2024年02月20日更新
屋根材の種類と選ぶポイントは?種類の比較と人気メーカーの屋根材を紹介
屋根材選びは、色や形などのデザイン以上に、メンテナンス性を重視して選ぶことをおすすめします。将来的な雨漏りの不安を減らし、屋根のメンテナンス費用を少なく抑えるためにも、人気の屋根材や屋根形状の特徴、相性の良い組み合わせなどを知っておきましょう。
目次
屋根材の役割とは?
建物を雨漏りから防ぐ
屋根材の最も重要な役割は内部へ水の侵入を防ぐことです。
屋根は木造ですと、4種類ほどの部材で成り立っており、屋根材は一番外に出ている部分です。
この屋根材でしっかり雨などの水を防ぐことで、雨漏りだけでなく、構造部材の腐食を防止することができます。
木造でも、鉄骨造でも、雨により構造部材が腐ってしまうと、重要な屋根の破損に繋がりかねません。
屋根材選びは家の劣化を防ぎ、安心して暮らすために重要なポイントです。
太陽熱が室内入り込むのを防ぐ
夏場、外気温は30度程度でも、屋根材の表面温度は70度~80度にもなると言われています。
その暑さは屋根で作業する際、靴底の裏が溶けることもあるほどです。
家は屋根材によってその太陽熱を遮断しないと、温度が上がり、とても生活できるような状況ではありません。
日本は都心を中心に年々平均気温が上昇しているという状況です。
室内温度の上昇を防ぐことで、エアコンの使用を抑え、夏場の光熱費削減にも良い影響があるでしょう。
屋根材に求められる機能
高い防水性
屋根は室内に水を侵入させない重要な部材です。
そのため、屋根には高い防水性が求められます。
日本には木造の家が多くありますが、実は木材を腐らせる菌にとって、屋根は温度や酸素などの条件が整っており、とても繁殖しやすい場所です。
唯一、防ぐことができる要因に木材の含水率があります。
新築時には15%程度の含水率ですが、30%を超えると菌が増殖しやすい状況になります。
屋根材の防水性によって水の侵入を防ぐことは、木材の含水率が増すことを防止し、家の寿命に繋がります。
高い断熱性
断熱性が高いことで、太陽熱による室内の温度上昇を少なくし、快適な状態に保つことができます。
夏場の熱を室内に伝えないことはもちろん、冬場は室内の温度を外に逃がしにくくなるため、エアコンやガスを利用した暖房器具を使用する頻度が減るでしょう。
エアコンは家庭内で電気料金がかかる家電の1つです。
使用料が減ることで、家庭の負担だけでなく、環境問題にも繋がります。
近年、高気密な住宅が増えていますが、気密性と共に断熱性を向上させることで、より高い省エネ効果が期待できるでしょう。
屋根材市場の素材別シェア
種類 | 特徴 | |
金属屋根 (シェア率:63.2%) | ・ガルバリウム屋根 ・ジンカリウム鋼板 ・銅板 | ・裏面に断熱材が付いている ・耐用年数20年~35年 ・施工が難しい ・リフォーム分野でシェア率1位 |
セメント系瓦 (シェア率:15%) | ・コンクリート瓦 ・スレート瓦 ・プレスメント瓦 | ・現在はあまり使用されていない ・昔のものだとアスベスト入りの製品がある ・耐用年数が低い傾向にある |
粘土瓦 (シェア率:13.4%) | ・素焼き瓦 ・いぶし瓦 ・陶器瓦 | ・伝統的な屋根材 ・耐用年数20年~60年・屋根の重量が重くなる ・費用が高い傾向にある |
シングル材 (シェア率:5.6%) | ・表面に石粒がついたシート状の屋根材 ・耐用年数15年~25年 ・価格が安い ・施工しやすい・アメリカでのシェア90% | |
石粒付き金属屋根 (シェア率:2.9%) | ・海外製の商品 ・耐用年数25年~35年 ・価格が安い ・施工しやすい ・屋根を軽量化できる |
屋根材を種類別に比較!特徴・耐用年数・費用
屋根材 | 価格 (平米単価) | 耐用年数 | メンテナンス頻度 | 軽さ | 耐風性 | 遮音性 | 断熱性 |
化粧スレート | 4,000~ 8,000円 | 25年~30年 | 5年おき | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
日本瓦 | 9,000~ 16,000円 | 50年以上 | 10年程度 | × | ◎ | ◎ | ◎ |
セメント瓦 | 6,000~ 8,000円 | 30年 | 10年程度 | △ | 〇 | 〇 | 〇 |
