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2022年02月02日更新
タワーマンションの修繕費用と、大規模修繕工事について
今や都会の景観として定着してきたタワーマンションですが、修繕費用の問題が話題になっています。タワーマンションは修繕費用を積み立てていますが、必要な工事費まで集められないケースもあるのです。タワーマンションの修繕費が抱える問題と仕組みについてみていきましょう。
目次
タワーマンションの「管理費」と「修繕費」は何が違うのか
「タワーマンション」の定義とは?
タワマンとも呼ばれる「タワーマンション」とは、どのような建物のことを指すのでしょうか。
実は、タワーマンションの明確な定義は定められていません。
建築基準法では、高さ60m以上の建物を超高層ビルと定めていることなどから、一般的には、高さ60mに相当する20階建てを超えるような高さを持つマンションが、タワーマンションと呼ばれています。
「管理費」と「修繕費」はどう違う?
マンションに住む場合、家賃の他に徴収される費用として「管理費」や「修繕費」が挙げられます。一見似ているように思えるこの費用ですが、何が違うのでしょうか?
タワーマンションだけに限らず、マンションのスペースは、区分所有者が独占的に使用できる専有部分と、全体で共有する共用部分に分かれます。共有分の例としては、エントランスやホール、エレベーター、階段、廊下などが挙げられます。
この共用部分の管理は、通常、管理組合から委託を受けた管理会社や管理人が担当し、設備や施設の点検、清掃、ランプ交換などの簡易な修繕、居住者との連絡などを行います。このような管理に必要な費用が「管理費」と呼ばれるものです。
一方で、修繕費」とは、中長期的に生じる経年劣化に対して、定期的にメンテナンスや修繕を行うための費用です。このため、管理費とは別に「修繕積立金」として修繕費を徴収されることになります。
つまり、管理費は、日常的な維持管理のために使われる費用であり、修繕費は中長期的なマンションの維持管理のために積み立てて利用されるという、違いがあります。
超高層ビルは、非常用エレベーターやヘリポートの設置など、地震や火災など防災設備を設置する義務があります。そのため、通常のマンションなどに比べて管理費や修繕費が高額になる傾向があります。
タワーマンションが抱える修繕費用問題とは?
今、タワーマンションは、修繕費用の問題を抱えています。どうやら基本的な修繕費用の積立金が不足しているケースが多いようなのです。
積立金が不足する原因として考えられるのは、そもそも工事費用の見積もりが甘いケースです。
従来型のマンションの場合、外壁補修の比率が高かったのですが、タワーマンションではエレベーターやスプリンクラーなどの設備のメンテナンス費用の比率が高くなっています。
その費用を見落としや、適切な費用の見積もりが甘かったことによって修繕費が不足する事例があるのです。タワーマンションの歴史がまだ浅いために、専門家の経験値が生かせないことが要因のひとつとして考えられます。
また、タワーマンションは投資家の所有者が多いのが特徴ですが、文化の違う海外の投資家の場合、管理費や積立補修金の制度に理解を示すことがなく、支払いを拒むケースもあるようです。
そして根本的な原因として、修繕積立金の積み立て方法の問題もあるのです。どのような問題があるのか、次の項で詳しくみていきましょう。
タワーマンションの修繕費用積立方法
タワーマンションの修繕費用積立方法には「階段増額式」と「均等積立方式」があります。それぞれどのような特徴があるのでしょうか。
階段増額方式
階段増額方式は、最初に低めの積立金を設定して、数年後から定期的に積立金額を増額する方法です。
増額の際には、総会で決議にかけ、過半数の賛成を得る必要があります。階段増額方式の場合、当初の積立金額が低く設定されているため、途中段階で合意に至らない場合は、大幅に積立金が不足する事態が発生します。
このため階段増額方式では、予め修繕費用の積立計画を示しておき、当初の計画通りに積立費を上げていくプロセスを踏むことが重要です。
均等積立方式
