2024年04月17日更新

監修記事

天井を吹き抜けにリフォームする費用は?

住宅リフォームとして吹き抜けを設置すると、今までより空間が広くなるため開放感が向上するのですが、照明はもちろんどうしても空調や火災報知器の離隔距離の問題が出てきます。リビングを吹き抜けに改装した場合の費用と、これらの問題の解決方法についてご紹介します。

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住宅のリフォームで吹き抜けを作る利点

リビングやその他の居住空間を吹き抜けにリフォームすると、一体どのようなメリットが得られるのでしょうか?

吹き抜けを作るためには建物全体の工事が必要となるため、もし作ってみてもあまり意味が無いようなら費用が無駄になってしまいます。

吹き抜けを設置するメリットは、なんといっても開放感と家族とのつながりが得やすいということです。

吹き抜けがあれば天井が床から遠くなるため、空間が広がり、同じ住宅でも開放感が一気に向上します。

また、吹き抜けが無い場合は2階との接点は階段だけになりますが、吹き抜けを作り2階の部屋に室内窓を作ったり、廊下と手すりで空間を共有することで2階が直接繋がるようになるため、家族の気配を感じやすくなるでしょう。

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吹き抜けを新しく作るためにかかる費用

通常の2階建て住宅の1階の部屋をリフォームして吹き抜けを設置する場合、吹き抜け部分にある2階の部屋を撤去し、天井を作り替えなければいけません。

そのため、工事はどうしても大がかりなものになってしまうので、費用も工事期間もある程度かかることに注意してください。

吹き抜けのみを作る場合の費用は、建物の構造にもよりますが、約150万円が相場となります。

2階など直接屋根がかかっている部屋に吹き抜けを作る場合は天井の撤去と屋根裏部分の断熱処理や仕上げだけで構造的な問題はありませんので費用は下がってきます。

構造上、柱や梁の位置を変更する必要がある場合には倍以上かかることもありますので、複数の業者に見積もりをとり、工事の内容と費用について確認しておきましょう。

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吹き抜けを作るデメリットにはどんなものがある?

吹き抜けを作ると、開放感が高まり、住宅環境が快適になりますが、もちろん欠点もあります。

それは、空間が広がることによる暖房効率の低下です。

廊下部分などを吹き抜けにする場合は空調が必須では無いため、あまり気にならないのですが、リビングなどの生活空間を吹き抜けにする場合、どうしても温度を管理しなければいけない空間が広がってしまいます。

そのため、エアコンについてもリフォームの際には広い面積に対応したものに変更した方が良いでしょう。

元々全体空調を導入されているのならこのようなデメリットはありませんが、部屋ごとに空調を入れている場合は、空調の交換費用もかかることに注意してください。

吹き抜けによって下がった空調の効率を良くする方法

空調は部屋の気温や体積によって効果が変化します。

そのため外壁や窓が十分に断熱できているなら、多少空間が広がったとしても、エアコンの性能を増えた体積に対応させることで有る程度カバーできますが、上下への空間の広がりは横への広がりと違い熱を上部に偏らせるためサーキュレーターなどで熱を拡散させるような方法を加え、効率の悪さを補う工夫が必要でしょう。

しかし、元々の構造があまり断熱効果の無いものの場合は、吹き抜けを作ることでより壁や窓の面積が広がるため、外気温が室内に及ぼす影響が大きくなってしまいます。

このような建物の場合、吹き抜けを作ると同時に屋根下の部分の断熱を充分に行い、外壁に断熱塗装を施工したり、夏の熱気や冬の冷気の出入り口となる窓を二重窓などの断熱性の高いものに交換することで空調効率の低下をある程度抑制できるでしょう。

ただ、断熱塗装については、100平米で約80万円が相場ですので、吹き抜け工事と同時に施工すると余計に費用かかってしまいます。

ですが、空調の効率が悪いとその分電気代が高くなってしまい、月々の電気代が高くなってしまいますので、断熱工事については先行投資と割り切って施工するといいでしょう。

もちろん室内の温度差を抑制する事でヒートショックも防げますし、快適性が上がるでしょう。

天井を吹き抜けにリフォームする費用は?
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火災報知器は何処に設置すると良い?

