2023年12月15日更新

監修記事

高気密の住宅の換気システムについて

高気密の住宅とはどんな家?

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最近よく耳にする「高気密の住宅」とは、どのような住宅のことをいうのでしょうか。

断熱性能に優れていて、とても住みやすいという印象がありますが、実際のところどうなのか、詳しく見ていきましょう。

高気密の住宅の特徴

かつて在来木造軸組工法で建てられた住宅は、ある程度の隙間風はやむを得ないものとして受け止められていました。

しかし近年、冷暖房の過度の使用による地球環境への悪影響が懸念されるようになり、断熱性能の重要さへの認識が高まってきました。

断熱性能の向上をさらに高めていったことにより、無駄な空気の出入りを防ぐ高気密住宅の重要性が認識されはじめたのです。

高気密な住宅は、工場生産された精度の高い部材などを用いて組み立てられ、防湿シートや断熱材、気密テープなどによって、極力隙間を生み出さないようにした住宅です。

そのため、隙間風がほとんどなく、適切な換気によって快適に過ごすことができます。

高気密の役割

高気密は高断熱と切り離して考えることはできません。

高気密とは、高断熱化を実現した建物への意図しない空気の侵入を極力ゼロに近づけるものです。

高気密を実現することは、断熱の効果をいっそう高めることにもつながるのです。

冬場に隙間から冷たい空気が壁内に侵入すると、結露が生じることがあります。

結露は壁内にカビを発生させたり、断熱材の性能を低下させたりする原因となります。

しかし、高気密にすることにより、このような結露の発生を防ぐことができるので、高い断熱効果を長期間に渡って維持させることができます。

高気密の住宅は換気扇が止まると息苦しい?

高気密の住宅は、換気扇が停止すると息苦しく感じるのではないか?と考える人もいるのではないでしょうか。

また、ドアを閉めたら完全密閉状態になるのでは?と心配する人もいます。

高気密住宅のこうした疑問を解決する場合、換気と切り離して考えることはできません。

高気密住宅には換気扇の取り付けが義務付けられています。

換気扇が設けられた部屋には、換気の際の空気の取り入れ口として、給気口が必ずどこかに設けられています。

たとえ換気扇が稼働していなくても、給気口のわずかな隙間を通じて外気と空気の入れ替えが行われるため、実際には息苦しさを感じることはないでしょう。

高気密のメリット・デメリット

次に高気密住宅のメリットとデメリットについてみていきましょう。

メリット

住宅を高気密にすることには、どのようなメリットがあるでしょうか。

外部の気温に影響されない

高気密の住宅は、外気が室内に入り込むことを防いでくれるため、室内が外部の気温に影響されにくくなります。

また、高気密によって実現される高い断熱性により、外壁面の温度が内部に伝わることも防いでくれます。

このため真冬の強い寒さや真夏の暑さでも、室内は快適な状態を保つことができるのです。

わずかな冷暖房を使用するだけで、適温を長時間維持することができるため、従来の住宅よりも大幅に光熱費を削減することが可能になります。

ヒートショックのリスクがない

近年「ヒートショック」の危険性が注視されています。

これは、急激な体の冷えによって、血圧が急上昇し、脳梗塞や心筋梗塞などを発症するものです。

真冬に暖かいリビングから冷え切った廊下に出たときや、風呂で温まった体を冷えた脱衣所で急激に冷やすことによって、ヒートショックを起こすことがあります。

高気密の住宅の場合、廊下や玄関、脱衣所やトイレなどの通常冷暖房を使用しない箇所でも、他の部屋と気温が極端に変化することがないため、ヒートショックのリスクを軽減できます。

