2023年11月20日更新
リフォームと建て替えを比較!メリット・デメリットは?
リフォームと建て替えは、費用、工事期間、税金など、様々な違いがあります。ご自身のケースに相応しい方を選ぶためにも、それぞれの利点や欠点をよく比較しておきましょう。今回は、リフォームと建て替えの違いについて、メリット・デメリットを踏まえながらご紹介します。
リフォームと建て替えはどちらが良い?
家の築年数が一定以上になると、リフォームと建て替えのどちらを選択すべきか、悩んでしまう人も少なくはありません。
しかし、リフォームにも建て替えにも、選択すべきケースと適さないケースがあります。
メリット・デメリットや、工事内容、費用など、それぞれの特徴や違いを知って、ご自身のケースに適した方法を選択しましょう。
項目ごとのメリット・デメリット比較
まずは、「プランニングの自由度」「費用」「工事期間」「税金」「住宅ローン」の5つで、リフォームと建て替えの特徴を簡単に比較してみましょう。
リフォームの特徴
・プランニングの自由度:既存の間取りや構造に制約を受ける
・費用相場:約1000~1800万円(30〜35坪程度)
・工事期間:約3カ月以内
・税金:面積が増えなければ基本固定資産税は変わらない、若しくは工事内容によっては減税一定期間減税を受けることができる
・ローン:住宅ローンがまだ残っている場合は、一体型の住宅ローンを利用できる可能性がある。ローンを完済してしまっている場合は無担保型などのリフォームローンとなり、住宅ローンに比べると金利が高く、返済期間が短くなる。
建て替えの特徴
・プランニングの自由度:高い(30〜35坪程度)
・費用相場:約1500~2300万円
・工事期間:約3カ月~半年
・税金:住宅ローン減税や要件に合う場合は一定期間固定資産税の減税がある
・ローン:新築時の住宅ローンを完済している場合は新たに住宅ローンを使用可能。まだ返済が残っている場合は金融機関と相談が必要となる。
このように、リフォームと建て替えは、どちらにも利点と欠点があります。
以下からは、それぞれのメリット・デメリットや理由を、詳しく見てみましょう。

リフォームのメリット・デメリット
リフォームは建て替えに比べると、工事に掛かる費用が少なく、期間も短いという利点があります。
しかし、利用できる金利ローンの条件が悪かったり、場合によっては高額な費用になったりするという欠点もあるため、必ずしもリフォームが良い判断になるとは限りません。
リフォームのメリット
リフォームのメリットは主に、費用面と工事期間の短さ、税金の優遇率です。
費用相場は割安
リフォームの費用相場は、30〜35坪程度で約1000~1800万円となっています。
リフォームを行う住宅の面積や、工事の内容、設備の価格にもよりますが、基本的には上記の相場に収まる傾向にあります。
新たに土地を探して新築の家を建てたり、元の家を解体して建て替えたりした場合と比較すると、家をリニューアルする方法の中では、最も安い選択肢と言えるでしょう。
また、建物の保存状態が良く、既存の間取りや設備を上手く活かしたプランニングを行うことができれば、費用を約1000万以内に抑えることも可能です。
工事期間が比較的短い
建て替えと比較すると、リフォームは、約3カ月以内という短い期間で行うことができます。
ただし、全面リフォームやスケルトンリフォームなど、工事の規模が大きくなると、約半年以上の工事期間になることもあるため注意が必要です。
しかし、工事の進め方次第では、家にいながらリフォームを進めることもできるため、仮住まいの家やその費用を手配する必要がなく、工事期間の長さが大きなデメリットにならないこともあります。
税金面の負担が少ない
リフォームで新築のように綺麗な家を手に入れても、「建築確認申請」が発生しなければ、基本的には固定資産税の見直しの対象にはならず、税額が上がることはありません。
建築確認申請とは、これから建てようとしている建物が、法律や条例に違反していないことを自治体に届け許可を得る作業のことです。
新たに新築する場合だけでなく、部屋の増築や建物の用途変更、解体する面積が大きく改修する内容が多いリフォームなどは、建築確認申請を済ませておく必要があります。
建築確認申請を行うと、建物の固定資産税が見直され、税額が上がることがあるため注意が必要です。
しかし、耐震改修工事や断熱改修工事、バリアフリー化工事、太陽光発電の設置工事などがリフォームに含まれている場合は、固定資産税の軽減制度を受けられる自治体もあります。
これらの申請では、工事前の現場写真が必要になるため、着工前に申請の手続きを始めておくと良いでしょう。