均等積立方式は、計画期間中に必要とされる修繕費用を均等に徴収する方式です。このため毎月の修繕積立金は、期間中変わることがありません。
階段増額方式においては、増額の提案が総会で否決されたり、そもそも総会が開催されなかったりするケースもあり、値上げできないまま費用が不足してしまうリスクがあります。
その点、均等積立式であれば、当初の積立金の見立てに誤りがない限り、予定の金額を集められる安心感があります。
そうしたことから、2011年4月に国土交通省から示された「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」では、均等積立方式が望ましいとされています。
だからといって、階段増額方式を途中で均等積立方式に切り替えるのは、現実的には困難なようです。途中で均等積立方式に変えようとしたのに、大幅な増額になるため同意が得られなかったという実例があります。
一方で、築4~5年時点で積立方式を切り替えられたタワーマンションの事例もあります。こちらは増額金が低かったために住民に受け入れやすく、結果として均等積立方式に切り替えられたのです。
タワーマンションの修繕費用として徴収される可能性がある「一時金」とは
これまで見てきたように修繕費を徴収する方法には、「均等積立方式」と「段階増額積立方式」がありますが、修繕工事の際には「一時金」が徴収されるケースもあります。
月々の積立金を低く抑える代わりに、修繕工事が必要となった場合にまとまった金額を徴収するというものです。
一時金を徴収するかどうかは積立金の過不足の程度などをもとに、居住者と管理組合との話し合いで決められるのが一般的で、その決定方法や徴収金額などは管理組合ごとに異なります。
タワーマンションの修繕費が高くなる理由
タワーマンションは入居者数も多く、修繕費を均等割りすれば、従来型のマンションと大差はでないようにも思えますが、どうして修繕費が高くなってしまうのでしょうか。
設備費用
その理由のひとつが、設備関係の高額な費用にあります。
タワーマンションの特徴として、エレベーター・ポンプ・給排水管などの設備は、従来の規模のものが使用できません。特別に大型の機種を採用する必要があるのです。
近年は地震などの災害に備えて、自家発電機を設置することもあります。自家発電機の相場は1台3000万~4000万円で、交換サイクルは20~30年です。
また交換の際には、特注品となり高性能なものが必要となるため、さらに費用が増します。
さらに大きな機械を効率よく安全に機能するよう維持するためには点検を含む定期的なメンテナンス費も必要です。
大規模な工事
外壁補修の際に、高層部分については外部足場を組むことができません。そのため、外部足場と共にリフトクライマーやゴンドラなど異なった手段が必要になります。
そのため工期も長引くことから、従来型マンションの外壁補修に比べて費用が高くなるのです。
タワーマンションで行われる修繕の種類と費用相場
タワーマンションの修繕工事は、一般的なマンションに比べ非常に高額になります。ここからは、タワーマンションで行われることの多い修繕の種類と費用の相場について見ていきましょう。
外壁関連工事
外壁関連の工事としては、ひび割れや目地の間に充填されているシーリングの補修、外壁タイルの張替え、外壁塗装などが行われます。
費用の相場は、ひび割れ補修が1カ所あたり約1~3万円程、シーリングの補修が1平方メートルあたり約1,000円、タイルの張替えは1枚約500円、外壁塗装は1平方メートルあたり約3,000~5,000円程度です。
また、タワーマンションの大規模修繕工事では、作業の前に足場などの設置を行う「仮設工事」が行われます。一般的なマンションなら枠組足場を組みますが、地上60m以上にもなる高所ではゴンドラ足場や移動昇降式足場を使用します。
「枠組足場」とは、鉄材を地上から組み立てて作る足場のことを言いますが、タワーマンションの場合、足場の設置に長期間かかってしまうだけでなく、強風の影響を受けやすいため事故につながる危険も高くなります。
このため、高所の場合は屋上から電動昇降式のゴンドラを吊り下げる「ゴンドラ足場」や、建物にレールを取り付けて昇降を行う移動昇降式足場が使用されます。この方法であれば、仮設工事や養生シートの設置期間の短縮ができ、強風の影響による作業員や工具の落下を防ぐこともできます。
