2023年11月27日更新
木造の家の寿命は?気になる特徴やメリット・デメリットを徹底解説!
木造の家には、さまざまなメリットとデメリットがあります。それらを理解しないまま木造の家を建てると住み始めてから後悔するかもしれません。この記事では、木造住宅の特徴や家を長持ちさせるコツ、鉄骨住宅との違いなどを紹介しています。木造住宅を建てようと考えている方はぜひチェックしてください。
木造の家について詳しく知りたいとお考えではありませんか?
なんとなく木造の家を選ぶ人も多いかもしれませんが、特徴を知らないままだと住み始めてから後悔するかもしれません。
そこでこの記事では、木造住宅の特徴やメリット・デメリットなどを詳しく解説していきます。
木造住宅を長持ちさせるポイントや鉄骨住宅との違いも紹介しているので、家選びで迷っている人はぜひ参考にしてみてください。
木造の家とは何か知りたい
木造の家とは、その名の通り建物の構造体に木材が使われてる家のことです。
まずは木造の家の特徴を3つご紹介します。
日本では戸建ての9割以上が木造住宅
総務省が実施した「平成30年住宅・土地統計調査」では、日本の戸建て住宅の9割以上が木造住宅という結果になっています。
日本に木造住宅が多い理由として以下の2つがあげられます。
- 日本の気候に合っているため
- 木材が豊富にあったため
木造住宅は断熱性や調湿性に優れているため、気温や湿度が季節によって変化する日本の気候にぴったりといえるでしょう。
季節を問わず過ごしやすいことから多くの日本人に選ばれてきました。
また、日本には昔から木材が豊富にあったことも、家を含めた各種建造物に木造が多い理由の一つです。
木材の種類にもそれぞれ特徴がある
木材と一口に言ってもその種類や特徴はさまざまです。
木の種類により色や木目などが異なるのはもちろん、強度や加工のしやすさなどにも違いがあります。
木造住宅でよく使われる木材とそれぞれの特徴をご紹介します。
【ヒノキ】
特徴:強度と耐水性が高い
価格:やや高価
用途:構造部分、水回りの内装
【ケヤキ】
特徴:とても硬いため傷がつきにくい
価格:高価
用途:構造部分、家具
【スギ】
特徴:空気を含みやすいため調湿性や断熱性が高い
価格:安価
用途:内装、建具
【アカマツ(パイン)】
特徴:柔らかいため加工がしやすい、シロアリに好まれる
価格:やや安価
用途:構造材、建材
【ナラ(オーク)】
特徴:硬く耐久性が高い、耐水性に優れている
価格:並
用途:家具、内装
上記のように木材の種類によって特徴が異なるため、それぞれの特徴を理解したうえで、用途に合わせた木材を選ばなくてはいけません。
木造建築の工法は大きく2種類
木造建築の工法は、在来工法(木造軸組工法)とツーバイフォー工法(木造枠組壁工法)に大別されます。
在来工法は、柱や梁などで構造部分をつくる建築方法です。
間取りやデザインの自由度が高く、デザインを重視したい人に向いています。
ただ、費用が高額になりやすいので、コストを優先したい人には不向きかもしれません。
ツーバイフォー工法は、専用の枠組みに板を接合したパネルを用いて床や壁、天井を組み立てる建築方法です。
柱や梁のような「線」ではなく「面」で構成されている特性上、外からの衝撃を分散させることができるため、耐風性や耐震性に優れています。
しかし、窓の位置や大きさ、間取りなどにさまざまな制約があります。
そのため、開放感のある大きな窓を設置したい人や、個性的な間取りにしたい人にはおすすめできません。
木造住宅の5つのメリット
次に、木造住宅の5つのメリットを解説していきます。
思い描いた設計を叶えやすくリフォームしやすい
木造住宅の魅力は、何といってもデザイン性の高さと間取りの自由さです。
建築方法により異なりますが、在来工法はデザイン性が高く間取りの融通がきくため、理想の設計を叶えやすいといえるでしょう。
また、構造によって制限を受けることがあるものの、木造の家は基本的にリフォームもしやすいとされています。
耐震性が維持できることさえわかれば、壁の撤去や新設も比較的容易に行えます。
鉄筋や鉄骨に比べて建設費用を抑えられる
木造住宅は、鉄筋や鉄骨に比べて建築費用が抑えられます。
国土交通省が実施した建築着工統計調査(2021年度)の結果は以下の通りです。
住宅の種類 | 平均坪単価 |
---|---|
木造 | 約63万円 |
鉄骨造 | 約96万円 |
鉄筋コンクリート造 | 約96万円 |
木造住宅の建築費用が抑えられる理由として、木材の材料費用が安いことと建築にかかる手間が少ないことがあげられます。
耐火性に優れている
木造の家は、鉄骨の家に比べると耐火性に優れています。
木材は燃えやすいイメージがありますが、これは細い木材の場合です。
太さのある木材は燃やしても表面が炭化するため、内部まで火が及びにくく強度は低下しにくいとされています。
一方、鉄骨は燃える可能性は低いものの高温で変形する性質があるため、火災が起きたときに倒壊するリスクが高まります。
