2024年03月28日更新

監修記事

市街化調整区域に家を建てるメリット、デメリットや後悔した点は?

「市街化調整区域とは?」「市街化調整区域に家を建てるメリット・デメリットがわからない」

家の建て替えを検討している方には、上記のような疑問があるのではないでしょうか?
本記事では市街化調整区域の税金や市街化調整区域に家を建てるメリット・デメリットなどを紹介しています。
この記事を読むことで、市街化調整区域に家を建てる際の注意点などを把握することができ、さらに市街化調整区域に家を建てることが自身に適しているかどうかを判断することができます。
市街化調整区域について疑問をお持ちの方は、ぜひチェックしてみてください。

市街化区域と市街化調整区域について

市街化区域と市街化調整区域の違いについてはご存じでしょうか。

ここではそれぞれの特徴について紹介します。

市街化区域

市街化区域とはすでに市街地が形成されている、もしくは10年以内に市街化を図るべきエリアを指し示します。

市街地は商店やビルなどが立ち並んでおり、農地などの自然区域が少ないという特徴があります。

市街化を図ることによって建物が増え、その区域が活性化されます。

この市街化区域であれば、住宅の建築は許可を取ることなく行うことができます。

市街化区域は都市計画法によって分類されている都市計画区域の1つになっています。

市街化区域の特徴として住宅を自由に建てることができ、電気や水道などの生活インフラが整っているため土地の売却も行いやすいです。

市街化調整区域

市街化調整区域には複数の特徴があります。

価格が割安であることや固定資産税等が低いなどが主な特徴です。

住宅の建て替えという観点では、増改築や建て替えに自治体の許可が必要となります。

周辺のインフラ整備が進んでいないこともあり、生活で不都合を感じることもあるでしょう。

上記のような理由から土地の売却が行いにくく、住宅ローンも借りにくいという特徴があります。

市街化調整区域は市街化が進まないように抑えられている区域であり、市街化を行う予定のない区域です。

農地や森林の保全のために開発が進む予定はなく、住宅や学校、商業施設の建築が認められにくい地域です。

市街化調整区域の税金について

上記でも触れましたが、市街化調整区域では税金が安くなるという特徴があります。

ここでは固定資産税と都市計画税について紹介します。

固定資産税

市街化調整区域においては土地の価格が安いため、土地の評価額が低くなるという特徴があります。固定資産税の算出方法は「土地の評価額×1.4%」です。

結果として、土地評価額の低い市街化調整区域では固定資産税が安くなります。

この税金負担が軽減されることによって、生活にも余裕が生まれます。

市街化調整区域にはデメリットも存在しますが、税金が安いというメリットも存在します。

都市計画税

市街化調整区域においては、都市計画税を支払う必要がありません。

この都市計画税とは、その地域に住む人が必要とする道路などのインフラや学校などの施設を整備するための税金です。

市街化調整区域はインフラ整備などが抑制されているケースが多いため、こうした都市計画税を収める必要がないというメリットがあります。

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市街化調整区域に家を建てるメリットは?

市街化調整区域に家を建てるメリットがあります。

ここでは市街化調整区域に家を建てるメリットを紹介します。

土地の価格が安い

市街化調整区域に家を建てることによって得られるメリットには、土地の価格が安いということが挙げられます。

市街化調整区域は都市部から離れており、インフラなどの整備が進んでいないケースが多いことから、土地の価格が安く済んでいます。

市街化調整区域と市街化区域の土地の価格を比較すると、場所によっては市街化区域の7割ほどの価格で土地を購入できることもあります。

土地の価格が安ければ、建物の設備や広い土地を購入することができます。

土地の維持費が安い

市街化調整区域では、土地の維持費用が安いという特徴があります。

上記でも触れましたが、市街化調整区域は土地の評価額が低いため、固定資産税が安く済むという特徴があります。

建物にかかる固定資産税は築年数の経過とともに下がりますが、土地にかかる固定資産税は購入時から変化することが少ないため、土地の評価額の低い市街化調整区域は維持費を抑えることができます。

