築30年・築35年の住宅、リフォームと建て替えはどちらがいい?

「築35年の家 リフォームか建て替えか」の文字と、改修作業中の住宅と新しい戸建て住宅

築35年の家をリフォームするか建て替えるかは、築年数だけで決めず、建物の劣化状況や耐震性、希望する間取り・性能、今後住む年数を踏まえて判断することが大切です。今の家を生かしながら必要な箇所だけ直したい場合はリフォーム、基礎・構造部の劣化が大きい場合や間取り・性能を大幅に見直したい場合は、建て替えが向いていることもあります。この記事では、それぞれに向いているケースと、費用やメリット・デメリットの違いを解説します。

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築35年の家でリフォームと建て替えを判断する際に、建物の劣化、耐震性、間取り・性能、今後住む年数を比べる図解
築35年の家でリフォームか建て替えかを決める4つの判断軸

リフォームと建て替えはどちらがいい?

リフォームと建て替えのどちらが適しているかは、予算や住宅の状態、家族構成などによって異なります。まずは、それぞれが向いているケースを確認しましょう。

思い出や費用、仮住まいを重視するリフォーム向きと、耐震・断熱、間取り、居住年数を重視する建て替え向きを比較した図解
リフォーム向き・建て替え向きの人の比較

リフォームがおすすめの人

次の3つのいずれかに当てはまる方には、リフォームが向いています。

  • 家への思い出を残したい
  • 修繕費用を抑えたい
  • 仮住まいへの引っ越しに抵抗がある

小規模なリフォームは既存部分を多く残せるため、子育ての思い出が刻まれた我が家を維持しながら、必要な箇所だけ新しくしたい方に向いています。建て替えよりも工事の範囲を抑えやすい点もメリットです。ただし、工期や仮住まいの要否は、住宅の状態や設備の納期、工事中に水回りを使えるかなどによって変わります。契約前に工程表と生活への影響を確認しておきましょう。

建て替えがおすすめの人

次のいずれかに当てはまる方には、建て替えが向いています。

  • 耐震性や断熱性を高めたい人
  • 大きく間取りを変更したい人
  • 持ち家を長持ちさせたい人

築35年の住宅は1991年前後に建てられているため、すべてが旧耐震基準に該当するわけではありません。新耐震基準へ切り替わったのは1981年6月1日です。木造住宅では、2000年6月に接合部の仕様や耐力壁の配置などが明確化されました。それ以前に建てられた在来軸組構法の住宅は、耐震性能を確認する意義があります。建築確認済証や検査済証を確認し、必要に応じて耐震診断を行ったうえで、耐震改修と建て替えを比較しましょう。間取りや省エネ性能を大きく見直したい場合は、建て替えも有力な選択肢です。

1981年6月1日の新耐震基準、1991年前後に建てられた築35年の住宅、2000年6月の木造仕様明確化を並べ、耐震性能の確認を促す図解
築35年の住宅を判断するときに確認したい耐震基準の節目

老後の建て替えで後悔しないためには、建築費だけでなく、引っ越し・仮住まいを含む総費用、将来の介護や家事負担を見据えた間取り、完成後の維持管理まで確認しておきましょう。リフォームでも希望を満たせる場合があるため、建物調査を行ったうえで、今後住む年数と工事後の暮らしを比較することが大切です。

※ 参考1:国土交通省「新耐震基準の木造住宅の耐震性能検証法」
※ 参考2:国土交通省「住まいの耐震化」

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築30年でリフォーム・建て替えはもったいない?

築30年だからといって、一律にリフォームや建て替えが必要になるわけではありません。まだ住める家に費用をかけるのはもったいないと感じる方もいますが、判断には住宅の状態確認が欠かせません。構造の安全性や雨漏り、配管、断熱性能、これまでの修繕履歴を調べ、必要な工事の範囲を見極めましょう。

築30年前後は住宅の状態を見直す節目

住宅の寿命は、築年数だけでは決まりません。国土交通省の「令和7年度住宅市場動向調査報告書」によると、リフォームを実施した世帯の住宅は、新築で取得した場合の平均築後年数が27.2年、既存(中古)住宅として購入した場合は35.4年でした。ただし、この数値はリフォームを実施した住宅の平均であり、住宅の寿命や推奨時期を示すものではありません。建物の劣化状況や耐震性、修繕履歴を確認して判断しましょう。