断熱性が高い
断熱性の高さも木造の家の魅力のひとつです。
木材は鉄やコンクリートに比べて熱を通しにくく、周囲の温度の影響を受けにくい性質があります。
断熱性が高いと夏や冬の快適性が上がるのはもちろん、結露の発生も抑えられるため、家が劣化しにくくなります。
さらに、冷暖房の効きがよくなるため、光熱費の節約にもつながるでしょう。
湿度の調整や通気性が良く快適に過ごせる
木材には湿度を調整する効果があるため、空気が乾燥しているときは水分を放出し、空気が湿っているときには水分を吸収してくれます。
日本は季節によって湿度が大きく変動するため、調湿効果により快適性が上がるのは大きなメリットでしょう。
また、木造住宅は通気性にも優れているため、湿気がこもりにくく快適に過ごしやすいです。
カビも発生しにくくなるので、家の劣化も抑えられます。
木造住宅の4つデメリット
続いて、木造住宅の4つのデメリットも確認しておきましょう。
鉄筋や鉄骨に比べて耐震性が劣る
木造の家は、素材の強度の違いから鉄骨造や鉄筋コンクリート造の家に比べると耐震性が劣ります。
とはいえ、建築基準法で耐震性の基準が決められているので、著しく低いわけではありません。
また、ツーバイフォー工法は木造建築のなかでも優れた耐震性をもつ建築方法です。
木造住宅にしたいが耐震性が気になるという人には、ツーバイフォー工法をおすすめします。
防音性が低い
木造の家には防音性が低いという特徴があります。
ただ、生活する中で大きな音が出る場面がなかったり、周囲の家としっかり距離がとれていたりする場合は、それほど気にしなくてよいかもしれません。
小さいお子さんがいたり、楽器を演奏したりする場合は、遮音材を入れるなどの防音対策を検討してみるとよいでしょう。
木材ゆえの品質にばらつきがある
木材は天然素材であるため、品質にばらつきがあります。
同じ樹種でも産地によって品質が違ったり、削りだす部分によって木目が一つひとつ異なったりします。
また、木の特性に合わせて加工をする知識や技術が必要となるため、業者によって仕上がりにも差が出る恐れがあります。
そのため、施工実績が豊富で信頼できる業者を選ばなくてはいけません。
害虫被害を受けやすい
木材はシロアリなど害虫に好まれやすい素材です。
シロアリは柱や梁などの木材を食べる害虫で、被害を受けると建物の耐久性が大きく低下します。
また、駆除や補修にも費用がかかるため、シロアリを寄せ付けない対策が必要になります。
具体的には、定期的に床下の点検を行ったり、湿気がたまらないように換気したりするとよいでしょう。
木造住宅の寿命はどのくらい?
木造住宅の平均寿命は約30年~約80年とされていますが、メンテナンスの有無や暮らし方によって大きく異なります。
なお、寿命とよく似た言葉に「法定耐用年数」というものがあり、木造住宅では22年と定められています。
これは固定資産税など主に税金の算定に必要となるだけで、実際の寿命とは関係がありません。
以下では、木造住宅を長持ちさせるポイントをご紹介します。
木造住宅に長く住み続けるにはメンテナンスが重要
木造住宅に長く住み続けるには、構造体である木材を腐食させないことが大切です。
さらに、木材の腐食を防ぐためには、メンテナンスが重要となります。
木造住宅のメンテナンスの注意点は以下の3つです。
水回り、雨どいなどのこまめな清掃
水回りや雨どいは劣化の原因となりやすいため、こまめな清掃が必要です。
排水管が詰まると湿気がこもり、木材が腐食しやすくなります。
パイプ洗浄剤などを活用しながら、排水管が詰まった状態が続かないように気をつけましょう。
また、雨どいは軒下や外壁に沿って設置されている雨水を排水するための設備です。
外気にさらされているため、泥や落ち葉などで汚れやすくなっています。
雨どいの詰まりを放置すると外壁から内部に雨水が入りこみ、雨漏りしたりシロアリが発生したりするリスクが高まります。
定期的な手入れが必要ではあるものの、高所での作業は危険が伴うので、業者に依頼するのがおすすめです。
専門業者に点検を依頼する
家を長持ちさせたいときは、リフォーム専門業者などに点検を依頼しましょう。
プロに点検してもらうことで、素人の目では気付けないような劣化や異常に早く気付くことができます。
とくに、自分では確認しにくい外壁や屋根、床下などは放置し続けると雨漏りの原因となったり、シロアリが住みついたりしやすいため、定期的な点検が欠かせません。
また、自分でもわかるほどの明らかな異常が見られるときは、すでに劣化が進行している可能性が高いです。
劣化が進むと耐久性が低下してしまい、家の寿命を縮めることにもなりかねません。
劣化が広範囲になるほど補修費用もかさむため、早期に発見して対処しておくことが大切です。
定期的にリフォームやメンテナンスを行なう
家を長持ちさせるために、定期的なリフォームとメンテナンスを行いましょう。
どれだけ丁寧に暮らしていても、建物や住宅設備の経年劣化は避けられません。
