目次
太陽熱温水器とは?
太陽熱温水器とは、太陽光の熱エネルギーを使って水を温める設備のことです。
太陽光を集める「集熱板」と水をためる「貯湯タンク」が一体化しており、水圧や高低差を活用して給湯します。
一見すると太陽光発電のような印象を受けますが、太陽熱温水器は水を温める機能のみなので注意しましょう。
また、太陽熱温水器はガスを使用しないため、光熱費の削減を期待できるとともに、自然にやさしいエコな給湯システムとして多くの人から好感を得ているのが特徴です。
太陽熱温水器の種類
太陽熱温水器の種類には「自然落下式」と「水道直結式」の2つがあり、これらは動力ポンプを使わないことから「自然循環式」と呼ばれています。
個々の太陽熱温水器の特徴は、以下の通りです。
種類 | 仕組み | 特徴 |
---|---|---|
自然落下式 | 屋根から配管を通して浴槽に直接流れる | ・仕組みがシンプルで費用を抑えられる ・シャワーでは利用できない ・手動で温度調節する |
水道直結式 | 屋根から配管を通して給湯器に供給される | ・自然落下式よりも費用がかかる ・シャワーなどでも利用できる ・給湯器の設定で温度調節できる |
自然落下式は、給湯器を介さず浴槽に直接流れるというシンプルな仕組み。
これにより導入費用を抑えられるのが特徴ですが、シャワーに利用できないなどのデメリットもあります。
一方、給湯器に供給される水道直結方式は温度調節が簡単にできるものの、費用が高額になりやすいのが難点です。
このように太陽熱温水器の導入を検討する際には、各設備のメリット・デメリットを把握しておく必要があります。
なお、太陽熱温水器を屋根に設置するメリット・デメリットについては、次の章で詳しく解説します。
太陽熱温水器を屋根に設置するデメリットは?
太陽熱温水器を屋根に設置するデメリットは、以下の通りです。
- メンテナンスが必要になる
- 非常用電源にはできない
- 導入費用が高額になる場合がある
「想像とは違った」と設置後に後悔しないためにも、あらかじめこれらのデメリットを理解しておきましょう。
【デメリット1】メンテナンスが必要になる
太陽熱温水器を長年使用していると、水漏れのリスクが高まります。
このような水漏れの修理や予防のためには定期的なメンテナンスが必要になるため、費用負担が発生します。
太陽熱温水器におけるメンテナンスの費用相場は、以下の通りです。
内容 | メンテナンスの費用相場 |
---|---|
点検のみ | 5,000〜10,000円 |
水漏れ修理 | 15,000〜20,000円 |
お湯が出ない際のフロート交換 | 20,000円 |
固定線の張替え | 30,000円 |
太陽熱温水器は日ごろから紫外線や風雨にさらされているため、点検の目安は2年に1度と比較的頻繁に実施してもらうのがおすすめです。
太陽熱温水器を検討する際は、導入費用はもちろんメンテナンス費用も踏まえて予算を組みましょう。
【デメリット2】非常用電源にはできない
太陽熱温水器の機能は給湯のみで、非常用電源にできないのがネックです。
「自然災害などの緊急時に備えたい」と考えている場合には、太陽熱温水器の利用は不向きだといえます。
また、太陽光発電のように売電できないことにも注意しましょう。
自然エネルギーをさまざまな形で有効活用したいのであれば、太陽熱温水器ではなく太陽光発電の方がおすすめです。
【デメリット3】導入費用が高額になる場合がある
太陽熱温水器のなかでも「水道直結式」は、導入費用が100万円前後と高額になる場合があります。
このような導入費用の負担を減らす方法としては、補助金の活用が挙げられます。
しかし、住宅用の太陽熱温水器に補助金を利用できるのは一部の地方自治体のみであるため、該当地域でない場合は導入費用の予算組みが大変になるという現状があります。
また、前述のとおり太陽熱温水器の維持には定期的なメンテナンスが必要なので、太陽熱温水器の寿命が近い場合は撤去することも検討しましょう。
太陽熱温水器を屋根に設置するメリットは?
