2023年01月04日更新
スレート屋根をカバー工法でリフォームする費用は?
スレート屋根をリフォームする方法にはカバー工法という工法があります。この工法では既存のスレートを撤去することなく屋根をリフォームできます。さらに雨漏りの防止や断熱性能を上げる点でのメリットもあります。カバー工法のリフォーム費用や特徴を取り上げます。
目次
カバー工法について
スレート屋根で既存のスレートを撤去することなく、ガルバリウム鋼板の屋根材を重ね張りすることで屋根リフォームをする工法があります。
このような工法をカバー工法と言います。
カバー工法では撤去工事がありませんので、アスベストを含むスレート瓦の場合は特に撤去処分費用を抑えたり、施工時間を短縮したりすることができます。
また雨漏りを防いだり既存の屋根を長持ちさせたりするる点で塗装工事よりも効果的です。
見た目も新しい屋根のようになりますので工事後の満足感も高いリフォーム工事と言えます。
スレート屋根のカバー工法の工事方法とは?
スレート屋根のカバー工法の工事方法は2種類あります。
ここではそれぞれの工事方法について解説します。
直接下葺き材カバー工法
直接下葺き材カバー工法とは、既存の屋根材の下地材として張られている野地板の状態が良い場合に行われる工事の方法を言います。
既存の屋根材の上に直接ルーフィングを敷いて屋根材を載せる直接下葺き材カバー工法は、野地板をそのまま活用する最も一般的なカバー工法です。
既存の野地板をそのまま活用するため、野地板増し張りカバー工法と比較すると工事費用を安く抑えられるという特徴があります。
また野地板を増し張りしないため、工事の期間もその分短縮することができます。
野地板増し張りカバー工法
野地板増し張りカバー工法は、既存の屋根材の上に新しく野地板を張り、その上にルーフィングと新たな屋根材を葺きます。
新たに野地板を張るため、屋根重量がその分だけ重くなってしまうというデメリットがあります。
カバー工法は既存の屋根材の上に新しい屋根材を重ね葺きするため、既存の屋根材を撤去・解体し処分する必要がなくなるため、葺き替え工事と比較するとトータル費用を削減することが可能です。
しかし重ね葺きとなるため屋根の総重量が増えてしまい、建物の負荷が増加します。
また注意点として、屋根材の上からでは屋根の下地の点検や補修はできないという点があります。
スレート屋根のカバー工法の工事方法とは?
スレート屋根のカバー工法の工事方法は2種類あります。
ここではそれぞれの工事方法について解説します。
直接下葺き材カバー工法
直接下葺き材カバー工法とは、既存の屋根材の下地材として張られている野地板の状態が良い場合に行われる工事の方法を言います。
既存の屋根材の上に直接ルーフィングを敷いて屋根材を載せる直接下葺き材カバー工法は、野地板をそのまま活用する最も一般的なカバー工法です。
既存の野地板をそのまま活用するため、野地板増し張りカバー工法と比較すると工事費用を安く抑えられるという特徴があります。
また野地板を増し張りしないため、工事の期間もその分短縮することができます。
野地板増し張りカバー工法
野地板増し張りカバー工法は、既存の屋根材の上に新しく野地板を張り、その上にルーフィングと新たな屋根材を葺きます。
新たに野地板を張るため、屋根重量がその分だけ重くなってしまうというデメリットがあります。
カバー工法は既存の屋根材の上に新しい屋根材を重ね葺きするため、既存の屋根材を撤去・解体し処分する必要がなくなるため、葺き替え工事と比較するとトータル費用を削減することが可能です。
しかし重ね葺きとなるため屋根の総重量が増えてしまい、建物の負荷が増加します。
また注意点として、屋根材の上からでは屋根の下地の点検や補修はできないという点があります。
カバー工法の費用
カバー工法でのリフォームではどの程度の費用が必要になるのでしょうか。
この工事で必要な工種は主に足場設置、防水シート(ルーフィングシート)敷き込み、ガルバリウム鋼板屋根材の取り付けとなります。
これらの費用を合計しますと、通常の大きさの屋根で工事価格は概ね約150〜200万円程度の工事となります。
では、それぞれの工種で必要な単価を見てみましょう。
足場設置の費用
足場は約40坪の住宅で、工事単価としては約20〜30万円程です。
工事する部分は屋根の上だけですが、重い材料を上げる際の安全性や周囲の安全を確保するために必要となります。
注意点として、急勾配の屋根や3階建て以上の住宅は追加の費用が必要となる場合があります。
この点はリフォーム会社の担当者に確認してください。
防水シートの費用
既存スレートの上に防水ルーフィングシートを敷きこんでいきます。
この工事価格は1平方メートルあたり約600〜900円です。
防水ルーフィングはアスファルトルーフィングと呼ばれます。
ルーフィングの中には材質の改良により、上から釘を打たれても釘穴に雨が漏れにくくなっている材質のものもあります。
そのような材料を用いる際には概ね約1割費用が上がります。
予算と比べながら選択しましょう。
ガルバリウム鋼板の費用
ガルバリウム鋼板は大きく分けて2種類のものがあります。
断熱材が入っていないものと、断熱材一体型です。
