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目次
経済産業省と環境省が実施する「先進的窓リノベ事業」とは?
先進的窓リノベ事業は、日本の経済産業省と環境省が共同で実施している窓のリフォーム補助金事業です。この取り組みは、住宅の断熱性能を高め、効果的に改善し省エネルギー化と快適性の向上を促進することを目的としています。
この事業では、窓のリフォームによって生じるエネルギー効率の向上を支援するために、補助金が提供されます。経済産業省と環境省は、省エネルギー効果の高い窓への改修を奨励し、そのための費用の一部を補助金として支給します。
これにより、窓の断熱性や気密性の向上を図り、暖房や冷房にかかるエネルギーコストを削減することができます。
例えば、既存の窓を二重窓に交換することで、室内の温度調整や騒音の軽減を実現することができます。
また、断熱性能の高いガラスや断熱材の追加など、窓の断熱性を向上させるための改修も対象となっています。これにより、住宅や建物のエネルギーロスを削減し、快適な居住環境を実現することができます。
- 冷暖房費の削減
- 家庭からのCO2排出量の削減
- 住宅の省エネルギー性能の向上
補助対象となる住宅や工事内容が決められており、要件を満たすと5万円~200万円の補助金を受けとれます。申請は住宅の所有者ではなく、リフォームの工事業者が行います。
先進的窓リノベ事業は、地球温暖化防止やエネルギーの効率的な利用を推進するためにも重要な役割を果たしています。
省エネルギー効果の高い窓の普及により、CO2排出量の削減やエネルギーの節約が可能となります。
この補助金事業は、住宅所有者や建物オーナーにとって負担軽減の機会を提供し、エネルギー効率の改善に取り組む意欲を高めることも目的としています。
先進的窓リノベ事業で補助金の対象になるリフォームとは?
窓の断熱リフォームが補助金の対象になる
補助を受けるためには、まず以下の2つを満たす必要があります。
- 先進的窓リノベ事業の登録事業者である「窓リノベ事業者」と工事請負契約を締結し、窓の断熱リフォームをすること
- 窓のリフォーム工事をする住宅の所有者等であること
2の住宅の所有者については、所有者本人だけでなく家族が契約した場合でも対象となります。また所有している建物を、賃貸住宅として貸し出している個人や法人も対象です。
条件を満たせば戸建はもちろんマンションも補助金の対象になる
補助対象となるのは既存住宅です。具体的には、建築から1年以上経過している住宅、または過去に人が居住していた住宅を指します。
上記の条件を満たす住宅であれば、戸建てはもちろんマンションなどの集合住宅も補助対象となります。
補助金の対象になる主な4つのリフォーム工事
先進的窓リノベ事業では、事務局が一定の性能を満たすことを確認した「対象製品」を用いて、下記のいずれかのリフォームを行うことが条件です。なおかつ、補助額が5万円以上の工事でなければ対象とはなりません。
ガラス交換
既存のサッシはそのままに、窓ガラスのみを交換する工事です。ガラス部分が二重になっている複層ガラスなどへの交換が対象となっています。
ガラス交換は比較的手軽に行える工事ですが、サッシは既存のものを使うため十分な断熱効果を感じにくいかもしれません。
とくにアルミサッシは断熱性能が低いため、断熱性能を重視したい場合はガラスだけでなくサッシごと交換するのがおすすめです。
内窓設置
既存の窓の内側に新しい窓を設置して断熱性能を高める工事です。既存の内窓を新しいものに交換する場合も対象となります。
窓が二重になることにより開閉の手間は増えますが、ガラス部分のみが二重になっている複層ガラスより断熱性に優れている点が魅力です。
また外窓交換と違い外壁工事を伴わないので、費用や時間を抑えやすいのも大きなメリットでしょう。
外窓交換(カバー工法)
もともとある窓のガラスを取り外して、既存の窓枠の上から新しい窓枠を覆いかぶせて取り付ける工事です。窓のサイズを小さくしたい場合や、内窓の設置が難しい場合に向いています。
