2024年01月24日更新

監修記事

モニエル瓦の塗装(メンテナンス)は必要?劣化症状や費用相場、寿命を紹介

屋根材として利用しているモニエル瓦の補修として、塗装によるリフォームを行う場合、費用はどれくらいかかるのでしょうか?モニエル瓦の特徴やモニエル瓦を塗装する際に注意する点、施工費用など、リフォームの際に知っておきたいポイントをご紹介します。

モニエル瓦という名前にあまり馴染みがない方は多いかもしれません。

モニエル瓦は、数ある屋根材の中でも塗装が必要な瓦です。

この記事では、モニエル瓦の特徴や塗装の必要性について解説しています。

モニエル瓦はなぜ塗装が必要なのか知りたい方や、モニエル瓦のメンテナンスを検討されている方はぜひ読んでみてください。

モニエル瓦ってどんな屋根材?

モニエル瓦とはセメント製の屋根材で、日本モニエルと言う会社が生産していた屋根瓦の通称ですが、2010年6月に廃業し今では入手困難となっています。

モニエル瓦は、モルタル瓦やセメント瓦の一種で、高圧成型を行うことでアスベストを使用せずに十分な耐久性と耐水性を確保した製品で、軽さや断熱性、デザインの豊富さも兼ね備えていたので一時期人気の屋根材でしたが、現在は生産されていません。

通常のセメント瓦と違い、1枚1枚の精度が高いのも特徴で、施工性も高く人気となっています。

また、セメント瓦のメリットでもある軽さや断熱性、デザインの豊富さも兼ね備えているため、性能とデザインを両立させたいという方にもおすすめの屋根材です。

モニエル瓦にはなぜ塗装が必要なの?

モニエル瓦自体には防水機能がないため、防水塗料を塗って防水層を形成する必要があります。

モニエル瓦の表層は、セメント、砂、骨材に顔料を混ぜ合わせた着色スラリー層です。

この上に、無色透明のクリヤー塗装を施し、スラリー層を保護します。

クリヤー塗装面が経年劣化により剥がれると、スラリー層が剥き出しになります。

雨天時などにスラリー層が水分を吸収し、膨張や収縮を繰り返すことで、ひび割れなどの劣化が生じるのです。

モニエル瓦を長持ちさせるためには、定期的に塗装を施しておくべきでしょう。

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モニエル瓦の塗装や葺き替えにかかる費用はどれぐらい?

モニエル瓦の塗装リフォームでは、まず足場と養生シートを設置し、瓦表面の洗浄およびスラリー層の除去を行ってから塗装となります。

工程ごとの費用は、足場の設置と養生シートの設置が合計で1平方メートルあたり約1,000円、高圧洗浄機を用いた洗浄および手作業によるスラリー層の除去が合計で1平方メートルあたり約400円が相場です。

塗装については使用する塗料によって単価が変わり、アクリルシリコン塗料を用いた場合が1平方メートルあたり約2,000円から、フッ素樹脂塗料なら約3,000円が相場となります。

この他、人件費や廃材の処理費用などを含め、合計費用は80平方メートルなら約70万円が相場です。

モニエル瓦の傷みが激しく、塗装ではなく葺き替えを行う場合の費用については、約80平方メートルの屋根を葺き替えた場合が合計で約100万円が相場、スレート屋根に変更した場合が約90万円が相場となります。

軽量で耐久性が高いガルバリウム鋼板製屋根材に葺き替えた場合については、約80万円が相場です。

屋根のリフォームを行う際には、屋根材の劣化度合いや葺き替えにかかる費用などを比較して施工方法を選びましょう。

モニエル瓦の塗装に使う専用塗料とは?

