
布(織物)クロスの特徴
布クロスは織物クロスとも呼ばれ、天然繊維や合成繊維を織り込んで作られています。ここでは、布クロスの主な特徴を解説します。
上質な質感と高級感
布クロスは、織り込まれた糸の凹凸による独特の立体感があり、上質な質感と高級感を演出できます。ホテルのロビーや高級住宅のリビング、寝室など、落ち着きのある空間にも多く採用されています。シルクのような光沢のあるデザインやリネン調のナチュラルな素材感は、インテリアのアクセントにもなります。
通気性・吸放湿性を備えた製品もある
布クロスには、素材や構造によって通気性や吸放湿性を持つ製品があります。湿気を吸収し、乾燥時に放出する働きが期待できますが、効果は製品や下地、室内環境によって異なります。調湿機能は補助的なものなので、結露やカビの対策では換気、除湿、断熱などもあわせて行いましょう。
※ 参考1:リリカラ「Lilycolor MATERIALS 2024- 織物」
※ 参考2:リリカラ「2024-2027 壁紙 機能説明」
布クロスとビニールクロスとの違い
布クロスとビニールクロスは素材が異なるため、質感・機能・メンテナンス性にも違いがあります。ここでは、両者の主な違いを解説します。

風合いと見た目の特徴
布クロスとビニールクロスは、手触りや見た目に差があります。
布クロス
- 織り込まれた糸の凹凸による独特の立体感がある
- 自然な風合いや上質な質感で高級感がある
ビニールクロス
- 表面がツルツルしており、シンプルなデザインが多い
- プリント加工により、豊富なバリエーションがある
通気性と吸放湿性の違い
布クロスとビニールクロスでは、通気性や吸放湿性に違いがあります。
布クロス
- 通気性や吸放湿性を備えた製品がある
- 効果は素材、裏打ち紙、下地などによって異なる
ビニールクロス
- 一般的な製品は通気性や透湿性が低い
- 吸放湿機能を持たせた製品もある
どちらの壁紙も、結露やカビを壁紙だけで防ぐことはできません。換気や除湿、断熱などと組み合わせて対策しましょう。
※ 参考1:サンゲツ「吸放湿壁紙 FE78590」
※ 参考2:リリカラ「2024-2027 壁紙 機能説明」
耐久性やメンテナンスのしやすさ
布クロスとビニールクロスは、耐久性やお手入れのしやすさにも違いがあります。
布クロス
- 汚れがつきやすい
- 水拭きができないものも多いため、お手入れが難しい
ビニールクロス
- 水や汚れに強く、キッチンやトイレなどに適している
- タオルで拭くだけで汚れを落とせるので、お手入れがしやすい

