2024年10月04日更新

監修記事

仮設足場の費用相場は?高額になるケースや注意すべきポイントを解説

足場は安全に工事を進めるために必要ですが、見積もりになると工事費ばかりに注目してしまい、足場にかかる費用を見落としてしまう人が多いのではないでしょうか?足場の費用は種類や建物の立地環境によって変わり、相場を知らないと余分な費用が発生することもあります。
そこでこの記事では、足場の種類や費用相場、高額になるケースなど解説します。足場に関する正しい知識を持ち、適切な業者選びに活かしましょう。

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塗装工事で仮設足場を組むべき理由

ここでは、外壁や屋根などの塗装工事で、仮設足場を組むべき理由を解説します。

【理由1】高所でも安全に作業するため

仮設足場は、作業員が高所でも安全に作業するために必要なものです。

高所での作業は危険が伴い、1mの高さから落下した場合は命を落とす可能性があります。

労働安全衛生法によると、2m以上での作業は高所作業と見なされ、作業を安全に行うための仮設足場が求められます。

仮設足場は、安全な作業場の提供と作業員の命を守る必要不可欠なものです。

【理由2】作業の効率を上げるため

仮設足場は工事の作業効率を上げる役割があります。

安全な仮設足場は、作業員が作業に集中できる環境を提供し、細かい作業も安心して行うために必要です。

工事範囲が広い現場では、作業員が効率的に足場を移動しながら作業できるため、作業効率が向上します。

仮説足場の設置は作業員の作業効率を高め、結果的に施工品質の向上にも繋がります。

【理由3】近隣へ配慮するため

近隣住民への配慮やご近所トラブル防止に足場は必要です。

足場を建てるとき、近隣には以下のような影響が出るおそれがあります。

  • 隣の敷地に足場がまたがる
  • 工事による騒音が響く
  • 塗料やほこりが飛散する

塗装工事では近隣住民への配慮として、「飛散防止ネット」で塗料の飛散を防ぐ工夫がされています。

近隣とのトラブルを避けるために、足場は重要な役割を果たしています。

【理由4】建築基準法に準ずるため

足場は建築基準法を守るために必要です。

違反は事故の原因だけではなく、罰金や工事停止命令が下される場合があります。

建築基準法とは…

国民の生命・健康・財産を守るため、建築物の敷地や設備、構造などに関して最低限の基準を設けた法律。

DIYで足場を建てた際、構造計算をせずに強度不足の足場を設置してしまうと違反に該当します。

足場を設置する場合は、建築基準法を遵守した信頼できる専門業者に依頼しましょう。

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仮設足場の種類

ビケ(くさび)足場・単管ブランケット足場・パイプ足場について、それぞれくわしく解説します。

【種類1】ビケ(くさび)足場

一般的に使われる機会が多いビケ(くさび足場)は、建枠とアンチと呼ばれる踏板で構成された足場です。

ビケ(くさび)足場は設置時にハンマーで叩く音が気になる場合がありますが、耐久性があり、設置や撤去がしやすい特徴があります。

また、安全性が高いため、戸建て住宅だけでなく高層ビルや大型建築物にも利用されています。

ビケ足場は安全で効率的な作業をサポートし、さまざまな建物に対応しやすい足場です。

【種類2】単管ブラケット足場

単管ブラケット足場は、建物が密集した住宅街の工事に適した足場です。

組み立てや解体が簡単で、建物の形状や周囲の障害物に合わせて柔軟に設置できます

一方で、ブラケットの設置には手間や設置時間がかかることがあります。

単管ブラケット足場は隣家との距離が近い住宅街での使用に適していますが、設置時間に注意が必要です。

【種類3】パイプ足場

パイプ足場は、直径48.6mmの単管パイプとクランプという金具を組み合わせて作る足場です。

コストが比較的安く、複雑で狭い環境でも設置できます。

しかし、パイプ足場は2本の足場上で作業する必要があるため、安全性を考慮して現在はあまり使用されていません。

そのため、パイプ足場はビケ(くさび)足場が組めないときに部分的に使われることが多い足場です。

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仮設足場の費用相場と追加でかかる費用

仮設足場にかかる費用は、1平方メートルあたり800円~が目安です。

足場費用の計算で用いられる「1平方メートル」とは

ここでいう「1平方メートル」とは、建物の床面積ではなく足場面積のことを指します。
一般的に面積を割り出す際の算出方法とは異なるため、くわしい算出方法は工事を依頼する業者に確認しましょう。