そのため土地の維持費をあまりかけずに生活したい方には、市街化調整区域がおすすめです。

周辺環境が静か

市街化調整区域は都市開発が進んでおらず、商業施設や人の数も少なく森林などの緑が多いという特徴があります。

これによって周辺環境が静かであるため落ち着いた生活を送ることができます。

緑が多く人の数が少ない落ち着いた環境で過ごしたい方や、子育てしやすい環境に住みたいと考えている方は市街化調整区域を検討してみてはいかがでしょうか。

市街化調整区域に家を建てるデメリットは?

市街化調整区域には費用を抑えられるというメリットがありますが、デメリットも存在します。

ここでは市街化調整区域に家を建てるデメリットを紹介します。

改築や建て替えに許可が必要

市街化調整区域に家を建てることのデメリットとして、改築や建て替えに許可が必要であることがあげられます。

許可がもらえるケースは市街化調整区域に指定される前から土地を所有している、指定される前から親族が住んでいる、20年以上住んでいる親族がいる、築20年以上の中古住宅を建て替えるなどです。

このケースに当てはまっている場合は市街化調整区域でも改築や建て替えを行うことができます。

このケースに当てはまらない場合でも建築可能なケースもあったり、地域によって条件が異なったりしているため、不動産会社に相談しましょう。

インフラ整備が不十分な場合もある

市街化調整区域に家を建てることで、下水道や都市ガスなどのインフラ整備が不十分なことから、生活が不自由になる可能性があります。

市街化調整区域では商業施設などの建築が行われにくいため、都市開発が行われる可能性が低いです。

周辺環境が栄えていないため、買い物も遠くまで行かなければならない可能性があります。

周辺環境が静かであることの裏返しとはなりますが、周辺に商業施設などがある利便性の高い地域に住みたいと考えている方には大きなデメリットになるでしょう。

土地の売却が困難である

市街化調整区域では土地の売却が困難であるデメリットがあります。

これは市街化調整区域のデメリットが大きすぎると感じ、土地を購入する人が少ないためです。

市街化区域地域と比較して市街化調整区域はインフラ整備が進んでおらず、買い手が見つかりにくいため、将来的に転勤などで土地の売却を検討している方は注意が必要です。

また市街化調整区域は住宅ローンを利用することも難しいため、購入時にも注意が必要です。

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どんな基準を満たせば市街化調整区域に家を建てられる?

市街化調整区域に家を建てるためには、条件を満たさなければなりません。

ここでは開発許可を得られるケースを紹介します。

都市計画法第34条の開発許可の基準について

都市計画法第34条では改築や建て替えに関する基準が定められています。

下記にてその詳細について紹介します。

原則的には市街化調整区域での開発行為は許可されませんが、特別要件について紹介します。

都市計画法第34条第11号について

都市計画法第34条11号では以下の通りに定められています。

「市街化区域に隣接し、又は近接し、かつ、自然的社会的諸条件から市街化区域と一体的な日常生活圏を構成していると認められる地域であつておおむね五十以上の建築物(市街化区域内に存するものを含む。)が連たんしている地域のうち、災害の防止その他の事情を考慮して政令で定める基準に従い、都道府県(指定都市等又は事務処理市町村の区域内にあつては、当該指定都市等又は事務処理市町村。以下この号及び次号において同じ。)の条例で指定する土地の区域内において行う開発行為で、予定建築物等の用途が、開発区域及びその周辺の地域における環境の保全上支障があると認められる用途として都道府県の条例で定めるものに該当しないもの」

