鉄筋コンクリート造（RC造）住宅の種類

鉄筋コンクリート造（RC造）住宅には、大きく分けて「ラーメン構造」「壁式構造」の2種類があります。

どちらもコンクリートを用いた建物で、耐久性が非常に高く、戸建住宅だけでなく階数が多い高層ビルやマンションにも選ばれている構造です。

それぞれの構造における特徴を確認しましょう。

ラーメン構造

ラーメン構造の「ラーメン」とは、ドイツ語で「フレーム」を意味する言葉です。

フレームは鉄骨の柱と梁（はり）のみで構成されており、フレームに合わせた鉄筋コンクリートを配置することで住宅を建てます。

余計な骨組みが必要ないラーメン構造は間取り変更を行いやすい特徴があり、窓の位置変更や壁の撤去など大幅なリフォームが可能です。

一方で後述する壁式構造と比較すると居室内の柱が目立ち、普段の生活で邪魔に感じるデメリットも挙げられます。

柱をタイル貼りにする、石目貼りにするなどデザインを工夫することで柱の圧迫感を解消してみましょう。

壁式構造

壁式構造は、壁や床などの「面」で建物を支える構造です。

ラーメン構造のように柱や梁などのフレームはなく、コンクリート壁と床のみで縦方向と横方向の揺れや荷重を支えています。

柱や梁がないため直線的な空間を作れる利点があるほか、分厚いコンクリート壁により作られた建物は断熱性・耐震性・遮音性・防音性にも優れています。

一方で、壁式構造はラーメン構造と比較するとリフォームの難しさがデメリットです。

壁式構造では、構造力学上重要な役割を担う壁である「耐力壁（たいりょくへき）」が存在するため、壁の撤去による間取り変更の難しいケースがあるでしょう。

鉄筋コンクリート住宅のリフォーム費用相場

鉄筋コンクリート住宅のスケルトンリフォーム費用は、戸建住宅とマンションで費用が大きく異なります。

マンションリフォームは、一般的に戸建住宅に比べると高額にはなりません。

解体費用は専有部分しか発生しないほか、外壁や屋根などのリフォームや耐震・断熱補強工事はマンションリフォームでは実施する必要がないためです。

それぞれの費用とその内訳を詳しく確認しましょう。

マンションの場合

鉄筋コンクリート住宅のマンションにおけるスケルトンリフォーム費用は、50〜60平米の場合600〜800万円です。

項目	費用
単身向けマンション	600〜800万円
ファミリー向けマンション	1,000〜1,800万円

上記のとおり、鉄筋コンクリート住宅のマンションにおけるスケルトンリフォーム費用は、部屋の大きさやリフォームの規模によって異なります。

間仕切りの少ない単身向けマンションよりも、広く部屋数の多い方が費用は割高になるでしょう。

このほかにも、水回り設備を最新のものにするとリフォーム費用は高額になります。

>>マンションのスケルトンリフォームの費用について気になる方はこちら！

戸建住宅の場合

150平米前後の鉄筋コンクリート造の戸建住宅をスケルトンリフォームする際、2,000～3,800万円が相場です。

戸建住宅では耐震補強や断熱補強、外壁工事などを実施する必要があり、マンションと比較して費用は高額となります。

戸建住宅のスケルトンリフォームで発生する工事全体の平米単価は13〜19万円です。

下記に詳しい工事内容と費用をまとめました。

項目	費用（1㎡あたり）
解体工事費用	1～3万円
耐震補強工事費用	2～6万円
断熱補強工事費用	約3万円
外壁、屋根工事費用	約3万円
内部工事費用	約2.5万円
電気配線工事費用	約1.5万円