※ 参考:国土交通省「令和7年度住宅市場動向調査報告書」

設備や建物の劣化状況を点検する

築30年を迎える住宅では、給排水管や給湯器、水回り設備、屋根、外壁などの交換・補修履歴を確認しましょう。国税庁が示す法定耐用年数は、事業用資産の取得費を各年の必要経費へ配分する減価償却のための年数です。住宅設備の故障時期や交換時期を示すものではありません。交換・補修の要否は、設備の状態や使用環境、メーカーの点検案内、修繕履歴をもとに判断します。建物全体の状態がわからない場合は、建築士などの専門家による調査も検討しましょう。

給排水管、給湯器、水回り設備、屋根、外壁、修繕履歴の6項目を示す点検図
築30年・築35年の家で確認したい点検箇所

※ 参考1:国税庁「減価償却のあらまし」
※ 参考2:国土交通省「既存住宅状況調査技術者講習制度について」

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築30年・築35年の住宅でリフォームと建て替えを比較

築30年・築35年の住宅は、設備の交換履歴や建物の劣化状況を詳しく確認したい時期です。点検結果によって、部分的な補修で済むこともあれば、性能向上を含む大規模工事が適することもあります。リフォームと建て替えでは費用や工期、メリット・デメリットが大きく異なるため、点検結果をもとに比較しましょう。

費用

築30年・築35年の住宅にかかる費用は、築年数だけでなく、工事範囲や建物の状態、設備のグレードによって変わります。主な費用目安は、次のとおりです。

フルリフォーム500万〜2,000万円、スケルトン改修1,200万〜2,500万円、30坪前後の建て替え2,000万〜4,000万円を比較した図解
築30年・築35年の住宅におけるリフォームと建て替えの費用比較
工事内容費用目安確認ポイント
部分リフォーム数万円〜数百万円設備交換などの小規模工事は数万円から、水回り・内装・外装など複数箇所の改修は数百万円になることがあります。
戸建てのフルリフォーム500万〜2,000万円延床面積や構造、劣化状況、耐震・断熱工事の内容によって変わります。
30坪前後のスケルトンリフォーム1,200万〜2,500万円築年数だけで一律には決まらず、工事範囲によって費用が変動します。
二世帯住宅への改築完全共有型
300万円〜
部分共有型
800万〜1,200万円
完全分離型
2,000万〜3,000万円
共有する範囲や、キッチン・浴室などの増設数によって変わります。
約10㎡の居室を増築160万〜270万円増築事例の費用です。面積・構造・用途によって異なります。
断熱改修部分施工
15万〜150万円
家全体
300万〜500万円
窓・床・壁・天井など、施工する範囲によって変わります。
地盤・基礎補強個別見積もり沈下やひび割れの状況、施工範囲、工法によって大きく変わるため、建物調査が必要です。
30坪前後の建て替え建築費
2,000万〜4,000万円
条件によっては6,000万円超
建築費のほか、解体費、仮住まい費、2回分の引越し費、登記費用、必要に応じて地盤改良費がかかります。

リフォームは工事範囲と建物の劣化状況を確認して予算を立てましょう。建て替えは建築費だけでなく、解体や仮住まいなどを含む総額で比較することが大切です。

リフォームのメリット・デメリット

リフォームの主なメリットは、次の5つです。

  • 建て替えより低コストで可能
  • 工事期間が短い
  • 条件を満たせばリフォーム減税を利用できる
  • 仮住まいに引っ越ししなくても可能
  • 思い出が残る

一方、構造上の制約により、大がかりな間取り変更が難しい点はデメリットです。工事中に補修の必要な箇所が見つかり、追加費用が発生する可能性もあります。部分的な改修を検討する場合は、事前に住宅の状態を業者に調査してもらいましょう。

※ 参考:国土交通省「住宅をリフォームした場合に使える減税制度について」

建て替えのメリット・デメリット

建て替えの主なメリットは、次の3つです。

  • 基礎から作るため間取りの自由度が高い
  • 設備をすべて一新できる
  • 現行基準に合わせて耐震性や断熱性を計画できる

建て替えでは基礎から造り直すため、法令や敷地条件の範囲内で間取りや設備を計画できます。一般的には工事中の仮住まいと転居が必要です。工期は、構造や規模、設計・確認申請、解体工事の内容によって異なります。新しい建物には不動産取得税や登録免許税などがかかる一方、一定の要件を満たす新築住宅には軽減措置があります。大がかりな間取り変更や性能向上を希望する場合は、総費用と税制優遇、仮住まい期間まで含めて比較しましょう。

