住まいのリフォームサイト「ハピすむ」のインタビュー取材を受ける所沢市・小野塚勝俊市長

子育て政策を異例のスピードで充実。市民の皆様お一人おひとりの『可能性が広がるまち日本一』へ

埼玉県と東京都の境に位置する所沢市は、豊かな自然に恵まれた都心近郊のまち。埼玉西武ライオンズの本拠地、『となりのトトロ』の舞台のモデルであることなど、全国的にも知名度が高い自治体である。

2023年10月、所沢市長選挙で初当選した小野塚勝俊市長は、異例のスピードで市政改革に取り組んでいる。今回は、その小野塚市長に、所沢市の魅力や、今後の公約実現に向けた取り組み、子育て政策にかける熱意を伺った。

住まいのリフォームサイト「ハピすむ」のインタビュー取材を受ける所沢市・小野塚勝俊市長

所沢は、『となりのトトロ』の舞台のモデル、埼玉西武ライオンズの本拠地、災害に強いまちなど、魅力あふれるまち

──最初に所沢市の特色や魅力を教えてください

所沢市は交通の便がとてもいいまちです。西武池袋線と西武新宿線がクロス(所沢駅)する唯一のまちで、池袋線と新宿線を徒歩やバスで行き来することができます。一方の路線に何かがあったときに、もう一方の路線に乗り換えて東京方面に行けるので、通勤・通学においても非常に便利です。

都心まで30分程度でアクセスできることも強みです。

鉄道のみならず、関越自動車道の所沢インターチェンジ、今年3月にフル化した三芳スマートインターチェンジ、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の入間インターチェンジが利用できるので、自動車で生活されている方にも非常に便利なまちだと思います。

所沢市は自然環境も豊かで『となりのトトロ』の舞台のモデルとなっています。

街なかの緑も豊富で、市の面積のうち緑地の割合が43パーセントあります。東京都武蔵野市、神奈川県横浜市は25パーセント前後ですし、同じ埼玉県内の同じ人口規模の越谷市は約30パーセント、川口市や草加市は15パーセント前後です。所沢市は緑が豊かであることが魅力となっています。

さらに、所沢市は災害に強いまちでもあります。住宅情報誌『SUUMO』の「災害に強い街」特集で、1都3県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)の中で所沢市が1位に選ばれています。

現在、所沢市役所が建っている場所は、日本で最初の飛行場ができたところです。

なぜ所沢に飛行場ができたかといえば、地盤が安定しているからです。先ほど西武線のことを申し上げましたが、西武線は地震など災害に強いことでも知られています。

このように、所沢市は都心へのアクセスが良く、緑が豊富で、地盤も安定している災害に強いまち。

この可能性を踏まえれば、所沢が日本一のまちになることは可能であると考えますし、私は市長就任以来「所沢を日本一のまちにする」と申し上げ続けています。

小・中学校の給食費無料化、18歳までの医療費無料化をスピード実現

──小野塚市長は、2023年10月の市長就任以来、異例とも言えるスピード感で市政に取り組まれています。特に子育て政策に力を入れていらっしゃいますね

現在、所沢市の人口は約34万人です。市民の皆様の多くは、住みやすい所沢市に家やマンションをご購入され、子育てをされています。

今後も、新たな子育て世代の方々に、所沢市の魅力を知っていただく政策は重要となります。

2023年10月の市長選挙でそのことを訴えさせていただき、子育て政策をはじめ、2024年3月までの5か月間で行うとした政策は、すべて公約どおり実現いたしました。

具体的には、2024年1月から所沢市内の小・中学校の給食費無料化を実現、10月からは子どもの医療費無料化を従来の15歳から18歳までに拡大いたします。埼玉県内の人口10万人以上の大きな市で、給食費無料化を実現したのは所沢市だけです。

また、私が市長に就任した初日には、それまで行われていた育休退園制度を廃止しました。

育休退園制度は、お子様が保育園などを利用している際に、保護者の方が育児休業を取得すると、そのお子様が保育園を退園しなければならないという制度でした。そのため、多くの方がご苦労を余儀なくされていました。

