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高気密住宅のメリットやデメリットについて
1990年代に高気密・高断熱住宅が登場し、普及し始めた頃、建築業界内ではデメリットを主張する建築家や工務店がありました。
その言い分は「気密が高まると呼吸できなくなる」とか「省エネ住宅は短命である」、「樹脂サッシは熱に弱い」等2019年の現在では、考えられないようなことも言われていました。
技術の進歩と商品開発により、最近はより優れた高気密・高断熱の住宅が長期優良住宅として認識されています。
高気密住宅とは?
高気密・高断熱住宅は壁や天井・床に断熱材を敷き詰め、サッシを二重窓にする等、外気温が室内に与える影響を最小限に留めるために室内の気密を高め、建物内部の空気を外に逃がさないように配慮した建物を言います。
冬は暖房の熱が外に逃げにくいので、一定の温度で快適に過ごせて光熱費を抑えられるメリットがあります。
しかし、夏場は暑くなるデメリットがあります。
夏場に太陽光が入り込むと熱がこもってしまうので、夏には日差しが入らない様に工夫する必要があります。
高気密住宅にする為には、建築時から建材の接合部に気密テープ・気密シートを施し、隙間をなくすよう施工しなければなりません。
施工の手間が掛かる分、工事日数や費用がかさむ場合もあります。
ヒートショック対策になる
高齢者は冬の寒い日、暖房の効いた自室から浴室やトイレに出た際に倒れてしまう事故がよく起きますが、高気密・高断熱住宅では建物全体の気温が一定に近くなるため、ヒートショックが起きにくくなります。
ヒートショックが怖いのは、急激な温度変化により脈拍や血圧が温度差について行かず、卒倒して怪我をする事故や、死亡事故が多く起きているからです。
気密性が低いと、室内の空気が建物の隙間から外に逃げてしまい、どれだけ暖房をきかせても冷気の侵入口は温まることはありません。
高気密住宅は隙間をなくしているため、このような温度差が生じにくいのが魅力と言えるでしょう。
最近は浴室の洗い場の床が温まるユニットバスもあったり、トイレの壁に埋め込むことが出来る暖房機などもあり、高齢者にもやさしい住宅設計になっています。
防音性が高まる
高気密・高断熱住宅に住む方の多くが「外の音が気にならない」や「雨が降っていることに気付かなかった」など、遮音性が良いことを話されています。
外からの音を遮るためには、遮音と吸音の2つの作用を働かせる必要があります。
室内に侵入させないためには、外壁で音を遮り、更に壁内部の断熱材で外の音を吸収することで、室内まで外の音が入り込まないように施工しているからです。
また、室内の音が外に漏れ出ることも同時に防いでくれます。
集合住宅でありがちな、騒音トラブルが未然に防げるのも高気密・高断熱住宅の特徴の一つです。
しかし、室内の音がよく聞こえるというクレームもあります。外の音が気にならなくなった分、室内の音が気になることはありますが、個人差によるものが大きいでしょう。
余程気になる場合は、断熱材が充填されている室内ドアに交換するなど、室内での遮音性を高める工夫をとる方法もあります。
空調の効きがよくなる
高気密・高断熱住宅の良い所は、室内温度を一定に保てることです。
特に冬場は、暖房機の温度を低めに設定しても、外に熱が逃げないので十分快適な生活が送れます。
その点においては、光熱費が安く抑えられるのは家計には嬉しいことです。
しかし、夏はいったん外の暑さを室内に取り込んでしまうと、室内を冷やすのに時間が掛かってしまいます。
必然的にエアコンを各部屋に設置せざるを得ませんが、ここで救われることは、部屋の大きさよりワンランク容量の小さいエアコンでも充分であることです。
部屋の大きさに合わせたエアコンで部屋を冷やすと、冷気過剰状態になり、電気代もかさみますが、容量を落とすことで、電気代の節約につながります。
シックハウス症候群になる恐れは?
新築の家に入居してシックハウス症候群を引き起こす主な要因は、壁紙を接着する「ホルムアルデヒト」や「防腐剤から発生する揮発性有機化合物」などが原因でした。
高気密・高断熱住宅が普及し始めた1990年代には室内の空気汚染が社会問題にもなり、各メーカは施工材料の改良を目指し、現在はかなり改善されています。
シックハウス症候群を防ぐ手立てとして、入居前や入居後はしばらく自分で計画的に換気をすることが対応策でしたが、高気密・高断熱住宅は計画換気ができる機器の設置が義務付けられているので、その点においても優れていると言えます。
しかし、完全にシックハウス症候群がなくなったわけではありません。
アレルギー体質の方は気を付ける必要があります。
未然に防ぐには、ビニールクロスを壁や天井に使わず、珪藻土や漆喰の塗り壁にしたり、塗料や内装の接着剤にアレルギーを引き起こしやすい材料が使われているかを事前に確認したりする必要があります。
契約の前段階でしっかりと確認しましょう。
湿気がこもりやすい
高気密・高断熱住宅を快適に使う理想的な形は、「窓を開けず、換気を24時間全館換気」することです。
古来より日本の家屋の使い方は、窓を開けて外気を取り入れ換気するという外に向けて開く使い方に慣れており、寒い冬でも暑い夏でも外の空気を室内に入れて換気することが家にとって良いことだとされてきました。
しかし、高気密・高断熱住宅は開放型とは真逆の発想で使わないと、熱効率を悪化させ、無駄に電気代がかさむことになってしまいます。
高気密・高断熱住宅は建物内の空気の流れを計算し、「24時間換気システム」を使い、充分な喚気を行うので、熱の流失を防ぎ、エアコンの使用量も減らせます。
確かに、初期の高気密・高断熱住宅では施工上問題が発生し、カビが生えたり、壁の内部で結露による腐食などが起こっていましたが、現在はだいぶ改善され、防湿処理がなされた断熱材を使い、壁内部で結露を起こさない工夫がされています。
