すべてが「感謝」、前向きになるには『感謝の心』に立ち戻ることが大切なんです
1993年パリコレ初参加後、モデル業以外でも、タレント、俳優、歌手としてバラエティ番組やラジオ・ドラマ・映画・舞台・TVCM出演など幅広く活躍中のアン ミカさん。
今回のハピすむ特別インタビュー前編では、ポジティブマインドになれると大人気の「スーパーポジティブ日めくりカレンダー『今日もアン ミカ』」(講談社)に収録されている言葉が、アン ミカさんのこれまでの人生でどんなターニングポイントとなったのか、そしてこだわりのライフスタイルについても詳しく伺います。
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アン ミカ流スーパーポジティブ・マインドの極意「すべては感謝の心」
――アン ミカさんから毎日の元気をもらいたくて『スーパーポジティブ日めくりカレンダー今日もアン ミカ』を買われる方も多いと思うんですが、ずばり、「スーパーポジティブな生き方」の極意とはなんでしょうか?
アン ミカ すべてが、「感謝」かと。前向きになるには「感謝の心」に立ち戻ることが大切だと思っています。
感謝の心を持つためには、日頃から「自分は今朝、無事に起きれたから幸せ…」とか「いろんな時代の中、学べて幸せ」とか世界を広く知ること、そして自分の置かれた立場を把握することが大切だと思っています。
自分の「中道」、つまり気持ちの真ん中に「戻ってくる場所」を見つけておくこと、そして自分を知っておくっていうことが大切です。
ちなみに、人間関係で失敗しがちなのは喜怒哀楽の「怒」と「哀」の表現といわれています。
自分は「怒り」と「哀しみ」をどういった時に持ちやすいのか…を知っておくとよいでしょう。たとえば、『存在を軽んじられたと感じた時』『気になる言葉遣いをされた時』などなど、みんな人それぞれにパターンがあるはずです。
自分の心癖は他人の方がよく知っていて、自分のことは意外と自分ではわからないものです。
『怒ってとげのある言い方をしてしまった』『落ち込んで自分を責めすぎてしまった』など被害者意識にとらわれてしまいそうな時に、「いや、またいつもの自分の心癖が出てきたから、ここは心の『中道』に感謝の道に戻ろう」と冷静になりイメージすることが、起こる出来事をポジティブに変換する土台となるでしょう。
つまり、起こる出来事に対して『なんで私ばっかり』と被害者意識を持つことは心に加害者意識を作り、人のせいにする心癖をつけ、成長の芽を摘んでしまう…。
「人間は幸せになるために生きているんだから、起こる出来事は全部、私が幸せになるために必要な修行で、知恵と工夫に変えていける器づくりのためだ」という風に思えばいいんじゃないでしょうか。
「幸せになるために、『今回はこんな出来事をしっかり受け取って、そこから学んで、次に活かそう』と思えれば、それが知恵になり、次の幸せのために自分がまた階段を上がれる」と私は考えているのです。
人生で乗り越えられない壁はない、壁は全部幸せになるための試練
――アン ミカさんの著作に「神様は、超えられない壁は与えられない」という言葉がありました
アン ミカ 実家が火事になり、兄弟がバラバラに預けられることになった時に、私が教会の神父様に「本当に神様っているの?世の中、幸せになるために一生懸命頑張っている人に、なんでこんな試練を与えるのかわからない。理不尽だ」と反抗的に言ったことがあるんです。
その時に、神父様がこう仰ってくださいました。
「起こる出来事には3つの原因がある。1つ目は、自分が投げたブーメランが戻ってくること。だから、まず自分の胸に手を当てて、自分が何かしていないかを考えることが大切」と。
それで心当たりが少ないという時は、2つ目が原因。
「人生で起こる出来事は、その人が幸せになるために必要な知恵をつけるための人生のハードル。だから、そのハードルを上手に乗り越えられたら、より幸せになる。周りで似たようなことで悩んでいる人がいたら、寄り添ってあげられる力もつく」
「人間は必ず幸せになるために生まれているから、人生で起こる出来事、ハプニングを信頼しなさい」と。