モニエル瓦の塗装には、専用の塗料を使います。

モニエル瓦専用の塗料は、瓦に光沢を生み出し、劣化して脆弱になったスラリー層に浸透して、スラリー層の補強や付着性を高めます。

この専用塗料は、乾燥するスピードが早く、塗装期間の短縮が可能です。

モニエル瓦の塗装を業者に依頼する際には、見積もりに「塗料の商品名」を記入してもらい、その塗料がモニエル瓦に使用できるか確認しましょう。

間違ってモニエル瓦に使用できない塗料を塗装してしまうと、劣化が早まり瓦の損傷につながります。

モニエル瓦のメンテナンス時期に出る劣化症状

モニエル瓦は、施工後約10年〜約15年で劣化がはじまります。

次のような症状が出始めたら、塗り替えなどのメンテナンスをしましょう。

塗装の剥がれ

モニエル瓦の塗装の剥がれがあれば、塗り替えのサインです。

塗装が剥がれた箇所から劣化し始め、瓦にひび割れが生じ、瓦の耐久性が低下します。

塗装が剥がれる原因は、スラリー層の脆弱性です。

スラリー層が劣化すると、塗装した膜との密着性が薄れ、塗装が剥がれてしまいます。

塗膜が剥がれた場合は、早急に塗り替えを検討しましょう。

チョーキング

チョーキングとは、瓦に塗られた塗料が粉状に劣化した状態のことで、瓦の表面がザラザラし、手で触ると粉状になった塗装が付着します。

チョーキングの状態を放置すると、瓦自体が劣化してしまうため早めの塗り替えが必要です。

瓦が色褪せる

モニエル瓦は、経年劣化によって色褪せていきます。

モニエル瓦の色褪せは、表面のスラリー層の劣化が原因です。

色褪せたまま再塗装せずに放置していると、モニエル瓦自体が水分を吸い込んでしまい、最終的には瓦がボロボロになります。

そうなる前に、色褪せを見つけたら塗り替えをして、水分から瓦を保護しましょう。

瓦のズレ

瓦がズレを確認した場合は、早急に元の位置へ瓦を戻して再施工する必要があります。

瓦がズレたまま放置してしまうと、強風で瓦が飛んだり瓦が落下する危険性があります。

飛んできた瓦が近隣の住宅に当たってしまったり、落下した瓦が通行人に当たってケガをさせてしまうこともあります。

瓦にカビやコケが生える

瓦にカビやコケが生えた場合も、メンテナンスが必要です。

カビやコケは、胞子が水分を含んだ瓦に付着して繁殖します。

つまり瓦の中の水分を吸収してカビやコケが生えたのであれば、瓦の防水機能がなくなっているということになります。

防水機能のなくなったモニエル瓦に水分が浸透すると、瓦の下にある下地部分が腐食するため、早めにカビやコケを除去して、塗り替えておきましょう。

瓦のひび割れ

モニエル瓦にひび割れがあれば、メンテナンスするタイミングです。

瓦のひび割れは、瓦が水分を吸って膨張と収縮を繰り返すことにより起こります。

瓦のひび割れは、防水機能が機能していないサインです。

放置したままでいると瓦が割れてしまい、そこから雨水が入り雨漏りの原因になります。

ひび割れの補修には、防水テープや補修用のパテを使用します。

ひび割れがひどい場合は、新しい瓦と交換する必要があるかもしれません。

【重要】早めのメンテナンスが必要な理由

モニエル瓦に劣化症状が見られたら、早めにメンテナンスしておくことが非常に重要です。

実は、モニエル瓦は2010年に製造中止となっているため、新しい瓦の入手が難しいからです。

1枚でも使えなくなると、同じ瓦を手に入れるのは非常に困難で、入手できたとしても新品ではなく中古品になります。

早めのメンテナンスで、今あるモニエル瓦の寿命を少しでも延ばすことが重要です。

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モニエル瓦の塗装の工程とおよその日数

モニエル瓦の塗装の工期は10日前後です。

塗装作業の工程を、下記の表にまとめました。

1日目 足場架設・養生 施工場所に足場を架設し、塗料の飛散防止のためにマスキングテープなどで養生していきます。
2日目 洗浄 付着しているスラリー層を完全に除去し、高圧洗浄機などで洗浄していきます。
3日目 クギ打ち 屋根の頂上にある棟瓦、または棟板金で浮いてしまっているクギを打ち直します。
4日目 下地処理 瓦の劣化症状に応じて、ひび割れの箇所や棟部分にシーリング工事を施して補修します。
5日目 下塗り 中塗り・上塗りの仕上がりを良くするために、ペースト状のシーラーをハケなどで塗っていきます。
6~7日目 中塗り・上塗り 下塗りのシーラーが十分に乾いたら、モニエル専用の塗料を1回〜2回塗っていきます。
8日目 手直し・点検 必要に応じて小さな傷や塗装が剥がれた部分を筆などで補修していきます。
9日目 足場解体・片付け 養生材を撤去し、施工箇所の周辺を清掃した後に足場を解体して作業完了です。

※ 屋根の広さや劣化の状態、種類によって日数は前後します。

利用する屋根材ごとのメリットとデメリット

モニエル瓦の葺き替えでは、ガルバリウム鋼板製屋根材や陶器瓦が良く用いられますが、モニエル瓦と比較した場合、これらの屋根材にはどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか?

