2023年12月12日更新

監修記事

3階建て住宅で老後も快適に暮らすには?

老後も安心して住める3階建て住宅とは?

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新居予定地の敷地が狭小である場合、3階建ての住宅を選択することがあります。

3階建てとはいえ、若い世帯であれば階段の上り下りもまったく苦痛にならないでしょう。

また子どもが年頃になれば、それ相応の個室を与える必要がありますから、部屋数も必要です。

しかし、やがて子どもは独立し、夫婦二人きり、あるいは一人暮らしの生活になる想定が必要です。

そんな日を迎えるときのために、自らが年老いたとき、3階建ての住宅でどのような生活パターンになるのかということを思い描いて、新築時から準備をしておくことが重要です。

なぜなら、住宅の構造上、後から施工しようと思っても物理的に不可能な部位があるからです。

特に3階建ての住宅は2階建て以上に制約が多いため、周到な準備が必要なのです。

それでは具体的にどのような準備が必要なのかをみていきましょう。

老後を考えた間取り

たとえば新築時にキッチンや浴室を2階に設けようとすることもあると思いますが、階段の上り下りが困難になったことを想定して、予め1階に準備しておくと安心です。

そのためには1階部分に必要な給排水管を準備しておく必要があります。

その際排水管は臭気を防ぐために汚水桝に接続する直前で止めておく必要があります。

排水管は通常は封水で臭いを封じています。

使用していない排水管は封水が不可能なため、汚水桝と接続してはいけません。

また給水管も未使用の管に水が流入しないよう分岐点に水栓を設置しておく必要があります。

単に出口で留めておくだけだと、未使用の水が長期間管内で溜まり、やがて腐敗した水が逆流して、現に使用している水と混ざることがあるからです。

面積などの事情でトイレが1階に配置することが不可能な場合であっても、寝室とトイレの位置が近接できるようにしておく工夫も必要です。

このため2階が将来の寝室候補になるという想定であれば、今の段階から手すり付きのトイレを2階に配置しておいた方がいいでしょう。

さらに洗濯機と物干し場の位置関係もなるべく近づけるようにしましょう。

1階部分に洗濯物を乾かせるスペースが存在しないのであれば、将来2階で洗濯ができるような準備が必要です。

また収納スペースも、自分の動線がやがて限定されることを想定して、行動範囲内に設けておいた方がいいでしょう。

リフォームを視野に入れて

将来バリアフリーのリフォームを実行した際に、移動をスムーズにするために間仕切り壁の撤去を検討する可能性があります。

しかし3階建ての住宅は、構造計算によって建物の構造が制約されているため、むやみに壁を撤去することはできません。

そのため将来撤去予定候補の壁については、新築の段階から強度計算に含まれないパーテーション型の間仕切りにしておいて、必要な時期にいつでも自由に取り外せるようにしておきましょう。

また手すりについては、後から取り付けるとそのための下地を取り付ける必要があり、意外と工事が大がかりになるので、想定できる箇所については新築時に取り付けておくのがベストです。

