2024年04月11日更新

監修記事

3階建て住宅は階段に規定がある!直通階段について解説

3階建て住宅を建てる際に設けなければならない直通階段とは

3 階 建て 住宅 階段
大きな土地でなくても空に向かって建てていけば、敷地を最大限に利用して部屋数を多く作ることが可能になります。

そのため最近では、3階建ての住宅が増えています。

メリットの多い3階建てですが、自由に高い建物が建てられるわけではなく、法律上のさまざまな規制があります。

3階建ての家を建てると決める前に、2階建てと3階建ての法律上の違いや生活上の使い勝手の違いなどを確認しておきましょう。

3階建てと2階建ての建築基準法上の違い

2階建てと3階建ての住宅を建設するとき、法律上ではどのような違いがあるのでしょうか。

国民の安全や財産の保護を目的とする、建築上のさまざまな基準を定めたものが建築基準法です。

建物を建てるとき、建築基準法に準じた建物を建てることが定められています。

新築や増築する建物が、建築基準法に適合しているかをチェックするものが「建築確認」です。

このチェックを受けるために「建築確認申請」を役所に提出します。

書類をもとに役所はチェックをおこない、適合しているとした場合にのみ工事に着手することができます。

建築基準法では建物ごとに細かく基準が定められているため、2階建てと3階建ての住宅では基準に違いがあります。

建築確認の申請に構造計算書の添付が義務付けられている

3階建ての住宅の場合、確認申請書類に構造計算書を添付しなければなりません。

2階建てまでの木造住宅であれば、構造上安全であるかを柱や筋交いなどの壁の量でチェックします。

3階建ての場合は、構造計算書の添付が必要になります。

構造計算書は、建物にかかるさまざまな荷重を計算して計算結果をまとめた書類です。

階段に対する規定が「直通階段」の設置になる

3階建ては、1階から2階への階段と、2階から3階への階段が必要です。

つまり2階建てと違い、階段が2つになるため、この2つの階段の関係が避難の面で重要になります。

3階建ての場合の階段は、「直通階段」とすることが定められています。

「直通階段」とは、各階の居室から避難階へ直通で行くことのできる階段のことです。

途中で部屋を経由したり、階段の位置がわかりにくかったりする場合は、直通階段として認められません。

3階建て住宅の直通階段の間にドアを設置できるか?

ここでは、3階建ての住宅に必要な「直通階段」について、詳しく解説します。

直通階段の間にドアを設けることはできない

「直通階段」は、各階から避難階へ直接避難できる階段のことでした。

つまり、避難を妨げるような階段では建築の許可がおりません。

たとえば、1階から地上である外部に避難できる住宅の場合、避難階は1階になります。

この住宅では、3階から1階への階段が直通階段である必要があります。

3階から2階におりたとき、2階から1階におりる階段がスムーズに見えなければなりません。

自宅で階段の位置がわからなくなってパニックになるとは考えにくいですが、災害時には何が起こるかわからないという考えから、容易に確認できることが条件になっています。

この考えから、3階から2階におりたあとに扉があると、2階から1階におりる階段を見渡すことができないため、避難に支障をきたすと考えられます。

そのため、直通階段に扉を設けることはできません。

ほかに、階段と階段の間に長い廊下があり、どこに逃げたらよいのかわらかなくなってしまう可能性がある場合も、直通階段とは認められません。

ただし、直通階段については細かい基準がなく、確認申請を検査する機関によって判断が微妙に異なる場合があります。

不明な点がある場合は、確認申請書類を提出する前に検査機関に相談しましょう。

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3階建て住宅に直通階段を設けるほかに留意しなければならないことはあるのか?