※ 参考1:国税庁「マイホームを持ったとき」
※ 参考2:国土交通省「住宅税制」

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リフォームや建て替えで利用できる補助金と減税制度

リフォームや建て替えでは、補助金や減税制度を利用できることがあります。工事費の負担を抑えられる可能性があるため、計画段階で対象となる制度を確認しましょう。

リフォームで使える補助金・減税制度

2026年8月時点で、リフォームに利用できる主な制度は以下のとおりです。

制度2026年度の主な内容
住宅省エネ2026キャンペーン※1みらいエコ住宅2026事業」「先進的窓リノベ2026事業」「給湯省エネ2026事業」「賃貸集合給湯省エネ2026事業」の4事業です。対象工事や住宅区分に応じて利用でき、予算上限に達すると受付が終了します。
みらいエコ住宅2026事業※2原則として2016年12月31日以前に新築された住宅が対象です。築35年前後の住宅では、要件を満たす断熱改修などに対して1戸あたり最大100万円の補助対象となる場合があります。申請は登録事業者が行います。
既存住宅の断熱リフォーム支援事業※3高性能建材を使った断熱改修を支援する制度です。戸建住宅の補助上限は120万円です。2026年6月公募は8月21日に終了し、次回公募は9月に予定されています。
介護保険の住宅改修費要介護・要支援の認定を受けた方が住む住宅で、手すりの取り付けや段差解消などを行う場合に利用できます。支給限度基準額は20万円で、所得に応じて7〜9割が支給されます。原則として工事前の申請が必要です。
自治体の補助制度耐震改修、バリアフリー化、断熱改修などを対象とする制度があります。対象工事や受付期間は自治体ごとに異なります。
所得税のリフォーム促進税制耐震、バリアフリー、省エネ、三世代同居、長期優良住宅化、子育て対応の各リフォームが対象です。2026年1月1日〜2028年12月31日に居住を開始する場合の制度が案内されています。
固定資産税の減額措置※4耐震、バリアフリー、省エネ、長期優良住宅化リフォームが対象です。2026年4月1日〜2031年3月31日に工事が完了する場合の制度が案内されています。

補助金と減税は対象工事が重なっても、同じ工事費に対して重複利用できない場合があります。契約や着工の前に、施工業者と制度窓口へ適用条件や併用可否を確認しましょう。

※1:住宅省エネ2026キャンペーン公式サイト
※2:みらいエコ住宅2026事業「リフォーム」
※3:既存住宅の断熱リフォーム支援事業
※4:国土交通省「住宅をリフォームした場合に使える減税制度」

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建て替えで使える補助金・減税制度

2026年8月時点で、建て替えに利用できる主な制度は以下のとおりです。

制度2026年度の主な内容
住宅省エネ2026キャンペーン※1GX志向型住宅、長期優良住宅、ZEH水準住宅の新築を支援します。GX志向型住宅はすべての世帯が対象で、長期優良住宅・ZEH水準住宅は原則として子育て世帯または若者夫婦世帯が対象です。長期優良住宅とZEH水準住宅は、建て替え前の住宅を除却する場合に1戸あたり20万円が加算されます。
住宅の脱炭素化促進事業※22026年度は戸建住宅のZEH・ZEH+化を支援しています。補助額は地域区分により、ZEHが1戸あたり45万円または55万円、ZEH+が80万円または90万円です。
給湯省エネ2026事業一定の性能を満たす高効率給湯器の導入が対象です。新築住宅でも利用できる場合があります。
自治体の解体・耐震・不燃化・設備導入補助老朽住宅や空き家の除却、耐震化、不燃化、太陽光発電、蓄電池、浄化槽などを対象とする制度があります。対象地域、建物の状態、所得、着工前申請などの要件は自治体ごとに異なります。
住宅ローン減税2026年1月1日〜2030年12月31日に入居する場合の制度が設けられています。新築住宅は省エネ性能などの要件を満たす必要があります。
新築住宅の固定資産税・不動産取得税・登録免許税の軽減※3床面積や用途などの要件を満たす住宅には軽減措置があります。登録免許税の住宅用家屋の軽減税率は、2027年3月31日までに新築・取得した住宅などが対象です。

解体費の補助はすべての建て替えで受けられるものではなく、自治体の指定区域や老朽度、空き家の要件などを満たす場合に限られます。補助制度は契約・着工前の申請が必要なことも多いため、計画初期に確認しましょう。

※1:住宅省エネ2026キャンペーン公式サイト
※2:環境省「2026年度 住宅の脱炭素化促進事業」
※3:国土交通省「住宅税制」

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築30年・築35年の家をリフォーム・建て替えした3つの事例

築35年の家をリフォームすると、住まいがどのように変わるのか気になる方も多いでしょう。ここでは、築30年以上の住宅をリフォームまたは建て替えた3つの事例を紹介します。