吹き抜けにリフォームした場合に困るのが火災報知器の設置場所です。

火災報知器は天井に届いた煙や熱を感知して警報を発しますが、吹き抜けがあるとそちらに煙や熱が移動するため、リビングなどの室内に設置しても正確に検知することが難しくなってしまいます。

そのため、吹き抜けがある場合は吹き抜け部分の天井に火災報知器を設置するのが望ましいのですが、吹き抜けはどうしても天井が高くなってしまうため、個人でのメンテナンスができません。

メンテナンスを容易にするために壁取付けタイプの火災報知器を用いるという方法もありますが、壁設置の場合は天井との離隔距離が150mm以上、500mm以内と定められているため、結局メンテナンスが難しいままということもあります。

少し手間と費用がかかりますが、吹き抜けに設置した火災報知器のメンテナンスは、業者に任せた方が安全です。

警報器の種類と離間距離について

火災報知器には熱検知、煙検知、炎検知の3種類のタイプがあります。

吹き抜けのある部屋や廊下の場合は煙感知タイプがおすすめなのですが、壁からの離隔距離が600mm必要となるため、場合によっては離隔距離の問題で設置が難しいこともあるでしょう。

ただ、火災報知器は義務として定められていますし、家族の安全を守るためには欠かせない設備ですので、できる限り検知できる場所に設置するのが望ましいとされています。

吹き抜け用の火災報知器を設置する場合には、法令や火災報知器に詳しい業者に依頼し、できる限り問題の無い場所に設置して貰うようにしましょう。

天井を吹き抜けにリフォームする費用は?

いずれにしても1Fと2Fの一部屋を完全吹き抜けにする場合は、建築全体の構造によっては強度に関わる問題が生じる可能性もあり構造計算の必要もあります。また大規模改修として建築確認の有無の判断もあります。

相談や見積り依頼は、規格住宅優先のハウスメーカーより注文住宅を多く手掛ける地元の建築会社への相談をお勧めします。

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リフォーム工事で吹き抜けを作ると何が変わる?

リビングや玄関などをリフォームして吹き抜けを作ると、住宅環境は大きく変化します。

まず、天井が無くなることで開放感が増加し、同じ部屋の広さでもより広々と、快適な生活が送れるようになるでしょう。

また、吹き抜けに窓を多く設置することで、屋外から光をより家の中に取り込むことができるため、室内を明るくなります。

ただ、開放感や明るさを得られるというメリットはありますが、空間を広げることによるデメリットもあるため、リフォームで吹き抜けを作る場合はデメリットを許容できるかどうかを判断しておかなければいけません。

天井を吹き抜けにリフォームするメリット・デメリットは?

天井を吹き抜けリフォームするために必要な準備は?

住宅のリフォームで天井を吹き抜けにリフォームする場合、まず建築士に依頼して吹き抜けのために梁などを取り除いても強度的に問題が無いかどうか確認して貰う必要があります。

注文住宅や建売住宅の場合、一部屋分の構造材を取り除くと強度が不足する可能性があるため、場合によっては補強工事が必要です。

また、家の構造次第では補強工事だけでは構造強度が足りず、柱や梁を追加する必要も出てきますので、家全体のリフォームとなってしまう可能性もあります。

もし新築の段階で将来的に吹き抜けに改装したいと考えるなら、注文住宅ならあらかじめ吹き抜けの設置ができるようにしておくことも可能ですので、設計士と相談しておくと良いでしょう。

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3階建ての住宅に吹き抜けは作れる?

結論から言うと、3階建ての住宅に吹き抜けを作ることは可能です。2階リビングから3階へと吹き抜けを設けていると、トップライト(天窓)からの光が2階へと降り注ぎ、明るく居心地の良い空間となります。

1階から3階まで吹き抜けにしている住宅もありますが、そうなるとさらに縦空間が広がる吹き抜けとなるため、より開放感が増します。1階から3階まで見上げる景色は圧巻で、吹き抜けを回り込むように設けた階段からの景色は各階によって違った印象を与えます。

階段の手すりをガラスや格子状の手すりにすることで、空間を遮断せずに開放感を出すことができます。吹き抜けがあると縦空間がつながって開放的になるだけでなく、空間のつながりにより2階から3階にいるお子様を見守ることなども可能です。

