2024年01月22日更新

監修記事

自宅は売却して終わりじゃない!確定申告で最低限知っておきたいこと

自宅を売却した際には、売却によって得られた利益について確定申告を行わなければなりません。自宅売却時の確定申告で必要な書類、確定申告を行うタイミング、確定申告を行う際に注意するポイントなどについてご紹介します。

不動産売却時に確定申告が必要なケースについて

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不動産売却時に利益が発生した場合は確定申告が必要

不動産売却によって得られた利益は、税法上「譲渡所得」に区分され、譲渡所得税として確定申告を行わなければなりません。

この譲渡所得税は、居住している不動産を売却する際にも対象となります。

ただし、譲渡所得税はあくまで売却によって利益が得られた際にかかる税金であるため、売却によって損失が発生している場合には確定申告を行う必要はありません。

しかし、損失が発生した場合についても、確定申告を行うことによって損益の通算が行えたり、控除が受けられたりするケースがありますので、不動産を売却した際には念のため、確定申告を行っておいた方が良いでしょう。

不動産売却の際にかかる税金について

不動産売却時にかかる税金の種類とその他の費用

不動産を売却する際には、譲渡所得税の他にも、さまざまな税金や費用がかかります。

まず、売却益に課せられる税金は、住民税と譲渡所得税です。

譲渡所得税とは不動産の売却時に利益が得られた場合に課せられる税金で、住民税は年間所得に課せられる税金となります。

この時、消費税を納める義務がある場合には、追加で消費税を納めなければなりません。

売買の際に作成する契約書については、売買金額に合った収入印紙を貼る必要があるため、印紙税も必要です。

費用については、物件の仲介を依頼した場合には、不動産会社に仲介手数料がかかります。

不動産の名義変更や抵当権抹消などの登記費用も必要となり、手続きを司法書士に依頼した場合は司法書士への手数料も必要です。

その他にも、土地の面積を正確に測量して売買価格を決める場合には測量費用が、確定申告を税理士に依頼する場合は、税理士費用がかかります。

課税譲渡所得金額と税額の計算方法

譲渡所得が発生したかどうかはどうやって計算すればいいのでしょうか?

譲渡所得は、売却益から不動産の取得費を引いたものです。

この取得費は、物件を購入した際の金額から減価償却分を減らし、さらに手数料などの費用を追加します。

減価償却の計算方法は色々ありますが、定額法の場合は、「購入代金×0.9×償却率×経過年数」です。

また、売却時の仲介手数料や印紙税の売主負担分、立ち退き料などは譲渡費用として、売却益から引くことができます。

長期譲渡所得と短期譲渡所得

譲渡所得には、不動産を所有していた期間によってかけられる税率が変わり、所有期間が5年以下の場合は短期譲渡所得、それ以上は長期譲渡所得になります。

税率については、短期譲渡所得の場合が所得税と住民税を合わせて39.63%、長期譲渡所得の場合は所得税と住民税の合計が20.315%です。

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不動産売却時に譲渡利益や譲渡損失がある場合の特別控除について

不動産の売却時には、譲渡によって発生した利益または損失に対し、税金の優遇措置が受けられる場合があります。

マイホーム売却時に譲渡利益がある場合の特別控除

マイホームを売却した際に、譲渡利益が得られた場合には、3,000万円を譲渡利益から引いた額を元に所得税を計算するという制度があります。

この制度を利用する条件は、自分が居住している家屋または居住しなくなって3年目の12月31までに売却すること、親子や夫婦などの近親者に売却していないことです。

また、この制度は3年に一度しか適用することができず、この期間内に物件を買換えた場合は制度を利用することができません。

ただし、この制度の利用条件には居住年数についての制限はありませんので、購入してすぐに売却した場合でも、3年以内に制度を利用していなければ、控除を受けることは可能です。

居住期間に関する特例については、10年以上不動産を所有していた場合に対象となる「10年超所有軽減税率」というものがあります。

こちらは、居住用の不動産を売却した際、その不動産を10年以上所有していた場合に所得税と住民税の税率が低くなる制度です。

長期譲渡所得の場合、税率は所得税と住民税の合計で約20%ですが、この制度を適用すると、売却益が6,000万円以下の部分にかかる税率が所得税と住民税を合わせて14%に軽減されます。