デメリットは、内窓の設置に比べると費用がかさんだり、サッシを取り付けるために必要な額縁を設置することで窓のサイズが小さくなったりする点です。
その反面、窓枠を新しくすることで部屋の印象を変えられたり、はめ込み式の窓から開閉可能な窓にするなど窓の種類を変更できたりするメリットもあります。
外窓交換(はつり工法)
既存窓のガラスと窓枠を取り外して、新しく窓枠を取り付ける工事です。サッシごと交換できるため、窓の断熱性能をより高められるメリットがあります。カバー工法のように窓が小さくなることもありません。
ただ、はつり工法では外壁工事を伴うため費用が高額になり、工期も長くなるデメリットがあります。
なお、以下のようなリフォーム工事は、補助金の対象にはなりません。
- ドアの一部として取り付けられているガラスを交換する工事
- 店舗兼住宅の店舗部分の窓ガラス交換工事
- バリアフリー改修
- 施主支給による窓ガラスの取付工事
- 中古品を用いた工事
「窓のリフォームの見積もりと費用相場」についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
先進的窓リノベ事業の補助額と補助上限額を解説!
補助上限額は最大200万円
補助上限額は、建物の種類に関係なく1戸あたり200万円です。同一住宅に複数回リフォーム工事をする場合でも、上限額の範囲内であれば何度でも申請を行えます。
補助額は、工事内容によって大きくて変わる
補助額は、工事内容とリフォームに用いる製品の性能やサイズにより異なります。
窓の性能は、熱の伝わりやすさを表す数値「熱貫流率(Uw)」によって以下の区分に分けられています。数値が小さいほど熱が伝わりにくく、断熱性能が高い窓ということになります。
窓の性能区分 | 熱貫流率(Uw) |
---|---|
P(SS) | 1.1以下 |
S | 1.5以下 |
A | 1.9以下 |
B | 2.3以下 |
またガラスのサイズは、以下の区分で分けられています。
区分 | ガラスのサイズ |
---|---|
大(L) | 1.4㎡以上 |
中(M) | 0.8㎡以上 1.4㎡未満 |
小(S) | 0.1㎡以上 0.8㎡未満 |
極小(X) | 0.1㎡未満 |
外窓交換では建て方の違いにより補助額が変わり、戸建住宅・低層集合住宅より中高層集合住宅のほうが多くの補助金を受けとれます。以下では建て方別に補助額をまとめました。
戸建住宅・低層集合住宅(3階以下)の場合
窓の性能 | サイズ | ガラス交換 | 内窓設置 | 外窓交換 |
SS | 大 | 48,000円 | 124,000円 | 183,000円 |
---|---|---|---|---|
中 | 30,000円 | 84,000円 | 136,000円 | |
小・極小 | 8,000円 | 53,000円 | 91,000円 | |
S | 大 | 32,000円 | 84,000円 | 124,000円 |
中 | 21,000円 | 57,000円 | 92,000円 | |
小・極小 | 5,000円 | 36,000円 | 62,000円 | |
A | 大 | 26,000円 | 69,000円 | 102,000円 |
中 | 17,000円 | 47,000円 | 76,000円 | |
小・極小 | 4,000円 | 30,000円 | 51,000円 |
中高層集合住宅(4階以上)の場合
窓の性能 | サイズ | ガラス交換 | 内窓設置 | 外窓交換 | |
---|---|---|---|---|---|
カバー工法 | はつり工法 | ||||
SS | 大 | 48,000円 | 124,000円 | 221,000円 | 221,000円 |
中 | 30,000円 | 84,000円 | 151,000円 | 151,000円 | |
小・極小 | 8,000円 | 53,000円 | 93,000円 | 93,000円 | |
S | 大 | 32,000円 | 84,000円 | 150,000円 | 150,000円 |
中 | 21,000円 | 57,000円 | 92,000円 | 92,000円 | |
