2024年04月23日更新

監修記事

任意売却をすると信用情報はどう扱われるのか  

任意売却と信用情報とはどのようなことか

任意 売却 信用 情報

任意売却と信用情報。どちらも日常会話ではあまり使われることはありません。ですが、住宅ローンに深い関わりのある用語です。はたして、どのような意味があるのでしょうか。詳しくご紹介しましょう。

任意売却

住宅の購入に際して、住宅ローンを借りると、金融機関は抵当権を設定します。そして、いざローンの返済が不可能となると、この抵当権を行使して、住宅を競売にかけます。

競売にかけられると、裁判所の手続により、売却されることになります。競売で売却される金額は、市場価格よりもかなり低い額になるのが一般的です。

また、競売は裁判所の行う手続であることから、自宅が競売物件であることが公になり、広く知られます。このため、近所の人にも住宅ローンが支払えなかった事実を知られてしまいます。これらの欠点を補えるのが、任意売却です。

任意売却は、ローンの返済が不能になった際に、裁判所の手続によらずに自宅を売却する方法です。通常の売買と同じように、買主をみつけて売却します。

見た目は普通の不動産売買と変わらないので、ローンが返済不能になったことを、近所の人に知られることはありません。また、売却価格も市場価格に近い価格になる可能性もあります。

その家に住む予定のない不動産会社や親戚に自宅を売却し、その人と賃貸借契約を結ぶ「リースバック」という手法を使えば、売却した後も、元の自宅に住み続けることができます。

信用情報

信用情報とは、本人を識別するデータに、ローンの返済状況やクレジットカードの支払い状況に関するデータを合わせた情報です。信用情報機関が情報を収集しながら、管理しています。

金融機関は貸付契約に際して、指定信用情報機関に信用情報の提供を申し出ます。そのため、過去に借金を滞納していたりすると、この事実を金融機関に知られて、住宅ローンの借り入れができないこともあります。

任意売却をすると信用情報機関に登録されるのか

それでは、任意売却をすると信用情報機関に登録されるのでしょうか。

信用情報機関は借金返済の遅延に関する情報は保有していますが、任意売却の情報は収集していません。そのため、任意売却に関する情報が、金融機関に提供されることはありません。

しかし、任意売却をするからには、それなりの事情があります。金融機関としては、任意売却をするよりは、ローンを返済してもらう方か望ましいので、任意売却は本意ではありません。

それでも任意売却に応じるのは、いよいよローンの返済が不可能であることが明白になったからです。 返済を何カ月も滞納されれば、さすがに次の手立てを打つほかありません。

したがって任意売却案件のほぼすべてが、住宅ローンが滞納されている状態だといっていいでしょう。このローンの返済が遅延している事実を、信用情報機関に報告されるのです。

つまり、任意売却をしたら信用情報機関に登録されるのではなく、住宅ローンを滞納すれば登録されるのです。

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任意売却中の住宅ローンは支払わなければならない?

任意売却は、金融機関にとってあまり歓迎できる選択肢ではありません。貸付金の全額返済も確約されていないうえ、売却のために煩雑な手続を経る必要があるからです。

金融機関にとっては、当初の契約どおりに住宅ローンを返済してくれることこそがベストなのです。

したがって、任意売却を選択せざるを得ない状況に追い込まれない限り、金融機関は重い腰をあげません。それが住宅ローンが返済されないという実績です。

何度か返済の督促をされて、そのうち任意売却を提案すると、金融機関がそれに同意してくれる可能性があります。そうなると、精神的な負担となっていた督促状も届かなくなるかもしれません。

しかし、住宅ローンでの返済がなくなったからといって、返済義務がなくなったわけではありません。事態はさらに深刻になっているのです。

実は住宅ローンの返済が分割でできていたのは、「期限の利益」という、分割で返済する権利を有していたからです。この権利は「一回でも返済が遅れると消滅する」と金融機関と交わした契約書に記載されています。

つまり住宅ローンという形態は消滅してしまったものの、相変わらず、残額は債務として存在しており、それを一括で返済する義務が生じたということです。

任意売却後、どれくらいの期間信用情報機関に登録されるのか

現在日本には、3つの信用情報機関があります。それぞれ延滞情報の登録期間は5年と公表しています。それでは、いつからどれくらいの期間登録されているのか、ケースごとにみていきましょう。

任意売却後にローンを完済した場合

任意売却によって処分した不動産が、ローンの残額より高く売れた場合は、売買が成立した時点で負債が消滅しますから、返済をした日から5年経てば、登録が抹消されます。

任意売却後に残債を支払う場合

任意売却によって処分した不動産が、ローンの残額より低い金額でしか売れなかった場合は、残額をさらに返済する必要があります。

しかし、残額を分割で返済することを認めてもらえたうえで、その後きちんと返済を続ければ、新たなローン契約を締結した日から5年が経てば、登録は消滅します。

任意売却後自己破産した場合

任意売却をしたものの、思うような金額で不動産を売却することができず、残額も返済できないため、結局自己破産の道を選択した場合はどうなるのでしょうか。

自己破産の情報記録は、3つの信用情報機関で対応が異なっています。2つの機関は5年ですが、残りのひとつの機関は10年としています。したがってこのケースでは、自己破産の免責確定日から5年ないしは10年で、登録が消えることになります。