ガルバリウム鋼板 | 6,000~ 12,000円 | 30年~40年 | 15年程度 | ◎ | 〇 | △~〇 | △~〇 |
トタン | 5,000~ 6,000円 | 10年~20年 | 10~15年 | ◎ | △ | × | × |
アスファルトシングル | 3,500~ 12,000円 | 20年~30年 | 5年~ | 〇 | △ | ◎ | 〇 |
ジンカリウム鋼板 | 8,000~ 14,000円 | 30年~40年 | 30年以上 | ◎ | ◯ | ◯ | ◯ |
陶板 | 16,000円~ | 50年以上 | 50年以上 | △ | 〇 | ◎ | ◎ |
陸屋根 | 8,400円~ | 12年~20年 | 10~15年 | ー | 〇 | 〇 | △ |
銅板 | 25,000円~ | 60年以上 | 50年上 | ◎ | 〇 | △ | △ |
化粧スレートの特徴
メリット | デメリット |
・単価が安い ・デザインや色が豊富 ・軽く扱いやすい ・耐震性が高い | ・短スパンでのメンテナンスが必要 ・割れやすい ・断熱性が低め |
化粧スレートは価格が安く、デザインが豊富であることから、多くの住宅に用いられてきた屋根材です。
軽くて扱いやすいため、多くの業者で取り扱うことが可能で、一定の施工品質も得ることができます。
軽いことで屋根の重みを軽減してくれるため、耐震性も高いことが魅力です。
ですが一方で、自然災害や人の重みで割れやすいため、5年という短いスパンでのメンテナンスが必要です。
メンテナンスを怠ってしまうと、塗装がはがれたところから、苔が生えてしまい、最終的には雨漏りに繋がる可能性があります。
化粧スレート材は初期費用を抑え、豊富なデザインから選びたい方におすすめの屋根材と言えるでしょう。
日本瓦の特徴
メリット | デメリット |
・耐用年数が非常に長い ・再塗装不要で、再利用可能 ・メンテナンスが少ない ・性能が高い | ・重い ・施工費用が高い ・他の屋根から変更しづらい |
瓦の歴史は古く、500年代に日本に伝わってきたとされています。
古くからある屋根材ですが、断熱性、遮音性、耐風性に優れた屋根材で、今でも多くの人に愛されています。
また、日本瓦は破損しない限り50年以上使用することができ、葺き替えの際に再利用も可能です。
ただし、瓦は1枚数キロと重く、屋根全体ですと数トンになることもあります。
そのため、地震の際には屋根の重さにより、家が倒壊する事例により、新築で使用される頻度は減少傾向にあります。
また、他の素材で出来た屋根から瓦へ変更することは難しいため、瓦屋根を好む場合は新築時から瓦にする必要があります。
セメント瓦の特徴
メリット | デメリット |
・陶器瓦よりも費用を抑えられる ・耐火性が高い ・耐用年数が比較的長い ・デザイン豊富 | ・重い ・割れやすい ・生産が少ない |
セメント瓦は陶器瓦などの日本瓦よりも、費用が安く抑えられる点から、1980年代頃に住宅で多く使用された屋根材です。
耐用年数も30年と長く、陶器瓦よりも洋風などのデザインもあり、種類が豊富なことも特徴です。
ですが、近年では化粧スレートが出てきたため、あえてセメント瓦を使うことはなくなり、新築での使用実績はほとんどありません。
また、セメント瓦は重く、割れやすいことから、定期的なメンテナンスが必要です。
現存している多くのセメント瓦の住宅は、メンテナンス時期を超えており、葺き替えや塗装が必要です。
ガルバリウム鋼板の特徴
メリット | デメリット |
・耐用年数が長い ・屋根を軽量化できる ・勾配のない屋根にも対応できる ・防水性が高い | ・断熱性が低い ・遮音性が低い |
およそ40年前に登場したガルバリウム鋼板は、トタンの錆びやすいさを大きく解消し、人気が高まっている屋根材です。
薄い鉄板に、アルミニウム、亜鉛、シリコンのメッキをしており、対応年数が長いことが特徴です。
重さも、瓦の1/10、スレート屋根の1/3とも言われており、非常に軽く、耐震性の高さも人気の理由の1つです。
また、金属であるため、水が染み込みにくく、防水性も高いです。
一方で、金属であることから、熱を通しやすく、雨音が室内に伝わりやすいデメリットがあります。
これらは、遮音材一体となった商品を選ぶことや、遮熱塗料を塗ることで軽減されるため、合わせて検討しましょう。