小・極小 | 5,000円 | 36,000円 | 62,000円 | 92,000円 | |
A | 大 | 26,000円 | 69,000円 | 102,000円 | 92,000円 |
中 | 17,000円 | 47,000円 | 76,000円 | 92,000円 | |
小・極小 | 4,000円 | 30,000円 | 51,000円 | 92,000円 | |
B | 大 | 0円 | 0円 | 89,000円 | 0円 |
中 | 0円 | 0円 | 61,000円 | 0円 | |
小・極小 | 0円 | 0円 | 38,000円 | 0円 |
上記は開口部1カ所あたりの補助額です。複数の窓のリフォーム工事を行った場合は、上記の額に施工箇所数を乗じた額が補助額となります。
なおガラス交換においては、ガラスの枚数により補助額が変わります。そのため同一の開口部であっても複数のガラスを交換する際には、それぞれのガラスが補助対象となります。
条件 | 例その1 | 例その2 |
建て方 | 戸建住宅 | 中高層集合住宅(マンション) |
窓の性能 | SS | A |
窓のサイズ | 小 | 中 |
工事の種類 | 内窓交換 | ガラス |
工事箇所数 | 3箇所 | 2枚 |
補助額合計 | 159,000円(53,000×3) | 34,000円(17,000×2) |
補助対象となるためには、補助額が5万円以上でなければならないという条件があります。そのため上記の例2のように複数の窓ガラスを交換しても、補助額が5万円に満たない場合は補助対象外です。
性能の良いガラスを採用したり、工事箇所を増やしたりして補助額が5万円以上になるように調整しましょう。
対象期間は2023年12月31日まで!しかし予算上限に達してしまう場合も
先進的窓リノベ事業の対象期間は下記の通りです。
工事請負契約日 | 2022年11月8日~2023年12月31日 |
---|---|
着工日 | 窓リノベ事業者における登録申請日以降 |
交付申請期間 | 2023年3月31日~2023年12月31日 |
基本的には上記の期間内に工事・申請を行えば補助金の対象となります。ただし先進的窓リノベ事業には予算が設けられており、上記の期間内であっても予算の上限に達し次第、交付申請の受付が終了となります。
予算がどれだけ残っているかは、先進的窓リノベ事業の公式ホームページで確認可能です。リフォーム工事を始める前にチェックしておきましょう。
※くわしくは経済産業省・環境省の「先進的窓リノベ事業」公式ホームページも確認ください。
「先進的窓リノベ事業」公式ホームページ
先進的窓リノベ事業での補助金申請方法とその流れ
先進的窓リノベ事業の交付申請などの手続きは、窓リノベ事業者として登録されている施工業者が行います。自分で申請できるわけではないので注意しましょう。
先進的窓リノベ事業に登録しているリフォ-ム業者を探す
先進的窓リノベ事業の補助金を受けとるときは、必ず「窓リノベ事業者」として登録されているリフォーム業者に工事を依頼しなくてはいけません。
登録事業者は先進的窓リノベ事業の公式ホームページから確認できます。ただホームページには公表を希望する業者しか掲載されていないので、掲載されている業者以外に気になる業者がある場合は直接問い合わせてみると良いでしょう。
複数のリフォーム業者に見積もりを依頼してみる
気になる業者を見つけたら、見積もりを依頼しましょう。見積もりを依頼する段階で、先進的窓リノベ事業を利用したい旨を伝えておくと、工事内容や製品が対象かどうかを確認してもらえてスムーズです。
なお、窓リノベ事業者として登録されているからといって、そのリフォーム会社が国や事務局に優良と認定されているわけではありません。
そのためリフォーム業者によっては、想定していた予算内に収まらなかったり、思った通りの工事に必ずしもならない可能性も考えられます。
見積もり内容に納得できない場合や、相場が分からない場合など、疑問が残るときは複数の業者から見積もりをとることをおすすめします。
書面での工事請負契約が必須