つまり市街化区域に近い地域で、既に建物が50以上連担しており、環境の保全に支障が出ない建築物である必要があります。

家を建てる地域によって開発許可が出る可能性が変わってくるため、市街化調整区域で家を建てることを検討している方は上記のような地域を選ぶことをおすすめします。

詳しくは不動産会社に相談してみましょう。

都市計画法第34条第12号について

都市計画法第34条12号では以下の通りに定められています。

「開発区域の周辺における市街化を促進するおそれがないと認められ、かつ、市街化区域内において行うことが困難又は著しく不適当と認められる開発行為として、災害の防止その他の事情を考慮して政令で定める基準に従い、都道府県の条例で区域、目的又は予定建築物等の用途を限り定められたもの」

周辺の市街化促進として商業施設などの建設予定がない地域である必要があるということで、この場合住宅として認められるのは分家住宅となっています。

分家住宅とは本家からライフスタイルの変化などによって、分家として必要になる住宅を指します。

もともと親族が市街化調整区域に住んでいる場合などがこのケースに当てはまります。

都市計画法第34条第13号について

都市計画法第34条13号では以下の通りに定められています。

「区域区分に関する都市計画が決定され、又は当該都市計画を変更して市街化調整区域が拡張された際、自己の居住若しくは業務の用に供する建築物を建築し、又は自己の業務の用に供する第一種特定工作物を建設する目的で土地又は土地の利用に関する所有権以外の権利を有していた者で、当該都市計画の決定又は変更の日から起算して六月以内に国土交通省令で定める事項を都道府県知事に届け出たものが、当該目的に従つて、当該土地に関する権利の行使として行う開発行為(政令で定める期間内に行うものに限る。」

都市計画の変更などがなされて拡大した市街化調整区域に自宅が含まれており、届出を行なった場合には改築や建て替えが行えるというものです。

届出については提出する期間が設けられているため注意が必要です。

都市計画法第34条第14号について

都市計画法第34条14号では以下の通りに定められています。

「​​前各号に掲げるもののほか、都道府県知事が開発審査会の議を経て、開発区域の周辺における市街化を促進するおそれがなく、かつ、市街化区域内において行うことが困難又は著しく不適当と認める開発行為」

既存建築物の建て替えや増築など開発区域周辺における市街化の促進をする恐れがないため、認められるケースが多いです。

許可申請の方法について

開発許可の申請については自治体に申請を行う必要があります。

手続きの流れは自治体によって大きな差があるわけではないですが、必要書類や申請する図面などは区域の大きさなどによって異なる可能性があります。

許可申請には事前に調査や準備を行う必要があります。

ここでは計画書や図面などを用意し、その書類を都道府県知事宛に提出します。

この後に書類調査や現地調査を行い、申請が受理された場合には許可がおります。

一般的には申請が受理されるまでには1ヶ月ほどかかります。

実際に許可が下りるまで3ヶ月〜6ヶ月ほどかかることもあるため、なるべく早い段階から申請を行う必要があります。

市街化調整区域に家を建てるのに向いている人は?

