や道路斜線制限

「北側斜線制限」とは、建築物の高さを制限する規定です。

北側にある隣地の日照を守るための規定で、その建築物のある地域が「低層住居専用地域」か、または「中高住居専用地域」なのかによっても、制限される高さは変わってきます。

一方、「道路斜線制限」も同様に建築物の高さを定める規定ですが、これにより建物を建てる際は、前面道路の反対側の境界線を起点として一定の斜線勾配の内側で計画をしなければなりません。

道路自体の採光や通風に支障がないようにするために設けられた制限で、高さの規定は用途地域や、地域で規定されている建ぺい率、容積率と併せて計算されます。

法律が改正されて規定に満たなくなった物件を建て替えるには

当時の建築基準に則った基準で建てられていた家屋でも、法改正により、現行の法律では基準を満たしていない建築物が数多く存在します。

そのような物件を建て替える際にはどのようにしたらよいのでしょうか?

容積比が基準よりもオーバーした住宅

当時の建築基準に則った高さで建設した家屋でも、法改定によって容積比の規制が変わり、現行の規定では容積比をオーバーしてしまっている場合があります。

この場合、そのまま家屋を使用することは可能です。しかし、全く同じ条件の物件を建て替えることは法律違反となります。

建て替えを行う際には現法に則った基準の住宅を建てることになります。

耐震性が新基準よりも低い住宅

新しい耐震基準の下では耐震性が足りていない住宅も、上記の容積比が基準よりもオーバーしてしまった物件と同じく、そのまま住み続けることは可能です。

ただし建て替え時には、新しい耐震基準を満たす住宅を建てなくてはなりません。

他にも炎や煙を遮断するシャッターの設置が義務付けられたもののまだ設置していないなど、法改定前までは問題ないとされていた物件でも、法改定後により建築基準に達していない物件は、同じ条件での建て替えは認められません。

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法律の改正で再建築不可になった物件の建て替えのポイント

法律が改定されたために現行の規定を満たしていない住宅を建て替えるときには、どのような注意点があるるのでしょうか。

また、法改正によって再建築不可になった物件を建て替える際にはどのようにすべきかについてもご説明します。

現行の法律に従って新たな住宅に建て替える

耐震基準が改定されたことで耐震性を強化するための建て替えであったり、高さ制限を現行の法律に合わせた建て替えならば、建て替え可能なことがほとんどです。

しかし現行の基準を満たしていない建築物への建て替え、または住居専用の地域と改定された土地に工場を再建するということなどはできません。

現行の法律をに違反した建築物を建設すると、違反建築物扱いとなり罰金対象になるので注意が必要です。

敷地のセットバックで再建可能な場合も

再建築不可と認定されても、セットバックと呼ばれる建物の後退工事を行えば再建築が可能なケースがあります。

住宅には「接道義務」が定められています。

この「接道義務」とは、住宅が建てられる土地が幅4m以上の道路に2m以上接していなくてはならないという規定です。

つまり住宅を建設する土地が道路に全く面していなかったり、道路に面している部分が2m未満の場合、建て替えを含めて住宅を建てることができません。

そのような物件は再建築不可とされているのですが、土地が道路に2m以上接しているものの道路幅が4mに満たない場合などには、建物を後退(セットバック)させて道路幅を確保することで建て替えが可能になります。

建て替えができない場合はリフォームやリノベーションで対応

法律の改定により再建築が不可能な物件でも、リフォームやリノベーション、住宅の補強や補修工事をすることは可能です。

なぜなら、増床を伴わないリフォームやリノベーションには建築確認申請が必要ないからです。

再建築不可物件の場合は、建て替えではなく全面リフォームを検討しましょう。

隣家に買い取ってもらう

もうひとつの方法が隣の人に声をかけてみることです。隣の土地を購入することで自分の敷地が広くなるため、隣の土地を購入したい人は少なくないようです。

再建築不可の土地を相続してしまったり、もうその土地に住むことがなく売りに出したいと思っている場合は、最初に隣人に声をかけましょう。

改正マンション建て替え円滑化法とは

建て替え 法律

「改正マンション建て替え円滑化法」とは、「マンションの建替えの円滑化等に関する法律の一部を改正する法律」の略で2002年12月に施行されました。

この法律の目的は、耐震性の弱い高経年化したマンションの建て替えを促すためです。

法改正でマンションの建て替えがスムーズに

改正された大きなポイントは2つあり、1つは耐震性が足りないと認定されたマンションの場合、その住人全体の5分の4が賛成すればそのマンションとマンションが建てられている土地の売却決議ができることです。

もう1つの改正点は、建て替えられるマンションの容積率を緩和するという特定が付けられたことです。

以上のように改定されたことで、よりすみやかにマンションの建て替えが進められるようになりました。

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ここまで説明してきた建て替えは、あくまで一例となっています。

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一生のうちに建て替えをする機会はそこまで多いものではありません。

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この記事の監修者プロフィール

【監修者】下久保彰

2級建築士。建築設計や施工業務を30年以上経験。最近は自営にて各種請負業務を行う。

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