しかし、リフォームすることで、新しくよみがえらせることができます。
また、定期的にメンテナンスを行えば、異常に早く気付けるため、建物の劣化防止につながります。
木造住宅の耐震性について
木造住宅は、鉄骨造や鉄筋コンクリート造の住宅と比べると耐震性が低いとされています。
木造住宅の耐震性を高めるポイントや耐震性の指標となる耐震等級について解説します。
地盤の強さも重要なチェックポイント
耐震性は建物の構造だけでなく、地盤の強さにも影響されます。
地盤が弱いと地震が起きたときに倒壊するリスクが高まります。
建築する前に地盤調査をして、必要であれば地盤の補強工事を行っておきましょう。
耐震等級について
耐震等級は建物の耐震性を表す指標です。
建築基準法で以下のように基準が定められています。
- 耐震等級1: 建築基準法で定められている最低限の耐震性能をもつ建物
- 耐震等級2:耐震等級1の1.25倍の地震に耐えられる性能をもつ建物
- 耐震等級3:耐震等級1の1.5倍の地震に耐えられる耐震性をもつ建物
建築基準法では、震度6強~震度7に相当する数百年に一度の大地震に耐えられる性能をもった家を建てるよう定めています。
そのため、耐震等級1の家でも大地震の際に倒壊する可能性は低いとされています。
ただ、耐震等級1の家は大地震で倒壊しないにしても何かしらのダメージを負うことが想定されるため、補修工事が必要になる可能性があります。
耐震等級2の家は学校や病院などの公共施設と同等、耐震等級3の家になると消防署などの防災拠点と同等の耐震性をもつとされています。
木造住宅は耐震性が低いと思われがちですが、ハウスメーカーによっては木造住宅でも耐震等級3が標準仕様となっているところもあります。
耐震性に優れた家を建てたい人は、ハウスメーカーの耐震等級をチェックしておきましょう。
木造住宅と鉄骨住宅との比較
木造住宅と鉄骨住宅では、それぞれにメリットとデメリットがあるため、どちらを選べばいいのか迷う方も少なくないでしょう。
木造住宅と鉄骨住宅の特徴を比較していきます。
建物の種類 | 木造住宅 | 鉄骨住宅 |
---|---|---|
間取りの広さ | 制限がある | 広い間取りも可能 |
耐用年数 | 約30年~約80年 | 約30年~約60年 |
気密性 | 〇 | △ |
建築費用 | 約63万円/1坪あたり | 約96万円/1坪あたり |
耐震性 | 〇 | ◎ |
上記の表より、気密性などの省エネ性やコストを重視したい人には木造住宅がおすすめです。
一方、広くて開放感のある間取りにしたい人や耐震性を優先したい人には鉄骨住宅が向いています。
鉄骨住宅のメリット・デメリット
鉄骨住宅は、構造体に鉄骨が使われている住宅です。
鉄骨住宅のメリットとデメリットを3つずつご紹介します。
【鉄骨住宅のメリット】
- 間取りの自由度が高い
- 害虫が付きにくい
- 施工技術の違いによる仕上がりの差が小さい
【鉄骨住宅のデメリット】
- 建築費用が高い
- 耐火性が低い
- 鉄骨がさびるリスクがある
鉄骨住宅は、木造住宅と違いシロアリの被害を受ける心配はほぼありませんが、鉄骨がさびて劣化するリスクがあります。
また、鉄骨住宅の材料は工場で加工されるため、施工技術による差がでにくいというメリットもあります。
そのほかにも、鉄骨住宅ならではのメリットとデメリットがあるので、木造住宅と比較しながら検討するとよいでしょう。
まとめ
この記事では、木造の家について解説しました。
住み始めてから後悔しないように、事前に木造住宅について理解を深めた上で選ぶことが大切です。
なかなか決めきれないという人は、まずはどんな家に住みたいのかを明確にし、優先順位を決めると選びやすくなるでしょう。
建て替え・注文住宅に対応する優良な建設会社を見つけるには?
ここまで説明してきた建て替えは、あくまで一例となっています。
注文住宅の設計プランや費用は、施工店によって大きく異なることがあります。
そのときに大事なのが、複数社に見積もりを依頼し、「比較検討」をするということ!
実際に注文住宅を建てるには時間がかかるので、この記事で大体の予想がついた方は早めに次のステップへ進みましょう!
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一生のうちに注文住宅を建てる機会はそこまで多いものではありません。
後悔しない、失敗しない建て替えをするためにも、建設会社選びは慎重に行いましょう!
この記事の監修者プロフィール
2級建築士、インテリアコーディネーター、住環境福祉コーディネーター。ハウスメーカー、リフォーム会社での建築業を幅広く経験。主婦・母親目線で様々なリフォームアドバイスを行う。主な担当は水回り設備リフォーム、内装コーディネート、戸建てリフォームなど。
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