高気密住宅は暖房具に制限がある
高気密・高断熱住宅で使用する暖房機には、1時間に1度は外気を取り入れて換気しなければならない石油ストーブやガスストーブはおすすめできません。
24時間換気システムを使っているとはいえ、換気システムはビニールクロスの壁紙やフローリング等の新建材から排出される化学物質の排出が目的で、石油ストーブの換気のためのものではないからです。
よって、使用することで室内の二酸化炭素濃度が高まってしまう石油ストーブ、ガスストーブは避けましょう。
エアコンは暖気が軽いため天井や部屋の上部を温めるので、足元を温めにくくします。
他の暖房器具との併用が良いでしょう。
FF式ファンヒーターは、外部の空気を取り込んで燃焼し、排気ガスは排気管を通って外に排出される構造になっています。
この方式であれば、室内の換気のために窓を開ける必要がなく、床に近い所から温めてくれます。燃料は石油又はガスを使用します。
デメリットは排気管が壁を貫通しているため、場所を移動できないことです。
床暖房システムは、電気式で床を温める方式と給湯器で温水にした水が床下を通る方式があります。ランニングコストや熱効率を検討するとガス方式が良いでしょう。
高気密住宅は結露に注意
高気密住宅の欠点は結露しやすいこと
結露が起きるには、外気が極端に冷えて、建物内部との温度差が著しく違う場合に起きやすいものです。
高気密・高断熱住宅がよく例えられる話として、魔法瓶のような構造と言われます。
気密性が高く、外気温を遮断する断熱性は、結露の発生を最大限防ぎ、カビも生えにくくしています。
サッシ窓に水滴がつくのは1枚サッシの場合で、2重サッシの場合は内側サッシは結露しません。
また、サッシ枠を結露しにくい樹脂製にしていれば、なおさら結露が起きにくくなります。
結露を起こさないための断熱材使用であり、樹脂枠の2重サッシを取り入れることは高気密・高断熱住宅の必須条件です。
高気密住宅では換気が欠かせない
高気密・高断熱の家では、基本的に換気のための窓の開閉は不要です。
窓を開けない代わりに「24時間換気システム」が取り入れられています。
吸気口、排気口をはっきりさせ、24時間必要な量の新鮮な空気を取り入れ、室内の汚れた空気を外に排出できるようになっています。
適切に使う事で建物の持つ能力を最大限に生かすのがよいでしょう。
高気密住宅で電気代は抑えられるのかについて
高気密住宅なら電気代はどれくらい安くなるのか
冷暖房に必要なエアコンの使用頻度がある程度軽減されることは前項で書いていますが、1980年代に建てられた断熱が考慮されていない無断熱住宅と比較すると約50%~60%程電気代が抑えられるという統計が出ています。
また、長く住むほど電気代の差額は広がり、35年後にはその差額は約300万円程と、ライフプランにも影響します。
高気密・高断熱を計画される方が気になさるのは「24時間換気システム」の電気代が高くなるのではないかという点ですが、消費電力が抑えられているものが多くあるので、1か月40円から50円位が一般的な請求金額です。
エアコンは使わない時はオフにすると電気代が節約されると思っている方がほとんどと思いますが、夏や冬の使用時間が長い場合は、1日中付けておいた方が、電気代が安くなります。
これは、冷蔵庫を例にするとイメージしやすいのですが、一定の冷たさ・暖かさになると電力をあまり使わず、温度をキープするという機能が働くからです。
1日中電気を使って回ったままという事はなく、ある一定の温度になると自動的にオフ状態になり、温度が変わるとまた自動で動く為、省エネになります。
上手に使う事が電気代の節約につながることもあると覚えておきましょう。
高気密・高断熱住宅の落とし穴とは
日本は古来より高温多湿の気候風土を快適に過ごせるように「開く形」の建築様式が主流でした。
しかし、高気密・高断熱住宅は「開く」ことを良しとしません。
窓を開けず「24時間換気システム」で排気、吸気をして室内を一定に保ちます。
窓を全開にして解放感を味わうといったことには向かなくなります。
また、サッシ窓は夏の酷暑対策として「遮熱ガラス」を使い、室内の気温を上げないようにする一方で、冬の小春日和に窓の近くの暖かさも感じにくくなるでしょう。
24時間換気システムもしっかりとした換気計画を立てないと、一部分で空気が滞留することが起きます。
まれに、1部屋だけ結露が発生したり、空気がよどんでいるように感じたり、カビが生える場合は、換気計画のどこかに間違いがあるかもしれません。
また、設備が正常に機能していない可能性もあるので注意しなければなりません。
換気システムが正常に機能しないと、夏場室内に熱気がこもり気密性が高いが故に空気が抜けず、エアコンを稼働させ、無駄なエネルギーの消費に繋がってしまいます。
高気密・高断熱住宅は高温多湿の日本の住宅事情を快適に暮らすために、日進月歩進化していますが、自身のライフスタイルと合致するかどうかも検討しておくのがよいでしょう。
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この記事の監修者プロフィール

タクトホームコンサルティングサービス
亀田融一級建築施工管理技士、宅地建物取引士。東証1部上場企業グループの住宅部門に33年間勤務。13年間の現場監督経験を経て、住宅リフォーム部門の責任者として部分リフォームから大規模リノベーションまで2,000件以上のリフォームに関わる。2015年に退職して現在は、タクトホームコンサルティングサービス代表として、住宅診断を行う傍ら、住宅・リフォーム会社へのコンサルティング活動を行っている。
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