トタンの特徴
メリット | デメリット |
・施工費用が安め ・屋根を軽量化できる ・DIYでも扱うことができる | ・耐用年数が短い ・錆びやすい ・断熱性が低い ・遮音性が低い |
トタン屋根の家は一昔前には多く見られました。
トタンは鉄板に亜鉛メッキを施した製品ですが、安価で軽く、DIYなどでも扱うことができる気軽さが特徴です。
ですが、一方で錆びやすいというデメリットから、耐用年数は短く、10年程度で塗装、20年程度で葺き替えのメンテナンスが必要な短寿命な素材です。
今でもトタン屋根の家は現存していますが、トタンのデメリットを解消したガルバリウム鋼板の登場により、今ではあまり使われない屋根材になりました。
アスファルトシングルの特徴
メリット | デメリット |
・価格が安い ・防水性が高い ・遮音性が高い ・軽い | ・強風に弱い ・苔が生えやすい ・勾配の緩い屋根には向かない ・施工できる業者が少ない |
アスファルトシングルは海外での施工実績が多く、日本では比較的新しい素材です。
ガラス繊維にアスファルトを浸透させた素材であるため、防水性が非常に高く、耐用年数を迎えても、下地の交換が必要無い場合が多いです。
価格も安いため、これから普及する素材と言えるでしょう。
ですが、新しい素材であるため、施工できる業者が他よりも少ないことがデメリットです。
また、表面に凹凸があるため苔が付きやすく、5年ごとにはがれや、めくれのメンテナンスをしないと、耐風の際に剥がれてしまうことがあります。
屋根勾配も20度以上という決まりがあるため、あまり緩い屋根勾配の家にも施工することは出来ません。
ジンカリウム鋼板の特徴
メリット | デメリット |
・遮音性が高い ・断熱性が高い ・サビ、紫外線に強い ・再塗装不要 | ・石粒が落ちてくる ・価格が高め ・ガルバリウム鋼板より重い |
ジンカリウム鋼板は基本的には、ガルバリウム鋼板と同じです。
商標登録を行った会社で呼び名が変わっていますが、構成している成分などはほとんど同じです。
ですが、日本では石粒が付いたものをジンカリウム鋼板として呼ぶことが多いです。
ジンカリウム鋼板は石粒が付いた分、遮音性が高く、よりサビや紫外線に強い素材となっています。
日本でシェアの高いディートレーディング社が30年の保証を出していることから、メンテナンスがほとんど掛からない屋根材と考えて良いでしょう。
ですが、その分高額となり、時に石粒が落ちてくるなどのデメリットもあります。
陶板の特徴
メリット | デメリット |
・陶器瓦よりも軽い ・再塗装不要 ・耐用年数が長い | ・陶器よりも価格が高い ・スレートや金属系屋根材に比べると重い |
陶板は、陶器瓦と同じ素材を使用しながら、軽量化した新しい素材です。
陶器と同じく色を焼き固めて着色しているため、紫外線や雨による劣化が少なく、耐用年数が長い商品です。
断面に空気層を持つ構造のため、陶器瓦よりも軽いにもかかわらず、断熱性、遮音性に優れているというメリットがあります。
陶器瓦よりも価格は高くなりますが、ほとんどメンテナンスが不要である点を考慮すると、これからの和風建築に普及していく可能性が高いと思われます。
陸屋根の特徴
メリット | デメリット |
・屋上スペースを使うことができる ・メンテナンスが比較的安価で容易 ・居住空間を最大化できる | ・水はけが悪い ・メンテナンス頻度が高い ・陸屋根下は暑くないやすい |
陸屋根は屋根素材の名前ではなく、屋根形状の名称です。
他の屋根とは異なり、平坦な形状ですので、アクセスするための階段などを設置することで、屋上スペースを有効活用することができます。
また、陸屋根には屋根裏スペースが不要であるため、居住空間の高さを最大限使うことができます。
一方で、屋根に勾配が無いため、水はけが悪く、雨の影響を受けやすいためメンテナンス頻度が高い傾向にあります。
ですが、メンテナンスに足場が不要であるため、費用は比較的安く、簡単に行うことができます。
また、屋根裏スペースによって断熱ができず、屋根直下の空間は暑くなりやすいため、遮熱塗料を使用するなど対策が必要です。
銅板の特徴
メリット | デメリット |
・耐用年数が非常に長い ・屋根を軽量化できる ・塗装が不要 ・加工性が高い ・経年で建物に味がでる | ・施工費用が非常に高い ・対応できる業者が少ない ・遮音性が低め ・断熱性が低め |