見積もり内容に納得できたら、工事請負契約に進みます。先進的窓リノベ事業では、工事金額や工事内容に関わらず、書面による工事請負契約の締結が必須です。
補助金申請の際にも工事請負契約書のコピーが必要となるので、必ず作成してもらいましょう。
手続きから3カ月間予算を確保してくれる交付申請予約をする
交付申請の予約とは、交付申請予定額をあらかじめ確保しておくことです。
先にもご説明したとおり、先進的窓リノベ事業の補助金には予算が設定されています。そのため着工時には予算に余裕があったとしても、工事が終わったときには予算の上限に達している可能性があります。
そうなると条件を満たしていても補助金が受けとれません。交付申請の予約をしておけば、手続きから3カ月間予算を確保しておけるため安心です。
交付申請の予約は任意で、手続きを行えるのはリフォーム業者のみです。交付申請の予約を希望する場合は、リフォーム業者に相談してみましょう。
リフォーム業者が工事完了後に補助金の交付申請をする
基本的には、工事請負契約書に記載のある全ての工事を終了した時点で引き渡しを行い、補助金の交付を申請します。ただし下記の条件を満たす場合は、全ての工事が終わる前に補助金の交付申請が行えます。
- 補助対象のリフォーム工事が終了している
- 新設した窓やガラスを工事発注者や居住者が利用している
交付申請の予約と同様、交付申請もリフォーム業者が行うので、自分がやらなくてはいけないことはとくにありません。
リフォーム業者に補助金が振り込まれる
事務局により交付申請が受理されると、リフォーム業者に通知がきます。その約1カ月~2カ月後にリフォーム業者の口座に補助金が振り込まれます。
補助金は原則リフォーム工事の支払いに充当されますが、契約内容によっては現金で受けとれることもあります。
こどもエコすまい支援事業との併用はできる?
こどもエコすまい支援事業と先進的窓リノベ事業は、同一の工事請負契約でも併用することが可能です。ただし、1つの窓で両方の補助金を受けとることはできません。
併用できる条件を理解しないまま、誤って「こどもエコすまい支援事業」と「先進的窓リノベ事業」を重複申請した場合、交付申請が無効となり補助金を受けとれなくなります。事前にしっかり確認しておきましょう。
「こどもエコすまい支援事業」についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
地方自治体の補助金制度との併用ができる場合も
1つの窓に対して使える国の補助金制度は1つのみです。つまり、先進的窓リノベ事業で補助を受けた窓に対して、こどもエコすまい支援事業など国が実施しているほかの補助金制度は使えないということです。
ただ地方自治体の補助制度は併用できることがあります。利用条件や補助内容が自治体により異なるので、窓のリフォーム工事を行う前に各市町村のホームページや窓口で確認しておきましょう。
まとめ
この記事では先進的窓リノベ事業について解説しました。先進的窓リノベ事業は窓を断熱リフォームすることにより最大200万円の補助金が受けとれる便利な制度です。
ただ条件を理解しないまま工事請負契約をしてしまうと、補助金の対象外となる恐れがあります。
窓のリフォーム工事でも、工事内容や採用する製品によってはリフォーム費用が高額になります。補助金をしっかり受けとれるように、事前に各補助金制度の概要を理解しておきましょう。
- 窓のリフォームについて知りたい方は、こちらページでも詳しく解説しています!
「窓のリノベーションをする方法」
「窓を大きくするリフォームの費用は?」
「窓の建付けを修理する方法やポイントについて」
「窓の建て付けが悪くなる原因と調整する方法について」
「窓が閉まらない・ロックできないときの対処法」
補助金・税金を用いたリフォームの業者選びで後悔しないために
必ず相見積もりを複数取って比較しましょう!
リフォームの費用・工事方法は、業者によって大きく異なるからです。
とはいえ「信頼できる業者が分からない」「何度も同じ説明をするのが面倒」と踏み出せない方もいらっしゃると思います。
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