2024年03月28日更新

監修記事

隣地境界線って何?家を建て替える前に必ず確認を!

隣地境界線は線が引かれているわけではないため、明確な境界がわかりにくく、いつの間にか場所が変わっていることもあります。しかし隣地境界線は隣の土地との境界を明確にするための重要なもので、この線を無視して家の建て替えなどを行ってしまうと大きなトラブルにつながりかねません。
この記事を読み、スムーズな家の建て替えの工事、隣地境界線のトラブル回避につなげてください。

隣地境界線とは

隣地境界線とは具体的にどのようなものなのかについて見ていきます。

建物が建つ境地と境地の境界を示す線のこと

土地と土地の境界を示す線のことを「隣地境界線」と言います。
隣地境界線は「隣の土地との境を示すもの」で、とくに建て替えや土地の売買の際に行われる測量に基づき、立会いのもと確認されるものです。

一般の住宅の場合は、敷地となる土地の四隅に打ち込まれた境界標や杭などをつないだ線が隣地境界線となっています。

実際に法的な有効性を持つ隣地境界線は、地積測量図など図面上に記されているものです。

隣地境界線を基準とした制限を伴う権利義務が民法や建築基準法にはあるものの、隣地境界線が曖昧になっているために隣家とトラブルにつながるケースがよくあります。

原則として建物は境界線から50cm以上離す

敷地に建物を建てる場合には、境界線から50cm以上離して建てなければなりません。

これに従わずに建築しようとしている人がいる場合には、隣接地の所有者が建築を中止させたり、距離を離すようにさせるなど変更を求めることが可能です。

建築の開始から1年が経過している場合や建物が完成したあとは、損害賠償のみを請求することができます。

また窓などはプライバシーを守るためにも、境界から1m以上離すか目隠しを設置する必要があります。

地域によって基準が異なるので注意

地域の慣習によっては、50cm以上離さなくてもいい場合があります。

東京の都心部などの敷地面積が狭く建物が密集している地域などが例として挙げられます。

しかし自分が暮らす地域にそのような慣習があるかどうかは明確ではありません。

また自分では慣習的に50cm離さなくていいと考えていても、隣家はそのような慣習はないと考えているなど、解釈の違いがある場合もあります。

そのため、50cm離さずに建物を建てる場合には、まず隣接地の所有者にその旨をきちんと確認してからにしましょう。

他の境界線との違い

隣地境界線以外の境界線について、どのような違いがあるのか見ていきましょう。

道路境界線とは

道路境界線は、特定の敷地と道路の境界線のことです。

隣地境界線が土地と土地との境界を示すのに対して、道路境界線は道路と土地の境界を示します。

この場合の道路は私道ではなく、行政が所有している公道を指します。

この道路境界線をはみ出して建物を建てることができません。

所有している土地が道路に面している場合には、道路境界線がどこなのかをきちんと確認しておくといいでしょう。

敷地境界線とは

敷地境界線とは、敷地と敷地の境界線のことで、その敷地の外周を囲んだ線全体を指します。

敷地境界線は隣地境界線と道路境界線を含めたものです。

所有の土地が道路に接していて隣接地がある場合は、敷地境界線のうちの1つが「道路境界線」、他の隣接地と接している線が「隣地境界線」となります。

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隣地境界線を確認する方法

隣地境界線はどのようにして確認することができるのでしょうか?

