2024年02月06日更新

監修記事

建物を増築したら固定資産税は?上がる!?

さまざまな目的で住宅の増築を検討することがあるでしょう。ただし、増築によって固定資産税が上がることがあります。安心して増築工事の計画を立てることができるよう、増築によってどの程度固定資産税の金額に影響があるか実例を交えながら解説します。

住宅の増築で固定資産税はどうなる?

家族の人数が増えたり、家の中に物が増えることによって、より広い居住スペースが必要となったときに、住宅の増築を検討することもあるでしょう。

しかし、増築をすることで固定資産税に影響はあるのでしょうか?詳しく見ていきましょう。

増築すると基本的には固定資産税額が上がる

「増築」とは住宅の床面積の増加を伴う工事のことをいい、増築するということは基本的に固定資産が増えるということになります。

そのため、住宅を増築すると床面積の大小に関わらず、課税される固定資産税は増加すると考えておきましょう。

この住宅に課税される固定資産税は、新築住宅に対して一定の割合で税額が減額される軽減措置が定められています。

減額の対象となるのは居住用部分に対してのみであり、床面積のうち120平方メートルまでの範囲が減額の対象です。

具体的には、戸建住宅であれば3年間、マンション等の集合住宅であれば5年間分の固定資産税が2分の1に減額されます。

固定資産税の軽減措置期間内に住宅を増築した場合は?

では、築年数が短く固定資産税の軽減措置が適用されている期間内に住宅を増築した場合、課税上はどのような扱いとなるのでしょうか。

家屋の評価は自治体によって毎年行われ、1月1日時点の状態で評価額が算出されて税額が決定されます。

そのため、新築住宅として軽減措置が適用されている期間中に増築した場合は、翌年以降の固定資産税に影響がある、ということになります。

軽減措置の適用期間が余っていれば増築分も対象となりますが、全床面積のうち120平方メートルを超える部分は軽減措置の対象とならないため注意しましょう。

増築工事で固定資産税の金額はどれくらい変わるのか?

それでは増築によって固定資産税の金額はどの程度変わるのでしょうか。

そもそも家屋に課税される固定資産税額の金額は、家屋調査によって評価された家屋の評価額を基に算出されます。

本来の固定資産税額の算出方法は、建築物の評価額に1.4%を乗じて求められた額です。

対象となる家屋に新築住宅の軽減措置が適用される場合は、本来の固定資産税額から120平方メートルに相当する分の税額が軽減されます。

固定資産税額の計算例

ここからは、具体的な数字で計算しながら見ていきましょう。

たとえば、木造の戸建て住宅で用途が専用住宅、課税床面積が130平方メートル、評価額が1,200万円の家屋があるとします。

この場合、本来の税額は1,200万円×1.4%=168,000円です。

さらに、この住宅が新築住宅で軽減措置が適用される場合、120平方メートル相当分が減額されます。

まずは120平方メートル相当分の税額を計算しましょう。

168,000円×120平方メートル/130平方メートル=155,076円となります。

軽減措置の適用がある場合はこのうち2分の1が減額されるため、減額分を算出します。

155,076円/2=77,538円

したがって、この住宅の固定資産税は168,000円-77,538円=90,462円となります。

増築面積や構造によっても固定資産税額は異なる

さて、増築工事で固定資産税の金額がどれくらい変わるのかということについてですが、増築面積や構造によって上がる金額は異なります。

仮に既存の住宅を二世帯住宅に変更するような大規模な増築工事を行う場合は固定資産税も大幅に上がる可能性があります。

単純に考えて、上で例に挙げたような規模の増築を行うのであれば固定資産税の増額分は10万円を超えることもあるでしょう。

しかし、サンルームの追加や屋根や壁付きのウッドデッキを追加する程度であれば、年間あたり約数千円~約2万円程度で済むと考えられます。

家屋の固定資産税額は、家屋調査によって求められる評価額を基に算出されるため、住宅の増築をした場合は調査を受ける必要があります。

住宅の増築工事をした場合は、お住まいの市町村役場への連絡を忘れないようにしましょう。

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サンルームやウッドデッキの増築も固定資産税の対象?