銅板は金属屋根の一種ですが、現在ではガルバリウム鋼板などが主流であるため、住宅に使用されることは少なくなりました。
ですが、対応年数が非常に長く、基本的にメンテナンスが不要であることや、加工性の高さから、寺社仏閣には現在でも用いられています。
経年変化で、赤、茶褐色、黒褐色、緑青色へ変化し、味が出ることも歴史的な建築物にはよく合います。
ただし、施工費用は非常に高いうえ、対応できる業者が少なく、遮音性や断熱性なども他の素材に劣ることから、住宅への採用は稀になっています。
用途別に適している屋根材
屋根材を使う場所は住宅だけではありません。
身近なところですと、カーポートや工場の屋根などにも屋根材は使用されています。
それらは住宅とは異なる用途であるため、それぞれに適した屋根材が使われています。
工場や倉庫で用いられる屋根材
工場などの大型建築には、波型スレートが使われていました。
当時の波型スレートはアスベストが使われているため、とても丈夫ですが、多くの屋根が経年とともに劣化し、不具合が起きつつあります。
そのため、現在は折板屋根と言われる金属製の屋根材が使用されています。
屋根の上から下まで1枚の金属板で仕上げるため、長尺屋根の1つに分類されます。
折板屋根は新築だけでなく、波型スレートの上に被せる、カバー工法などの改修でも使用される製品です。
スレート屋根の補修用屋根材
アスベストが含まれていないスレート屋根の補修として、ガルバリウム鋼板や、FRPで出来た商品があります。
これらは応急処置として一時的に補修するもので、カバー工法のように屋根を改修できるものではありません。
アスベスト入りのスレートにはきちんとしたカバー工法などで、屋根全体を覆う必要があるため、使用用途に注意が必要です。
カーポートやガレージで使われる屋根材
長さが短い屋根材はカーポートなどでよく使われており、ホームセンターでも購入できるため、DIYに使用することもできます。
種類も、メッキ鋼板であるトタンやエスジーエル、ポリカーボネート製、天然繊維にアスファルトを染み込ませた商品など、多数あります。
それぞれ手に入れやすい値段で、軽く、耐久性もあるため、扱いやすいのが特徴です。
ですが、家の屋根としては見た目がやや安っぽく見えることから、使用されるケースは多くありません。
物置
物置の屋根は波板で作られていることが多くあります。
波板は強度を高めるために波のような形状に加工されている材料ですがよく使われる材質は3つあります。
それぞれ特徴がありますので重視したいポイントで材質を選びましょう。
塩化ビニール製波板
塩化ビニール製の波板はコストパフォーマンスに非常に優れており、値段で選ぶなら塩化ビニール製です。
ハサミで加工できる手軽さがありますがその分耐久性問題があり寿命は一般的に約2年~約3年と言われています。
ガルバリウム鋼板
耐久性を重視するならガルバリウム鋼板です。
寿命は約7年~約10年と言われておりさらに耐腐食にも強いので海沿い地域の塩害防止にも優れています。
デメリットは加工の難しさです。
電動のこぎりを使用して加工する必要があるため、DIYで使用するのは難しい屋根材になります。
ポリカーボネート波板
耐久性と加工性を両立した屋根材です。
手動ののこぎりでも加工でき、寿命も約7年~約10年と非常に優秀です。
しかし、材料費が高いのが難点ですので注意が必要です。
製造中止となった屋根材
アスベストが含まれているスレート屋根
1990年までの古いスレート材にはアスベストが含まれている可能性が高いです。
アスベストは、石でありながら綿状の性質を持ち、加工しやすい上に耐火性、断熱性に優れた性質を持ち、さまざまな建築材に使用されていました。
ですが、吸引すると肺がんなどの健康被害を起こすことが知られ、アスベストが含まれた商品の販売が中止されています。
その後、2000年代にはアスベストが含まれていない商品が販売されましたが、15年程度で割れてしまうなど、不具合が起きることが分かり、現在では販売中止されています。
この時期のスレート材を使用している場合は、塗装では対応できないため、葺き替えリフォームが必要です。
瓦風スレート
「セキスイかわらU」という瓦風スレートは、1970年代に販売開始されました。
スレート屋根の上に重ねるカバー工法で使用することができたため、大ヒットした商品です。