確認方法について詳しく見ていきます。

敷地内の境界標を確認する

境界標は土地の境界の折れ点に設置する目印のことで、境界標と境界標を結ぶことで境界線を確認することができますが、境界標は必ずしも設置されているわけではありません。

境界標は自分で勝手に設置することはできず、隣接する土地の所有者と境界線を確定させた上で合意のもと設置する必要があります。

また境界標は土砂崩れや境界標付近の工事、経年劣化による腐食などによってなくなってしまったり、移動してしまうこともあります。

そのため境界標を設置している場合は、定期的に境界標を確認しておくといいでしょう。

法務局で地積測量図を確認する

法務局には土地や建物などの不動産の情報が登記されており、手数料を支払うことでそれらの情報を確認することが可能です。

隣地境界線を知りたい場合には、地積測量図を確認しましょう。

地積測量図では境界の位置だけでなく、面積などについても詳しく知ることができます。

一般的に地積測量図の精度は高いですが、作成時期などによっては精度の低いものもあります。

測量技術なども年々進化し、登記などに関するルールなども変化しているため、作成時期が昔の地積測量図では大きな誤差が生じてしまう場合もあります。

そのため、なるべく作成時期の新しい地積測量図を確認するようにしましょう。

測量の専門家に測量を依頼する

境界標がなかったり、地積測量図も古いものしかない場合には測量の専門家に測量を依頼することをおすすめします。

測量の方法には確定測量と現況測量の2種類があります。

確定測量は土地の境界を明確にして土地の面積を確定するために行う測量方法で、境界点を決めるために隣地の所有者にも立ち会ってもらう必要があります。

現況測量はおおよその土地の面積を知るために行われる測量方法で、現地の境界標やブロック塀、フェンスなどをもとに測量が行われます。

明確な隣地境界線を知りたい場合には「確定測量」を行ったほうがいいでしょう。

筆界特定制度を利用する

筆界特定制度は、登記上定められている境界を筆界特定登記官が現地で実際に確認し、明確にする制度のことです。

境界線を明確にする過程において隣接地の所有者との話し合いがスムーズに進まず、裁判に発展するケースもあります。

裁判になるとかなりの時間や費用がかかりますが、筆界特定制度を利用することで費用や時間をなるべく抑えて境界の特定をすることができるのです。

また裁判では境界を特定するために数年かかりますが、筆界特定制度であれば半年〜1年ほどで結果がわかります。

境界確定測量とそのタイミング

ここでは隣地境界線を測量する境界確定測量と、境界確定測量を実施するタイミングについて解説します

境界確定測量とは

土地の境界をはっきりさせるために行う測量のことを「境界確定測量」と言い、その測量に基づいて作成された正しい境界が記載されている図面を「境界確定図」と言います。

境界確定測量は土地家屋調査士に依頼し、法務局などの資料を調査するところから始まり、その後、関係役所や隣接地所有者立会いのもと、境界の確認が行われます。

境界について隣接地所有者全員が合意したら、コンクリートなどの境界標を設置し、境界確定図面を作成して署名捺印をもらい、登記をして終了です。

境界確定測量を行うタイミング

境界確定測量が必要になる理由には様々ありますが、

  • 境界標が設置されていないので復元したい
  • 隣との境界をはっきりさせたい
  • 建物を建て替えるためにどこが境界なのかをはっきりさせる必要がある
  • 土地の売却のために正確な境界が知りたい