現在、カバー工法によるリフォームでは断熱材一体型を用いることが主流となっています。
ガルバリウム鋼板(断熱材一体型)の工事単価は1平方メートルあたり約6,000〜10,000円が相場です。
断熱材が入っていない材料でも材料の価格は約1割しか変わりません。
断熱材が入っている材料の方が断熱や遮音の観点からメリットが大きいので、1平方メートルあたりの費用としては高いものの快適性や将来的なメンテナンスを考えると、お得といえます。
さらに、棟部分や軒先部分の板金費用などが必要となります。
これらの費用はそれぞれの屋根の形状によって異なります。
必要となる長さが屋根形状によって大きく異なるからです。
カバー工法によるリフォームで注意すること
カバー工法では既存のスレートを撤去しません。
そのため下地が悪くなっていてもその部分を見逃してしまうことがあります。
そのため、現在すでに雨漏りをしている場合にはリフォーム会社によく確認してもらいましょう。
また、既存のスレートの状態がひどく悪い場合には、既存スレート屋根の上からコンパネ板を重ね張りしてからアスファルトルーフィングを敷き込まなければならないこともあります。
コンパネ板を重ね張りするような大きな補修が必要となった場合、その費用は1平方メートルあたり約2,000〜3,000円でしょう。
これらの補修費用や雨漏り修理のための追加費用が発生する可能性があることも考慮に入れておきましょう。
カバー工法の工事が向いている家とは?
カバー工法が適しているのかどうか判断が難しいと感じている方もいるでしょう。
ここではカバー工法に適した家について紹介します。
カバー工法の工事が向いている家
スレート屋根交換推奨期間前に修繕をおこないたい
カバー工法の工事は、スレート屋根の葺き替え推奨期間前に修繕を行いたいと考えている方に適しています。
スレート屋根のメンテナンスの頻度は築約10年ほどで塗装のメンテナンスを行い、築約20〜約25年ほどでカバー工法工事や葺き替え工事が必要になるケースが多いです。
葺き替え工事が必要になる前に修繕を行っておきたいと考えている方は、カバー工法で葺き替え推奨期間前にメンテナンスを行うと良いでしょう。
子どもの代に修繕を予定している
現在の建物が築約15年前後で子どもの代で大規模な修繕を行うと決定している場合はカバー工法が適しています。
葺き替え工事を行うと既存の屋根を剥がすために人件費と撤去した屋根材の処分費用がかかりますが、カバー工法でメンテナンスを行う場合はこれらの費用を削減して修繕を行うことができます。
将来的に葺き替え工事や建て替えを行う可能性がある場合は、カバー工法で修繕すると良いでしょう。
カバー工法の工事が向いていない家
雨漏りしている家
雨漏りが発生してしまっている場合はカバー工法は適していません。
カバー工法によって雨漏りは防ぐことができるかもしれませんが、また同じ箇所から雨漏りを起こしてしまう可能性があるためです。
また、雨漏りによって劣化した屋根の下地の木材には、新しい屋根材を重ね葺きするための固定用の釘などを適切に効かせられるだけの保持強度がない可能性があります。
下地の木材が劣化していた場合、屋根材の固定が不十分な状態だと新しい屋根材が強風によって飛ばされてしまうなどの危険性もあります。
屋根裏が結露している家
屋根裏が結露している家にもカバー工法は適していません。
屋根裏で結露が発生してしまう原因として、換気不足や断熱材が屋根の下地に密着しているため通気性が悪いことなどがあげられます。
カバー工法では結露の対策を行うことができないため、屋根裏が結露している場合には、棟換気を設置するなどの対策が必要です。
断熱材が密着している場合などは結露自体を防ぐことができないため、原因に合わせた対策を行う必要があります。
天窓や煙突がある家
天窓や煙突がある家の場合はカバー工法に適していません。
カバー工法による屋根工事を行う場合、築約15年~20年の時期となりますが、そのタイミングが必ずしも天窓や煙突のメンテナンス時期と重なるとはいえません。
このメンテナンス時期のズレによってまとめて工事を行うことができず、余分な工事費用を支払うことになってしまいます。
葺き替えとカバー工法
スレートの屋根を葺き替えるのとカバー工法ではどちらが良いのでしょうか。
スレートの葺き替え工事ではスレートを撤去した際に、雨漏りや劣化の確認ができ必要であれば屋根下地を新しくできるというメリットがあります。
またこの先40年以上その住宅に住み続けたいという場合には、カバー工法ではなく葺き替えの方が良いかもしれません。
一方でカバー工法では工事価格の安さや断熱性能が上がる点などにメリットがあります。
一般的にガルバリウム鋼板屋根自体の耐久性としては20年以上あると言われています。
約10年に一度の塗装や日頃のメンテナンスをしていくことで長く使っていくことができます。
スレート屋根でも塗装のメンテナンスが必要であることを考えると、リフォームの際の工事価格の安さは大きなメリットと言えます。
葺き替えとカバー工法のどちらが良いのかは、それぞれの住み方や計画によっても変わってきます。
ご自身の家庭にあったリフォームをしましょう。
スレート屋根のカバー工法のメリット・デメリットとは?