ですが、この商品にはアスベストが入っており、健康被害問題から、1990年にアスベストを取り除いた商品が販売されます。
ですが、アスベストの入っていない商品はもろく、商品に対する評判も落ちたため、製造中止に至りました。
現在も使用されている場合は、全てを取り除いての葺き替えリフォームがおすすめです。
モニエル瓦
モニエル瓦はヨーロッパ発のコンクリートでできた輸入品の瓦です。
1970年代に日本モニエル社が代理店となり、販売を開始しました。
その洋風のフォルムや、バリエーションが豊富で施工しやすいことから、人気のある屋根材でした。
ですが、化粧スレートなどの普及で、徐々に需要が少なくなり、2010年に日本モニエル社が無くなったことで販売中止となっています。
モニエル瓦は定期的な塗装のメンテナンスが必要な商品ですが、表面にコンクリートを保護する「スラリー層」という塗装がのりにくい層があります。
再塗装の際は、このスラリー層をしっかり取り除いてから塗装する必要がありますので、注意が必要です。
セメント瓦
セメント瓦は、1970年~1980年にかけて使用されていた屋根材です。
陶器瓦よりも安く、製造しやすいことから住宅不足であった高度経済成長期に広く普及しました。
ですが、表面の細かい凹凸に苔が生えてしまうことや、色があせやすいなどの問題から、徐々に使用されることが少なくなり、今では陶器瓦が主流となっています。
また、一部の商品でアスベストが入っていたことも、製造が中止となった一因でしょう。
今でも使用されている場合は、苔を取り除いた上で、再塗装する方法や、屋根を長期的に長持ちさせたい場合は、葺き替えを行うとよいでしょう。
屋根材の種類別人気商品
化粧スレートの人気商品
トップメーカーはケイミュー株式会社です。
かつてスレートはクボタとパナソニックが競合していましたが、2003年に統合し、ケイミュー株式会社となりました。
統合したことにより、現在は日本で一番大きなスレート屋根メーカーとなりました。
ケイミュー「コロニアルグラッサシリーズ」
メーカー | ケイミュー株式会社 |
シリーズ名 | コロニアルグラッサ |
価格 | 約5,400円/平方メートル~ |
ケイミューを代表するシリーズの1つがコロニアルグラッサです。
和風の家から洋風の家まで、さまざまなスタイルに合うカラー展開があり、オプションカラーでは、他に無いような特徴的なカラーも取り扱っています。
シリーズの中には遮熱に特化したものや、本物の石目に見えるデザインが施された商品もあり、このシリーズの中でも迷ってしまうほど種類が豊富です。
富士スレート「エアルーフシリーズ」
メーカー | 富士スレート |
シリーズ名 | エアルーフ |
価格 | 2,948円 (エアルーフドリーム30 440mm×320mm 4枚分) |
富士スレートは徳島県にある会社で、創業当初は瓦を製造していました。
時代に合わせ、スレート製造へと変化してきましたが、人気シリーズのエアルーフは瓦の様な質感を残しつつ、軽量で耐久性の高い商品になっています。
カラーは単色だけでなく、グラデーションカラーのラインナップもあり、選ぶ人の個性を出せるカラー展開となっています。
日本瓦の人気商品
愛知県は日本三大瓦産地と言われています。
その中でも三州野安は国内の粘土瓦シェアの70%を占めており、日本トップのメーカーと言えるでしょう。
三州野安「和形」
メーカー | 三州野安 |
商品名 | 和形 |
粘土を型取り、釉薬をかけ高温で焼き上げるという伝統的な製法を守っているシリーズです。
見た目の美しさはもちろん、釉薬がガラス層となっているため水が浸透せず、長い間その姿を変えることなく楽しむことができます。
また、強風時に瓦が飛散しないような形状になっており、伝統的な瓦の良さを享受しつつ、安全性にも配慮された商品となっています。
鶴弥「スーパートライシリーズ」
メーカー | 鶴弥 |
シリーズ名 | スーパートライ |
価格 | 9,900円/平方メートル~ |
鶴弥も愛知県にある会社で、1968年創業の歴史ある会社です。
スーパートライシリーズの瓦はボリュームのあるデザインで、華やかさのあるタイプから、凹凸の少ない、すっきりとしたモダンなデザインまで幅広く対応しています。
また、業界初の2寸(約11度)という、とても緩やかな屋根にも設置出来る商品です。