などの理由が考えられます。

境界確定測量は終了するまでに3ヶ月ほどかかり、隣家との話し合いがスムーズに進まずに裁判などに発展してしまうと、それ以上の時間がかかってしまいます。

そのため建て替え工事などをする際には、着工する前に境界確定測量を終わらせておきましょう。

事前に測量を行わずに工事が始まり、隣家から異議を唱えられて工事がストップしてしまうケースもあります。

境界がはっきりとしないと、いつまでも工事を進められないということになりかねないため、なるべく早めに境界確定測量を行うようにしましょう。

また境界確定測量をスムーズに終わらせるためにも、隣家の所有者などと日頃からコミュニケーションを取っておくことも大切です。

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隣地境界線を特定できる「筆界特定制度」とは

ここでは隣地境界線を特定する際に利用できる筆界特定制度について詳しく解説していきます。

法務局の筆界特定登記官が判断

土地には「筆界」と「所有権界」の2つの境界が存在します。

筆界は法務局に登記されている境界のことで、もう一つの所有権界は土地の所有者の権利が及ぶ範囲の境界のことを言います。

通常であればこの2つは一致しますが、土地の一部を他の人に譲り渡したりと様々な事情で一致しないことがあり、それが原因でトラブルにつながることが多くあります。

筆界特定制度はこのようなトラブルを解決するために作られたもので、土地の所有者の申請に基づいて筆界特定登記官が現地における土地の筆界の位置を特定する制度です。

この制度は新たに筆界を決めることが目的ではなく、調査によって過去に定められているもともとの筆界を明らかにすることが目的となっています。

筆界特定制度を利用するメリット

裁判なしで解決が図れる

筆界特定制度ができるまでは、土地の境界をめぐるトラブルは裁判の判決によって解決されることがほとんどでした。

しかし裁判は時間やお金、精神的にも負担がかかります。

裁判を行うことなく、境界に関する問題を解決できるというのがこの筆界特定制度の目的であり、メリットでもあります。

申請の費用負担が少ない

裁判をするよりも、筆界特定制度を利用するほうが費用の負担が少なくすみます。

筆界特定制度を利用する際の申請手数料は「対象となる土地の価額」によって決まります。

例えば土地の価額が2000万円の場合の申請手数料は4800円となります。

申請手数料のほかにも、現地調査で測量が必要な場合には測量費用も負担する必要がありますが、測量費用と申請費用を合計しても裁判と比べると安い費用で筆界を特定することができます。

裁判よりも早く解決できる

筆界特定制度を利用して境界を特定するのにかかる期間は半年〜1年ほどです。

裁判になると判決が示されるまでに1年〜2年はかかるため、早期に境界問題を解決できるのも筆界特定制度のメリットです。

筆界特定制度の申請方法

筆界特定制度は土地の所有者として登記されている人や相続人などが、対象となる土地の所在地を管轄する法務局や地方法務局の筆界特定登記官に対して申請を行います。

申請書に必要な事項を記入し、添付資料とともに提出します。

申請の手続きは土地家屋調査士や弁護士、司法書士などが代理で行うことも可能です。

隣地境界線を侵害した場合のリスク

隣地境界線を無視し、侵害してしまった場合にはどのようなリスクがあるのでしょうか?

