2024年04月17日更新

監修記事

中古物件をリノベーションしたときの耐用年数と減価償却のやり方は?

中古物件をリノベーションすると、リノベーション費用が「資本的支出」とみなされ、減価償却の対象となることがあります。対象となるのは法人や賃貸で貸し出している大家さんとなります。今回は、中古物件の購入とリノベーションを同時に行ったときの、減価償却のしくみや計算方法について、注意点と合わせて解説します。

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そもそも減価償却のしくみとは?

住宅などの建物や、パソコン、車などの資産は、年数の経過とともに価値が減少します。その価値の減少分を、その年度に発生した経費として、数年間かけて計上する会計の方法を、減価償却と呼びます。

減価償却の対象となる資産は決まっており、建物をリノベーションした費用も減価償却の対象となることがあります。

減価償却の法定耐用年数

減価償却を行うために欠かせないのが、資産の法定耐用年数です。

法定耐用年数とは、資産ごとに設定された減価償却の期間のことで、資産の種類や用途ごとに細かく設定されています。

例えば、同じ事業用の建物でも、木造のものは24年、鉄筋コンクリート造のものは50年と、建物の構造材によって耐用年数は全く異なっています。

あるいは、木造の建物でも、事務所用建物の法定耐用年数は24年ですが、店舗や住宅用は22年、旅館やホテルは17年と、建物の用途によっても異なります。

その他の法定耐用年数は、国税庁のホームページで調べることができます。

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リノベーション費用の減価償却が必要なケース

傷の補修や表面の汚れ除去など、簡単なリフォームの費用は「修繕費」として経費処理されますので、減価償却を行う必要はありません。

しかし、リノベーションは建物を再生し、価値を高めるリフォームです。そのため、リノベーション費用は修繕費ではなく「資本的支出」とみなされることがあります。

また、傷の修復や清掃を目的として行われたリフォーム費用でも、工事の規模や金額によっては資本的支出に該当するケースもあるため、注意が必要です。

資本的支出とみなされたリノベーション費用やリフォーム費用は、資産の一部とみなされますので、減価償却を行わなければなりません。

修繕費と資本的支出の見分け方

リノベーション費用が、「修繕費」となるか「資本的支出」となるかは、それぞれ以下のポイントで判断することができます。

それぞれの判別方法には厳密な定義がありませんので、リノベーションを行う前に税理士と、工事内容をよく相談しておきましょう。

※リフォーム会社は工事内容に関してはご相談を承れますが支出の内容を経費かどうかなどの判断は出来かねますので先に税理士へご相談いただけますようお願い致します。

修繕費となるリノベーションの例

・工事費用が20万円未満のもの
・原状回復のために行われたもの
・工事費用が20万円を超えているが、3年以内に定期的に行っているもの
・災害で被害を受けた箇所の修復のために行われたもの

資本的支出となるリノベーション

・工事費用が20万円を超えるもの
・元の状態より価値を高めたもの
・販促を目的とした改装や増築、設備の追加など
・災害に備えて設備を強化・追加した場合など

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リノベーション費用の減価償却の方法

それではここからは、具体的な減価償却の方法について解説します。

リノベーションの法定耐用年数

まず、減価償却を行うためには、資産の法定耐用年数を調べる必要があります。しかし、先ほどご紹介した法定耐用年数表には、「リノベーション費用」という項目はありません。

リノベーション費用の法定は、工事の項目ごとに調べていきます。

まず大きく区別しておかなければならないのが、「建物」部分と「建物附属設備」部分です。

建物部分には、リノベーションを行った建物の法定耐用年数を使い、建物附属設備部分はそれぞれの設備の法定耐用年数を使います。

また、中古マンションなど、内装など建物附属設備のリフォームがメインとなる建物でも、間仕切り壁の撤去などが建物部分に含まれることもありますので注意が必要です。

建物部分の例

・間仕切り壁の新設
・外壁塗装工事
・断熱工事
など

リノベーションを行った建物が、事業用の木造の建物であれば24年、店舗・住宅用の木造の建物であれば22年が、それぞれの工事の法定耐用年数となります。

また、後ほど詳しく解説しますが、建物の法定耐用年数がある程度過ぎており、リノベーション費用が一定の金額以下であれば、現在の建物の状況に応じた法定耐用年数を使って、減価償却を行うこともできます。

建物附属設備の例と耐用年数

・トイレ:15年
・照明:15年
・エアコン:6年
など

中古物件をリノベーションしたときの耐用年数と減価償却のやり方は?