市街化調整区域に家を建てるのに向いている特徴などもあります。

ここでは市街化調整区域がおすすめの方の特徴を紹介します。

広い土地に家を建てたい人

広い土地に家を建てたいと考えている方には市街化調整区域がおすすめです。

市街化調整区域は市街化区域と比較すると土地の値段が7割〜8割ほどであるため、土地購入費用を抑えることができます。

そのため広い土地に家を建てることができ、自分の希望通りの住宅にすることができます。

土地の価格は安いですが、広い住宅を建築するとなると建築費用がかかるため、注意が必要です。

価格を重視する人

価格を重視する方には市街化調整住宅がおすすめです。

上記でも触れましたが、市街化調整区域は市街化区域と比較して土地評価額が低いため、土地購入費用を抑えることができます。

土地の購入費用だけでなく、土地の維持費である固定資産税も土地の評価額によって金額が異なるため、費用を抑えることが可能です。

自然豊かな環境が好きな人

自然豊かな環境が好きな人は市街化調整区域がおすすめです。

市街化調整区域は自然環境の保全などを目的に都市開発が行われる可能性も少なく、商業施設なども少なく、人の出入りも少ないため、落ち着いた環境です。

自然豊かな環境で子育てや生活を送りたいと考えている方におすすめです。

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市街化調整区域に家を建てる際の注意点

市街化調整区域に家を建てる際に注意点を知りたいと考えている方もいるでしょう。

ここでは市街化調整住宅に家を建てる際の注意点を紹介します。

インフラ整備が不十分な可能性がある

市街化町区域は住居の建築が想定されておらず、インフラ整備が不十分であるため、生活に必要不可欠な水道や電気などの整備が必要となる可能性があります。

この工事が必要な場合は自己負担で工事を行わなければならないため、大きな出費となってしまいます。

土地の購入費用を抑えられたとしても、インフラ整備で費用がかかってしまい損をしないように事前調査を行いましょう。

対処方法としてプロパンガスや浄化槽などの活用も可能ですが、初期費用や維持費用がかかるため、長期的な視点でどうするかを検討しましょう。

希望している住宅ローンを受けられない可能性がある

市街化調整区域では希望している住宅ローンを受けられない可能性があります。

金融機関が住宅ローンを貸し出す際には、不動産に抵当権を定めます。

これはローンの返済ができなくなった場合に差し押さえるためのものです。

しかし市街化調整区域では不動産の価格も低いため、住宅ローンの担保として成り立たない場合が多いです。

これによって金融機関は不動産の差押を行っても貸した金額を回収できないため、融資をしにくいという特徴があります。

住宅ローンを利用して市街化調整区域に家を建てたいと考えている方は注意が必要です。

既存住宅を先に解体すると再建築できない

市街化調整区域では既存住宅を先に解体してしまうと、再建築ができない可能性があります。

これは都市計画法の見直しにより、建築確認申請が必要となったためです。解体を行う前にも申請が必要です。

自治体によっては住宅を解体していなくとも新規の建築許可が下りない地域があります。

その上で既存住宅を解体してしまうと、再建築がさらに難しくなるため注意が必要です。

市街化調整区域に住宅を建てて後悔した理由は?

市街化調整区域に住宅を建てて後悔した方も中にはいらっしゃいます。

ここでは市街化調整区域に住宅を建てて後悔した方の理由について紹介します。

都市ガスではなくプロパンガスの使用

市街化調整区域ではインフラの整備が遅れているため、都市ガスが使用できないケースが多いです。

これによってプロパンガスの使用を余儀なくされ、結果として光熱費が高くなってしまいます。

プロパンガスは人口密度の低い地域に配達を行うため、その分の人件費や配送料がかかります。

また都市ガスの場合は大人数で費用を分けるため、価格が安くなります。

地域によってはこの金額差がない地域なども存在するため、市街化調整区域を検討している方は地域のガス料金について事前に調査することをおすすめします。

下水道ではなく浄化槽の使用

市街化調整区域ではインフラの整備が遅れているため、下水道に接続し汚水を流せないケースが多いです。

接続可能な場合でも公共下水道管理者の許可を得なければなりません。

接続ができない場合は浄化槽を設置して、浄化槽内で水をきれいにして排水します。

設置する浄化槽の容量や土地の状況によって変動しますが、浄化槽の設置には約80万円〜約140万円かかる他、定期的な清掃や点検が必要であり、必要があれば交換を行わなければならないため、さらに費用がかかります。

駅、学校、スーパー等から遠くて不便

市街化調整区域はインフラ整備が進んでいないことや住宅の建設が予定されていない地域であることから、駅や学校、スーパーなどの施設が遠くて不便という特徴もあります。

人が少なく自然が豊かな落ち着いた環境ではありますが、周辺環境が充実している地域に住みたいと考えている場合には市街化調整区域は適していないかもしれません。

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この記事の監修者プロフィール

【監修者】久田麻里子

2級建築士、インテリアコーディネーター、住環境福祉コーディネーター。ハウスメーカー、リフォーム会社での建築業を幅広く経験。主婦・母親目線で様々なリフォームアドバイスを行う。主な担当は水回り設備リフォーム、内装コーディネート、戸建てリフォームなど。

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