3つ目の原因は、「起こる出来事から目をそらそうとすると、神様は幸せになるために何度でも乗り越えるためのハードルや壁を作られる。人間に乗り越えられない壁はないから、壁は全部幸せになるための試練です。
一番大切なのは出来事やハプニングを全部信頼すること。幸せになるために起こっていると信頼することです」と。
この時の言葉は今の私の礎になっています。
アン ミカさんが大切にしている言葉たち「悩めることは美しいし、悩めるって素晴らしいこと」
――人生のターニングポイントで救われた言葉、頑張れた言葉というのは今回のカレンダーの中にも収録されていますか
アン ミカ 2つあります。まず1つは、「何事も、悩めるって幸せだ」という言葉。
これは、大阪の財界人の方から頂いた言葉で、個性派モデルすぎて需要が少なかった頃からずっと私を応援してくれていた方の言葉なんです。
私が一念発起して親のお墓を作りに韓国に行き、その後すぐに留学をして1年間仕事を休んだことがあるんです。その際に、この方が韓国に遊びに来てくださいました。
その時、悩んでいたことを少し相談したら、「悩めることは美しいし、悩めるって素晴らしいことなんだ。一生懸命もがいて生きているから、きちんと悩んで答えを出したら、必ず幸せになれる。悩んでいること自体がすごく素晴らしいことなんだよ」と。
帰国した後、その悩みが自分なりにお腹に落ちたので報告しようと連絡をしたら、その方は亡くなっていたんです。末期のガンで、命がないのがわかっていたから、私に会いに来てくださっていたんです。
その方が命をかけて、「悩めるということは、すごく美しく素晴らしいことだ」というのを教えてくださった。
そう気づいた時、自分に未来があると信じているからこそ、悩んで、もがいている自分を愛おしく感じました。あの時の言葉は、大きな私の人生のターニングポイントになりました。
「人間は一生中途半端で、死ぬまで未完成」人生のターニングポイント
――カレンダーに収録されている「不安はあなたの味方」という言葉に通じますね。悩みや不安を持っている方はとても勇気づけられると思います
アン ミカ ありがとうございます。
それともう1つ、30代で甲状腺の病気である橋本病にかかったことがあります。午後3時ぐらいになると視界がグレーになって、体中のカロリーが全部抜けてしまったように感じて、すごくしんどくなる。今50代になってわかりますが、更年期のような症状が毎日続くような状態だったんです。
私はずっとご機嫌に生きてきたので、この頃はしんどすぎて、笑顔になれない時がありました。
この時に、「自分の機嫌は自分で取ること」を大事にしなきゃいけないと思いましたね。それまでの私は、完璧主義っぽいところがありました。
売れなかった時期が長かったので、いただいたお仕事を200%で返したいという思いがあって必死だったんですね。
そうやって自分が一生懸命になればなるほど、周りにも一生懸命を求める人間になってしまっていたんです。
病気を経験してから、「人間は一生中途半端で、死ぬまで未完成」だって気づきました。
だから、完璧を自分に求めても、他人に求めても仕方がないっていうことがお腹に落ちたのが30代、40代ですね。これもすごくターニングポイントになって、楽に生きられるようになったんです。
カレンダーには、この時に身を持って感じた「手放すと手に入る宝物」「人生一生中途半端」という言葉を入れています。
――今回のカレンダーでは、アン ミカさんがこれまで人生の転機を乗り切ってきた、いろんな主力の言葉がたくさん入ってるんですね
アン ミカ 人生で支えてもらった言葉を、中学生くらいから書き留める癖がありました。前回のカレンダーも、それまで自分を助けていただいた言葉たちはあったんですけど、今回は特
に、自分から発信した言葉も多いんです。
最近では、講演会でお話しさせていただく機会が増えて、学園祭にもたくさん行かせていただくようになりました。
その中で、若い方から「夢がない」とか「夢の持ち方がわからない」など、いろんなお悩みを相談させていただく機会を得たんです。