リノベーション費用の減価償却の計算方法

減価償却には、「定額法」と「定率法」の二種類の計算方法があります。

資産の種類ごとに使える計算方法は決まっており、建物と建物附属設備のリノベーション費用は、「定額法」で計算することになっています。

・定額法の計算式:リノベーション費用×定額法の償却率

償却率は、法定耐用年数がわかっていれば、下記の国税庁のホームページで確認することができます。

例えば、建物のリノベーションで、トイレを20万円で交換した場合、トイレの法定耐用年数は15年ですので、表の記載に従って、償却率は0.067となります。

定額法の計算式に当てはめると、

20万円×0.067=13,400円

となり、このトイレのリノベーション費用は、6年かけて13,400円ずつ減価償却費として計上することになります。

中古物件をリノベーションしたときの減価償却

店舗やオフィス用の中古マンションなどを新たに購入するケースでは、購入と同時に内装や設備のリノベーションが必要となるでしょう。

このようなケースでは、中古で購入した物件の「再取得額」に注意しなくてはなりません。

再取得額とは、同じ建物を、現在の時点で新たに建てたときにかかる費用のことで、再取得価額、または再調達価額と呼ばれることもあります。

物件を購入した費用のことではありませんので、計算の際に混同しないようにしましょう。

もし、リノベーション費用が、購入した中古物件の再取得額の50%を下回っている場合は、「簡便法」という別の計算方法で減価償却費を求めることができます。

簡便法が使用できれば、法定耐用年数よりも短い期間で減価償却費を終えることができます。

簡便法の計算を行うためには、以下の数値をそれぞれ求める必要があります。
・中古物件の購入費用
・リノベーション費用
・中古物件の簡便法の耐用年数
・中古物件の法定耐用年数

それぞれの計算方法をひとつずつ詳しく見てみましょう。

中古物件をリノベーションしたときの耐用年数と減価償却のやり方は?

簡便法の耐用年数

まずは簡便法の耐用年数を調べていきます。

簡便法の耐用年数は、以下の計算式で求めます。

(建物の法定耐用年数-経過年数)+経過年数の20%

仮に、法定耐用年数が24年の木造の事業用物件を購入し、築年数が購入時点で10年経過していたとします。

この中古物件の簡便法の耐用年数は、先ほどの式に当てはめると、

(24-10)+(10×0.2)=16年

となります。

簡便法による中古物件の減価償却費用

簡便法の耐用年数がわかれば、いよいよ簡便法で減価償却費を計算することができます。

・簡便法の計算式:
(中古物件の購入費用+リノベーション費用)÷(中古物件の購入費用÷簡便法の耐用年数+リノベーション費用÷中古物件の法定耐用年数)

上記の式に、具体的な例を当てはめて計算してみましょう。

例)
・法定耐用年数24年の木造物件を、築10年目で購入
・物件の購入費用:1,000万円
・リノベーション費用:約400万円

・中古物件の購入費用+リノベーション費用=1,400万
・中古物件の購入費用÷簡便法の耐用年数=62万5千
・リノベーション費用÷中古物件の法定耐用年数=16万6666

1400万÷(62万5千+16万6667)=17.68

以上から、この中古物件の購入費用とリノベーション費用は、耐用年数17年で減価償却を行うことになります。

もし物件購入費用とリノベーション費用に、本来の法定耐用年数を当てはめた場合は、24年間で減価償却を行うことになり、減価償却の期間が長くなるだけでなく、一度に計上できる減価償却費も少なってしまいます。

リノベーション目的で事業用の中古物件を購入する場合は、物件の再取得額が、リノベーション費用の50%を超えないことを基準に探すことをおすすめします。

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この記事の監修者プロフィール

【監修者】株式会社フレッシュハウス 樋田明夫

株式会社フレッシュハウス

樋田明夫

フレッシュハウスでリフォームの営業担当を長年経験し、数々のリフォームコンテストでの受賞実績を持つ。現在はフレッシュハウス本社における営業戦略室の室長として、大規模リフォームから通常のリフォーム物件まで幅広く対応中。

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