2階建てと3階建てでは、直通階段を設けなければならないことや確認申請に構造計算書が必要なことをお伝えしました。

ここからは、上記以外に3階建て住宅の建築でおさえるべき点を解説します。

非常用出入口

3階建ての建物では、3階部分に非常用侵入口が必要です。

非常用侵入口とは、火災などの場合に消火や救助のために侵入するための入り口です。

住宅ではこの侵入口を、窓で代替するのが一般的です。

大きさは幅75センチ高さ120センチ以上か、直径1メートルの円が内接することが条件になります。

また、道路に面した窓で、破壊して侵入できるような窓(ガラスの厚みに規定があったり、雨戸は許可されないことも)である必要があります。

排煙計算

排煙設備も3階建て以上では必要な設備です。

住宅では、採光や通風のための窓と兼用して、自然に煙を外に出す「自然排煙」の方法がとられることが多くなります。

有効に排煙するために、窓の高さや大きさ、配置の計画が必要になります。

高さ制限

3階建てでは、隣地や北側に対する「斜線規制」や「日影規制」が高さの制限となることが多くなります。

特に高さの制限となることが多いのは「北側斜線」です。

住宅の北側が斜めに切り取られたような形を目にすることが多いですが、これは「北側斜線」によるものがほとんどです。

北側に道路があるとクリアすることができたり、天空率で緩和されたりすることもあります。

計算は複雑ですので、担当の設計士に確認することをおすすめします。

容積率

土地には「用途地域」が定められています。

街の中には、一戸建ての住宅がならぶ地域や商店がならぶ地域、高層のマンションの多い地域などがあります。

たとえば、「第一種低層住宅専用地域」では、低層の住宅専用の地域になり、それ以外は建てることができません。

この「用途地域」ごとに、「建ぺい率」や「容積率」が定められています。

「建ぺい率」は、敷地面積に対する建物の面積の割合です。

「容積率」は、敷地面積に対する延べ床面積の割合です。

つまり、敷地に対して建物のボリュームが決まります。

これらの条件から、3階建てが建てられないということもあります。

3階建てを計画して土地探しをする場合は、土地の「用途地域」や規制を確認します。

面積については複雑な規制や緩和規定もあるため、設計士と相談するとよいでしょう。

構造計算書が必要な3階建ての住宅設計は、一級建築士でないと設計できないと思われがちですが、一般的な大きさと高さの住宅であれば二級建築士に設計を依頼することができます。

3階建て住宅の階段昇降が苦にならない手立てとは

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3階建ての住宅では、日々の階段利用に不安を感じる方が多くなります。

体に不安がある場合や介護が必要な場合には、昇降機がなくては生活に支障が出ます。

ほかに、荷物を持って上下階の移動に負担を感じる方も多いでしょう。

洗濯機のある場所と洗濯を干す階が異なる場合や、食料品などを買って帰りキッチンまで持って上がる、子どもを抱っこして上がるなど、各階への荷物を持っての移動は頻繁に必要になります。

また、現在は必要性を感じなくても、将来必要になることも考えられます。

階段昇降が苦にならない手立てとしてどのようなものがあるのかを、費用の相場とともに解説します。

昇降機

階段昇降機は、階段のわきにレールを敷き椅子型の乗り物で昇降するものです。

使用しないときには椅子部分を折りたたみ、階段使用の邪魔にならないようにすることができます。

階段昇降機は、エレベーターに比べ設置費用がかからず、新築でなくても居住中の住宅に設置が可能です(設置可能な階段形状に条件があります)。

階段が直線か曲線かで価格が異なり、設置費用は50万~150万円になります。

また、安全に使用するために定期的なメンテナンスをおこなうと安心です。

階段昇降機の設置は、介護リフォームとして自治体から助成金が給付されることがありますので、事前に条件や手続きの方法を確認してください。

ホームエレベーター

3階建てでなくても階段は高齢になると危険が多い箇所になるため、ホームエレベーターを設置する住宅が増えています。

特に車いすを使用する場合や、子どもを抱いて移動する場合に、ホームエレベーターが活躍します。

また、荷物を持っての階段移動は危なくなるため、荷物の上げ下ろしにもホームエレベーターがあると安心で便利です。

設置費用は3階建てで約350万円、定期的なメンテナンスが必要になり年間約4万円を見込みます。

ホームエレベーターにも補助金が給付される自治体がありますので、ご確認ください。

ほかにホームエレベーターを設置する場合は、設置に慣れた実績のある業者を選ぶことをおすすめします。

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この記事の監修者プロフィール

【監修者】下久保彰

2級建築士。建築設計や施工業務を30年以上経験。最近は自営にて各種請負業務を行う。

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