布クロスにリフォームするメリット
布クロスは、高級感のある質感と機能性を兼ね備えた壁材です。ここでは、リフォームで布クロスを採用するメリットを詳しく解説します。
自然素材ならではの温かみと風合い
布クロスには、リネンやコットン、シルクなどの天然繊維を使った製品のほか、レーヨンやポリエステルなどの化学繊維を使った製品もあります。天然繊維を使った布クロスは、自然な温かみと糸の凹凸による奥行きのある表情が魅力です。光をやわらかく反射するため、ナチュラルや和モダン、ホテルライクなどの落ち着いた空間と相性がよいでしょう。
織り方の違いで楽しめるデザイン性
布クロスは、織り方によってデザインや質感、光の反射の仕方が変わります。例えば、リネン調はナチュラルな雰囲気を演出し、シルク織りは上品で洗練された印象を与えます。シンプルなものから華やかなものまで選べるため、部屋の雰囲気に合わせやすく、デザイン性を重視する方にも適しています。
素材や環境に応じて長く使いやすい
布クロスの耐久性は、使われている繊維、織り方、表面加工、施工状態や使用環境によって異なります。織物ならではの厚みや丈夫さがある一方、糸のほつれや汚れに注意が必要な製品もあります。長く美しい状態を保つためには、使用する部屋に適した製品を選び、メーカーの注意事項に沿ってお手入れすることが大切です。
※ 参考1:サンゲツ「壁紙の貼り替え時期とは?」(2026年3月)
※ 参考2:リリカラ「2024-2027 壁紙 機能説明」
防汚・撥水加工や防火性能を備えた製品
布クロスには、防汚・撥水加工を施した製品や、不燃・準不燃などの防火性能を表示した製品があります。防火性能は壁紙だけではなく、下地や施工方法との組み合わせで認定内容が異なる場合があります。内装制限の対象となる場所では、カタログの防火種別や認定番号、対応する下地を確認して選びましょう。
※ 参考1:国土交通省「内装材料の制限(建築基準法第35条の2)」
※ 参考2:総務省消防庁「防炎品」
※ 参考3:サンゲツ「ORI/織」
布クロスにリフォームするデメリット
布クロスには、価格やお手入れ、施工に関するデメリットもあります。ここでは、採用前に確認したい注意点を解説します。
価格が高め
布クロスは、ほかのクロスよりも価格が高い傾向にあります。リネン・コットン・シルクなどの天然繊維や、ポリエステル・ナイロンなどの合成繊維を使用しており、素材自体が高価な製品もあります。また、繊維を織る製造工程や染色に手間がかかることも、価格が高くなりやすい理由です。
汚れが落ちにくく、お手入れが大変
布クロスは繊維の間に汚れが入り込みやすく、水拭きに対応していない製品が多い点がデメリットです。一方、防汚・撥水加工を施した製品もあります。汚れが付着したときは水や洗剤をすぐに使わず、製品ごとのお手入れ方法を確認してください。一般的な織物壁紙は、濡れた布や洗剤で拭くとシミの原因になるため、乾いたやわらかい布でやさしく拭き取ります。
内装制限の対象では防火性能を確認する
布クロスを採用する際は、建物や部屋が建築基準法の内装制限の対象かを確認しましょう。内装制限は、建築物の用途や規模、居室・廊下・階段などの部分によって適用が異なります。不燃・準不燃などの性能は、壁紙と下地、施工方法の組み合わせで決まる場合があるため、カタログの防火種別や認定番号、対応下地まで確認することが大切です。なお、消防法の防炎規制は、主にカーテンやじゅうたんなどの防炎対象物品に関するものです。壁に貼り付けて仕上げ材とする布は、この防炎規制の対象物品とは分けて考えます。
※ 参考1:国土交通省「内装材料の制限(建築基準法第35条の2)」
※ 参考2:総務省消防庁「防炎規制に関する質疑応答」
施工に専門的な技術が必要
布クロスはビニールクロスより施工が難しく、DIYには不向きです。施工時に伸縮してシワやたるみが生じやすいうえ、下地の影響も受けるため、平滑に仕上げるには丁寧な下地処理が欠かせません。補修時も、接着剤が適していないと接着不良や仕上がりのムラにつながります。施工経験が豊富な業者に依頼しましょう。
用途に合う防火性能を施工業者に確認する
商業施設や飲食店、マンションの共用部分などに布クロスを採用する場合は、その場所に必要な防火性能を施工業者へ確認しましょう。
布クロスの貼り替えにかかる費用相場
布クロスの貼り替え費用は、材料費と施工費を含めて1㎡あたり2,000~3,500円が目安です。ただし、天然繊維やシルクを使った製品は、材料の標準価格だけで1㎡あたり3,000~4,000円を超えることもあります。

既存クロスの剥がしや下地補修、廃材処分、家具移動が必要な場合は、別途費用がかかります。専門的な施工技術を要するため、一般的な壁紙よりも高額になる傾向があります。費用は業者によって異なるので、複数社に見積もりを依頼して比較しましょう。

布クロスへの貼り替えをおすすめできない部屋
布クロスは汚れや湿気に弱い製品が多いため、使用する部屋を選びましょう。

布クロスへの貼り替えをおすすめできない部屋
- キッチン
油汚れがつきやすい - 洗面所・トイレ
湿気が多い - 玄関・廊下
汚れやすい - ペットを飼っている部屋
ひっかき傷や汚れがつきやすい
このような部屋に布クロスを採用したい場合は、以下のポイントを押さえましょう。
布クロスを採用する際のポイント
- 防汚加工や防湿加工の製品を選ぶ
- 一部の壁にアクセントウォールを取り入れる
布クロスのおすすめメーカー
布クロスは、目的や予算に合う製品を選ぶことが大切です。ここでは、布クロスを扱うおすすめメーカーを紹介します。
サンゲツ
サンゲツは、天然素材やリサイクル糸を使った織物壁紙、不燃認定を取得できる織物壁紙などを取り扱っています。現行の「2025-2029 テクスチャー&マテリアル」では、織物ならではの素材感を楽しめる製品が展開されています。
サンゲツの代表的な布クロス

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 品番 | SGM1379 |
| 種類 | 不燃認定織物壁紙 |
| 防火性能 | 不燃材料または厚さ12mm以上の不燃石こうボードへ施工した場合に不燃認定 |
| 標準価格 | 3,200円/m 3,480円/㎡(税別・施工費別) |
※ 参考1:サンゲツ「25XSELECT 価格表・新旧品番対照表」
※ 参考2:サンゲツ「SGM1379」
リリカラ
リリカラは、「Lilycolor MATERIALS 2024-」でナチュラルな風合いからモダンな柄まで、幅広い織物壁紙を展開しています。代表例のLMT-16060はレーヨンとシルクを使った織物壁紙で、通気性とホツレ止めの機能があります。防火種別は1-2で、下地に応じて不燃・準不燃・難燃の性能が表示されています。
リリカラの代表的な布クロス
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 品番 | LMT-16060 |
| 素材 | レーヨン シルク |
| 標準価格 | 3,900円/m 4,240円/㎡(税別・施工費別) |
布クロスを美しく保つためのメンテナンス方法
布クロスを長く美しく保つには、日々のお手入れが欠かせません。ここでは、基本的なお手入れ方法を解説します。

