
DIYで外壁のひび割れを補修する方法
外壁のひび割れには、サイディングやALCの目地にあるシーリング材のひび割れと、モルタル・コンクリート系外壁そのものに生じるひび割れがあり、補修方法は異なります。この章で紹介するのは、地上から安全に手が届く範囲に生じた、モルタル・コンクリート系外壁の幅0.3mm未満の細いひび割れを応急処置する方法です。幅0.3mm未満は比較的小さいひび割れの目安ですが、DIYの可否は幅だけでは判断できません。外壁タイルそのもののひび割れや目地の劣化は、原因と補修方法が異なるため、コーキングで埋める前に専門業者へ点検を依頼しましょう。

※ 参考1:国土交通省「地震後の住まいの状況確認」資料
※ 参考2:住まいるダイヤル「外壁<モルタル>」
DIY補修に使う材料
ヘアークラック用の補修材には、主にチョーク式とスプレー式の2種類があります。いずれもホームセンターなどで購入できますが、外壁材に対応する製品か表示を確認してください。チョーク式は塗り込みに力が必要ですが、必要な量を狙った範囲に充填しやすいのが特徴です。スプレー式は手軽に使える一方、クラック以外の部分に飛散して外壁を汚すおそれがあります。それぞれの特徴を踏まえて、作業しやすいものを選びましょう。

ひび割れを補修する手順
どの補修材を使う場合も、最初にヘアークラック周辺の汚れやごみを拭き取ります。特に油分が残っていると、補修材が定着しにくくなります。チョーク式は、補修材に少量の水を加え、適度な硬さになるまで練ってください。表面に塗るだけでなく、クラックの内部へ押し込むように充填します。幅の狭いヘアークラックへ塗り込むには、ある程度の力が必要です。全体に充填できたら、乾燥するまで待ちます。スプレー式は、クラックにセメント粉をむらなく噴射し、乾燥させれば作業完了です。

DIYで外壁のひび割れを補修するときの注意点
DIYでの補修は、地上から安全に手が届き、外壁材と症状を確認できる細いひび割れの応急処置に限ります。幅0.3mm以上のひび割れや、幅にかかわらず同じ面に多数あるもの、開口部の周囲にあるもの、下地まで達しているもの、雨漏りを伴うものは、専門業者に相談しましょう。補修後も経過を確認し、使用した補修材の商品名と施工日を記録しておくと、後日専門業者に相談するときに役立ちます。
※ 参考:住まいるダイヤル「外壁<モルタル>」
外壁のひび割れ補修にかかる費用の相場
外壁のひび割れ補修にかかる費用を、DIYの場合とプロに依頼する場合に分けて解説します。
DIYで行う場合
DIYの費用は、地上から安全に手が届く範囲にある、モルタル・コンクリート系外壁の細いひび割れを応急処置するケースを想定します。幅0.3mm未満でも、状態によっては専門業者への相談が必要です。補修材にはチョーク式とスプレー式があり、手軽に使えるスプレー式はやや割高です。スプレー式でも1,000~2,000円で購入でき、クラックが2~3箇所程度なら1本で足りるでしょう。マスキング材や手袋も、数百円でそろえられます。
プロに依頼する場合
細いひび割れでも、原因や外壁内部の状態を判断できないときは、初期段階から専門業者に点検と補修を依頼しましょう。特に、同じ面に多数あるひび割れ、開口部周辺のひび割れ、下地まで達するひび割れ、雨漏りを伴う症状は、幅が細くても相談が必要です。
足場を使わないヘアークラックの部分補修は、1~数箇所で0.5万~2万円が目安です。ただし、少量の工事でも出張費や諸経費を含めると2万~5万円になる場合があります。高所作業や大きなクラックの補修には、別途費用がかかります。高さ2m以上で墜落のおそれがある作業では、事業者は原則として足場などで作業床を設ける必要があります。作業床の設置が困難な場合は、防網や墜落制止用器具などによる代替措置が認められているため、すべての高所作業で足場を組むとは限りません。高所でのDIYは転落の危険があるため避け、専門業者に依頼してください。
30坪前後の2階建て戸建て全体に足場を組む場合、15万~30万円が別途必要です。費用は足場面積、建物の形状、立地、養生範囲などで変動します。幅0.3mm以上の大きなクラックは、ヘアークラックと使用材料や補修手順が異なります。部分補修の費用は1箇所あたり1万~10万円が目安です。ひび割れの深さや長さ、Uカットシーリング充填・樹脂注入などの工法、下地補強や再塗装の有無によって金額が変わります。

※ 参考:厚生労働省「労働安全衛生規則」第518条

外壁コーキングの役割と寿命
外壁コーキングには、雨水の浸入を防ぎ、外壁材の動きを吸収する役割があります。耐用年数の目安とあわせて確認しましょう。
外壁コーキングの役割
窯業系サイディングやALCパネルの外壁では、板同士の目地やサッシ周りにシーリング材が使われるのが一般的です。ただし、サイディングには板同士の継ぎ目にシーリングを使わない仕様もあり、すべての外壁に使われるわけではありません。ALCは、高温高圧蒸気養生された軽量気泡コンクリートです。
外壁のシーリングには、主に「防水性・気密性を高める」「壁材を保護する」という2つの役割があります。1つ目は、パネル同士のわずかな隙間を埋め、雨水や汚れの浸入を防ぐことです。隙間から雨水が入ると下地が傷み、外壁の寿命を縮めるおそれがあります。2つ目は、壁材の膨張・収縮による負荷を和らげることです。サイディングボードやALCは、温度変化によってわずかに膨張・収縮します。コーキングが緩衝材となることで、パネル同士の押し合いによるひび割れを防ぎます。