隣人との感情的なトラブルになる

隣地境界線を侵害してしまった場合の大きなリスクは何と言っても、隣人とのトラブルです。

境界線を守らないというとは、隣家の所有地を侵害しているということです。

隣地境界線は侵害してはいけないというルールに加えて、日当たりや風通し、災害の際の安全の確保など、様々な理由があって定められています。

境界線を侵害され、快適な暮らしを邪魔されることは気分がいいものではありません。

建築の中止や変更を請求される

隣地境界線のルールを無視して建物の建設を行っている場合は、隣地の所有者から建設の中止や変更を請求される可能性があります。

もしも土台などの基礎から作り直す必要がある場合には、工事の期間が伸びるだけでなく、追加の建築費用がかなりかかってしまいます。

損害賠償が請求される

建物の建築着手から1年が経過している場合や、建物が完成した後に建築の中止や変更を請求されることはありません。

しかし隣地境界線のルールに違反している場合は、損害賠償を請求される可能性があります。

損害賠償の金額は侵害した土地の面積や日当たり、風通しが阻害されている度合いなどによって変わってきます。

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隣地境界線トラブルになりやすい例

土地の一部が実は隣人の所有地だった

自分の土地だと思っている範囲がずれていて、実際は隣人の所有地だったというケースがあります。

また第三者から土地を購入したり、相続で土地を取得した場合などでも土地の一部が隣人の所有地だったことが原因でトラブルに発展することもよくあります。

相続で取得した場合などは隣地境界線が長年曖昧になっていて、土地の売却をするために境界線を調べた際に、このような事実に気付くケースが多いです。

工事の際に境界標が正確な位置からずれた

境界標があっても、その位置が正確な場所からずれてしまったことが原因でトラブルにつながることもあります。

境界標は絶対に動かないように固定されているというものではありません。

工事などの際に施工業者が一時的に場所をずらすこともあり、その際に戻し忘れたり、位置がずれてしまうということがよく起こります。

自然災害で境界標がずれたり消失した

工事だけでなく、自然災害が原因で境界標がずれたり消失してしまうこともあります。

とくに洪水や土砂崩れなどの場合は位置がずれるだけでなく、境界標自体がなくなってしまうことも少なくありません。

自然災害が起きた後などは、境界標の確認を行うようにしましょう。

内積みされているブロック塀を撤去した

境界にブロック塀を設置することがありますが、ブロックの積み方にも「内積み」「芯積み」「外積み」と種類があります。

「内積み」は隣地との界にある境界目印から自分の敷地側に設置する方法、「芯積み」は隣地の境界点がブロックの中心になるように設置する方法です。

「外積み」は自分の敷地内にブロック塀の設置がなく、隣地が内積みをしている場合を指します。

内積みされているブロックを撤去すると隣地との境目には何も設置物がない状態になり、それによって境界線がどこかなどのトラブルにつながることもあります。

隣地から木の枝が伸びてきている

木などの植物が敷地内に侵入しているなどもトラブルにつながりやすいケースの一つです。

自分の所有地であっても、隣の木などを勝手に切ることはできないため、気になる場合には隣に伐採を頼むようにしましょう。(2023年4月1日から越境した枝の切除に関するルールが変わります)

また自分の家の木の枝なども隣接している土地に入らないよう、定期的にお手入れするようにしましょう。

隣地境界線トラブルを解決するには

隣地境界線をめぐってトラブルになってしまった場合の具体的な手段についてご紹介していきます。

地域の境界問題解決センターに相談する

裁判を避けて紛争を解決する方法の一つに境界問題解決センターを利用するという手段があります。

ここでは、あっせん人や調停人が間に入って話し合いが行われますが、あくまでも当人同士での話し合いにおける解決を目指す制度です。

当事者同士が仲裁を受けることに同意している場合には仲裁人が解決内容を判断し、ここの判断は裁判の判決と同じ効力を持ちます。

申立の相手方に出頭義務はないため、相手方の協力がなければ手続きを進めることはできません。

法務局や市役所などへの無料相談を利用する

法務局や市役所などでは無料相談窓口があります。

あくまでもアドバイスまでで、相談時間などが決められているなどの制約がありますが、予備知識を得るために相談するのも有効です。

筆界特定制度を利用する

筆界特定制度では申請を行い、筆界特定の対象であると認められれば、隣人に対して通知が行われます。

話し合いで合意ができないが裁判を行わずになるべく早く境界を特定したい場合には筆界特定制度を利用するといいでしょう。

弁護士に相談・依頼する

不動産問題や境界問題に詳しい弁護士に相談や依頼を行うのも解決策の一つです。

隣人が話し合いに応じてくれない場合や、自身で隣の家に話し合いを持ちかけることがためらわれる場合なども弁護士に依頼するといいでしょう。

裁判を行う(境界確定訴訟)

話し合いでの解決が難しい場合には、裁判所へ境界確定訴訟を提起することができます。

これは勝ち負けを決めるものではなく、裁判所が独自に境界を判断するものになります。

また、ここで確定された境界については異議を唱えることができません。

しかし裁判になってしまうと結果が出るまでに時間がかかるうえ、精神的にも負担がかかるため、なるべく話し合いでの解決を目指したほうがいいでしょう。

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この記事の監修者プロフィール

【監修者】久田麻里子

2級建築士、インテリアコーディネーター、住環境福祉コーディネーター。ハウスメーカー、リフォーム会社での建築業を幅広く経験。主婦・母親目線で様々なリフォームアドバイスを行う。主な担当は水回り設備リフォーム、内装コーディネート、戸建てリフォームなど。

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