ガルバリウム鋼板製屋根材をはじめとする金属製屋根材と比較した場合で見てみると、金属製屋根材はモニエル瓦に比べて軽いため、地震による建物の被害を軽減することができます。

耐久性、耐用年数についてはどちらも約20年が目安とされており、メンテナンスについても塗装リフォームを行うことができるため、メンテナンスの手間に関してはあまり違いがありません。

しかし、モニエル瓦は塗料が固着しにくいという特性があるため、専用の塗料が必要となり、一定以上の技術力も要求されるため、施工費用がやや高くなります。

また、屋根材の断熱性や防音性については、モニエル瓦の方が優れていますが、金属屋根瓦でも断熱材が組み込まれているものなどがありますので、大きな差にはならないでしょう。

日本瓦などの陶器製屋根材とモニエル瓦の比較では、まず耐久性の面で大きな違いがあります。

日本瓦をはじめとする陶器製の瓦は、塗装ではなく釉薬によって表面が保護されており、瓦自体も堅く焼き締められているため、長いものなら約100年使い続けることが可能です。

メンテナンスについても、破損した瓦を交換し、漆喰や防水層を交換するだけで屋根材はそのまま利用することができるため、比較的ランニングコストも抑えることができるでしょう。

ただ、陶器瓦は重量が重く、製品によっては一枚あたりの重量がモニエル瓦の2倍に達するものもあるため、耐震性などを考えた場合にはやや不利と言えます。

耐震性については、建物の高い位置に重いものが乗ることで重心位置が高くなり、より建物が揺れやすくなってしまうことが理由です。

モニエル瓦からの葺き替えリフォームを行う際には、それぞれの屋根材の特徴を十分に把握し、メンテナンス性や耐久性、耐震性などを考慮した上で使用する屋根材を選択しましょう。

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モニエル瓦の塗装時に注意する点は?

スラリー層の除去について

モニエル瓦は、成形時に圧力をかけて型から押し出す「押し出し成型」という工法を用いて作成されるため、表面がとても滑らかな形状となっています。

この滑らかな層のことを「スラリー層」と呼びますが、この部分は日本瓦の釉薬層と同様に塗装を弾く性質があるため、リフォームの際にはこのスラリー層を十分に剥がさなければなりません。

また、塗装の際に使用する塗料についても、スラリー層に十分に浸透して固着する特殊な塗料を使用しなければならないため、通常のモルタル瓦、セメント瓦の塗装に比べてやや塗料代が高くなります。

施工の際に十分なスラリー層の除去および塗装が施されていなければ、瓦に雨水が浸透し、強度の低下や雨漏りの原因となるため、塗装リフォームを依頼する際にはモニエル瓦の塗装に慣れているリフォーム会社を選びましょう。

塗装後の乾燥時間の必要性

その他にも、モニエル瓦の塗装リフォームでは、洗浄後に瓦を乾燥させる時間が必要となります。

モニエル瓦は表面の塗装によって耐水性を維持しているため、洗浄およびスラリー層の除去によって芯材がむき出しとなってしまうと内部に洗浄水が染みこむのです。

そのため、瓦が完全に乾燥するまで気候にもよりますが、約1週間程度待つ必要があります。

もし、濡れたまま塗装を行うと、瓦と塗膜の耐久性が低下し、雨漏りや瓦の破損の原因となりますので、注意してください。

塗装とモニエル瓦の寿命

モニエル瓦そのものの耐用年数は約20年と言われていますが、塗装については約10年が目安です。

頻繁に塗装リフォームを行うのも良いのですが、モニエル瓦自体の老朽化等も起こりますので、場合によっては葺き替えを考えても良いでしょう。

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この記事の監修者プロフィール

【監修者】久田麻里子

2級建築士、インテリアコーディネーター、住環境福祉コーディネーター。ハウスメーカー、リフォーム会社での建築業を幅広く経験。主婦・母親目線で様々なリフォームアドバイスを行う。主な担当は水回り設備リフォーム、内装コーディネート、戸建てリフォームなど。

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