売却益が6,000万円を超えている場合については、6,000万円以上の部分に、所得税と住民税を合わせて20%の税率をかけて計算します。

また、「10年超所有軽減税率」については、「3,000万円特別控除」との併用が可能です。

例えば、9,000万円の売却益が得られた場合で考えると、9,000万円から3,000万円を引いた6,000万円の部分に、10年超所有軽減税率の税率である14%をかけて税金額を計算します。

マイホームを買換える場合の特例について

住宅の売却の際に得られた利益を使用し、住み替え用の新居を購入した場合についても特例の対象となります。

この特例は、「買換え特例」と言い、売却時の譲渡所得を新しい住居を売却する時点まで繰り越すことができる制度です。

例えば、住宅の売却時に1,000万円の譲渡所得があり、その譲渡所得分を使用して新居を4,000万円で購入、さらに新居を5,000万円で売却したとします。

譲渡所得を個別に見てみると、最初の売却時が1,000万円、新居の売却は1,000万円となり、本来は売却した時点でそれぞれ税金についての計算を行わなければなりません。

しかし、この特例の対象となった場合、最初の1,000万円の譲渡所得を繰り越せるので、新居を売却するまで税金が発生せず、売却後に譲渡所得を合計して税金を計算することができるのです。

先ほどの例で考えると、最初の売却時には税金が発生せず、2度目の売却時にそれぞれの売却益を通算した2,000万円を元に税金を計算するということになります。

この制度は、一見あまりメリットが無いように思えますが、新居を購入後3年以内に売却した場合など、3,000万円特別控除の制限に抵触する場合などに有効な方法です。

もし、個別に税金を計算した場合、最初の売却時に3,000万円特別控除の適用を受ければ、新居を3年以内に売却すると3,000万円特別控除を利用することができません。

しかし、買換え特例があれば、最初の譲渡所得を新居売却時まで繰り越すことができるため、3年以内に新居を売却したとしても、双方の譲渡所得を合計して3,000万円特別控除の対象として扱うことができます。

マイホーム売却時に譲渡損失がある場合の特別控除

不動産を売却した際に譲渡損失が発生した場合、どのような制度を利用することができるのでしょうか?

住宅を売却した際に発生した譲渡損失については、給与所得などの所得と損益を通算することができます。

つまり、年間所得が600万円で、譲渡損失が1,000万円なら、損益を通算して400万円の損失があったという計算となり、所得税を大幅に減らすことができるのです。

また、この損失は売却した翌年から3年間繰り越せるため、上記の例なら残った400万円の損失を翌年の所得と損益通算することができます。

ただし、この制度は住宅の買換えを行うかどうかによって譲渡損失の計算方法が変わるため、場合によっては制度の適用が受けられません。

制度の適用条件は、買換えの場合、譲渡価格から取得費と譲渡費用を引いたものが譲渡損失とされます。

買換えを行わない場合には、住宅ローンが残っていることが条件となり、住宅ローン残高から売却金額を差し引いた金額を限度として、損益通算と繰越が可能となるのです。

自宅を売却した時の確定申告に必要な書類について

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自宅を売却した際には確定申告が必要です。

申告を行うにあたってどのような書類が必要なのでしょうか?詳しく見ていきましょう。

確定申告書B様式

確定申告の申請用紙には、いくつかの種類がありますが、不動産を売却した場合については「確定申告書B様式」を使用します。

これは、事業所得や不動産所得があった際に利用するもので、不動産所得の確定申告を行う場合以外にも、自営業の方なども使用する用紙です。

申請用紙は、税務署の窓口での入手以外にも、国税庁のホームページからダウンロードすることもできます。

また、事前準備が必要ではありますが、専用のウェブサイトを利用して必要事項を入力して行う「e-tax」なら、申請用紙を事前に入手する必要はありません。

譲渡所得の内訳書

売却した不動産に関する情報や、売却した金額、売却のためにかかった費用などを記入する書類です。

不動産を売却すると税務署から用紙が送られてきますので、確定申告までに記入して保管しておきましょう。

購入時と売却時の売買契約書

購入時と売却時に作成した不動産の売買契約書についてコピーを用意しておきます。

コピーした売買契約書については、確定申告の際に添付しますので、申請書と一緒に保管しておきましょう。

売却した建物について、取得時に新築した場合や、購入後に改築した場合については、工事請負契約書のコピーも添付します。

登記簿謄本

登記簿謄本は法務局で入手することができる書類で、確定申告の際には売却した不動産の全部事項証明書を用意してください。

全部事項証明書は、建物と土地が別々に記載されていますので、土地と建物の両方をまとめて売却した場合には、双方の全部事項証明書が必要です。

また、譲渡所得税の3,000万円特別控除や、相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例について申告を行う場合は、元本を提出する必要はありません。