最初に取り付けておくと、スリムでしっかりした手すりが取り付けられるので、日常の生活でほとんど気になることはありません。

どうしても気になる様であれば、あらかじめ手摺の下地だけ入れておく方法もあります。

エレベーターをどうするか

高齢者になり移動が困難になった場合、エレベーターを設置すると家の中で有効に使えるスペースが広がります。

エレベーターの設置費用相場は、300万~500万円程度ですが、現在の住宅の外側に取り付けとなると多くの課題をクリアする必要があります。

まず、さらにエレベーターを囲う建物を作る必要があります。

また増築工事となるので、そもそも構造計算をクリアできるのかという課題も待ち受けています。

つまり費用面と構造計算の両面をクリアして初めて成立するということになります。

この複雑な問題を回避するためには、新築の段階でエレベーターを取り付けるスペースを確保しておく方法がベストです。

これにより、エレベータを設置する段階で床を抜けば、すべての問題をクリアすることができるのです。

階段への工夫

エレベーターの対応が困難な場合は、階段昇降機を利用する方法があります。

これは階段に手すり状のレールを取り付け、椅子に座った状態で上り下りをするものです。

価格も50万円~150万円と、エレベーターに較べて安価に設置できます。

また最近ではレンタルの商品も用意されています。

この階段昇降機の設置を想定して、階段をやや広めにしておくと、実際に使用する際にスムーズに利用できます。

また途中で折り返すタイプの階段にするよりも直線階段の方が、安価に設置できますから、その点の配慮もしておいた方がいいでしょう。

快適な空間を作ることも大切

将来について備えると同時に、当然のことながら新築以降の期間も快適に暮らせることも重要な問題です。

3階建ての住宅で快適な空間を確保するためには、どのような対策が必要なのでしょうか。

高気密・高断熱

3階建ての住宅では、上階に熱がこもり、下階では底冷えをする傾向が強くなります。

これを防ぐ対策として最も有効なのが断熱です。

近年の住宅は断熱性能が向上しており、冷暖房設備への依存が大幅に減少しています。

断熱で重要な部位が屋根、壁、床の外皮とされているところです。

外皮断熱を手厚く施すことで、飛躍的に断熱性能が向上します。

また断熱と同時に重要なのが高気密化です。

いくら手厚く断熱材を充填したとしても、僅かの隙間が生じることで、冷たい空気が流入して結露の原因になります。

現在断熱材の主流材料であるグラスウールは、水分を吸うことで断熱性能が大幅に低下する性質があります。

またいったん水分を含むと長期間保持してしまう性質もあるので、カビ発生の原因にもなるのです。

このため、高断熱と高気密は一体の関係として精度の高い施工が求められます。

高気密・高断熱の住宅を実現することで、通常冷暖房を使用しない廊下もほとんど外部の気温の影響を受けることはありません。

これにより、高齢者が浴室を出た後に急激に体が冷えることで死因にもつながるヒートショックのリスクがほぼ解消されます。

全館空調システムがおすすめ

3階建て住宅の空調は、全館空調システムがおすすめです。

これは床下などに設置した1台の空調機器で、家中の冷暖房を制御するシステムです。

3階建て住宅の場合部屋数も多いので、全室にエアコンを設置するとなると、費用も相当高くついてしまいます。

また室外機の置き場にも悩まされることになります。

高気密・高断熱の住宅にした場合、空調機への依存は大幅に軽減されるため、むしろ全館空調設備を取り付けた方が、電気料金への負担も少なくなるのです。

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3階建てのメリット・デメリット

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それでは3階建ての住宅はどのようなメリットがあるのか、またデメリットはないのかについてみていきましょう。