壁は透湿性のあるクロスを採用する、熱は上に上がるためファンをつけたり断熱性能をあげるなど、温度・湿度への対応に工夫をするといいでしょう。

吹き抜けを設ける際の注意

吹き抜けを設けるにはある程度の床面積が必要になります。狭小な敷地に建てた家の場合は、吹き抜けによって床面積を削ることになるので、空間にゆとりがあるか確認をしておきましょう。床面積にゆとりがない場合は、部屋が狭くなったり、部屋数が減ってしまったりするので注意が必要です。

また、吹き抜けは耐震性を考慮して設計する必要があります。建物を支える壁の量が減ってしまうことになるからです。

壁を多くすると閉塞感も生まれてしまうので、柱を少なくしても耐震性を落とさない特殊な構造を持っている建物にするか、構造計算を行い、算出結果の元で吹き抜けを設けるといった対策が必要になります。

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吹き抜けを設置するとどんなメリットがある?

開放感や明るさの他にも、吹き抜けには色々な利点があります。

ひとつめの利点は、2階部分とダイレクトに繋がることによって家族の気配が感じやすくなることです。

2階部分と完全に区切られている状態では、階段部分の下から呼ばなければ2階に居る家族に声をかけることができません。

しかし、リビングなどを吹き抜けにすれば2階とダイレクトに繋がるため、料理の準備をしながら2階の家族を呼ぶことができるようになるでしょう。

また、吹き抜けの位置にもよりますが、2階への階段を吹き抜けに設置することで家族が今どこに居るかをある程度把握できるようになります。

高齢者や小さなお子様と一緒に生活しているなら、家族の居場所がわかりやすいというのは何よりのメリットとなるでしょう。

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吹き抜けを設置することによるデメリット

リビングなどの居住スペースに吹き抜けを作ると、部屋そのものの体積が増えるため、開放感は得られますが、そのかわり空調の効率が落ちるという欠点もあります。

市販の家庭用エアコンの場合、天井高は2.4mを想定して対応スペースを表示していることが多く、吹き抜けのように天井が高い場合は部屋面積でエアコンを選ぶと空調能力が足りなくなる可能性があるのです。

また、天井が高くなる分、床と天井の温度差も大きくなりますし、屋外や屋根と接する面積も広くなるほか、窓の数も増えるため、外の気温の影響も受けやすくなります。

断熱材を屋根や外壁に追加しても元の部屋と比べて気温の影響はどうしても受けやすくなってしまいますし、部屋の体積のことを考えると、空調設備の更新も同時に考えておかなければいけません。

また、照明についても欠点となる可能性があります。

照明は天井に設置することが多いため、天井が高くなる吹き抜け部分では交換や掃除が個人では行えなくなるかもしれません。

最近はLEDのような長寿命の照明製品も増えてきているため、照明を交換する頻度自体は減少していますが、それでも照明が壊れた時のことを考えると、すぐに修理できないのはデメリットとなるでしょう。

天井を吹き抜けにリフォームするメリット・デメリットは?

吹き抜けのデメリットを抑える方法

空調や設備の面で欠点がある吹き抜けですが、道具を使ったり、リフォームの際に手を加えたりすることで対処が可能です。

まず、照明の交換についてですが、高所の電球を交換するためのグッズが販売されており、3m程度の高さに設置された照明器具の電球を床に立ったまま交換できます。

このグッズはホームセンターなどで販売されており、電球の形状に合わせて先端を交換することができるため、吹き抜けに照明を設置する場合はあらかじめ用意しておくと良いでしょう。

空調効率の低下については、壁や屋根の断熱はもちろん、窓についても断熱サッシの設置や二重窓の設置を行い、できるだけ外気温に影響されにくい状態を作ってください。

また、吹き抜け部分に階段を作り、階段の先に廊下が繋がっている場合は、廊下部分にカーテンを設置して区切ることで体積を減らし、管理しなければいけない空気の量を減らすのも効果的です。

また、天井部分などにシーリングファンを取り付け、室内の空気を循環させることで室温の偏りが抑えられます。

夏場などの気温が高くなる時期なら、室内の空気の流れによって体感温度を下げることもできるので、空調にかかる費用を抑えられるでしょう

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吹き抜けに結露は起こるのか?