屋根が緩やかであるほど、屋根裏の空間が不要であるため、建築空間を最大限有効活用することができます。
ガルバリウム鋼板の人気商品
戸建て住宅の金属屋根を取り扱う会社として最も大きいのがアイジー工業です。
ガルバリウム鋼板と言えばアイジー工業の金属屋根シリーズを思い浮かべるほど有名な会社です。
アイジー工業「スーパーガルテクトシリーズ」
メーカー | アイジー工業 |
シリーズ名 | スーパーガルテクト |
価格 | 8,190円/平方メートル |
遮熱性の鋼板と、断熱材の相乗効果で優れた断熱性を獲得した商品です。
色は落ち着いたラインナップで、いずれも高級感を演出してくれるカラーとなっています。
軽量にもかかわらず、塗膜には15年、穴あきには25年のメーカー保証が付くなど、確かな品質もあり、人気の高いシリーズです。
沿岸地域でも安心して採用することができることも特徴の1つです。
日鉄鋼板株式会社「エバールーフシリーズ」
メーカー | 日鉄鋼板株式会社 |
シリーズ名 | エバールーフ |
日鉄鋼板株式会社は建材に関わる8つの会社が統合して生まれました。
ガルバリウム鋼板でも高いシェア率を獲得しており、エバールーフシリーズは横葺き仕様だけでなく、縦葺き仕様にも対応しています。
防水性、耐風圧性に優れた高い性能だけでなく、ウッディシリーズではヒノキの樹皮を型取った風情あるデザインのラインナップもあります。
アスファルトシングルの人気商品
田島ルーフィング株式会社は大正8年にアスファルトルーフィングの国産化に成功した歴史ある会社で、現在でも高いシェアを誇るトップメーカーです。
田島ルーフィング株式会社「シングル」
メーカー | 田島ルーフィング株式会社 |
商品名 | シングル |
価格 | 9,100円/平方メートル~ |
シングルは複数の焼成色彩砂を組み合わせることで、見る角度や、太陽光によって色の表情が変化し、他にはない奥行きのある色見を実現しています。
色だけでなく、軽量で、防水性能に優れ、多種多様な屋根形状に対応できることも魅力です。
また、独自の接着技術で剝がれにくい性能を獲得しており、アスファルトルーフィングの弱点の1つである、耐風性にも対応しています。
ニチハ株式会社「アルマ」
メーカー | ニチハ株式会社 |
商品名 | アルマ |
価格 | 5,460円/平方メートル~ |
ニチハ株式会社は建築に使われるハードボードという繊維板から始まり、徐々に住宅業界に参入した会社です。
アルマは鎧という意味で、その名の通り耐久性の高い商品となっています。
大小の四角が合わさったデザインは他にはなく、落ち着いた色ながら、個性の光る屋根にデザインすることができます。
2018年に屋根の構造方法が改正されたことにより、適切な施工を行うことで、アルマを耐火建築物に適用できるようになりました。
ジンカリウム鋼板の人気商品
ジンカリウム鋼板と呼ばれる屋根材は輸入商品が多く、その中でもディートレーディング社は1995年から現地メーカーと直接総代理店契約を結び、国内販売を行ってきたトップメーカーです。
ディートレーディング社「ディプロマットスター」
メーカー | ディートレーディング社 |
商品名 | ディプロマットスター |
価格 | 10,450円/平方メートル~ |
シンプルなカラー展開のディプロマットスターは、細かい斑点模様のため単純な色ではなく、上品な雰囲気を演出してくれます。
1平方メートルあたり7㎏と瓦の約1/7の重さでありながら、表面は天然石の粒であるため、重厚感を失うことなく、高級感のある屋根に仕上げてくれるでしょう。
優れた耐風、防火、防水性能を持っており、表面の石粒の効果により、断熱性や遮音性も向上させています。
初期費用はかかりますが、30年のメーカー保証が付くなど、メンテナンスフリーであることを考慮すると、コストパフォーマンスが良い製品と考えられるかもしれません。
伊藤忠建材株式会社「スカイメタルルーフ」
メーカー | 伊藤忠建材株式会社 |
商品名 | スカイメタルルーフ |
価格 | 8,500円/平方メートル~ |
スカイメタルルーフにはイタリアで採られた玄武岩を細かく砕いた石粒が採用されており、さらにその石粒の層へ釉薬塗料を700度以上で焼き付けた仕様になっています。
釉薬を焼き付けることで表面にガラスコーティング膜が形成され、陶器瓦と同じ状態となります。