日常のこまめな掃除
布クロスは繊維の表面にホコリが溜まりやすいため、定期的に取り除きましょう。
掃除方法
- ハタキや乾いた布で軽く拭く
- 掃除機のブラシ付きノズルを使ってホコリを吸い取る
汚れやカビに対する早期対策
布クロスは水拭きに対応していない製品も多いため、汚れを見つけたら製品のお手入れ方法を確認し、早めに対処しましょう。一般的な織物壁紙は、濡れたタオルや洗剤で拭くとシミの原因になります。
汚れた際のお手入れ方法
- ホコリや塵は、丸ブラシを付けた掃除機で取り除く
- 汚れは、乾いたやわらかい布でやさしく拭き取る
- カビが発生した場合は、洗剤やアルコールを自己判断で使わず、メーカーや施工業者に確認する
撥水加工や防汚加工の製品はお手入れ方法が異なる場合があるため、製品カタログや取扱説明に従ってください。
※ 参考:サンゲツ「壁紙のお手入れ方法」
湿気対策
通気性や吸放湿性を備えた布クロスでも、換気や除湿などの湿気対策は必要です。効果は製品や下地、室内環境によって異なるため、調湿機能だけに頼らないようにしましょう。
湿気対策の方法
- 定期的に換気をする
窓を開ける、扇風機やサーキュレーターを回す - 除湿機や吸湿材などを活用する
- 家具と壁の間に隙間を作る
空気の流れを確保する
梅雨時や冬場に結露しやすい窓際、北側の部屋は、こまめに換気・除湿しましょう。
※ 参考:壁紙のメンテナンス(サンゲツ)
【Q&A】布クロスに関するよくある質問
壁紙の「クロス」とは?
内装でいう「クロス」とは、壁や天井に貼る仕上げ材(壁紙)のことです。そのうち、布地を使ったものが布クロス(織物クロス)で、ファブリッククロスとも呼ばれます。
布クロスにはどのような種類がある?
布クロスは、織り方によって風合いや光沢、模様の表れ方が異なります。

| 織り方 | 特徴 |
|---|---|
| 平織 | ナチュラルな風合いで、和室やモダンなインテリアにも合わせやすい |
| 綾織 | 斜めの織り目が表れやすく、奥行きのある表情を楽しめる |
| 朱子織(サテン織り) | 光沢が出やすく、上品でエレガントな印象に仕上がる |
| ジャカード織 | 複雑な模様や柄を織り込めるため、デザイン性が高い |
なお、不織布は繊維を織ったり編んだりせず、繊維を絡ませたり接着したりして作る素材です。そのため、織り方の種類には含まれません。
布クロスはペットがいる家庭でも問題ない?
ペットがいる家庭でも布クロスは使えますが、爪とぎや汚れ、臭いによる傷みには注意が必要です。
考えられるトラブル
- 爪とぎによる引っかき傷
繊維がほつれる - 体をこすりつけた際の汚れ
皮脂や毛が付着し、掃除が難しい - 臭いが染み込みやすい
消臭対策しないと、ペット特有のニオイが残る
主な対処法は次のとおりです。
対処法
- 防汚・撥水・抗菌機能付きの布クロスを選ぶ
- 爪とぎの場所を用意し、定期的に掃除する
- 汚れが目立ちやすい場所はビニールクロスと併用する
DIYによる布クロスの貼り替えは可能?
DIYで布クロスを貼り替えることは可能ですが、仕上がりに失敗するリスクが高いため、おすすめできません。
布クロスをDIYするリスク
- 伸縮性があり、シワやたるみが出やすい
- のりが染み込みやすく、ムラが出ることもある
- 貼り替えた際の継ぎ目が目立ちやすい
- 壁紙のカットが難しい
- 施工に専用の工具や接着剤が必要
きれいに仕上げたい場合は、専門業者に依頼しましょう。
布クロスの寿命は何年?
壁紙の貼り替え時期は、素材や施工状態、日当たり、湿度、汚れの付着状況などで大きく異なります。一般的な壁紙では5~10年が目安とされるケースもありますが、布クロスに一律の寿命が定められているわけではありません。取れない汚れや変色、破れ、継ぎ目の浮きなどを目安に、貼り替えを検討しましょう。
※ 参考:サンゲツ「壁紙の貼り替え時期とは?」(2026年3月)