また、養生シートはゴンドラ周囲だけ設置すればよく、建物全体をシートやネットで覆う必要がありません。駐車場や洗濯物干し場の確保、不審者の侵入などの心配も軽減されるメリットがあります。
ゴンドラ足場の設置費用の相場は1台当たり約3~5万円、ゴンドラのレンタル費用の相場は1台当たり約2~3万円です。
防水工事
防水工事は、屋上に施される場合と、ベランダやバルコニーに施される場合とがありますが、それぞれ工法が異なります。
屋上防水は「ウレタン防水」や「シート防水」、「アスファルト防水」などの工法で行われるのが一般的です。
1平方メートルあたりの費用相場は、ウレタン防水の場合で約4,000~6,000円、シート防水の場合で約3,000~6,500円、アスファルト防水の場合は約5,000~8,000円です。
アスファルト防水は価格が高い反面、耐用年数が長いことが特徴です。これに対して、ウレタン防水とシート防水は、価格は低く抑えられるものの、10年程度の耐用年数しかありません。
一方、ベランダやバルコニーの防水工事は、「床面FRP防水」か「ウレタン防水」などの工法で行われます。
費用の相場は、床面FRP防水の場合で約6,000~9,000円、ウレタン防水の場合で約4,000~6,000円です。
玄関ドアの補修
マンションの玄関ドアは、外側は共用部分、内側は専有部分です。補修の際には傷み具合によって塗装修復もしくは交換が行われます。
鉄部のサビや表面の色あせ程度なら、塗装での補修が可能です。費用の相場は鉄部の塗装で1平方メートル当たり約1,000~3,000円、ドア表面の塗装では1戸当たり約3~8万円です。
ドアの傷みが激しく、交換が必要な場合の費用は、1戸当たり約20~35万円が相場ですが、ドア付帯部の補修も必要な場合には、約5,000円~10万円を目処に加算されます。
エレベーターの修復
エレベーターの補修では、扉や内部、機器設備などに対して工事が行われ、その部位によって補修費用が異なります。
扉の補修費用は、1枚当たり約2~3万円です。内部は壁と天井・床で構成されますが、補修する範囲によって費用に幅があり、1台当たり約15~70万円が相場です。
機器設備の補修費用の相場は1台当たり約80~90万円ですが、階数表示機能や耐震装置などの制御装置を交換すると、追加で約10~20万円かかるでしょう。
エントランスの修復
エントランスは、マンションスペースの中で最も利用頻度が高く、傷みも目立ちやすい場所です。大規模な修繕の際だけではなく、日常的なメンテナンスも求められます。
補修費用は、内装クリーニングが1平方メートルあたり約300~600円、鉄部の防錆塗装が約1,000~3,000円、LED照明交換が1カ所あたり約6,000円、ポスト交換が1戸当たり約1万円です。
なお、内装をリフォームする場合は、リフォームの内容に応じて費用が異なります。
大規模修繕工事を行うには
それでは、タワーマンションの大規模修繕工事を行う場合、どのような流れで進めていけばいいのでしょうか。順を追ってみていきましょう。
- (1)コンサルタント会社の選定
一般的にマンションの修繕は12年~15年サイクルで行われることが多いことから、この周期に合わせて、管理組合がコンサルタント会社を選定します。コンサルタント会社は、基本的に建築士が所属する会社です。
- (2)コンサルタントに建物診断を依頼
- (3)コンサルタント会社による建物診断の実施
- (4)建物診断の結果、大規模改修が必要と判断された場合は修繕委員会を設置
修繕委員会を設置せずに管理組合理事会がそのまま運営することもあります。
- (5)大規模修繕の範囲を決定
- (6)複数の施工会社に見積と工事計画を依頼
タワーマンションの大規模修繕の場合、金額だけでなく、実際にどういったプランで工事を進めていくのかを把握する必要があります。
コンサルタント会社の助言を受けながら、現実的に施工できるのかという点と、入居住民に対する影響度合いを判断します。
- (7)施工会社の決定
- (8)実際の工事施工方法と費用、工期を決定
- (9)住民向けに説明会の実施
- (10)住民の合意形成を図る
基本的に住民全員の合意をとる必要があります。
