水と緑がつなぐ、歴史と未来のまち、寒川

神奈川県の中央部に位置し、相模川のほとりに広がる寒川町。都心から約50km、横浜から約30kmとアクセスに優れながら、自然と歴史が共存する魅力にあふれ、花のまちとしても知られています。寒川神社などの歴史的なスポットもあり、落ち着いた住環境が魅力です。

また、近年は産業の発展や交通インフラの整備が進み、年々住みやすさが向上しています。今回は、そんな寒川町の木村俊雄町長にインタビュー。まちや住みやすさの魅力、子育て施策や高齢者支援施策、また、木村町長が考える「まちづくり」の在り方について語っていただきました。

各地からアクセス良好、自然を保ちながら開発も進んだ寒川町

── 寒川町はどんなまちでしょうか?


寒川町は、神奈川県の中央部を流れる相模川の河口から上流約6kmの左岸に位置しており、相模川、目久尻川、小出川の3つの川に挟まれています。「寒川」の「寒」とは、冷たく清らかな水という意味からつけられており、その名の通り美しい水をはじめとする豊かな自然に溢れたまちでもあります

きれいな水が湧くところでは、産業が栄えます。昭和30年代半ばからの高度成長期に伴い工場が相次いで進出しました。当時のまちの努力により企業誘致が積極的に行われ、自動車や半導体などさまざまな工業を扱う企業が寒川町へやってきたのです。あまり知られていないのですが、現在ではこのコンパクトな寒川町の中で250もの企業が動いています

さらに工場の進出にあわせて宅地開発が急速に進行したことから人口が増加し、当時は神奈川県内で最も人口の多い町となりました。現在では都市化の進展により、立地条件を活かした都市型農業が展開されています

また、平成31年4月には、町の認知度向上や移住・定住の促進に向けてBMXフラットランド、スケートボード、ブレイキンの3つの世界大会(ARKLEAGUE 2019 IN SAMUKAWA)が開催されました。町外から延べ25,000人の観客が来場し、ストリートスポーツの聖地化へ向けて第一歩を踏み出したまちでもあります。

── 寒川町といえば、寒川神社でも有名ですね。


はい。駅が3駅、インターチェンジが2つと交通の便も非常に良く、各地から寒川神社へ参拝に訪れる人が見えます。2025年も、三が日にはのべ46万人の人々が参拝に訪れました。お正月だけではなく、年間を通してさまざまな祭典で盛り上がりを見せていますよ。

まちを作るのは、住人。そのための基盤を行政が整える

── 子育て支援にも注力している印象の寒川町。施策に入れている背景は何なのでしょうか?


寒川町総合計画2040では、まちの将来像を「つながる力で新化*するまち」としています。つながる力によるまちづくりには、「ひとづくり」が必要だと考えているのです。

寒川町が活力と潤いに満ち、持続可能なまちづくりを進めていくには、次世代を担う子どもたちの健やかな成長がとても重要です。子どもたち一人ひとりが、心身ともに健やかに成長し、子育てする人が「安心して子育てできる」と実感できること。そして、「寒川町に住んでよかった」と思っていただけるよう、地域社会全体で子どもの成長と子育てを支える環境を整えています。

まちの将来像にも取り入れている「つながる」という言葉。今の時代、一番重要なことではないかと考えています。寒川町だけに限らず、近所付き合いに対する人々の考え方は時代の流れとともに変わってきたように感じます。地域や近所で横のつながりを持ち、みんなで子どもの成長を見守っていた時代から、家庭単位で子育て・生活をする社会に変化してきました。だからこそ、意識しなければ地域のつながりというものはどんどん薄くなっていってしまうでしょう。

※新化:様々な社会経済環境の変化の中にあっても、新しく生み出しながら進んでいくことを意味する寒川町独自の言葉

──「ひとづくり」のためにも、つながりが大切だと考えているのですね。


そうですね。だから私たちは、行政の役割としてつながりを作るための環境・基盤作りを行おうと考えています。ポイントとなる、仕組みや制度作り、場作りを私たちが積極的に行う。それらを使って、住民の皆さんにも能動的に動いていただけるようになればいいなと考えています。

逆に言えば、行政が仕掛けているだけでは、これらは成り立ちません。例えば、地域のイベントやお祭り。最近では、さむかわ中央公園では毎週末のように何かしらのイベントが開かれています。そこへいろんな人が集まり、顔と顔を合わせてコミュニケーションを取る。手と手をつなげるだけなく、気持ちでつながり合う。住人同士がつながりあうことでまちがより活性化され、「まちづくり」や「ひとづくり」につながっていくと考えています。