ガラスコーティング膜により、非常に長い耐用年数を獲得しており、20年以上のメンテナンスフリーを実現しています。
屋根の形状の特徴とおすすめ屋根材を紹介
ここでは屋根の形状における特徴やメリット・デメリット、おすすめの屋根材について紹介します。
3つの屋根形状に分けてそれぞれ解説していきます。
切妻屋根
切妻屋根の特徴、メリット・デメリット、おすすめの屋根材を表にまとめてみました。
特徴 | ・三角屋根で山型のシンプルな形状をしている |
---|---|
メリット | ・雨漏りしにくい ・形状がシンプルなためメンテナンスしやすい ・屋根裏を確保しやすい |
デメリット | ・妻側の外壁が傷みやすい ・破風板や軒天が傷みやすい ・デザインが単調 |
おすすめの屋根材 | ・日本瓦 ・アスファルトシングル ・スレート板 |
切妻屋根はいわゆるオーソドックスな屋根で、中央から左右二方向に勾配をつけて伸びている形状をしています。
水が回りやすい棟が一本しかないため雨漏りしにくく、形状がシンプルであることから、メンテナンスもしやすいです。
また施工にかかる費用が安いのも大きなメリットの1つです。
しかしながら、屋根が短くなっている妻側の部分は基本的に風雨や紫外線に晒されてしまうため、劣化が早いというデメリットがあります。
屋根材に関しては基本的にどの屋根材を使用しても問題ありませんが、デザインが単調であることから日本瓦やアスファルトシングルなどの屋根材を使用して、デザイン性を付与することでバランスが良い屋根になります。
また切妻屋根は屋根裏のスペースを活用するケースも多いため、断熱性の高いスレート板を使用して、屋根裏空間を快適に保つこともおすすめです。
寄棟屋根
続いて寄棟屋根についてまとめてみました。
特徴 | 頂上から4方向に傾斜しており、4面によって形成されている |
---|---|
メリット | ・外壁をしっかり保護してくれる ・デザイン性が高く、和風、洋風問わず活用できる |
デメリット | ・1つ1つの屋根面が小さいため太陽光パネルを設置しにくい ・屋根裏のスペースが確保しにくい ・工事費が高い |
おすすめの屋根材 | ・ガルバリウム鋼板 ・スレート板 |
寄棟屋根は切妻屋根と並んで主流の屋根形状で、頂上から4方向に傾斜がついている屋根で4つの面によって形成されています。
4方向に屋根が伸びているため、外壁をしっかりと保護してくれます。
形状も癖がないシンプルな形状であることから、和風洋風問わず活用できるデザイン性の高い屋根形状と言えるでしょう。
デメリットとしては屋根が4分割されていることから1面の面積が狭く、太陽光パネルなどを設置する場合に、設置が難しくなります。
ま、寄棟屋根を作るために必要な材料が多いことから、施工費が高くなってしまいます。
寄棟屋根も切妻屋根同様にどの屋根材を使用しても問題ありませんが、加工のしやすいガルバリウム鋼板やスレート板を活用することで施工がしやすくなるため、ガルバリウム鋼板、スレート板が屋根材としてはおすすめです。
片流れ屋根
最後に片流れ屋根について下記表にまとめました。
特徴 | 1枚の屋根が1方向に向かって傾くように形成されている |
---|---|
メリット | ・工事期間が短い ・メンテナンス費用や工事費用が安い ・太陽光パネルを設置しやすい |
デメリット | ・妻側の外壁が劣化しやすい ・雨漏りのリスクが高い |
おすすめの屋根材 | ・スレート板 ・セメント瓦 |
片流れ屋根は、棟から1方向に向かって傾斜している屋根で、屋根が1面でできています。
シンプルな構造をしていることから、工事期間が短く、難しい加工もないため、施工費用が安いです。
また屋根が大きな1面となっているため、太陽光パネルなどを設置しやすい点もメリットと言えるでしょう。
デメリットは妻側の外壁には屋根がほとんどかかっていないため、妻側の外壁が劣化しやすく、1方向に流れる形状となっているため、雨水が集中してしまい、雨どいの劣化を早めたり、雨漏りを引き起こす可能性があります。
片流れ屋根において最も大切なのが、雨漏りなどを防ぐ防水工事と湿気が抜けるための通気層を確保することです。
金属系屋根と比較してスレート板やセメント瓦は防水工事や通気層を設けやすい屋根材であるため、片流れ屋根におすすめです。
屋根材選びで重要なポイントは?