太陽熱温水器を屋根に設置するメリットは、以下の通りです。
- 変換効率に優れている
- 光熱費の削減を見込める
- 省スペースで設置できる
住まい方によってはメリットを最大限に活用できる場合もあるので、設置する目的と照らし合わせながら読み進めていきましょう。
【メリット1】変換効率に優れている
エネルギーを熱などに変換する割合である「変換効率」は、太陽光発電よりもむしろ太陽熱温水器のほうが優れています。
太陽熱温水器が高い変換効率を持つ理由は、機能が水を温めることに限られており、シンプルな仕組みであることが挙げられます。
では、太陽熱温水器と太陽光発電における変換効率のちがいを、チェックしてみましょう。
種類 | 変換効率 |
---|---|
太陽熱温水器 | 40〜60% |
太陽光発電 | 10〜20% |
このように太陽熱温水器の変換効率は太陽光発電のおよそ3~4倍なので、無駄なくエネルギーを利用できるのが大きなメリットです。
【メリット2】光熱費の削減を見込める
太陽熱温水器はガスや電気を使用せずに給湯できるので、住まいにおける光熱費の削減が見込めます。
特に「毎日湯船に浸かる」といったライフスタイルの方は、大きなメリットを得られるでしょう。
ただし「自然落下式」の場合はシャワーなどが利用できず、温度調節も手動になるため注意が必要です。
そのため、太陽熱温水器で作ったお湯をシャワーなどで利用する場合には「水道直結式」を選ぶのがおすすめです。
【メリット3】省スペースで設置できる
太陽熱温水器は屋根全体に設置する太陽光発電のパネルに比べて、省スペースで設置できるのが魅力です。
屋根に十分な広さがなく太陽光発電を断念した場合でも、太陽熱温水器なら取り付けられる可能性があります。
また、省スペースかつ設置の際に複雑な作業がないため、短い期間で工事が完了するのもうれしいポイントです。
太陽熱温水器の設置・撤去費用はどれくらい?
太陽熱温水器における導入費用の相場は「自然落下式」で15~30万円、「水道直結式」で30~100万円が一般的です。
ここでは具体的なメーカーとして、以下の3つを紹介します。
メーカー | 商品価格帯 | 取付費用 | 撤去費用 |
---|---|---|---|
朝日ソーラー | 40〜43万円 | 7〜20万円 | 7~15万円 |
長府 (CHOFU) | 26〜34万円 | 7〜20万円 | 7~15万円 |
ノーリツ (NORITZ) | 25〜33万円 | 7〜20万円 | 7~15万円 |
なお、上記金額はあくまで目安であり、屋根の大きさや形状、仮設足場の設置方法などによって変動するおそれがあるので注意しましょう。
それぞれのメーカーについて詳しく解説します。
朝日ソーラーの太陽熱温水器の価格や特徴
商品名 | ECO BLACK(AS-230EBK) |
価格帯 | 40万〜43万円 |
特徴 | ・カラーステンレス鋼版の外装板で寿命が長い ・選択吸収塗膜で効率よく集熱できる ・日没後や朝でも温かいお湯が使える |
朝日ソーラーの太陽熱温水器「ECO BLACK(AS-230EBK)」は、耐久性が高いのが特徴です。
サビや塩害に強いステンレスを高い技術でカラーコーティングしており、長寿命にこだわった製品となっています。
集熱板には朝日ソーラー独自の選択吸収塗膜を使用しており、輻射(ふくしゃ)を抑えて効率よく集熱できるのもメリットです。
貯湯タンクは保温性に優れた素材でカバーしているので、時間帯に関係なく温かいお湯を使えて便利です。
長府(CHOFU)の太陽熱温水器の価格や特徴
商品名 | エコワイター |
価格帯 | 26万〜34万円 |
特徴 | ・商品ラインナップが多く目的に合わせて選べる ・大容量を貯湯できるタイプもある ・集熱効率がよく他の給湯器の使用頻度を減らせる |
長府(CHOFU)の太陽熱温水器「エコワイター」シリーズは、商品ラインナップが多く目的に合わせて選べるのが特徴です。
スタンダードタイプに加えて、集熱部の大きなワイドタイプや272Lと大容量を貯湯できるタイプもあります。
また、集熱効率がよく他の給湯器の使用頻度を減らせるのも嬉しいポイントです。
エコワイターは年間必要熱量の約2分の1を集熱可能で、季節によっては他の給湯器を使用せずに過ごせる場合もあり、光熱費軽減が期待できます。
ノーリツ(NORITZ)の太陽熱温水器の価格や特徴
商品名 | SJシリーズ |
価格帯 | 25万〜33万円 |
特徴 | ・薄型集熱パネルで屋根のデザインになじみやすい ・選択吸収塗装処理により効率よく集熱できる ・オプションで自動お湯はりが可能になる |
ノーリツ(NORITZ)の「SJシリーズ」は、薄型集熱パネルが特徴的な太陽熱温水器です。
厚みは60mmと薄いことから屋根のデザインに馴染みやすく、外観の違和感が少なくなります。
選択吸収塗装の処理をした集熱器を採用しており、無駄なく集熱できるのも魅力です。
オプションのスカイブレンダーを併用すると自動お湯はりが可能になり、手間を減らせます。
太陽熱温水器は元が取れる?