【事例1】築30年の住まいをフルリフォーム!広々とした終の住まいに変身

費用約2500万円
工期約3ヶ月
面積135㎡
住宅一戸建て
構造軽量鉄骨

135m²の一戸建てを、約2,500万円かけて大規模改修した事例です。玄関の狭さや暗さ、リビングの使いづらさといった課題を、生活スタイルに合わせた改修で解消しました。玄関横にあった和室の押入れをシューズクロークへ変更し、下駄箱も一新して、明るく開放的な玄関に仕上げています。床暖房の設置やサッシのペアガラス化、内窓の追加により、家全体の断熱性も向上しました。リビングとダイニングの間には小上がりの茶の間を設け、ダイニングとキッチンをあえて分けることで、広い空間にメリハリをつけています(施工:株式会社鈴木工務店)。

【事例2】築35年のご実家を収納豊富な住まいへ

費用約737万円
工期約1.5ヶ月
面積61㎡
住宅一戸建て
構造木造

相続した実家を、家族4人が快適に暮らせる住まいへ改修した事例です。61m²の住宅を、総工費約740万円、工期1.5か月で現代の生活スタイルに合う空間へ一新しました。独立型だったキッチンを対面式に変更し、カウンターを設けることで家族とコミュニケーションを取りやすくしています。半坪だった浴室は1坪へ広げ、洗面台を廊下に移して、ゆとりのある水回りを実現。収納については細かく要望を聞き取り、リビングに「見せる収納」と「隠す収納」をバランスよく配置しました。キッチンまわりの壁にも造作収納を設け、限られた空間を有効活用しています。

【事例3】空き家だった築35年の実家を現代風に改修!老後も暮らしやすい住まいに

工期約3カ月
面積130㎡
住宅一戸建て
構造木造

空き家だった木造住宅を、高齢夫婦の暮らしに合わせて大規模改修した事例です。「デザインよりも老後の暮らしやすさ」という要望を踏まえ、和の趣を残しながら現代的な住まいへ整えました。1階にあった2つの和室は間仕切りを撤去し、23帖のLDKへ変更。キッチンは壁付けから対面式のペニンシュラ型に変え、希望していたパントリーとパン工房も設けています。リビングの壁面には天井まで届く大容量収納を設置し、床の間も収納スペースに改修しました。トイレは1.5帖に広げ、車椅子でも出入りしやすい引き戸を採用するなど、将来の介護にも配慮しています。内窓の設置によって断熱性と防音性も高め、年間を通して快適に過ごせる住まいを実現しました(施工:株式会社テンイチ)。

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築35年のリフォームや建て替えに関するよくあるQ&A

築35年の家をリフォームまたは建て替える際によくある3つの質問に答えます。

リフォームと建て替えの違いは?

リフォームは、既存の建物を活かして修繕や設備交換、間取り変更、性能向上などを行う工事です。一方、建て替えは既存の建物を解体し、新しい住宅を建てることをいいます。リフォームで残す範囲は工事内容によって異なり、必ずしも基礎だけを残すわけではありません。

リフォームでも間取りは変えられる?

リフォームでも間取りは変えられます。ただし、構造上取り外せない壁や柱があるため、変更できる範囲は住宅ごとに異なります。2025年4月以降は、2階建ての木造戸建てなどで大規模な修繕・模様替えを行う場合、原則として建築確認手続が必要です。対象となるのは、壁・柱・床・はり・屋根・階段のいずれか1種類以上について過半を改修する工事です。計画段階で建築士や施工業者へ確認しましょう。仮住まいが必要かどうかは、工事範囲や工事中に水回りを使えるかなどによって変わります。

※ 参考:国土交通省「木造戸建のリフォームにおける建築確認手続の要否」

築何年以上なら建て替えた方がいい?

建て替えを判断する一律の築年数はありません。築40年以上でも、構造の安全性や劣化状態に問題がなく、希望する間取りや性能をリフォームで実現できるなら、住み続けられる可能性があります。一方、旧耐震基準の住宅や、基礎・構造部の劣化が大きい住宅、法規制や構造上の制約で希望する改修が難しい住宅は、建て替えが適することもあります。耐震診断や建物調査を行い、リフォームと建て替えの総費用・工期・今後住む年数を比べて判断しましょう。

※ 参考1:国土交通省「住まいの耐震化」
※ 参考2:国土交通省「既存住宅状況調査技術者講習制度について」

あわせて読みたいリノベーションで間取りを変更したときにかかる費用はどれくらい?

 

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