全部事項証明書の入手にかかる手数料は、書面で請求した場合が600円、オンラインで申請を行い、郵送で受け取る場合が500円、オンライン申請で窓口受け取りの場合は480円です。

手数料の支払いについては、窓口で受け取る場合はその場で支払うことができますが、オンライン申請の場合はインターネットバンキングやATMを利用して納付することができます。

仲介手数料などの領収書のコピー

売買代金受領書や仲介手数料の領収書、固定資産税精算書、増改築を行った場合は工事代金領収書についてコピーを用意します。

仲介手数料や売買代金受領書、固定資産税および都市計画税の精算書については、取得時と譲渡時のものがそれぞれ必要です。

取得時に土地を購入し、ハウスメーカーで家を新築した場合については、工事代金の領収書のコピーも用意します。

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自宅売却後の確定申告の流れ

自宅を売却して確定申告をするときの流れは以下のようになります。

(税務署に申告書類を提出するケースを説明しています。e-taxの流れは、http://www.e-tax.nta.go.jp/で確認してください)

1.確定申告に必要な書類を準備

前述した「自宅売却における確定申告に必要な書類」の書類の中で、自分で準備できるものについては、早めに準備しておきましょう。

自宅の売却を検討し始めたら、あらゆる領収書を保管するくらいのつもりで、確定申告に備えてください。

なお、申告で提出する書類については、毎年1月中旬から下旬にかけて配布が開始されています。

2.確定申告書の準備

税務署に取りに行くか、国税庁のホームページからダウンロードして書類を手に入れます。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/qa/03.htm

3.確定申告書を作成

取り寄せた申告書類に記入します。記入について不明な点は、国税庁のホームページで確認するか、空欄にしておき、申告時に税務署職員の指導を受けてください。

4.提出書類の確認

申告書の記入と同時期に、売買契約書や領収書などの必要書類を揃えます。

売買契約書や領収書はコピーをとっておきましょう。

5.確定申告書や関連書類を税務署に提出

申告書と関連する書類が揃ったら税務署に提出します。

毎年、期限が近づく3月上旬になると窓口が大変混み合います。

不備があれば、持ち帰ってやり直さなければならないこともあるので、受付が始まったら早めに提出することをおすすめします。

自宅を売却した時の確定申告はいつ行えばいいのか

売却した翌年に確定申告を行う

確定申告では、前年の1月1日から12月31日の間に得られた所得について申告を行います。

そのため、不動産売却を行った場合には、売却を行った翌年の確定申告で不動産売却に関する申告を行わなければなりません。

例えば、2018年に不動産売却を行った場合は2019年に確定申告を行わなければなりませんし、2019年に売却したらなら、2020年が確定申告のタイミングです。

確定申告は売却した翌年に行う必要があるため、年末に不動産を売却すると、必要書類の調達や記入といったスケジュールに余裕が持てないこともあります。

このような場合には、売却前に用意できる書類についてはあらかじめ用意しておくと、スケジュールに余裕を持って準備を進めることができるでしょう。

2月16日~3月15日と決まっている

確定申告の期間は、毎年2月16日~3月15日と定められています。

この期間中に確定申告に必要な書類を揃え、税務署窓口または郵送で申請を行わなければなりません。

もし、何らかの事情によってこの期間中に確定申告を行うことができなかった場合には、無申告加算税が加算されてしまいます。

ただし、申請期限を越えてしまった場合でも、期限から2週間以内に自主的に確定申告を行い、確定申告で発生する税金を期限までに納めていれば無申告加算税は課せられません。

しかし、申告を行った日の前日から5年間のうちに無申告加算税や重加算税を課されていない、もしくは無申告加算税の不適用を受けたことがある場合は、上記の条件を満たしても無申告加算税が課せられます。

事前に準備すればインターネットで行える

確定申告書類を郵送する場合は郵便局等に、窓口で申告する場合は税務署まで出向く必要がありますが、仕事の都合などで平日に時間を作るのが難しい場合にはどうすれば良いのでしょうか?