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任意売却はどのように進められていくのか

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それでは、任意売却は実際にどのような手順で進められるのか、順を追ってみていきましょう。

1. 住宅ローンの滞納

人員整理により会社を突然解雇されたために、住宅ローンが払えなくなったらどうなるでしょうか。

数日もすれば銀行から電話が入り、早急に入金するよう求められます。それがやがて手紙による催促になり、2カ月も経てば督促状という文書が送付されてきます。

これ以上滞納を続けると「期限の利益の喪失」により、一括での返済を求められます。ここに至るまでになんとか手立てをしないと、銀行は一気に競売手続に進みます。

2. 相談先の選定

いろいろ思案した末、任意売却が最善だと判断した場合、誰に相談すればいいのでしょうか。

まず銀行は、任意売却には積極的なスタンスではないので、相談をしてもあまり協力は望めません。

それでは、大手の不動産会社がいいのでしょうか。実は任意売却には独自の知識が必要なのです。一般的な不動産会社は、任意売却に関するノウハウをあまり有していません。

任意売却は、民法に関する深い知識と利害関係、人との調整能力が求められます。これらは長い経験によって培われるものですから、やはり任意売却を専門にする会社を選択するのがベストといえます。

3. 現状確認

任意売却に際しては、債務などの現状確認をする必要があります。税金を滞納していると、売却したい不動産を差し押さえていることがあります。

差押えられている物件は、原則として売却できませんから、滞納している税金をただちに納めて、差押えを解除してもらう必要があります。

債務者も1社だけとは限りません。だれが抵当権を設定しているかの確認が必要です。また、住宅ローンの契約に当たって連帯保証人がいないかを確認しなくてはいけません。

4. 不動産の査定

任意売却に際しては、肝心の売却物件が、実勢価格でいくらくらいの価値がある物件であるかを、把握しておく必要があります。

この段階で、任意売却の媒介をしてもらおうと考えている会社に、不動産の査定をしてもらいます。任意売却の専門会社のほとんどが不動産業を営んでいますから、査定もお任せできます。これを元に、売り出し価格を決めます。

5. 媒介契約締結

いよいよ不動産売却手続を進めていくことになりますから、任意売却手続を依頼した会社と、媒介契約を締結します。この際に、債務者の代理人になることを契約に盛り込みます。

6. 債権者または抵当権者と保証人との交渉

任意売却をするには、すべての利害関係者の同意が必要です。誰か一人でも反対をすると、話を進めることはできません。

このため媒介契約者が間に立ち、銀行(債権者・抵当権者)や住宅ローンの連帯保証人と交渉をして、任意売却をすることについての許諾を得ます。

7. 任意売却の開始

任意売却が開始されることになりますが、売り出し方は一般の不動産と同じです。

競売の場合だと、競売物件であることが公にされるので、近所の人にも住宅ローンを滞納している事実が知れ渡りますが、任意売却では、滞納していることを他人に知られることはありません。

8. 購入者の選定

通常は、購入希望者の中から最高額を付けてくれた人に決めることになります。いろいろと融通のきく親戚が購入してくれた場合などは、条件によってはそちらを選定することもあります。

9. 債権者の同意をとる

売却に際しては、債権者の同意が絶対に必要です。売却金額が債務の額より多ければ、ほとんどの場合は拒絶されることはありませんが、債務額を下回った場合は、同意を得られないこともあります。

10. 任意売却契約の締結

買主が決まれば、任意売買契約を締結します。

11. 引越しかリースバック契約の締結

売買契約締結に際しては、通常は先に引っ越しを済ませて、家の中に家具や荷物が残っていない状態で引き渡します。

引き続き元の家に住みたい場合は、買主と賃貸借契約がを結ぶリースバックという方法があります。賃貸借契約を結ぶ場合は、任意売買契約と同時に行います。

12. 任意売却契約の完了と清算

売買契約の締結、負債額の支払い、抵当権抹消の抹消は同時に行います。このため手続を司法書士事務所で行う事もあります。

交渉次第では引っ越し費用などの諸費用を銀行が負担してくれることがあります。その際の支払いもこの場で行います。

13. 新しい生活のスタート

これで手続がすべて完了しました。新居で心機一転新しい生活をスタートすることができます。リースバックの場合は元の住居のままで、家賃を納めながら気分を一新して生活をスタートします。

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ここまで説明してきた不動産売却は、あくまで一例となっています。

正確な売却金額を知るためには、売却前に「売却査定」を受ける必要があります。

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一生のうちに不動産売却をする機会はそこまで多いものではありません。

後悔しない、失敗しない売却をするためにも、不動産会社選びは慎重に行いましょう!

この記事の監修者プロフィール

【監修者】株式会社worth style home 濵田昭平

株式会社worth style home

濵田昭平

2005年より東京急行電鉄株式会社財務戦略室主計部にて都市開発における多様な事業セグメントの業務を経験。2012年1月より都心部で高級マンション賃貸仲介業を展開する株式会社ModernStandardへ転職し、賃貸仲介営業職での最短トップ記録樹立。2014年1月より「株式会社worth style home」での総合不動産業をスタート。1,000万円~10億のマンション・土地等の売買仲介業務を行う。

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