メリット

3階建ての住宅には、次のようなメリットがあります。

土地の有効活用ができる

3階建てにすることで、必要な部屋数を最小限の建築面積で確保することができます。

このため僅かの敷地に建てることができるので、都心部であっても土地の購入が可能になります。

建物の有効活用ができる

動線を階ごとに分断することができるので、住宅の一部を貸店舗や賃貸住宅として活用することが可能になります。

見晴らしがよい

3階建てにすると、展望できる範囲も広がり一気に見晴らしがよくなります。

3階部分にベランダを設けることができれば、自宅に居ながら屋外気分を満喫できます。

日当たりと風通しがよい

3階建ての住宅に住む人の多くは、2階部分をリビングやダイニングにしています。

このため日当たりがよく、風通しのよい空間で、休日を過ごすことができます。

家族と個人のメリハリができる

階数ごとに家族との共用スペースと個室を分けることができるので、家族と過ごす時間と個人での作業との切り替えがしやすくなります。

このため陶芸や絵画などの趣味活動も集中して取り組むことができます。

デメリット

それでは3階建ての住宅にすることで、どのようなデメリットがあるのかをみていきましょう。

高い防火性能が求められる

大都市では、住宅地であっても広い範囲に準防火地域に指定されていることがあります。

準防火地域に木造3階建て住宅を建てる場合、2階建て住宅と比べてかなり厳しい制限がかかります。

外壁の下地も二重張りにしたり、開口部のトータル面積にも制限があったりします。

また隣地と近い開口部は常時開放ができない嵌め殺し窓にする必要があります。

このため木造3階建ての住宅の場合、全体的に窓が少ないと感じることもあります。

道路斜線制限の影響を受けやすい

2階建てではほとんど影響することのなかった道路斜線も、3階建ての場合は大きく建物の形態に関わってきます。

道路斜線に抵触しそうな範囲の外壁は、場合によっては斜めの変則的なデザインによってクリアする必要があります。

そのために天井の端部が極端に低くなることもあります。

高さによる規制が厳しくなる

3階建ての住宅の高さは最高で10m前後です。

建物は10mを超えると日影規制の対象になったり、地方によっては周辺住民への説明義務が発生したりと一気に規制が厳しくなってきます。

このためなんとか10m以下の建物にしようと工夫をこらした結果、3階の天井が屋根形状に合わせた勾配のある仕上がりになることがあります。

第1種低層住宅専用地域ではさらに厳しくなる

第1種低層住居専用地域では、3階建ては日影規制の対象になります。

また北側斜線もかかってきます。

さらには第1種低層住居専用地域は容積率規制が厳しいことが多く、予定していた建築物が建てられない可能性が高くなります。

非常用進入口が必要になる

3階建ての住宅は、外部から消防隊員が進入できるよう、3階部分に非常用進入口あるいはこれに代わる窓を設ける必要があります。

外部から容易に侵入できるようにするため、多くの自治体では非常用進入口に鋼製雨戸の取り付けを禁じています。

旗竿状敷地に建てられないことがある

3階建ての建物は消防車が寄り付けるように道路に面した面に非常用進入口が必要です。

建物が奥まった位置にある場合は、消防車が進入できるよう4m以上の通路を設ける必要があります。

このため旗竿状敷地で専用通路の幅が4m以下であれば3階建ての建物は建てられません。

避難が困難になる

地震や火災などの災害時に、3階にいる住民は避難がとても困難な状況になります。

特に火災の場合は、煙が階段を伝って上昇するので、よけいに避難が困難になります。

部屋への移動に体力がいる

家の中を1階から3階まで移動すると体力を要します。

高齢化に伴う体力の低下や病気などによって、移動が苦痛に感じることがあります。

家の中で家族への連絡が取りづらい

家の中であっても家族の所在が容易に確認できないので、家族間の連絡が困難になります。

雨漏りの原因がすぐには分からない

2階建ての屋根の場合、とりあえずの雨漏りの原因を探るためには、梯子でこと足りますが、3階建ては梯子が届かず、また危険度も高いため、足場を組んだうえでの調査になります。

このため原因がすぐに判明しないことがあり、また軽微な補修であっても費用が高くつきます。

家具の搬入が困難

3階建ての住宅に家具を搬入する場合、階段を利用するのが一般的ですが、大きさによっては、階段を通過できないこともあるため、場合によっては、レッカー車を利用して搬入することになります。

建築確認申請の審査期間が長い

木造2階建ての住宅であれば、建築確認申請は、1週間以内に審査が完了します。

しかし3階建ての住宅は構造計算を添付しているため、審査期間に3週間~5週間を要します。

これに伴い建築確認申請に関する委託料や手数料が高くなります。

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この記事の監修者プロフィール

【監修者】タクトホームコンサルティングサービス

タクトホームコンサルティングサービス

亀田融

一級建築施工管理技士、宅地建物取引士。東証1部上場企業グループの住宅部門に33年間勤務。13年間の現場監督経験を経て、住宅リフォーム部門の責任者として部分リフォームから大規模リノベーションまで2,000件以上のリフォームに関わる。2015年に退職して現在は、タクトホームコンサルティングサービス代表として、住宅診断を行う傍ら、住宅・リフォーム会社へのコンサルティング活動を行っている。

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