スレート屋根のカバー工法にはメリットとデメリットが存在します。
ここではスレート屋根のカバー工法のメリットとデメリットについて紹介しますので、工事をしてから後悔をしないようにそれぞれについて把握しておきましょう。
メリットについて
葺き替えに比べて安価で短期間での修繕が可能
スレート屋根のカバー工法は葺き替え工事と比較して安価であり、工事の期間も短期間で修繕を行うことができます。
工事費用が安く済む理由は、既存の屋根を解体撤去する人件費と廃材の処分費用などをかけずに工事を行うことができるためです。
カバー工法は既存の屋根材の上にルーフィングを張り、新しい屋根材を重ねます。
また屋根を解体撤去する手間がないために人件費の削減だけでなく工事期間を短く済ませることも可能です。
工事中も普段通りに生活ができる
スレート屋根のカバー工法を行っている最中でも普段通りに生活ができるというメリットもあります。
工事を行っている際は普段の生活を送れなくなってしまう可能性があるため工事の時期に躊躇してしまうことがありますが、カバー工法であれば普段の生活に支障をきたさずに補修を行うことができます。
工事中でも普段通りの生活を送りたいという方にはカバー工法での補修がおすすめです。
屋根が二重になるため遮音性と断熱性が高い
スレート屋根のカバー工法、特に野地板増し張りカバー工法は屋根が二重構造になるため、その分遮音性と断熱性が多少なりとも高くなります。
屋根は外壁同様に、建物を風雨や気温の変化から守る役割がありますが、外からの音を遮断し建物内の音を外に聞こえないようにするという役割も担っています。
断熱性や遮音性は住みやすい空間にするために重要性が高いため、より遮音性や断熱性を高くしたいと考えている方には野地板増し張りカバー工法がおすすめです。
デメリットについて
アスベストが残ってしまう
スレート屋根のカバー工法を行うことでアスベストが残ってしまうというデメリットが存在します。
現在使用している屋根材にアスベストが含まれている場合、カバー工法は屋根の撤去を行わないためアスベストの問題を先送りすることになります。
屋根を葺き替えるとなった際には、屋根を撤去するためアスベストが飛散してしまう危険性があり割増撤去費用を支払うことになりますが、カバー工法は飛散を抑え、費用も抑えて補修が可能です。
しかしアスベストの問題はいずれ対処しなければならないため、どのタイミングで対応するのか業者と話し合いなどを行いましょう。
太陽光発電の設置が困難になる
スレート屋根のカバー工法を行うことによって太陽光発電の設置が困難になるというデメリットがあります。
太陽光発電を設置すると、屋根のメンテナンスの際に太陽光発電設備を取り外してメンテナンスを行うことになり、その分費用が高額になるため注意が必要です。
屋根の重量が重くなり耐震性に影響が出る
スレート屋根のカバー工法を行うことで屋根の重量が重くなり耐震性に悪影響が出るという点もデメリットとして挙げられます。
葺き替え工事は、既存の屋根材を撤去し新たな屋根材を施工するため重量が増えることはありませんが、カバー工法は、既存の屋根材をそのままに上から新しい屋根材を重ね施工するため屋根の重量が増えて、建物にかかる負荷が増えてしまいます。
屋根リフォームに対応する優良な会社を見つけるには?
ここまで説明してきた屋根リフォームは、あくまで一例となっています。
「費用・工事方法」は物件やリフォーム会社によって「大きく異なる」ことがあります。
そのとき大事なのが、複数社に見積もり依頼して必ず「比較検討」をするということ!
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この記事の監修者プロフィール

IEMUS
岩納 年成 大手ゼネコン会社にて、官公庁工事やスタジアム、免震ビル等の工事管理業務を約4年経験。
その後、大手ハウスメーカーにて注文住宅の商談・プランニング・資金計画などの経験を経て、木造の高級注文住宅を主とするビルダーを設立。
土地の目利きや打ち合わせ、プランニング、資金計画、詳細設計、工事統括監理など完成まで一貫した品質管理を遂行し、多数のオーダー住宅を手掛け、住まいづくりの経験は20年以上。
法人の技術顧問アドバイザーとしても活動しながら、これまでの経験を生かし個人の住まいコンサルテイングサービスも行っている。

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