ほこりがつきにくい

高気密による断熱効果によって、室内の気温が全体で均一な状態を維持できるため、自然に空気が対流することがありません。

このため空気の移動によって生じる静電気が起きにくくなるので、天井近くの壁にほこりがつくこともほとんどないと言われています。

遮音効果もある

高気密の住宅は熱を遮断する効果ばかりでなく、音を遮断する効果があります。

人通りや交通量の多い地域に家を建てても外部の音がほとんど気にならないので、静かな環境で過ごすことができます。

デメリット

それでは反対に、高気密にはどのようなデメリットがあるのでしょうか。

窓が小さくなる傾向がある

高気密・高断熱の住宅を徹底しようとした場合、弱点は「窓」であることに気づかされます。

壁の断熱性能に比べて、窓はどうしても劣ってしまうのです。

ハウスメーカーによっては、断熱性能を上げるためにあまり大きな窓を採用しないことがあります。

夏の直射日光は厳禁

外の気温が伝わらないとはいえ、透明ガラスから差し込む太陽光は熱を同時に運んできます。

室内に太陽光の熱がこもってしまうと、高密度であるが故に、反対に熱が抜けにくいのです。

このため外部に植林をしたりシェードを張ったりして、直射日光を遮る工夫が必要になります。

カビが発生しやすい

高気密の住宅は外部の温度を遮断できても湿度まで遮断することはできません。

また換気を十分に行っていないと、空気が滞留するために、カビが発生しやすい条件が整ってしまいます。

また湿度の調整が効かないので、冬は反対に室内の空気が乾燥しやすいというデメリットもあります。

高気密住宅では、建材や断熱材を工夫するなど湿度を調整する為の対策が必要です。

開放型の石油ストーブは不適

石油を燃やして暖をとる開放型の石油ストーブを高気密の住宅で使用すると、二酸化炭素濃度が上がってしまいます。

そのまま使用を続ければ室内の酸素が不足して、不完全燃焼を起こす可能性があります。

この事態を防ぐためには、定期的に窓を開放する必要がありますが、何度も窓を開閉すれば、高気密住宅の本来の利点が打ち消されることになるため、石油ストーブの使用は高気密住宅では不向きだと言えるでしょう。

シックハウス症候群のリスクが高い

空気がこもりがちになることから、シックハウスの原因である、ホルムアルデヒドの濃度が上がりやすくなります。

建築基準法の規制により、建築資材にはホルムアルデヒドを使用した資材は使われなくなりましたが、法の適用を受けない家具には使用されていることがあります。

このため、新たに家具を購入したときなどに、シックハウス症候群が発生するリスクが高くなります。

換気扇の稼働以外にも窓を開けての換気を心がけるなど、対策を行うようにしましょう。

費用がかかる

高気密の住宅は、高断熱であることが前提です。このため断熱性の高い材料を一般住宅以上の厚さで充填します。

また高気密を実現しようとすれば、構造体の精度の高さが求められるだけでなく、高機能の換気設備を設置する必要があります。

これらの要件がすべて揃うことが条件となるため、高密度の住宅は一般の住宅に比べて工事費が高くなります。

換気計画が必要

高気密の住宅は外部から自然に空気が入ってくることがないので、空気が滞留してしまいます。

このため換気を行わなければカビの発生やシックハウス症候群を招くリスクが高まるのです。

こうした事態を回避するためには、換気計画がとても重要になります。適正な配置で「24時間換気システム」を活用することによって、快適な環境が実現できます。

自然換気でなく機械換気に頼らなくてはいけない点が、高気密のデメリットでもあるでしょう。

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高気密の住宅に必要な「24時間換気システム」とは?