【追加費用1】飛散防止ネット(養生シート)

塗装工事の際、足場の設置費用のほかに、飛散防止ネット(養生シート)の費用がかかります。

飛散防止ネットを設置する場合は200円が加算され、1平方メートルあたり1,000円が目安となります。

たとえば、35坪の一般的な2階建ての戸建て住宅の外壁に足場を組んだ場合は、30万〜32.1万円です。

【追加費用2】防護管

電線が近くにある場合、作業員が感電するのを防ぐために防護管を設置します。

防護管とは、建物の「引き込み線」に取り付けるカバーを指します。

取り付け費用は1件あたり5万円ほどかかり、足場設置を行う2週間ほど前に電力会社に設置を依頼する必要があるので注意が必要です。

業者に見積もりを依頼する際は、飛散防止ネットや防護管などの費用がどの程度加算されているか、内訳をしっかりとチェックしましょう。

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仮設足場における費用の算出方法

足場費用を計算するときは足場自体の面積を基準にし、足場の面積に1平方メートルあたりの単価をかけて算出します。

STEP
足場面積を算出
足場面積の算出方法

(家の外周+8m)×(家の高さ+1m)= 足場面積

建物との接触を避けるため、建物から少し距離を置いて足場を設置するため、建物の外周に4~8メートルを加えます。

STEP
足場費用を算出
足場費用の算出方法

足場面積 × 足場費用の単価 = 足場費用

【例】2階建て35坪で正方形の建物の場合

(43m+8m)×(6m+1m)= 357平方メートル
※ たとえば、足場費用の単価が1平方メートルあたり1,000円の場合、足場面積である357㎡に単価をかけて、足場費用は35.7万円となります

【計算方法1】建物の坪単価

坪数
(平米数)
足場費用
(1階のみ設置)
足場費用
(2階まで設置)
足場費用
(3階まで設置)
20坪
(66㎡)
16.4万円〜25.5万円~34.6万円~
25坪
(83㎡)
18.1万円〜28.3万円~38.4万円~
30坪
(99㎡)
19.7万円〜30.6万円~41.6万円~
35坪
(116㎡)
21.2万円~33万円~44.8万円~
40坪
(132㎡)
22.5万円~34.9万円~47.5万円~
45坪
(149㎡)
23.8万円~36.9万円~50.2万円~
50坪
(165㎡)
24.9万円~38.7万円~52.6万円~
55坪
(181㎡)
26万円~40.5万円~54.8万円~
60坪
(198㎡)
27.2万円~42.2万円~57.3万円~

