2023年10月31日更新
30坪の家の解体費用の相場を解説!内訳やコストを抑えるポイントも
家の建て替えの際の解体費用は、想像以上に費用がかかってしまうことも多いものです。この記事では30坪の家を例に解体費用の相場・内訳を解説し、費用が高くなってしまうケースや注意点なども紹介していきます。費用を抑えつつスムーズに解体工事を行うのに役立ちます。
家を建て替える際には、解体費用がかかってきます。その際の費用はやはり気になりますよね。
この記事では、解体費用の相場や、解体費用が相場より高くなってしまうケース、そして解体費用を抑えるポイントについて解説していきます。
また、解体工事をスムーズに行えるように、家の解体がどのような流れで行われるのかなどについてもご紹介していきます。
30坪の一軒家にかかる解体費用の相場
ここでは、一般的な30坪2階建ての解体費用の費用相場について、建物の構造別にご紹介していきます。
解体費用の坪単価 | 30坪の解体費用 | |
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木造住宅 | 約3万円〜約5万円 | 約90万円〜約150万円 |
鉄骨造住宅 | 約4万円〜約6万円 | 約120万円〜約180万円 |
鉄筋コンクリート造 | 約5万円〜約8万円 | 約150万円〜約240万円 |
上記では30坪の解体費用の相場についてご紹介しましたが、もちろん広さが広くなるほど解体費用は高くなります。
解体費用の総額を計算する際には、上記の坪単価に延べ床面積を掛け合わせることで求めることが可能です。
延べ床面積は、すべての階の床面積を足し合わせたもので、例えば1階が20坪、2階が20坪の場合の延べ床面積は40坪となります。
解体が容易な木造住宅ほど解体費用は安く、頑丈な鉄筋コンクリートになると解体費用は高くなる傾向にあります。
しかし木造でも、複雑な構造や頑丈な構造を採用している場合には相場よりも費用が高くなるでしょう。
30坪の家の解体費用の内訳
家を解体する際にかかる解体費用の詳しい内訳について見ていきましょう。
仮設工事費
仮設工事費費用相場 | 約500円〜約1000円/1平方メートルあたり |
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仮設工事は、近隣に迷惑をかけずに安全に工事を行うために大切なものです。
工事場所の周辺状況や足場の掛け方、シートの種類などによっても費用は変わってきますが工事費全体の約1割〜約2割を占めています。
仮設工事には、
- 住宅を解体するための足場の設置
- 防音シートなどの設置
- トラックや重機を敷地内に入れるための敷鉄板の設置
- 仮設トイレ、仮設水道、仮設電源などの設置
が含まれています。
解体工事費
仮設工事費費用相場 | 約8000円〜約15000円/1平方メートルあたり |
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解体費用全体の約3割〜約4割を占めるのが、解体工事費です。
解体工事には、大きく分けて、内装解体、屋根解体、外壁除去、基礎解体があり、建物の構造や広さ、立地、地域などによっても費用は変わってきます。
解体工事費の内訳として、人件費や重機のレンタル・リース料金などが大きな割合を占めます。
付帯工事費
付帯工事内容 | 費用の目安 |
---|---|
樹木や庭木の撤去 | 約1万円〜約5万円/1本あたり |
ブロック塀の撤去 | 約3000円〜約5000円/1平方メートルあたり |
門扉や倉庫の撤去 | 約2万円/1個 |
建物の解体以外に、解体や撤去が必要になる場合にかかる費用です。
ブロック塀や樹木、車庫、倉庫、井戸などが代表的な例として挙げられます。
付帯工事費は、工事内容によって金額が決まりますが大掛かりなものになるとその分費用も高額になるでしょう。
廃棄物処分費
廃材の種類 | 費用の目安 |
---|---|
コンクリート | 約5000円〜/1平方メートルあたり |
タイル・ガラス | 約2万5000円〜/1平方メートルあたり |
石膏ボード | 約1万円〜/1平方メートルあたり |
木くず | 約5000円〜/1平方メートルあたり |
運送費用 | 約2万円〜約3万円/1台あたり |
家の解体に伴って発生する廃棄物は、家庭ごみである一般廃棄物とは異なり、産業廃棄物として処分費用を支払う必要があります。