保育園の受入枠の大幅増(今年度125名分増、来年度も79名分増)

──なんでも、所沢市は以前、待機児童数が県内のワースト1位だったとか

簡単な話で、保育園の受入人数が足りなかったのです。

住んでいるお子様の数に比べて、保育園の受入人数が少ないままだったんですね。

ですから、私は保育園を増設することに加えて、保育士の方が所沢市で働きやすくすることによって、お子様を受け入れられる体制を作ろうと思いました。

まず、保育園の増設などにより、今年4月から113名分の受入枠を増やしました。

その結果、保育園の待機児童は大幅に減少しました。さらに7月にも受入枠を12名分増やし、来年4月からも79名分の受入枠の確保に向けて現在調整中です。

また、保育士の方の確保という点も重要です。所沢市では、保育士の方お一人当たり、市から月額2万8000円のお支払いをすることとしました。

これは、保育園などの施設はあるけれど保育士の方がいないために保育園に入れないという状態を解消するためです。

保護者の方にとって、お子様が保育園に入れるかどうかは大きな不安材料です。

今年4月時点での待機児童数は大きく減少しましたが、まだ待機児童の方はいらっしゃいますので、今後も子育てをしやすいまちにするため、保育受入枠の拡大や保育士の方の人材確保を続けてまいります。

子育て支援を充実、住み続けたいまちに

──子育て支援にかける市長の思いをお聞かせ下さい

子育て世代の方々に対する政策を優先して行うことで、子育て世代の方々に住み続け、さらに、移り住んでいただければ、地域が豊かになり、経済も回っていきます。

そしてそのことで、結果として高齢者の方々、障害のある方々にとっても、住みやすいまちになっていくと考えます。

このような「正の循環」を起こす目的で、市長就任以来、矢継ぎ早に政策を進めてまいりました。

──市長選挙では、兵庫県明石市の泉房穂前市長が小野塚市長の応援に駆けつけられましたね。泉前市長といえば、子育て世帯への充実した支援をして明石市を「住みたいまち」に変え、10年連続の人口増を成功させたことで知られています

私が市長選挙への立候補を考え、全国の自治体の事例を調べていたとき、明石市長をご退任なされた泉さんと出会いました。

その際、私の想いを伝えたところ、「じゃあ一緒にやろう」となったのです。

泉さんは、所沢市を「こんなに可能性のあるまちはない。日本一になるまちだ。もっと良くできる」とおっしゃっていました。

私は当然、そう思っていましたが、12年間にわたり明石市長をされ、様々な政策を実施してきた泉さんに言われると自信になりますよね。

明石市の成功事例を所沢市でも参考にすることで、所沢市が明石市以上のまちになると思いました。

2030年に中核市になることで市独自の保健所も設置

──市長は公約の一つとして、所沢市を中核市にすることもあげられています

中核市になると、2,000以上の権限が県から市に移ってきます。今までは県に確認をする必要があったことが、中核市になることで市として判断できるようになり、スピーディーな対応が可能となります。

市民の皆様へのサービスがこれまでと変わることになります。

私は、市長に就任した初日に「所沢市は中核市に移行します」と宣言し、その日のうちに「中核市移行プロジェクトチーム」を立ち上げました。

市に移る権限で一番象徴的なものは保健所の設置です。コロナ禍があったことで、保健所の役割はより重要になりました。34万人の市民の皆様の健康、生命を守るために必要な施設です。

ちなみに、所沢は日本で最初に保健所ができたまちです。そのまちに再び保健所を設置することとなります。

加えて、環境、福祉、教育の分野など、中核市になることで様々な権限と財源が市に移ります。市民の皆様は、身近な市役所で日々の生活の問題を解決できるようになります。

防衛医科大学校病院などを中心に、医療が充実(特に子どもの救急医療)

──所沢市の高齢化、高齢者福祉策はどのような状況でしょうか

高齢者の方には、ずっとお元気でいていただきたいと思います。そのためにも、高齢者の方が気軽に外出できる環境が大切です。

外出されることで、日々の生活の中での様々な繋がりを持っていただければと考えています。

所沢には、「ところバス」「ところワゴン」という市が運営している移動手段があります。高齢者の方の移動に係るご負担を軽減するため、70歳以上の方の乗車運賃の無料化を公約に掲げています。