- (11)管理組合総会で大規模修繕工事実施の決議
- (12)大規模修繕工事の実施
大規模修繕工事の全体の工期は1年前後から、場合によっては2年近くかかることもあります。ただし全体を一度に工事するわけではないので、各住戸のベランダ先への影響は、2カ月~6カ月になります。
- (12)大規模修繕工事の完了を確認
基本的には足場解体前に実施するので、工区が分かれている場合は、工区ごとに分けて何度も実施することになります。
- (13)大規模修繕工事の完了
建物診断から大規模修繕工事の完了まで、コンサルタント会社の助言をもとに進めることになります。このためコンサルタント会社の選定が最も重要だといえます。
コンサルタント会社は、単に請負費用だけで選択するのではなく、これまでの実績や評判などを基準にして選択しましょう。
また、コンサルタント会社や大規模修繕工事を請負う施工会社は、当該タワーマンション新築工事に関わった会社を選ぶ必要はありません。客観的な目で公平に選択しましょう。
タワーマンションの修繕周期と費用を抑える方法とは
一般的にタワーマンションの大規模修繕は、12年程度に一度とされています。
ただし、大規模修繕の周期や内容は、建築物や設備の劣化の進み具合によって異なるため、一様ではありません。大修繕周期を見極めるためには、定期的に建物診断を行い、劣化の度合いを正確に把握することが重要です。
しかし、先ほどから見てきているようにタワーマンションの修繕工事には多くの費用がかかります。この費用を抑える方法はあるのでしょうか?
タワーマンションの修繕費用工事を抑える方法としてまず挙げられるのは、工事を依頼する業者を変えるというものです。
一般的にタワーマンションの修繕工事は建設した会社に依頼します。しかし、タワーマンションは大手建設会社が施工していることが多く、この場合、修繕を依頼したとしても下請けの業者が実際の工事を行うことになります。
そうなると、中間マージンが発生して費用が高くなるという可能性があるのです。
このため、施工業者を変えて中間マージンを省くことで修繕費用を抑えることができるのです。コンサルタント業者に依頼して修繕工事業者を選定するようにすれば、中間マージンを省くことができるでしょう。
また、必要な時に必要な箇所のみ修繕することで費用を抑えることも可能です。マンション管理士やコンサルティング業者など専門家に相談して、建物診断を実施することで、適切な修繕の時期や費用、効率の良い修繕方法を探ることができます。
さらに、修繕費の不足分を借入で補う場合などに、低金利のローンを利用することで費用を抑えるという方法もあります。
マンション共用部分に行われる工事や、管理組合を対象としているローン商品もあります。高額な一時金が必要な場合などには、より低金利のローンを利用をするようにすると費用を抑えられるでしょう。
まとめ
ここまでタワーマンションの修繕に関する説明をしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
タワーマンションは、修繕費用が高くなることから、しっかりとした修繕計画を立てて修繕積立金を管理してくことが必要です。
また大規模修繕工事については、タワーマンションの住民の合意形成が必要となるため、管理組合によるこまめな説明会など、住民への理解を深める対応が大切です。
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ここまで説明してきたリフォームは、あくまで一例となっています。
「費用・工事方法」は物件やリフォーム会社によって「大きく異なる」ことがあります。
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この記事の監修者プロフィール

株式会社フレッシュハウス
樋田明夫フレッシュハウスでリフォームの営業担当を長年経験し、数々のリフォームコンテストでの受賞実績を持つ。現在はフレッシュハウス本社における営業戦略室の室長として、大規模リフォームから通常のリフォーム物件まで幅広く対応中。

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