2024年04月10日更新

監修記事

屋上にテラスがある住宅のメリット・デメリットは?

近年ルーフバルコニーのあるマンションが人気ですが、木造住宅でも屋根を屋上庭園や屋上テラスにリフォームする事例が増えてきました。リフォーム費用や防水性が気になるところですね。屋上テラスのメリットやデメリットについて検証しました。

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木造住宅でも増えている屋上テラス

屋上テラスやルーフバルコニーのある家は素敵ですね。以前までは鉄筋コンクリート造りやRC造りにしか見られなかった屋上が、木造住宅でも可能となっています。

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屋上テラスとは?

住宅の建築構造で屋外へ張り出した部分は、屋根のある「ベランダ」と屋根のない「バルコニー」があります。

通常「テラス」とは、1階のリビングから同じ高さで屋外へ張り出した屋根のない部分を指しますが、アウトドアリビングや庭園などに利用する屋上スペースを「屋上テラス」と呼んでいます。

「ルーフバルコニー」は屋上とは限らず、階下の屋根部分がバルコニーになっているものを指し、マンションなどに多く見られます。

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屋上テラスのメリット

屋上テラスは、アウトドアリビングとして家族の団らんの場になったり、庭がなくても屋上庭園として植栽やガーデニングを楽しんだり、活用の幅が広いことがメリットです。

屋上にテラスがある住宅のメリット・デメリットは?

屋上テラスでホームパーティー

庭でバーベキューをするのも良いですが、道行く人の視線が気になりますね。その点、屋上テラスならば通行人から見えることもなくプライバシーが守れます。

近隣のマンションやビルなど高層からの視線は、目隠しフェンスやオーニングなどで遮ることができます。

家族やお友達を招いて、解放感のある屋外でのプライベートパーティーが堪能できます。

屋上テラスで緑を眺める庭園

広い庭がなくても屋上があれば、ガーデニングや植栽を楽しむことができます。きれいな花々や緑があると癒されますね。

屋上は日当たりが良いことがメリットですが、その反面、地上より風通しが良いので植物が乾燥しやすいというデメリットもあります。

また、屋上では土壌が薄くなることや、風の影響を受けやすいことから、大きく成長する木は向いていません。木造住宅の積載重量も考慮した上で、適した植物を選ぶ必要があります。

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屋上テラスのデメリット

ベランダよりも広くいろいろな楽しみ方ができる屋上テラスですが、メリットだけではありません。リフォームする前に知っておくべきデメリットについても把握しておきましょう。

木造住宅の屋上テラスの屋根勾配

RC建築物の屋上では、1/100~1/200の勾配が望ましいとされています。それより勾配が急であると、屋上として活用するには人が歩きにくかったり過ごしにくいからです。

木造住宅の場合は、雨漏り対策として1/50程度の勾配が必要とされ、住宅瑕疵担保責任保険の対象基準にもなっていました。

その基準が、木造住宅に屋上をつくらない大きな理由となっていました。しかし平成20年以降、保険の対象が1/100の勾配に緩和されたことから、木造住宅にも屋上がつくられるようになったのです。

しかし勾配が緩くなるということは、雨水の排水が鈍くなるということです。防水性能の不具合が生じた場合、雨漏りに直結しやすいことがデメリットと言えるでしょう。

また陸屋根(水平の屋根)では、排水口や排水路にゴミやホコリもたまりやすくなります。雨水をスムーズに排水させるためにも、日頃からこまめな掃除を心掛ける必要があります。

屋上テラスにリフォームすることによる外壁への影響

屋根を屋上テラスにリフォームするということは、陸屋根になるので庇がなくなります。庇がないと外壁に雨があたりやすくなり、傷みも早くなるというデメリットもあります。

屋上テラスを増築する際のリフォーム費用

既存の住宅に屋上テラスを増築する場合、屋根の全面リフォームと屋上へ登る階段の施工も必要となり、かなり大掛かりな工事となります。

屋根を屋上テラスに改築する費用は1平方メートルあたり約10万円、外階段の場合はプラス約20万、内階段だとプラス約80万円がかかります。

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屋上テラスで最も気を付けたい防水対策

木造住宅の屋根を屋上テラスにリフォームする際、最も気を付けたいことは防水対策です。屋上は家の屋根となるので雨漏りを防がなければなりませんが、どのような防水工法が適しているでしょうか。

屋上にテラスがある住宅のメリット・デメリットは?

FRP防水のメリットとデメリット

現在、住宅のベランダやバルコニーの防水工法は、密着性や耐久性の高いFRP防水が主流となっています。

木造住宅は地震で揺れるという特徴がありますが、塗膜タイプのFRP防水工法の場合、施工箇所を塗り固めてしまうため、家の揺れに追従できずひびが入る可能性が出てきます。

屋根でもある屋上テラスにFRP防水を施した場合、ひび割れなどは雨漏りに直接影響してしまうリスクもあるので、定期的な塗り替えなどのメンテナンスが必須です。

木造住宅の屋上に適した金属防水工法

近年、木造住宅にも屋上テラスが増えてきた理由のひとつに、金属防水工法技術の向上が挙げられます。

金属防水とはFRP防水などの塗膜工法とは異なり、ガルバリウム鋼板などの金属屋根と同様に金属鋼板を被せる工法です。

金属板を大きな浴槽のように連結させる工法で、ジョイント部分から侵入した雨水は排水路を通って逃がす仕組みになっています。

木造住宅の揺れやたわみに影響を受けやすいFRP防水に比べ、金属防水は耐震性の高さが最大のメリットと言えるでしょう。

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屋上テラスの増築はデメリットも考慮した上で

このように第二の庭やリビングとしても利用価値の高い屋上テラスですが、緩い勾配における排水の確実性、庇がなくなることによる外壁への影響、コスト面などを考慮した上でリフォームすることをおすすめします。

屋上テラスの増築は太陽熱利用設備などの設置とは全く異なり、住宅全体の構造耐力にも影響することも考慮が必要な重大なリフォームと言えます。

当初から必ず専門家を交えての計画をお勧めします。

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この記事の監修者プロフィール

【監修者】下久保彰

2級建築士。建築設計や施工業務を30年以上経験。最近は自営にて各種請負業務を行う。

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