サンルームやウッドデッキを作るために増築工事を検討するケースもあるでしょう。しかし、これらの設備が固定資産税の対象となるのでしょうか。

増築するサンルームやウッドデッキが固定資産税の課税対象となるかどうかを知るためには、まずは固定資産税の対象となる建築物とは何かについて知る必要があります。

固定資産税の対象となる建築物とは?

固定資産税の課税対象となる建築物とは、不動産登記法の建築物と同じものを指します。

不動産登記規則第111条では建物について次のように定義しています。

「建物は、屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるものでなければならない」

つまりどういうことかというと、外気分断性、定着性、用途性の3つの要件を満たしていれば建物と見なされ、固定資産税の課税対象となるということです。

3つの要件について簡単にご説明します。

まず「外気分断性」とは、3方向以上が壁や窓、ガラスなどで囲まれており、天井があって外気と分断されていることを言います。

次に「定着性」とは、基礎などで地面に固定されており、容易に移動できないことを言います。

そのため、セメントレンガなどの上にただ柱を乗せているだけのようなものであれば定着性があるとは言えません。

最後に「用途性」とは、目的に応じた利用ができる状態のものであることを言います。

増築するサンルームやウッドデッキが固定資産税の課税対象であるかどうかは、上記の要件全てに該当するかどうかで判断します。

構造によってはサンルームやウッドデッキも対象に

サンルームのように屋根があり、3方向以上をガラスで囲まれているような場合は課税対象となるケースが多いでしょう。

しかし、壁や屋根のないウッドデッキを増築しただけでは固定資産税の課税対象とはなりません。

そのため、同じサンルームやウッドデッキであっても、増築する設備の構造によっては課税対象となることもあれば、ならないこともあるのです。

もし課税対象となる設備を増築する場合、固定資産税の課税対象となるだけでなく建物表題変更登記も必要となります。

また、増築面積によっては建築確認申請の提出が必要になるケースもあります。

増築を行う場合はどのような申請が必要となるかは、お住まいの市町村役場へ確認しましょう。

住宅を増築した場合の固定資産税は軽減できるの?

住宅を増築すると固定資産税が上がってしまいますが、その固定資産税を軽減することはできるのでしょうか。

現在、2022年3月31日までに建てられた新築住宅について、固定資産税の軽減措置が適用されています。新築一戸建て住宅では3年間は1/2に、新築マンションであれば5年間は1/2に減額されます。

さらに、新築の長期優良住宅の場合は5年間は1/2に、新築マンションなら7年間にわたり1/2に減額されることとなっています。

しかし、新築住宅で軽減措置の適用を受けるためには条件があります。

居住部分の床面積が50平方メートル以上280平方メートル以下でなければなりません。ただし、貸家住宅の場合は、40平方メートル以上280平方メートル以下となります。

さらに、事業所などを併設した併用住宅であれば、居住部分の割合が総床面積の1/2以上あることが条件となり、居住部分の床面積のうち120平方メートルまでの部分が対象となります。

この固定資産税の軽減措置を受けるためには、増築した分を含めた総床面積が、条件の適用範囲内である280平方メートル以下におさめておかなければなりません。

この要件を満たせば、木造の一戸建て住宅なら、住宅部分は3年間、増築部分は3年から増築までの年数を引いた残りの年数分で、軽減措置がとられることになります。

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住宅増築で固定資産税の調査はある?

各市町村では、住宅を新築や増築した場合に、その建物の評価額を決めるために担当職員が家屋調査を行っています。

建物の完成確認後、手紙または電話により訪問日時の連絡があり調査が行われます。通常、訪問予定日の10日~2週間前に連絡がありますが、都合が付かない場合は日程を調整してもらえます。

調査の際は、原則、担当職員が直接、屋根や外壁など建物の外部、天井や壁、床などの資材、電気や給排水設備などを確認します。

その調査結果を基に、総務大臣が定める固定資産評価基準に従って、評価額が算出されます。

市町村によっては、この家屋調査を拒否できる場合があります。

しかし、拒否した場合、調査なしに評価額を算出することになるため、担当職員が直接確認できないというところから、実際の評価額とは誤差が生じてしまう可能性があります。

誤差が出た場合、総じて算出した評価額が高くなる傾向にあります。実際よりも高い税金を納めたくないのであれば、家屋調査はできるだけ受けるようにしておきましょう。

住宅増築をおこなった際の申請はするべき?