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高気密住宅には換気扇の設置が義務付けられており「24時間換気システム」が導入されています。

いったいどのようなものなのか詳しくみていきましょう。

24時間換気システムについて

24時間換気システムは、建築基準法が改正された2003年から義務付けられた制度です。

シックハウス症候群の対策が目的であり、1時間で部屋の半分の空気が入れ替わることを目指しています。

シックハウス症候群は、建材から発生するホルムアルデヒドを吸引することで発生する病だとされており、建物の高気密化に合わせて機械換気の必要性が高まりました。

住宅の換気は、本来室内面積の20分の1の面積の開口部を設けて、自然換気によって補うというのが基本的な考えです。

しかし高密度の住宅においては、自然換気を再三行うことで高気密本来の性能が損なわれるために、自然換気を頻繁に行うことを前提としていません。

このため24時間換気システムが果たす役割が非常に重要なのです。

24時間換気システムの種類

24時間換気システムは、給気と換気の方法によって3つの種類に分類されます。

それぞれの換気方式の概要とメリット・デメリット、またどのような場合に向いているかをみていきましょう。

第1種換気

第1種換気は、空気を取り入れる給気と空気を排出する排気をともに機械によって行う方式です。

吸気口からダクトで各部屋に外気を引き込み、また部屋の空気を別のダクトを通じて外部に排出します。

高断熱高気密住宅などでよく用いられている方式です。

第1種換気には、熱交換システムを採用すると大きなメリットがあります。

機械換気全般の弱点は、夏に熱い空気が入り込み、冬に冷たい空気が入り込むという点です。

熱交換システムはこの弊害を解消するシステムです。

夏は室内の冷えた空気を利用して吸気した外気を冷やし、冬には暖まった室内の空気を利用して吸気した冷たい外気を暖めてから室内に入れるのです。

第1種換気デメリットは、換気扇が2つあるので、消費電力が倍増するという点です。

またダクトを伴う大掛かりな換気システムなので、設計や施工の費用が高くなります。

第1種換気に向いているのは、多少費用がかかっても完璧に高気密住宅の性能を発揮したいという場合でしょう。

第2種換気

第2種換気は、外気を換気扇で吸気して自然に排気する方式です。

屋内の空気圧は常に外部に押し出す力が働いているので、各部屋に開いている換気口から自然と押し出されます。

メリットは、常に内部の空気圧が高いので、屋外からの粉塵や汚染物質の流入を多少防いでくれることです。

第2種換気では、機械吸気をすることで外気を強制的に取り込むので、室内にある空気がいつも満杯の状態になります。

これにより自然に空気が外に押し出され、外部の粉塵などを防ぐのです。

ただ外部の温湿度環境をダイレクトに受けてしまうために、梅雨の時期の高温多湿の空気や、冬の冷たく乾燥した空気を室内に取り込むことになります。

このため第2種換気は主にクリーンルームなどに採用されおり、住宅はほとんど使用されません。

第3種換気

第3種換気は、給気口から自然給気をして、換気扇によって排気するものです。

最も安価で一般的な換気方法だといえます。

第2種換気とは真逆の方式であるため、常に外に空気が排出され、室内は負圧状態となります。

外の空気が室内に入り込んでくるので、外開きの玄関戸が重く感じることがあるでしょう。

第3種換気のメリットは、他の換気方法と比べて費用が安価であることです。

逆にデメリットは室内の空気を強制的に室外に排出することで、冬は乾燥した冷たい空気を侵入させてしまい、給気口の周辺では寒さを強く感じることがあることです。

このため換気扇自体を止めてしまう居住者も多く、換気不足になることがあります。

第3種換気に向いているのは、費用をあまりかけたくないという人や、メンテナンスの手間をかけたくないという場合でしょう。

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この記事の監修者プロフィール

【監修者】タクトホームコンサルティングサービス

タクトホームコンサルティングサービス

亀田融

一級建築施工管理技士、宅地建物取引士。東証1部上場企業グループの住宅部門に33年間勤務。13年間の現場監督経験を経て、住宅リフォーム部門の責任者として部分リフォームから大規模リノベーションまで2,000件以上のリフォームに関わる。2015年に退職して現在は、タクトホームコンサルティングサービス代表として、住宅診断を行う傍ら、住宅・リフォーム会社へのコンサルティング活動を行っている。

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