屋根材の形状で選ぶ
屋根材には種類も豊富にありますが、形状もさまざまです。
長方形や、うろこ形状など、屋根のデザインによって家の印象は大きく異なります。
長方形でも大きさが異なり、細かなデザインのものは可愛らしい印象に、大きい物は高級感を演出することもできます。
デザインによっては色が限定されることもありますので、理想とする屋根があるのであれば、先にデザインを決めることも良いでしょう。
人気メーカーの商品を選ぶ
屋根は一度施工してしまうと変更することは難しいです。
さまざまな屋根を検討していると、どの素材にすればいいか分からなくなってしまうこともあります。
そんな時は、人気メーカーの商品から選ぶことも1つの手段です。
人気メーカーは多くの人に選ばれるだけの理由があり、デザインやコスト、機能のバランスが良く、飽きることが少ない場合が多いです。
特徴的なデザインや、使用されることが少ない素材の屋根材はコストが高いことや、機能に偏りがあることもあります。
人気メーカーを再度検討することで見えてくる良さもあるでしょう。
おしゃれに仕上がる屋根材を選ぶ
一言でおしゃれと言うと難しく感じてしまいますが、屋根材を選ぶ際に参考にすると良い情報は沢山あります。
インターネットの施工事例を参考に、流行のグレー系を選ぶことや、施工店によっては屋根色をシミュレーションソフトで作成してくれることもあります。
また、施工店に経験豊富な方がいれば、デザインを任せてみることも良いでしょう。
個人で難しい場合はプロの手を借りることも検討してみてください。
コストパフォーマンスで選ぶ
屋根は素材によって、平米単価あたり4,000円〜25,000円と差があります。
新築時に安い素材を選ぶことで、初期費用を抑えることはできますが、その後のメンテナンス費用を忘れてはいけません。
メンテナンスには屋根素材に加え、足場費用も掛かるため、出費が大きくなりがちです。
メンテナンスに適した期間が5年の素材より、初期費用が高くてもメンテナンスが少ない方が長い目で見ると得をすることもあります。
家が建っている状況や、屋根の広さによってもコストパフォーマンスの良い素材は異なりますので、よく検討しましょう。
耐久性で選ぶ
家の中に水を侵入させず、快適な居住環境を守るために屋根の耐久性は重要なポイントです。
屋根は雨だけでなく、風や紫外線に晒されています。
軽い素材は地震には強いですが、風に弱い傾向があり、紫外線の影響を受け色あせてしまうと劣化の原因に繋がることもあります。
耐久性の良い素材は屋根を長く持たせることが出来るため、メンテナンス費用も抑えることができるでしょう。
立地状況なども考慮し、適切な耐久性を持った屋根素材を選ぶことも1つの選択です。
各種屋根材を取り扱う施工業者は?
瓦葺き工事業者
取扱屋根材 | 日本瓦、洋瓦、スレート系 |
施工業者の加入団体 | 全日本瓦工事業連盟 |
団体URL | http://www.yane.or.jp/ |
日本の伝統的な瓦はもちろん、一般的なスレート材や、海外製の商品である石粒付き金属屋根などの屋根材を取り扱うことができる業者です。
所属団体は1977年に設立され、瓦屋根工事の構法、設計、施工、品質管理に精通した「瓦屋根工事技士」の認定や、瓦屋根の状態を診断できる「瓦屋根診断技士」の認定など、瓦屋根に関わる業者の技術向上と発展を事業目的としています。
金属屋根工事業者
取扱屋根材 | 断熱材一体型横葺き金属屋根、アスファルトシングル、短尺の屋根材 |
施工業者の加入団体 | (一社)日本金属屋根協会 |
団体URL | http://www.kinzoku-yane.or.jp/ |
ガルバリウム鋼板である断熱材一体型の金属屋根材や、取り扱いが増えているアスファルトシングルなどを取り扱う業者です。
所属団体では、金属屋根工事に関わる技士の技術審査や講習会から、既存建築に使用されている屋根ふき材の耐風診断に関する研究、屋根性能計算ソフトの不具合修正など、金属屋根に関わる業者と社会に向け、幅広く活動しています。
屋根リフォームで、優良な会社を見つけるには?
本記事の屋根リフォームは一例で、「費用・工事方法」は物件やリフォーム会社によって「大きく異なり」ます。複数社の見積もりを「比較」をすることが重要です!
実際のリフォーム費用が気になった方は見積もり比較のステップに進みましょう!
「本当に信頼できる会社が分からない……」「複数社に何回も同じ説明をするのが面倒……」
そんな方のため、無料で簡単に比較できるようになっています。
大手ハウスメーカーから地場の工務店まで、1000社以上が加盟しており、全て厳正な審査を通過している会社ですので安心してご利用できます。
後悔しないリフォーム・満足できるリフォームのため、慎重にリフォーム会社を選びましょう!
この記事の監修者プロフィール
2級建築士、インテリアコーディネーター、住環境福祉コーディネーター。ハウスメーカー、リフォーム会社での建築業を幅広く経験。主婦・母親目線で様々なリフォームアドバイスを行う。主な担当は水回り設備リフォーム、内装コーディネート、戸建てリフォームなど。
無料で一括最大3社の
リフォーム見積もりをする