国土交通省の認可や関係事業者との調整が必要となりますので、時間はかかりますが、実施に向けて今年から検討を進めています。

──移動以外の高齢者の方のサポートはどうでしょうか

介護予防では、筋力アップのための「トコろん元気百歳体操」を行っていますし、体操や交流を目的としたボランティア団体「お達者倶楽部」の活動も盛んです。

家の中に閉じこもらず、積極的に外出していただき、ずっとお元気でいらっしゃいますよう支援してまいります。

また、「地域でみまもり支え合い事業」として「トコろんおかえりQR」というものがあります。

認知症高齢者の方の身の回りのものにQRコードをつけていただき、道に迷うことなどがあれば、そのQRコードをスマートフォンで読み取ることで、ご家族に連絡が届くようになっています。

また、所沢市が持っている強みとして、医療が充実していることがあげられます。

市内には、防衛医科大学校があり、防衛医大ご出身の医師の方々が市内でクリニックを開かれたり、病院の院長さんなどにご就任されたり、地域に根差した医療をして下さっています。これは本当にありがたいことです。

何か起こったときには、防衛医科大学校病院が第三次救急医療を受け持つ医療機関として最後の砦を担っていて、様々な病院やクリニックも充実しています。

加えて小児医療の充実にも力を入れており、市立病院である「所沢市市民医療センター」では、平日昼間の 外来診療に加えて、小児夜間急患診療、小児深夜帯急患診療及び小児日曜日・休日急患診療を実施しています。

市民の皆様お一人おひとりの『可能性が広がるまち日本一』を目指す

──現在、所沢駅西口では大規模再開発をされていますね。完成するとどのようになるのでしょうか

市内で一番大きい所沢駅の西口は、いわば所沢の玄関口です。その玄関口に広域集客型商業施設「エミテラス所沢」が9月24日に開業し、年間1,200万人から1,500万人の方々の来場が見込まれています。

いわば、所沢の玄関口にあるコンシェルジュ、案内所ですね。たくさんある所沢の魅力を発信する大きなきっかけになると思っています。

所沢に来た方が、お買い物をするだけではなく、所沢って遊園地もあって、野球場もあって、ところざわサクラタウンもあって、トトロの森もあって…と、こんなに色々なものあるんだねって知っていただければ嬉しいです。

今日はここに行こう、今度はあっちに行ってみよう、いっそのこと所沢に住もうとなるかもしれません(笑)。

是非、多くの方に所沢の魅力を知っていただき、所沢に住みたいというきっかけにしていただければと思っています。

──最後の質問になりますが、小野塚市長が目指す所沢市の姿を教えていただけますか

インタビューの冒頭で、私は「所沢を日本一のまちにする」と申し上げました。

それは、所沢市に住むとご自身の様々な可能性が広がっていき、やりたいと思うことができるまち日本一を目指すということです。言うなれば、『可能性が広がるまち日本一』です。

所沢市には本当に様々なものが揃っています。このまちに住み、生活していくことで、ご自身の可能性がどんどん広がっていく。そのようなまちを追求していきたいと思っています。

日本一の主役は市民の皆様お一人おひとりです。市民の皆様の可能性が広がることをお手伝いするのが市役所であり、市長としての私の仕事です。

所沢市には、「日本一」になる可能性が十分備わっていると思っています。

※2024年4月取材時点(一部8月時点)の情報です

(取材・執筆/牛島フミロウ 撮影/編集部)

埼玉県所沢市長
小野塚 勝俊おのづか まさとし
1972年5月5日生。立教大学法学部国際・比較法学科卒業、早稲田大学大学院政治学研究科修了、東京大学EMP(エグゼクティブ・マネジメント・プログラム)修了。1995年4月、日本銀行に入行し、政策委員会室、国際局などで12年間勤務。トトロのふるさと基金で理事を務めるなどし、2009年8月、衆議院議員に初当選。2023年10月、所沢市長選挙にて初当選を果たし所沢市長就任。
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