北側の吹き抜けは結露が発生する可能性があります。また、結露によりカビが発生することも考えられるでしょう。吹き抜けに窓を設ける場合も注意する必要があり、ガラスの断熱性が低いと温度差が生じて結露が発生します。

窓に関しては、北側に限らずどの方角でも結露が起きる可能性があります。結露が発生する原理は、室内温度と室外温度の差によるものです。そのため室内環境によって結露の発生はかなり左右されることから、窓を設ける場合は結露が発生しにくい性能を持った窓を設けた方がいいでしょう。

ガラスはLow-E複層ガラス、Low-Eトリプルガラスで、サッシ枠はアルミではなく断熱性の高い樹脂枠を採用することをおすすめします。吹き抜けにカビなどが発生すると、高い位置にあるため簡単に手をつけることができず、手入れが大変になります。

年に一回はしごに登って掃除することが必要ですが、はしごに登って掃除するのは安定性に欠けて非常に危険です。できれば専門業者に依頼するか、伸縮できるモップなどを使用して行った方がいいでしょう。また、はしごではなく脚立を使う方法もありますが、それでも安全性には不安が残ります。

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吹き抜けの活用方法は?

吹き抜けの活用方法とはどんなものがあるか知りたいという方もいるのではないでしょうか。ここでは吹き抜けを活用した事例をご紹介します。

リビングに吹き抜けをつなげて快適な家族団欒空間

リビングは家族が集まる大切な部屋です。リビングの大切な要素は自然に集まることができる環境づくりになります。リビングに吹き抜けを設ければ、開放感が生まれ快適な空間にすることができます。勾配天井にすればさらに天井を高くすることができ、縦空間に広がりを持たせられるでしょう。

吹き抜けとスキップフロアの組み合わせで空間を有効利用

吹き抜けは縦空間を広げることができます。空間を横に広げることができない場合でも空間を広くさせることができるメリットがあります。しかし、吹き抜けは空調効率の低下に加え、広い床面積を必要とします。

床面積にゆとりがないのに吹き抜けを設けてしまうと、部屋が狭くなってしまったり、部屋数を減らしてしまったりする可能性があります。こういった場合に有効なのがスキップフロアです。

吹き抜けのある1階の一部の天井高を例えば3.5mほどにして上に居室を設けることで、縦空間を壊さずに部屋を設けることができます。その際には床面積や天井高に注意してどのような方法が取れるか建築士などに相談して提案してもらうと良いでしょう。

ワクワクするキャットウォーク

キャットウォークは名前の通り「猫の通り道」、吹き抜けの高い場所に渡り廊下のような歩けるスペースを設けたものです。猫のために設置するというのもありますが、吹き抜けスペースを掃除する通路としても活用できます。

通常の2階とは違って、キャットウォークは下の階が見えてワクワクした空間を生み出します。利便性と楽しい空間を作るのに、キャットウォークは相性の良い間取りです。

吹き抜けの開放感が味わえるオープン階段

壁を設けないオープン階段は吹き抜けと相性の良い間取りです。オープン階段は縦に広がる吹き抜け空間を通り抜ける構造ですので、圧迫感がなく、各階から見える景色も違って楽しい空間を演出します。

手すりも格子状のものや、ガラス製を使用することで、視線を遮断せずオープンな空間をつくることができます。

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吹き抜けを作る際に注意することは?

リフォーム工事で吹き抜けを作る場合、あらかじめ注意しておかなければいけないことがいくつかあります。

ひとつめの注意点は、部屋数が少なくなることで居住スペースが減少することです。

吹き抜けを作るためには2階部分の部屋を撤去しなければいけないため、これから子供が育って部屋が必要になったり、収納スペースが必要になったりすると手狭に感じるようになるかもしれません。

ふたつめは間取りの変更によるリフォーム費用の増加です。

注文住宅などの場合、家づくりの段階で間取りなどは全て計算尽くで作られています。

そのため、新たに吹き抜けを設置した場合、2階部分のスペースのバランスを取ったり、吹き抜けの大きさを調整したりするために間取りの変更が必要となるかもしれません。

間取りの変更となると、吹き抜け工事以上に多額の費用がかかってしまうため、ローンなどが残っている場合、支払いが厳しくなる可能性も考えられます。

リフォームで吹き抜けを作る際には、総合的な家づくり、将来的な家づくりについてもよく考えておきましょう。

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この記事の監修者プロフィール

【監修者】下久保彰

2級建築士。建築設計や施工業務を30年以上経験。最近は自営にて各種請負業務を行う。

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