リフォームのデメリット
リフォームの欠点は、現状の間取りを元に行うため大きな間取り変更はできないこと、また、建物の状態によっては高額な費用になる恐れがあることです。
また、工事費用に利用できるローンも、新築を建てるときに利用する住宅ローンと比較すると、金利や返済期間などの条件が厳しくなりますのでよく確認しておきましょう。
間取りの制約が多い
既存の家の間取りや構造を残したまま行うリフォームは、あらゆる点でプランニングに制約が発生します。
特に、家の構造に関わる梁や柱、階段などは、動かしたくても動かせないことがあるため、間取り作りではこれらを残したまま効率的なプランニングを考えなくてはなりません。
さらに、柱や梁ではなく、壁で家を支えて作る「壁式工法」の住宅では、壁の移動や窓の追加も困難になります。
また、もし手を加えることができても、家の強度を落としてしまうプランニングもあるため注意が必要です。
例えば、明るく開放的な空間が手に入ることで人気の「吹き抜け」ですが、吹き抜けにするために天井を減らすと、地震の揺れを壁だけで受け止めなければならず、家の構造によっては耐震性を落とす恐れがあります。
このように、思い通りの間取り作りが行えず、完成しても満足度の低いリフォームになる恐れがある点は、リフォームの最大の欠点と言えるでしょう。
費用が高額になるケースもある
耐震性や断熱性など、家の性能を高める工事が発生すると、工事費用は約1300~2000万円と、建て替えとほぼ同額の費用になることもあります。
築年数が古い家になるほど補強工事が増える傾向にあるため、ご自身の住宅でどのような工事が行われるか、見積もりの内容によく目を通しておきましょう。
また、耐震基準が改正された、「1981年の5月」以前に建てられた家は、耐震基準に沿って建てられていない場合や、大規模地震の際の耐力が不足している場合があるため、リフォームの際に耐震改修工事を行うことが必要となります。
近年では「2000年5月」以前の住宅であれば耐震補強に補助金が出る自治体があります。
耐震改修工事の費用は、約100~300万円と決して安くはありませんので、リフォームに踏み切る前に、家の詳細な築年数を確認し、あらかじめ耐震診断を受けておきましょう。
リフォームローンの使いにくさ
リフォームローンは住宅ローンに比べると、無担保で借り入れがが可能なため、審査期間も短く用意する書類なども少ないです。
審査結果もすぐにでるため、2週間程度で借り入れが可能というメリットがありますが、金利は2%~5%程度で、借入期間は最長でも10年から20年程度となり、返済条件が若干厳しいという特徴があります。
例えば、住宅ローンが約1億円まで借入できるのに対し、リフォームローンは限度額が約1000万円までになっていることが多く、高額なリフォームになると、手持ちの資金を多めに準備しなければなりません。
住宅ローンの約2倍以上の金利の上、返済期間も短くなっており、高額のローンを組む場合は全体的に負担の大きいローンとなっています。
リノベーションとの違い
リノベーションとは、建物の価値を高める工事のことです。
例えば、故障して使えなくなったトイレを、元のトイレと同じ性能を持った新品に取り換える「補修」は、リフォームと言えます。
一方、使いにくくお手入れが大変な和式トイレを、スリムで掃除の手間も少ないタンクレストイレに交換するような「改良」は、リノベーションと言うことができるでしょう。
つまり、リノベーションとはリフォームの方法のひとつと考えることができますが、両者に厳密な違いはなく、大規模な「補修」をリノベーションと呼ぶリフォーム会社もあります。
単なる補修に留まらず、改良も加えなければならないリノベーションは、約1300~1800万円と、若干高い費用相場となっています。
しかし、既存の設備や間取りにほとんど手を加えなければ、約800~1200万円でリノベーションを行うことも可能です。
なお、リノベーションは耐震改修や断熱補強など、家の性能を高める工事を伴うことが多いため、各自治体の補助金や、固定資産税の減税制度などを利用しやすいという利点があります。
建て替えのメリット・デメリット
一見、費用が高額になるため、負担が大きいように感じる建て替えですが、建物の状態や、建て替えの目的次第では、リフォームよりも満足度の高い家を手に入れることができるでしょう。
建て替えのメリット
建て替えのメリットは何と言っても、プランニングの自由度の高さや、工事漏れのリスクが少ないことです。
満足度の高い工事になる
建て替えでは、家をすべて解体し、新築のように建て直すため、リフォームと比較するとプランニングの自由度は圧倒的に高くなります。
柱や梁など、プランニングの障害となる構造もすべて撤去してしまうため、既存の間取りに制約を受けることもありません。
そのため、リフォームのように「間取りを変えた結果、前よりも使いにくくなってしまった」という失敗も少なく、今後の生活に合わせた無駄の無い満足度の高い家を手に入れやすいというメリットがあります。