足場費用は、5坪増えるごとに1万〜2万円、10坪ごとに2万〜4万円加算されます。

【計算方法2】建物の面積←「建物の壁面積」

建物の壁面積は、(外周+8m)×(高さ+1m)で算出できます。

建物の壁面積足場費用
170㎡
(1階建て)
13.6万円〜
280㎡
(2階建て)
22.4万円〜
400㎡
(3階建て)
32万円〜

上記の表は一般的な戸建て住宅の壁面積とその足場費用を記載しています。

建物の形状によって金額が異なる場合があるので、表に記載された金額はあくまでも目安として考えましょう。

【計算方法3】建物の階数

足場費用は同じ家屋の大きさでも、階数によって金額が異なります。

ここでは、家屋の大きさを30坪、99平方メートルという前提で階数別に金額をまとめました。

建物の階数足場費用
1階19.7万円〜
2階30.6万円〜
3階41.6万円〜

建物の高さが5m異なるごとに、およそ20万円の費用が加算されます。

足場設置の費用相場と計算方法を理解して、適切な見積もりを出す業者を選びましょう。

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足場の費用が高額になるケース

足場設置の費用が高くなるケースとその理由について解説します。

【ケース1】全面道路から建物までのアプローチが複雑

道路から建物までに大きな段差があったり、高低差のある地形に建てられていたりする場合、足場設置に手間がかかるため費用が高額になるケースがあります。

また足場資材の搬入をスムーズに行うために、玄関までに階段や段差が設けられ、追加で運搬費を請求されることもあります。

軽微な段差であれば追加費用がかからない場合もあるため、事前に業者に確認しておくと安心です。

【ケース2】建物の立地条件が悪い

隣家との間が狭かったり、切り立った高所に建物があったりなど、建物の立地条件が悪いと足場費用が高額になる場合があります。

足場は人が通れる隙間があれば設置可能ですが、幅400mmの踏板をはさむように100mmの支柱があり、最低でも合計600mmは必要です。

ただ、狭いスペースや特殊な環境にある建物では標準的なビケ足場ではなく、単管足場や枠組み足場を選択することが適切なときがあります。

足場費用の見積もりを依頼する前に、建物の立地条件や周辺環境などの現地調査をしてもらうことで、適切な足場の種類や組み立て方法を選択できるでしょう。

【ケース3】3階建て以上

建物が3階建て以上の場合、足場の設置費用が高額になるケースがあります。

3階建て以上の建物では軒高が10メートルを超えるため、通常のくさび式足場ではなく、枠組み足場が使用されることが多くなります。

枠組み足場はくさび式足場よりも1平方メートルあたり300円ほど高いですが、耐久性と安定性に優れた足場です。

3階建て以上の建物は、通常のビケ(くさび)足場より費用が高い枠組み足場を使用する可能性があることを理解しておきましょう。

【ケース4】屋根勾配が6寸以上

屋根を塗装するとき、勾配が急な屋根は危険が伴うため、屋根足場の設置費用が追加されることがあります。

特に、急勾配といわれる6寸勾配(約31°)以上の屋根は作業に手間がかかるため、費用が高くなります。

急勾配の屋根は雨漏りがしにくく、屋根裏部屋の設置も可能なため人気ですが、足場の設置費用が高額になる場合が多いので注意しましょう。

勾配以外で費用が高額になる要素

屋根勾配のほかに、屋根の構造が複雑な場合も足場費用が高くなるおそれがあります。

【ケース5】道路使用許可・占用許可が必要

足場を設置するときは道路使用許可や占用許可の申請手続きが必要な場合があり、2,000円~3,000円の手数料がかかります。

足場設置で道路に長時間駐車する場合は道路使用許可、足場が道路にかかる際は占用許可を取得しなくてはいけません。

道路使用許可や占用許可申請は市区町村の専用窓口で行います。

数日かかることがあるため、早めに手続きを進めましょう。

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仮設足場にかかる費用を抑える方法

ここでは、足場費用を抑える方法について解説します。

【方法1】相見積もりを取る

足場費用の相見積もりを取ると、コストパフォーマンスが良い業者やリーズナブルな費用で依頼できる業者を選ぶことが可能です。

相見積もりを取ることは決して業者に対して失礼なことではありません。

相見積もりを取っていることを業者に伝えると、業者間で競争が生まれ、より良いサービスをリーズナブルに受けられる可能性もあります。

足場費用を抑え、納得のいく価格で依頼するために相見積もりを取ることを忘れないようにしましょう。

>>足場の専門業者をお探しの方はこちら

【方法2】仮設足場が必要な工事を同時に検討する