このような時間的な都合で申請が難しい方向けに、インターネットを利用して確定申告を行うことができるサービス「e-tax」が用意されています。

e-taxでは、専用のソフトを利用して必要事項を記入すれば、そのままデータを送信して申請を行うことが可能です。

ただし、e-taxを用いた確定申告では、添付書類を別途郵送する必要があるため、不動産売却を行った年のみ確定申告を行うという場合には、郵送での申請でもそれほど作業内容に違いはないでしょう。

e-taxの利用については、マイナンバーカードと認証用のカードリーダーまたは、税務署で発行できるIDとパスワードが必要ですので、希望される方は確定申告の時期が来る前に用意しておきます。

インターネットに接続する機材については、以前はパソコンが必要でしたが、2019年の確定申告より、スマートフォンアプリが利用できるようになりました。

スマートフォンアプリを利用して確定申告を行う場合は、マイナンバーカードを用いた認証は使用できませんので、税務署でIDとパスワードを発行してもらう必要があります。

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自宅を売却した時の確定申告のポイントについて

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給与所得ではないので年末調整で処理できない

給与所得者の場合、医療費などの控除について年末調整で処理することができます。

しかし、不動産の売却によって得られた所得については、年末調整の対象外として扱われるため、年末調整によって処理することができません。

そのため、給与所得者であっても、不動産の売却を行った際には、確定申告を別に行う必要があります。

建物のみ「減価償却費」が発生する

不動産売却時には、譲渡所得税がかかりますが、この譲渡所得税は売却価格から取得費を差し引いたもので計算されます。

取得費は不動産の購入費用のことですが、新築物件を購入した場合、築年数が経過するため、基本的には売却すると新築時より安価になることがほとんどです。

そのため、土地価格が値上がりしていない限り譲渡所得税がかからないと思えますが、実は確定申告では、建物部分について取得費に減価償却が適用されます。

減価償却とは、建物を建築してから毎年どれだけ資産価値が下がるかを表すものです。

不動産の場合は固定の割合で価値が下がる定額法が用いられており、木造住宅の場合は、

  • 「建物購入価格×0.9×0.046×年数」

で減価償却が計算されます。

不動産の価格は新築時が最も高く、築浅物件だとしても中古ならば大幅に売却価格が低下するものですので、減価償却で価値が下がったとしても売却価格が購入価格を超えることはほとんどありません。

ですが、上で触れたように土地価格が上昇している場合などには、売却によって利益が発生し、譲渡所得税を納める必要がでてくる場合もありますので、注意しましょう。

不動産売却を依頼する際の業者の選び方について

不動産売却を不動産業者に依頼する場合、どのように業者を選べば良いのでしょうか?

不動産の売却価格は、物件の年数や状態、立地条件、景気などによって変わりますが、不動産業者の販売計画によっても変動します。

不動産業者を探す際には、まずインターネット上で利用できる一括査定サービスや、不動産情報誌などを利用して複数の業者を選定し、相見積もりを行うと良いでしょう。

相見積もりを行えば、対応や売却想定価格などについての比較を行うことができるため、よりよい業者を選ぶことができます。

また、親族や友人で不動産を売却した方がいらっしゃる場合には、売却を依頼した不動産業者を紹介してもらったり、不動産業者の対応について相談したりするのもおすすめです。

売却に満足しているなら喜んで紹介してくれるでしょうし、もし不満があった場合には前もって情報を教えてくれるので、手間を掛けずに良い業者を探すことができるでしょう。

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不動産売却に対応する優良な不動産会社を見つけるには?

ここまで説明してきた不動産売却は、あくまで一例となっています。

正確な売却金額を知るためには、売却前に「売却査定」を受ける必要があります。

そのとき大事なのが、複数社に査定依頼して必ず「比較検討」をするということ!

「調べてみたもののどの会社が本当に信頼できるか分からない…」

「複数社に何回も同じ説明をするのが面倒くさい...。」

そんな方は、簡単に無料で一括査定が可能なサービスがありますので、ぜひご利用ください。

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一生のうちに不動産売却をする機会はそこまで多いものではありません。

後悔しない、失敗しない売却をするためにも、不動産会社選びは慎重に行いましょう!

この記事の監修者プロフィール

【監修者】株式会社worth style home 濵田昭平

株式会社worth style home

濵田昭平

2005年より東京急行電鉄株式会社財務戦略室主計部にて都市開発における多様な事業セグメントの業務を経験。2012年1月より都心部で高級マンション賃貸仲介業を展開する株式会社ModernStandardへ転職し、賃貸仲介営業職での最短トップ記録樹立。2014年1月より「株式会社worth style home」での総合不動産業をスタート。1,000万円~10億のマンション・土地等の売買仲介業務を行う。

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