住宅を増築する場合には、市町村役場などに申請が必要なのでしょうか。実は、確認申請の必要があるかどうかについては、建築基準法において明確に定められているのです。

小規模なリフォームの場合であれば、確認申請が不要となるケースがありますが、増築の場合は、基本的に建築確認申請が必要になります。

この確認申請は、増築をする場合、その建物が法令違反していないか確認するために行うものです。

ただし、準防火・防火地域以外の土地において、床面積が10平方メートル以下の増築を行う場合は確認申請は不要です。

一般的に、都市部などの建物密集地においては、火災による延焼を防止する措置として防火地域を指定しています。

住宅が密集している地域で増築をすると、隣家との距離が狭くなってしまうため、火災が発生した場合に延焼してしまう可能性が高くなります。そのため、準防火・防火地域に指定された地域では、増築時には確認申請が必要となっているのです。

その一方、準防火・防火地域に指定されてない地域では、10平方メートル超える増築を行う場合にのみ、確認申請が必要とされています。

確認申請は、工事の着工前に市町村役場もしくは民間の審査機関に行うようにしてください。

申請が必要なのに申請を行わずに工事をしたり、法令を守らなかった場合には、行政から指導が入ることになり、最悪の場合建物が取り壊されてしまうケースもあります。

心配であれば、専門家や工事業者などにしっかり確認しておくようにしましょう。

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住宅増築で固定資産税がかからないケースはある?

住宅の増築をした場合に、固定資産税がかからないケースはあるのでしょうか。

実際には、増築により住宅の床面積が増えた場合、基本的に増築前よりも固定資産税が上がってしまう可能性は高くなります。

その理由は、建物の評価額の計算方法にあります。

建物の評価額は、その建物を構成する屋根、外壁、基礎、天井、壁などの建築素材や、建物の構造や用途などを考慮して定められた再建築費評点数を計算して、その点数に建物の経過年数を乗じて算出しているのです。この評点数は、各市町村で決定しています。

増築により建物の構造を変えたりすればもちろんのこと、床面積が増えればその分新しい資材を使うことになるため、増築の大小にかかわらず、固定資産税が上がることになってしまいます。

住宅増築での固定資産税が未納だとどうなるの?

住宅を増築した分の固定資産税を納めないと、どうなってしまうのでしょうか。

固定資産税が未納だったり、滞納していたりすると、固定資産税を支払うよう市町村から督促状が届きます。督促状を送っても支払われない場合は、文書や電話、訪問などによって催告されることになります。

また、納付期限内に固定資産税を納めなかった場合、納付期限の翌日から延滞金が発生してしまいます。

延滞金は、本来納めるべき税金の金額に一定の掛け率を掛けて計算します。納付期限後1カ月以内であれば掛け率は数%ですが、1カ月を過ぎてしまうと掛け率が高くなってしまいます。

督促状を無視したまま滞納し続けていると、財産調査が行われます。調査した結果、差し押さえ可能な財産があれば、財産の差し押さえが行われます。

固定資産税であれば、課税対象となっている土地や家屋を差し押さえることになるでしょう。

差し押さえ後にも滞納し続けた場合には、差し押さえられた財産が競売にかけられてしまいます。

もし、固定資産税が払えないような状況にあれば、納税の猶予、固定資産税の軽減、免除の措置を受けることも可能です。そのためには、市町村役場への申請が必要となるため、早めに相談して、申請してみるとよいでしょう。

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この記事の監修者プロフィール

【監修者】下久保彰

2級建築士。建築設計や施工業務を30年以上経験。最近は自営にて各種請負業務を行う。

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