── 寒川町での「子育て支援」について、具体的な施策やこれまでの実績についても教えてください。


助産師でもある母子保健コーディネーターが妊産婦に寄り添い相談支援を行うなど、出産前から切れ目のない支援を実施しています

その中でも寒川町は、産後ケア事業について、宿泊型・デイサービス型・訪問型の3タイプによる事業実施を湘南地域で最も早く始めました。母子保健コーディネーターと助産院などとの連携による高品質な支援は高い評価が浸透し、今年度もデイサービス型を中心に利用が伸びています。

── 移住や定住支援についてはどんな施策がありますか?寒川町へ住むことや、住居に関する支援についても教えてください。


勤労者施策として、町内在住の勤務者(事業所等に勤務し、使用者が給与を支払う者)が新築・中古住宅を取得した際に、寒川町の共通商品券5万円分を交付する「寒川町勤労者個人住宅取得奨励事業」があります

また、地域経済の活性化を促進するため、町内中小の事業者による住宅リフォームを行う事業を対象に、寒川町の共通商品券を最大3万円交付する「寒川町住宅リフォーム等建築工事推進助成事業」も行っています

さらに、寒川町商工会と協力し、地域の活性化を目的として、寒川版デジタル地域通貨「さむかわPay」 を令和7年2月3日 より運用開始しました。さむかわPayは加盟店で使うことができる無料のキャッシュレス決済アプリです。

令和7年度からは、寒川町勤労者個人住宅取得奨励事業等で助成している寒川町共通商品券をさむかわPayのポイント(行政ポイント)による助成に変更する予定です。今後も町の施策との連携やおトクなキャンペーン等も企画中です。

茅ヶ崎市と協同し、高齢者支援も充実

── 寒川町では高齢の住民の方はどれくらいいらっしゃるのでしょうか?


令和6年10月1日時点で人口49,025人、うち65歳以上の人口13,593人。高齢化率は27.7%です。


── 高齢の住民の方々には、どのような福祉支援や公共サービスを求める声や要望があるのでしょう?


第9次寒川町高齢者保健福祉計画(介護保険事業計画)策定時に行ったアンケートでは、「町が取り組むべき高齢者への施策として、今後特に実施させてほしいこと」の問いに対し、「在宅の高齢者を支える福祉サービスの充実、高齢者を介護している家族等への支援」の回答割合が高かったです。


── そんな中、寒川町では高齢者の方への支援はどんなものがあるのでしょうか?


寒川町では、茅ヶ崎市との協同実施で「在宅医療介護連携推進事業」を実施しています。また、介護家族の負担を軽減するため、家族介護教室の開催や寝たきり高齢者等おむつ代助成を行っています。

高齢者向けのサービスとしては、高齢者運転免許証自主返者等支援事業、配食サービスやごみの訪問収集、緊急通報システム、認知症等高齢者行方不明SOSネットワーク事業、その他にも元気はっけん広場、eスポーツ講座等の介護予防事業を行っています。

「みんなで」つくる寒川町へ。地域の声を活かしたまちづくりを


── これから町長はどんな寒川町を目指したいと考えていますか?また、今後行っていきたいことついても教えてください。


「住みたい、住み続けたい」と思ってもらえるような寒川町を目指していきたいです。

先にもお話したように「まちづくり」や「ひとづくり」、そのためのつながりを住民が能動的に作っていけるような状態が理想だと考えています。そのためには行政が考えるのではなく、地域の声を活かした政策を行っていくことが大切なのではないでしょうか。地域のリアルな声をキャッチするために、私たちが住民の皆さんと密にコミュニケーションをはかり、同じ目線に立つ姿勢が必要だと考えています

そのため寒川町の職員にも、部署や立場にかかわらずいろんなイベントに顔を出してもらうように伝えています。私自身、道路沿いの花壇を手入れするまちのボランティアには毎月参加するようにしているんです。

そうして、住民参画型の協働によるまちづくり、今以上に人々のつながりやにぎわいが感じられるような寒川町に"新化"していく未来を目指しています。

神奈川県寒川町長
木村 俊雄きむら としお
昭和24年生まれ。寒川町出身。寒川小学校、寒川中学校、茅ヶ崎北陵高校卒業後、昭和47年3月、法政大学第一社会学部卒業。平成23年8月28日の寒川町長選挙に立候補し当選。同年9月11日から第23代の寒川町長となる。
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