上記のほかにも、カーポートやフェンス、テラスの設置などマンションでは行えない工事も選択可能です。

どの箇所にどこまで予算をかけられるのか、プランニングを始める前に、あらかじめ計画を立てておきましょう。

>>戸建のスケルトンリフォームの費用について気になる方はこちら！

リフォームすべきか建て替えるべきか

鉄筋コンクリート造住宅はリフォームすべきか建て替えるべきか一概には言えません。

リフォームと建て替えのどちらが適しているかについては、建物の状態によって異なります。

リフォームが適しているケース

メンテナンスの行き届いた鉄筋コンクリート住宅ではリフォームがおすすめです。

一口にリフォームと言っても、水回りのリフォームから間取り変更までさまざまな方法があります。

スケルトンリフォームを実施すれば断熱性能の向上や大幅な間取り変更も可能になります。

工事の規模や業者にもよりますが、建て替えの半分程度の工期と費用でリフォームできる利点があるでしょう。

建て替えが適しているケース

大幅な間取り変更を行いたい場合や、家自体の機能性能に不安を感じている場合、建て替えがおすすめです。

前途した壁式構造では、耐力壁と呼ばれる壊せない壁があるため、どうしてもリフォームでは思い通りの間取りに出来ない場合があります。

建て替えを行えば構造から変更できるため、ライフスタイルに合った間取り変更が可能です。

また、建築されてからノーメンテナンスで長い年月を経ていると、構造の破損や劣化、耐震性・機能性の低下が見られます。

リフォームでも劣化した構造の修繕や耐震化は可能ですが、建て替えてしまった方が早いケースもあるでしょう。

鉄筋コンクリート造住宅をリフォームするメリット

鉄筋コンクリート造住宅をリフォームすると、木造とは異なる下記のメリットが得られます。

メリット1 世代を超えて住み続けられる

鉄筋コンクリート住宅をリフォームすると、世代を超えて住み続けられるメリットがあります。

国税庁が発表している「主な減価償却資産の耐用年数表」によると、鉄筋コンクリート住宅の法定耐用年数は木造住宅よりも長く設定されています。

構造	法定耐用年数
木造	22年
鉄骨鉄筋コンクリート造（SRC造）	47年
鉄筋コンクリート造（RC造）	47年

また、計画的なメンテナンスを実施したコンクリート構造物の目標耐用年数は100年とされています。

もともとの耐用年数も長い鉄筋コンクリート住宅ですが、リフォームとともに劣化に対するメンテナンスも実施すれば子や孫の世代まで長く住み続けることが可能です。

メリット2 不動産価値を維持できる

鉄筋コンクリート住宅は丈夫な作りであるため、木造住宅と比較すると定期的なメンテナンスで不動産価値を維持できます。

生活スタイルが変わっても、リフォームして住み続ける方法や、売却して利益を得る方法などさまざまな選択肢が取れるでしょう。

コンクリートの性質を活かしたリフォーム方法

鉄筋コンクリート住宅では、木造住宅では難しい間取りも実現できます。

この項では、鉄筋コンクリートの性質を活かしたおすすめのリフォーム方法をご紹介します。

方法1 遮音性を活かしたオーディオルーム

鉄筋コンクリート住宅は、木造住宅と比較すると遮音性や防音性に優れているため、オーディオルームやシアタールームへリフォーム可能です。

好きな時間に大音量で映画や音楽が楽しめる非日常な空間を実現できます。

昨今では、オーディオルームだけではなく、ダンススタジオやトレーニングルームとして遮音性の高い部屋を活用する人も増えています。

方法2 家と車庫が一体化したインナーガレージ

鉄筋コンクリート住宅では、家と車庫が一体化したインナーガレージも実現できます。

インナーガレージでは、雨天でも雨に濡れることなく玄関から車まで移動可能です。

愛車を雨にさらさないほか、趣味を楽しむスペースとしても活用できるリフォーム方法と言えるでしょう。

鉄筋コンクリート住宅のリフォームにおける注意点

鉄筋コンクリート住宅をリフォームする際、気を付けなければならないいくつかの注意点があります。

リフォームに失敗しないためにも注意点によく目を通しておきましょう。

注意点1 耐震診断や耐震補強

耐震性に優れている鉄筋コンクリート住宅ですが、旧耐震基準で建築された住宅の場合、耐震診断や耐震補強工事が必要となるケースがあります。

1981年（昭和56年）までに建築された建物は、建築基準法によって定める耐震基準が強化される前の旧耐震基準によって建築されています。

旧耐震基準で建築された建物は大地震で崩壊・倒壊するリスクがあり、耐震診断を実施し結果に応じて耐震補強工事を行う必要があるでしょう。

出典：国土交通省｜住宅・建築物の耐震化について

注意点2 断熱性や気密性

鉄筋コンクリート住宅は、断熱性や気密性に注意する必要があります。

熱伝導の高いコンクリートは外気温の影響を受けやすく、暑さや寒さがダイレクトに反映されます。

さらにコンクリートの気密性の高さから、一度冷えたら暖まりにくい住宅となってしまうのです。

高い断熱性能を実現するためには、リフォーム時に断熱処理を施しましょう。

窓の断熱補強や、追加の断熱材を施すことで断熱性が高まり、室温が一定に保たれ暮らしやすくなります。

なお、断熱リフォームは自治体によって補助金や助成金制度があります。

断熱リフォーム補助金・助成金制度について詳しくは下記の記事を参考にしましょう。

>>断熱リフォームに活用できる補助金・助成金制度について詳しくはコチラ

注意点3 鉄筋コンクリート造のリフォーム実績が豊富な業者を選ぶ

鉄筋コンクリート住宅は、木造住宅とリフォーム方法が異なります。

このため、鉄筋コンクリート住宅のリフォーム実績が豊富な業者を選ぶことが大切です。

リフォーム実績が豊富な業者に依頼すると、実際の施工事例からさまざまなプランを検討できます。

リフォーム業者を探す際には、リフォーム一括見積もりサイトの活用がおすすめです。

>>リフォーム一括見積もりサイトについて詳しくはコチラ

【Q&A】鉄筋コンクリート住宅のリフォームに関するよくある質問

築40年〜築50年のRC住宅をスケルトンリフォームした場合、いくらかかりますか？

築40年〜築50年のRC住宅をスケルトンリフォームした場合、広さにもよりますが1,000～2,000万円の費用がかかります。

スケルトンリフォームするRC住宅が戸建住宅である場合、耐震補強費用や断熱補強費用の発生する可能性があるため、マンションよりも費用が高額になります。

詳しくは当記事「鉄筋コンクリート住宅のリフォーム費用相場」を参考にしてみましょう。

築50年のRC住宅をリフォームした場合、あと何年住めますか？

築50年のRC住宅をリフォームした場合、適切なメンテナンスを施せば50年住み続けられます。

RC住宅は木造や鉄骨造と比較すると耐震性や耐久性に優れており、長く住み続けることが可能です。

長く住み続けるためには、リフォーム時に耐震補強や外壁補修、断熱材の補填、電気設備の交換を視野に入れてみましょう。

RC住宅をリフォームする場合、どのくらいの期間を要しますか？

RC住宅をリフォームする場合、設計に2～3か月、工事に3～6か月程度要します。

上記の期間は目安であり、リフォームする範囲や規模によって工期は前後します。

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