建物全体を万遍なくリニューアルできる
築年数が古い建物では、構造部分の劣化が著しく進んでいるため、これらをリフォームで補修していると、工事費用も自ずと膨らんでしまいます。
そのため、いったん建物をすべて解体し、新たに作り替える建て替えの方が、手間も費用も少なく済ませることができる場合もあります。
そのほか、耐震性や断熱性については、1から建物全体で設計を行うため、家全体を最新の建築技術で仕上げることができるでしょう。
建て替えのデメリット
建て替えのデメリットは、工事費用や税金の負担が大きいだけでなく、工事期間の長さやそれに伴う様々な手間などもあります。
再建築不可物件に注意
法改正前に建てられた住宅の中には、「再建築不可物件」が紛れていることがあります。
土地は、建築基準法で定める条件を満たしていなければ、建物を建てることができません。しかし、中には、建築基準法の改正前に建てられてしまった住宅もあります。
このような住宅は「再建築不可物件」と呼ばれ、いったん建物を解体してしまうと、新たに家を建てることができなくなってしまいます。
もし、建て替えを検討している住宅が再建築不可物件だった場合は、リフォームを選択しなければなりませんが、増築を含むリフォームは行えないという制約もあります。
費用負担が大きい
建て替えの費用相場は、約1500~2300万円と非常に高額です。二世帯住宅など面積が大きい家を建てると、約3000万円近い費用になることもあります。
費用が高額になる理由には、建物の解体費用が主な要因ですが、その他にも、建て替えには様々な諸費用が登場します。
まず、工事期間中は家に住むことができませんので、仮住まいの生活費を用意しなければなりません。
そのほか、解体に伴い、家具や生活用品を片づけなければならないため、引越しや処分費用も発生します。
また、建て替えでは建築確認申請を必ず行います。申請が行われた建物は固定資産税が見直され、税額が上がることがあります。
さらに、様々な登記手続きも発生するなど、建て替えにはリフォームでは発生しない費用が多く発生し、総費用も割高になってしまいます。
工事期間が長い
建て替えは、約5カ月から半年という長い工事期間が必要です。工事会社選びやプランニング、その他手続き関係も含めると、完成までに約1年以上の期間を要するでしょう。
また、家を完全に解体してしまうため、家がないあいだの仮住まいを必ず確保しなければならず、一時的に生活環境を変えなくてはなりません。
住宅ローンの利用も検討を
費用が高額になる建て替えでは、住宅ローンを利用して、負担額を減らす方法も有効です。
ただし、建て替えを行うとき、解体する家の住宅ローンが残っている場合は、家にかかっている「抵当権」を解除しなければなりません。
建て替えでは、建物を解体するための「滅失登記」、工事完了後に行う「表題登記」、建て替え後の所有者を登録する「所有権保存登記」という、3種類の登記手続きが発生します。
ここに「抵当権設定登記」が加わると、約20~30万円の費用が必要になります。
また、住宅ローンが残った状態で、新たにローンを追加すると審査が厳しくなるため、「親子リレー返済」など、返済しやすい条件を検討する必要があります。
災害による住宅の損壊や、二世帯住宅化など、やむを得ない事情があるときは、住宅ローンのように好条件で利用できる「建て替えローン」の利用も視野に入れると良いでしょう。
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この記事の監修者プロフィール

株式会社KURODA一級建築士事務所
坂田理恵子一級建築士、一級施工管理技士。和歌山市で設計事務所に勤務。住宅のリフォームや新築を中心に携わり、女性目線で、家事や掃除、片付けがしやすく暮らしやすい家の提案を行う。

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