太陽熱温水器を導入すると年間のガス料金は半額以下になると言われていますが、元が取れるかどうかはトータル費用や光熱費などの条件によって異なります。
2023年の家計調査によると、2人以上の世帯におけるガス料金の月額平均は5,209円であり、このケースで元が取れる年数を試算してみましょう。
引用:総務省統計局|家計調査報告2023年(令和5年)平均結果の概要
- 太陽熱温水器の商品代:30万円
- 設置費用/撤去費用:20万円(10万+10万)
上記の条件のもと、導入後に50%ガス料金が節約できる場合は以下の通りです。
導入前のガス代 | 5,209円/月 |
導入後のガス代 | 2,605円/月 |
年間で節約できるガス代 | 31,248円/年 |
太陽光温水器の導入・撤去 | 50万円 |
元が取れる年数 | 約16年 |
上記の条件では、太陽熱温水器の元が取れる年数は約16年となりました。
しかし、家族構成によっては日ごろから多くのお湯を利用するため、より早く元が取れる可能性があります。
また、今回の試算ではメンテナンス費用を踏まえていない点にも注意してください。
元が取れる年数を理解したら、次は太陽熱温水器の寿命についても見ていきましょう。
太陽熱温水器の寿命は何年?
太陽熱温水器の寿命は15〜20年が目安とされていますが、環境や使用状況によっても変化します。
たとえば、定期的にメンテナンスや部品交換を実施していれば、寿命よりも長く使用することも可能です。
太陽光温水器における点検の目安は、2年に1度。
消耗部品などは、随時交換しましょう。
また、点検時期に関係なく「寿命が近くて心配」「お湯の出が悪い」といった場合にも、専門業者に点検を依頼してください。
水濡れが発生する場合もある
太陽熱温水器の経年劣化が進むと、水濡れが発生する場合もあるので注意しましょう。
水濡れを放置すると屋根が傷む危険性があり、見つけ次第早急に修理することが重要です。
また、経年劣化などが原因で太陽熱温水器本体が屋根から落下するケースもあるため、大きなトラブルの原因にもなります。
このようなトラブルを避けるためにも、故障する前に専門業者やメーカーによる点検を実施しましょう。
太陽熱温水器とエコキュートの違いは?
太陽熱温水器とエコキュートの違いは、以下の通りです。
種類 | 導入費用 | 機能 | 設置場所 |
---|---|---|---|
太陽熱温水器 | 15〜100万円 | 少ない | 屋根の上 |
エコキュート | 40〜70万円 | 多い | 水回りに近い地面の上 |
エコキュートは電気と空気の熱を活用して水を温める給湯器で、太陽光を利用する太陽熱温水器とはエネルギー源が異なります。
また、エコキュートには冬場に欠かせない「追い炊き機能」が搭載された機種がラインナップされているのも、大きな特徴のひとつ。
太陽熱温水器とはちがい地上面に設置するため、地震などの自然災害が発生した場合に落下や破損などの心配が少ないのも魅力です。
「屋根に負担をかけたくない」「環境にやさしく豊かな生活がしたい」という方には、エコキュートがおすすめです。
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