足場が必要な工事を同時に行うことで、設置費用の削減が期待できます。

たとえば、外壁塗装と屋根塗装を別々の時期に行うと、そのたびに足場を組む費用が発生します。

しかし、両方の工事を同時に行えば足場は1回分の費用ですむため、結果的にコスト削減が期待できるでしょう。

このように、必要なメンテナンスを一度に実施することで足場の組み立てる回数を減らし、費用を抑えることが可能です。

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仮設足場の費用に関する注意点

足場の費用について、いくつか注意点を解説します。

足場の費用は設置日数で増減しない

足場費用は工期に関係なく一律で設定されており、天候などによる延長料金は加算されないことが一般的です。

足場費用は足場資材の価格ではなく、運搬や組み立て、解体にかかる人件費が大部分を占めます。

そのため、工期が予定より延びても足場設置に必要な作業量は変わらないため、追加の費用は発生しないことがほとんどです。

足場費用の内訳を確認する

足場費用の見積もりを提示されたとき、余計な費用が記載されていないか、内訳をしっかりと確認しましょう。

材料費、設置費用、撤去費用、運搬費など適正な項目か、その価格が相場よりも高額でないかを確認することが大切です。

足場費用は地域差がある

都市部は以下の理由から地方よりも足場の費用が高くなる傾向があります。

  • 交通量の多いため、工事現場へのアクセスが難しい
  • 建物が密集しているため、隣接する建物との距離が狭い

見積もりを依頼するときは、地域によって足場費用が変化することを理解しておきましょう。

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【Q&A】仮設足場の費用に関するよくある質問

最後に、足場費用に関するよくある質問をQ&A形式で解説します。

無足場工法にかかる費用は?

無足場工法にかかる費用は数十万円~数百万円と幅広く、工事の内容によって異なります

外壁塗装の場合は、通常の足場を使用した工法と比べて、10~30%程度コスト削減が見込めるでしょう。

無足場工法とは

無足場工法とは、足場を設置せずに外壁塗装や補修作業を行う工法のこと。

ロープや高所作業車を使って作業者が直接建物にアクセスするため、足場設置にかかる時間や費用を削減できる点が特徴です。

特に、狭い場所や高層ビルなど、通常の足場設置が困難な場所で有効ですが、建物の形状や高さによって適用できるかどうかは異なります。

仮設足場の設置でよくあるトラブルは?

仮設足場を設置する際によくあるトラブルは、以下のとおりです。

仮設足場の設置でよくあるトラブル
  • 洗濯を外に干せない
  • 窓を養生した場合は窓が開けられない
  • 日照や景観の遮断のおそれがある
  • 近隣住民に対するプライバシー侵害のおそれがある
  • 通行しづらい
  • 足場解体後に建物や車の損傷が見つかる

トラブルを防止するには、生活に影響が出る部分を業者に確認、近隣住民に事前挨拶をするなど注意を払いましょう。

仮設足場の設置は自分でできる?

足場の設置を自分で行うことは可能です。

ただし、高所作業での危険性や、技術力を考慮するとあまりおすすめはできません

また、労働安全衛生法により、特に高さが2m以上の足場は厳しい規定が設けられているため、知らずに違反して罰則を受けるおそれもあります。

自分の身を守り、法律を侵さないために、足場は専門業者に設置を依頼しましょう。

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「足場費用はかかりません」と言ってくる業者は危険?

足場の設置費用が無料と言われた場合、実際には他の費用に上乗せされている可能性があります。

足場の設置は工事業者が外部の足場業者に依頼し、その費用を支払う必要があるため、無料になることはほぼありません。

足場の費用無料を宣伝する業者には注意し、信頼できる業者を選びましょう。

信頼できる業者選びのポイント
  • 損害保険の加入を確認する
  • 口コミや評判を確認する
  • 施工実績を確認する
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この記事の監修者プロフィール

【監修者】久田麻里子

2級建築士、インテリアコーディネーター、住環境福祉コーディネーター。ハウスメーカー、リフォーム会社での建築業を幅広く経験。主婦・母親目線で様々なリフォームアドバイスを行う。主な担当は水回り設備リフォーム、内装コーディネート、戸建てリフォームなど。

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