外壁コーキングの寿命
外壁用シーリング材の耐用年数は、材料の種類、目地の形状、施工状態、日当たりや温度変化などによって異なります。一般的な製品では5~10年程度が一つの目安ですが、近年は15年保証などの高耐久製品もあります。築年数だけで交換時期を決めず、年1回程度、ひび割れ・剥離・目地痩せがないか目視で確認し、異常があれば施工した住宅会社や専門業者に相談しましょう。
ひび割れた外壁を放置するリスク
シーリングのひび割れ・剥離や外壁材の亀裂を放置すると、雨水が下地側へ浸入し、下地材の腐食や雨漏りにつながる場合があります。ただし、外壁表面の劣化だけで建物全体の耐震性は判断できません。症状を見つけたら、早めに専門業者へ点検を依頼しましょう。

コーキングの主な補修方法は、既存材を撤去して打ち直す「打ち替え」と、既存材の上に新しい材料を重ねる「増し打ち」です。窯業系サイディングの目地は、既存材を残して剥離やひび割れ部分に充填しても十分な防水効果を得にくいため、原則として打ち替えを検討します。適切な工法は施工部位や目地の状態によって異なるので、価格だけで増し打ちを選ばず、専門業者に判断してもらいましょう。
信頼できるリフォーム業者に1~2年に1度点検を依頼すると安心です。簡単なタッチアップを含む点検は半日程度、費用は1万~2万円が目安です。
外壁コーキングの劣化を見極める方法
外壁材の目地や隙間を埋めるコーキングは、時間の経過とともに劣化します。放置すると雨漏りや躯体の傷みにつながるため、目視し、手で触れて状態を確認しましょう。
目視で確認できる劣化の症状
目視で確認できる主な劣化症状は、「外壁とコーキング材の間に隙間がある」「ひび割れや亀裂がある」「コーキング材が欠落している」の3つです。外壁とコーキング材の間にできた隙間は、施工時の塗りムラだけでなく、経年劣化による目地痩せで生じることもあります。劣化が進むとコーキング材が徐々に硬化し、ひび割れや亀裂、剥離、欠落へと進行します。こうした症状がある場合はコーキング材が寿命を迎えている可能性があるため、早めに交換を検討しましょう。建物全体を見渡し、同じ症状がないか確認してください。

触って確認できる劣化の症状
外壁の表面を触って白い粉が付く「チョーキング」は、一般に塗膜の顔料や樹脂が劣化して粉状になる現象で、シーリングの劣化だけを示す症状ではありません。シーリングは、ひび割れ・剥離・目地痩せ・欠落などを目視で確認し、異常があれば専門業者に相談しましょう。
外壁やコーキングがひび割れやすい部分
外壁やコーキングは、場所によってひび割れの生じやすさが異なります。まず確認したいのは、直射日光が長時間当たる部分です。日光や紫外線によって表面の塗膜が劣化すると、外壁にヘアクラックが発生することがあります。特にコーキングは紫外線の影響を受けやすいため、定期的に目視し、触って状態を確認しましょう。窓や扉などの開口部周辺も、ひび割れが生じやすい場所です。揺れや荷重が複雑にかかるため、ヘアクラックだけでなく構造クラックが発生することもあります。外壁から張り出したバルコニーの裏側は、構造や防水処理の問題など、複数の原因でひび割れる場合があります。コンクリート構造の建物では、施工時の躯体打設の継ぎ目に力がかかるため、1階と2階、2階と3階などの階層間にも注意が必要です。

コーキングのひび割れは修理できる?
既存のコーキングにできたひび割れは補修できます。ただし、コーキング材の種類によっては完全に剥がすのが難しく、工事に手間がかかる場合があります。一般的な補修では、既存のコーキングを除去し、外壁材の下処理をしてからプライマーを塗ります。プライマーを省くと、新しいコーキング材が十分に接着しません。その後、コーキング材を充填し、補修跡が目立つ場合は上から塗装します。材料や施工状態によっては、補修が難しく接着不良につながることもあります。ひび割れを見つけたら、まず専門業者へ相談しましょう。
プロに外壁のひび割れ補修を依頼するメリット
プロに依頼するメリットは、ひび割れの原因や外壁材の状態を確認し、症状に合った補修方法を提案してもらえることです。補修後の耐久性は、原因、下地の状態、使用材料、施工条件などで異なるため、施工後も定期的に点検しましょう。外壁のひび割れを放置したり、誤った方法で補修したりすると、劣化が進むおそれがあります。早い段階で適切に対処すれば、結果として余分な修繕費を抑えられる可能性があります。高所作業で足場を組む場合は、時期が近ければ屋根のリフォームも同時に依頼すると、足場代を一度で済ませられます。ほかに改修したい箇所がないか、あわせて検討してください。
外壁のひび割れ補修を依頼するリフォーム会社の選び方
リフォーム会社を選ぶときは、まず外壁のひび割れ補修に関する施工実績を確認しましょう。実績が豊富な会社ほどノウハウが蓄積され、担当者の施工技術にも期待できます。実績だけでなく、利用者の口コミも判断材料になります。規模の大きな会社であれば、公式サイトや口コミサイトで情報を確認しやすいでしょう。見積もり時には、使用する補修材と施工方法も質問してください。施工方法や材料によって、補修後の耐用年数が変わる場合があります。具体的に質問すれば、工事内容を理解して依頼しようとしている姿勢も伝わります。費用だけで決めず、工事内容、使用材料、担当者の対応まで事前に確認することが、納得できるリフォームにつながります。