廃棄物処分費は、解体費用全体のうち約4割〜約5割と、大きな割合を占めます。
産業廃棄物を運搬し、中間処理会社が分類し、最終処理場へ運搬するという複雑な工程が必要なため費用は高額です。
整地費用
整地費用費用相場 | 約1000円〜約2000円/1平方メートル |
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整地費用は、解体工事全体のうち約1割を占める費用です。
家を解体した後の土地の整備にかかる費用になります。
地面を平らにならす作業や、地中に埋まっているコンクリートや廃材を確認し撤去する作業などが含まれます。
大きな段差をならす場合や地盤の改良が必要なケースなどでは、費用が高額になる場合もあるので注意が必要です。
諸経費
これまで説明してきた項目以外にかかってくる費用に諸経費があります。
諸経費は解体費用全体の約1割を占める費用になります。
何を諸経費に含むかは業者によって異なってきますが、次のようなものを含むことが多いです。
- 近隣への挨拶に伺う際の粗品の代金
- 工事車両を近隣の駐車場に止める場合の駐車場代
- 各種届出や手続きを行うための費用
- トラブルや追加費用に前もって備える準備費用
首都圏などでは駐車場代が高額になるケースが多いため、見積もりの際などに十分確認しておきましょう。
家の解体工事の流れ
家の解体工事がどのような流れで行われていくのか、それぞれの期間の目安とともに解説していきます。
見積依頼
まずは解体業者に見積もりの依頼を行うところから始まります。
見積もりを依頼する際には、1社のみだけでなく複数社に同じ工事内容で見積もりを出すといいでしょう。
そうすることで、費用相場をつかむことができますし、サービス内容なども比較検討することができます。
現地調査
期間の目安 | 約1時間 |
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現地調査では、業者が実際に現地に赴き、地盤の性質や敷地内の状況、周辺の様子、道路の広さなどの調査を行います。
現地調査を行うことで、より正確な見積もりの提示が可能となります。
現地調査をした結果、契約を結ばない場合には、原則として費用は発生しません。
しかし、特殊な工具を使って調査を行ったり、図面を引いたりする場合には費用が発生することもあります。
解体工事会社決定
見積もりや現地調査、最終的な見積もり内容などを含めて納得することができたら、解体工事会社を決定します。
解体工事会社を決定したら、業者に連絡を入れ契約を結ぶ段階へと進みます。
請負工事契約締結
期間の目安 | 約1時間 |
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契約では、約款部分の説明や、工事内容の確認が行われ、確認を終え次第契約書へ調印を行います。
確認する際には、工事内容が具体的に記載されているか、見積もりの際に提示された代金と相違がないか、どれくらいの期間で工事を終えるのかなどをきちんと確認するようにしましょう。
各種届出書類作成
期間の目安 | 約8日〜約10日 |
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解体工事を始める前に、建設リサイクル法の届出や道路使用許可、騒音・振動に関する届出などの必要な手続きを行います。
建物の面積が80平方メートル以上になる場合は、建設リサイクル法に基づく届出を行う必要があります。
基本的に工事に関する申請手続きは解体業者が行うことになりますが、施主としても適切な形で各種申請が行われているかどうかを確認することが大切です。
近隣挨拶
各種申請などの手続きを進めたら、近隣への挨拶を行っていきます。
解体工事をするにあたっては、騒音や振動、粉塵の飛散や道路の使用など近隣の方へ少なからず迷惑をかけることになります。
トラブルにならないようにするためにも事前に挨拶を行っておくことが大切です。
基本的には解体業者が主導して挨拶を行いますが、できるだけ一緒に回るようにするといいでしょう。
解体工事着手
期間の目安 | 約10日〜約30日 |
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事前準備が終わると解体工事に取り掛かります。
外壁の工事や、足場・養生などが終わり次第、瓦や内装の撤去、分別などを手作業で行います。