その時に、本当に『相談に乗らせていただく』という気持ちになれたんです。自分で思ってもみない言葉が出てきて「こんな言葉を自分が出せるようになったんだ」っていうことに気づかせてもらえました。
だから、それまでは誰かからいただいて励まされた言葉が多かったんですけれど、今は本当に自分がそう思うなって感じた経験から人に伝えられる言葉が沢山あります。
ミドルエイジになったアン ミカさんが想うこと、感じること
――ミドルエイジ以降の転機についても教えていただけますか。また、その時に支えられた言葉もぜひ教えて下さい
アン ミカ カレンダーには「当たり前は奇跡」という言葉も入れています。これは年齢を重ねて、そしてコロナ禍での未曾有の経験もあり、今生きているということは当たり前じゃなく奇跡なんだな、って深く感じるようになったことがきっかけです。
毎日「行ってきます」と家を出て、「ただいま」と帰ってくることが本当に奇跡。時代が違っていれば、私たち女性は学ぶ機会すらなかったかもしれない。
今や私たちが自分の意思で何かを選択できて、何かを悩めるということ自体が、本当は幸せなんじゃないかなって思うんですね。
情報化社会になればなるほど、本当に様々なニュースが目や耳を通じて入ってきます。いろんな国で、いろんなことが起きていますよね。
改めて、感謝して生きることが大事なんだなってすごく感じます。
私は、両親を早くに亡くしています。母は40過ぎで亡くなり、おじいちゃんは25歳で亡くなりました。私が母親の年齢を超えた時には<奇跡で生きている>と思えましたし、父が亡くなった年齢をもうすぐ超えようという時なので、今生きていることが、より奇跡なんだなって思えるんです。
この言葉は、私が自分ができるから書いてるんじゃなくて、できないから書いています(笑)
――お仕事の面では、ミドルエイジに差し掛かって変化を感じたことや、刺さった言葉はどんなものがありますか
アン ミカ 今回のカレンダーに、「希望を持つのはええで。勝手に期待して怒るのはやめとこう」と書かせてもらっています。
歳を重ねて自分ができて当たり前のことが増えると、マネージャーさんや周りの助けてくださる若い方にも同じように求めてしまうんですよ。「できるよね」って。
それで、できなかった時に勝手に失望しちゃうんですけど、これって私の勝手な期待で、まわりのみんなにとっては経験したことがないことなんです。
自分ではそれを知ってるつもりでも、やっぱり期待してお願いしちゃうことも多くて、そこは日々反省です。希望を持ちながらお願いするっていうのはいいけど、期待しすぎる。
これは、さっきお伝えした「人間は一生中途半端である」っていうことにも繋がっていくのかと。
自分ができるから、自分だったらこれぐらいの力でやろうとする。たとえば、私が120%の力でやろうと思っていることを、この人はなんで70%ぐらいでやるの?と決めつけちゃうようなところが私には心癖であるように思えます。
「希望を持つのはいいが、勝手に期待して怒らない」という言葉は、いわば自分への戒めです。
このカレンダーの言葉は、私が自分ができるから書いてるんじゃなくて、できないから書いているんです。(笑)
ミドルエイジ以降で大きく変わったことの1つは、以前は「自分はこう実践してるから、あなたたちもして」って、まわりの皆をちょっと頑張らせるところがあったのが、今は自分の『心癖』がわかってきて、「みんな一緒。私もできない。一緒にやらせてもらってます」と、頭を下げられるようになったことです。
だから今回のカレンダーでは、呼びかけで「せなあかん!」みたいな感じじゃなく、言葉をまろやかにしています。「自分でこの言葉を気をつけさせていただいてるので、一緒にやりませんか」と、そう素直に言えるようになりました。
インタビュー後編では、アン ミカさんのライフスタイルからスーパーポジティブ思考を生み出す日々のヒント、そしてアン ミカさんの考える「素敵な老後」について伺ってみたいと思います。ご期待ください。
【インタビュー後編はこちら】「老いを笑えるぐらいの気持ちでいること。それが私の考える『元気な老後』」アンミカさん理想のシニアライフとは
(執筆・取材/牛島フミロウ)