手作業によってできる解体が終わったら、重機を使った解体へと移ります。
建物を解体して基礎の撤去を終えると、地中埋設物の確認を行って細かいガラなどの撤去や廃棄物の処分をしていきます。
工事期間は、建物の構造や周りの状況、天候などによっても大きく変動します。
整地・解体工事完了
期間の目安 | 約2日〜約3日 |
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解体工事で掘り起こされた土地を平らにする整地作業を行います。
工事現場を清掃し最終的に綺麗な状態にして、解体工事が完了となります。
建物滅失登記
建物滅失登記とは、建物が存在しなくなったことを、法務局の登記簿に登記する手続きのことです。
建物を解体してから、一ヶ月以内にこの手続きを行う必要があります。
この手続きを行わないと、建築許可が下りない、土地の売却ができない、申請義務を怠ったことにより10万円の過料に処されるなどの可能性があるため忘れずに行いましょう。
解体費用が相場よりも高くなるケース
解体工事をするにあたって、通常よりも費用が高くなってしまうケースについてご紹介していきます。
解体費用は建物の構造以外にも、地域や立地条件などによっても変わってきます。
例えば、住宅密集地域などで解体のための重機が入っていけない場合などは、人力で解体する部分が増えるためその分費用が高額になりがちです。
敷地上に電線が張ってあり重機がぶつかってしまうような立地や傾斜地、旗竿地などの変形立地も同じように高くなることがあります。
また、物価の高い都市部にある家を解体するのと地方の家を解体するのとでは、人件費の影響などからも、都市部の方が高めになります。
そのほかにも、建物以外に取り壊す設備がある場合にはこれに加えて解体費用がかかってくる点には注意が必要です。
道幅が狭く重機が使用できない場合
解体工事では重機を使い建物を取り壊します。
道路の道幅が狭く大型の重機が使用できない場合には、手壊し解体が主流になります。
その分工事も時間がかかり、人件費もかかってくるため、費用総額が高くなる傾向にあるのです。
また、道路が狭く安全に工事を行うためにガードマンの配置が必要な場合なども、その人数に応じた人件費が発生することになるでしょう。
隣の家との距離が近すぎる場合
隣の家との距離が近すぎる場合なども、道幅が狭い場合と同様に、重機を使うことができず費用が高くなる傾向にあります。
また、工事で発生したゴミや廃棄物は大型トラックを利用して搬出します。
住宅が密集しているような地域では、重機だけでなくトラックも入り込むことが難しいです。
そのような場合は、トラックへの詰め込み作業を手作業で行う必要があるため費用が高額になってしまうでしょう。
地中に撤去するものがある場合
建物を解体していると、解体後の地中から以前の解体工事の廃材や場合によっては井戸や浄化槽などが見つかることがあります。
地盤が弱い建物は地中杭が打たれていることもあり、これも地中埋設物の一つです。
地中埋設物が見つかった場合には、基本的に施主の責任で処分しなければなりません。
地中埋設物の撤去費用は工事前の見積もりには載せられないため、発覚した時点で追加費用として加算されることになるでしょう。
建物にアスベストが使われていた場合
アスベストは有害性があるため、現在では使用することが禁止されています。
しかし、古くに建てられた建物などの場合にはアスベストが使用されていることもあります。
その場合には除去に専門的な知識や技術が必要なため、その分費用は高額になるでしょう。
アスベストが使用されている箇所や量によって費用は変動します。
解体業者が重機や足場を持っていない場合
解体業者が重機や足場を持っていない場合には、レンタルすることになるため、その分の費用がかかります。
また、工事の期間が大幅に伸びる場合などもその分レンタル料が高くなる可能性があるため工事前に確認しておくようにしましょう。
解体業者が繁忙期の場合
解体業者の繁忙期に工事を依頼すると費用が高くなる恐れがあります。
解体業者は一般的に12月から3月の年度末にかけてが繁忙期と言われています。
もちろんその年の状況によっても変動しますが、費用を抑えたい場合にはなるべくこの時期を避けて解体工事を行うことをおすすめします。
解体費用を抑えるためのポイント
家の解体費用を抑えるためのポイントについてご紹介していきます。
解体を業者へ直接依頼する
工務店やハウスメーカー経由で解体業者を探してもらうとその分の中間マージンが発生します。
業者探しをハウスメーカーなどに依頼すれば手間を省くことができ、安心感もありますが、その分費用が高くなってしまう点はデメリットです。
費用を少しでも安く抑えたい場合には、自分で解体業者を探すといいでしょう。
工事期間は閑散期を選ぶ
費用が高くなるケースでもご紹介したとおり、解体工事は12月〜3月末が繁忙期となっています。
この繁忙期は通常よりも費用が高くなる傾向にあるため、費用をなるべく抑えたい場合には時期をずらし閑散期を選ぶようにしましょう。
複数の業者に見積もりを依頼する
業者に見積もりを依頼する際には、1社のみだけでなく複数社に同じ内容で見積もりを依頼するようにしましょう。
そうすることで、費用相場をつかむことができると同時に、なるべく安い業者を選ぶことができます。
また、費用だけでなく、その業者のサービスの質や対応の仕方なども比べることができるでしょう。
できる範囲で不用品を処分しておく
解体費用を抑えるために、なるべく不用品などは事前に処分しておくようにしましょう。
不用品や処分しなくてはならない物が多いと、その分業者の人員が必要になり人件費も高くなります。
特に家財道具などがたくさん残っていると費用が高くなる傾向にあります。
リサイクルショップなども活用して、あらかじめ処分を進めておくといいでしょう。
建物滅失登記を自分で申請する
建物滅失登記は、通常法務局に行って申請を行いますが、手間などがかかるため専門家に依頼する方が多いです。
専門家に依頼すると手数料が約4万円〜約5万円かかるため、この手続きを自分で行うことでその分の費用を抑えることができます。
法務局の混雑状況などによっても変わってきますが、書類を提出してから1週間程度で登記完了証が発行されます。
家を解体するときの注意点
家を解体する時に気をつけるべき点について見ていきます。
再建築不可物件ではないか確認する
再建築不可物件とは、現在の家をすべて解体すると二度とその敷地に家を建てることができなくなる不動産物件のことです。
古い建物が密集している地域で、接道義務を満たしていない土地が再建築不可物件になりやすいです。
解体工事を行う前に必ず再建築不可物件でないかどうかの確認を行うようにしましょう。
近隣に解体工事について周知しておく
解体工事を行う際は、近隣に工事について十分な説明や挨拶を行い、協力や理解を得ることが大切です。
きちんと周知しておかないと、苦情が入り、最悪の場合には解体工事が中止になってしまう可能性も考えられます。
解体業者による挨拶は義務ではないため、業者が行わない場合には施主が忘れずに挨拶を行うようにしましょう。
更地のままだと土地の固定資産税が上がる
敷地に建物が立っている場合、固定資産税が軽減されるという特例措置があります。
そのため、建物を解体することでこれまで受けていた固定資産税の特例措置を受けることができなくなり、その分税金が高くなるのです。
固定資産税の課税判断は、毎年1月1日時点で行われます。
その年の1月1日に家屋が建っていれば固定資産税の特例措置を継続して受けることができます。
建て替え・注文住宅に対応する優良な建設会社を見つけるには?
ここまで説明してきた建て替えは、あくまで一例となっています。
実際に建て替えをするべきなのか、リフォームをするべきなのかを検討するためには、プロに現状を相談し、「プランと費用を見比べる」必要があります。
そのときに大事なのが、複数社に見積もりを依頼し、「比較検討」をするということ!
この記事で大体の予想がついた方は次のステップへ行きましょう!
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一生のうちに建て替えをする機会はそこまで多いものではありません。
後悔しない、失敗しない建て替えをするためにも、建設会社選びは慎重に行いましょう!
この記事の監修者プロフィール

atelier comado
岩本 祐子 大学卒業後、建築設計事務所にて主に住宅、公共建築、店舗、マンションの設計に10年以上関わる。
住宅においては、基本設計から監理業務まで一連のフローに携わる。
その後大手インテリア関連企業にて7年間インテリアとリノベーションをメインに業務の幅を広げる。
現在代表をしているatelier comadoでは、インテリアコーディネート、リノベーション、住宅設計をメインに活躍中。
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