2020年03月03日更新
【リフォームローン】リフォーム資金援助に贈与税はかからない?
自宅をリフォームしようと希望しても資金が準備できないという場合、資金援助を両親などからしてもらいたいと思っている方もいるでしょう。リフォーム代金の全部か一部を親族から援助してもらうには、贈与税が関係してきます。では、リフォームの資金援助に贈与税がどう関わるのかなどについてご紹介します。
リフォーム資金援助における贈与税はかからない?
リフォームの資金援助をしてもらう場合、贈与税はかからないのでしょうか。
贈与税がかかることもあるのですが、条件によっては贈与税の控除内にしたり減税処置を活用したりすることが可能です。
その点についてご説明します。
年間110万円以下は贈与税の基礎控除内
贈与税がかからないようにするためには、次のような場合が当てはまります。
贈与税には、暦年課税と相続時精算課税があり、一定の要件に該当する場合に相続時精算課税を選択することができます。
暦年課税は1年間に贈与してもらった財産を合計して、そこから基礎控除額となっている110万円を引いた残りの金額に対してかかることになります。
そのため、リフォーム資金の援助を一度だけで110万円以下にすれば税金はかかりません。
税務署などへの申告も不要です。
しかし、両親からそれぞれに支援してもらった金額の合計が、110万円を超えると税金がかかりますので注意してください。
ちなみに相続時精算課税は、1年間に贈与を受けた財産額の合計額から2,500万円の特別控除額というものを控除した残額に対してかかるものです。
贈与税の算出方法
贈与してもらった金額が年間で110万円以上になった場合には、贈与税がかかります。
その算出方法は次のようになります。
贈与税の額は、(贈与額-110万円)×税率-控除額
贈与された金額ごとに税率と控除額などが変わりますので注意してください。
例えば1000万円を親から援助してもらった場合1000万円ー110万円に税率30%をかけ控除額の90万円をひくと177万円。
贈与税は、177万円となります。
税率や控除額は、国税庁のホームページに記載されていますので確認してください。
親からリフォーム資金の援助を受ける場合
親からリフォーム資金の援助を受けたいと考えているならば、税金がかからない範囲で援助を受けたいとお考えでしょう。
その場合に贈与税の「非課税処置」か「優遇制度」などがあれば最適です。
そのような点についてご説明します。
贈与税の非課税処置とは
援助してもらいたい金額が、110万円以上になるので暦年課税では無理だとお考えの方、また相続時精算課税制度なども難しいという方は、2021年12月末まで有効な新非課税制度があります。
それは、住宅取得等資金に係る贈与税の非課税という内容のものです。
さまざまな手続きが必要となり、リフォ-ム工事の内容などにも定めがあるのですが、贈与してもらう額が増えます。
さらに、相続時精算課税制度などを適用しなくても利用できます。
暦年課税制度とも併用できますので非課税枠以外に110万円まで贈与税がかかりません。
では、贈与税の非課税処置を受けるための条件についてご説明します。
贈与税の非課税処置を受けるための必須条件
贈与税の非課税処置を受けるためには、次のような条件があります。
贈与を受ける方は、直系卑属の子や孫などでその方の所得金額の合計は2,000万円以下であること。
また家屋の要件ですが、例えば住宅では床面積が50㎡以上240㎡以下であって居住用がその中の1/2以上を占めること。
そして増改築等の工事証明書が必要で、工事内容も条件があります。工事費用の合計としては、100万円以上であること。
工事内容の概略ですが、住宅の大規模な修繕や模様替が条件で水回りやリビングなどの床や壁のすべてにおける修繕や模様替などです。
また、バリアフリーへの改修や耐震基準に合った修繕、給排水管などの修繕、省エネ工事などになります。
さらに次のような質が高い住宅と認められると500万円非課税枠がさらに加算されます。
断熱等の性能等級4か、一次エネルギー消費量等級が4以上の場合。
専用部分が高齢者等配慮対策等級3以上の住宅にするものや、耐震等級2以上か免震建築物の場合です。
ただバリアフリーの改修や省エネの工事などでは、対象となる工事内容に幅がありますのでリフォーム内容が該当するかどうかを確認してください。
手続きに必要な書類と流れ
では、手続きに必要となる書類と確定申告などの流れについてご紹介します。
上述した住宅取得等の資金に関しての贈与税の非課税措置では、確定申告時に税務署へ申請する必要があります。
<必要書類などは>
税務署で用意している第一表の兼贈与税の額の計算明細書と第一表の二の住宅取得等資金の非課税の計算明細書です。
これらは、国税庁のホ-ムぺ-ジからも印刷できます。
本人確認に関係する書類として戸籍謄本か抄本や源泉徴収票などの所得税に関する合計所得金額が明確になる書類です。
また個人番号であるマイナンバーの記入もありますので、準備しておいてください。
工事内容を確認できる書類として、工事請負契約書の写しや登記事項証明書が必要です。
さらに確認済証の写しか検査済証の写し、増改築等工事証明書などを用意しておきましょう。
これらの書類が必要ですので、リフォーム工事を始める前に施工会社へ増改築等工事証明書をはじめとする申告時に必要な書面を準備することを相談しておいてください。
<確定申告の流れ>
申請書類の記入は、税務署に用意してある所定書式のものに記入するのですがe-Tax が国税庁のホームページにありますので、自宅などからのパソコンでも作業が行なえます。
パソコン操作では画面に案内が出ますので、それに従い数値を入れていき自動計算されて、申告書の電子データの作成ができます。
できれば、手書きでなくパソコン操作をおすすめします。
税務署などで相談をしながら作成することもできますし、作業が途中までになっても保存しておくことも可能です。
書式の記入ができ書類の準備もできましたら所轄の税務署に提出します。
直接持参して提出することもできますが、e-Taxで作成し印刷したものを税務署に郵送する方法もあります。
またオンラインシステムでe-Taxで書式を作成したものを電子申告することもできます。
ただ事前に申請をする必要があります。
提出する場合には、申告期限として贈与を受けた年の次の年の2月1日から3月15日までに必ず提出してください。
なお、住宅取得等資金の贈与税非課税措置などで納付額がない場合でも、必ず申告書は提出しましょう。
そのほかの税金の優遇処置制度
その他に、税金の優遇処置制度としてリフォーム工事でもバリアフリー工事や、省エネ工事などが対象となります。
例えば、バリアフリー仕様のためのリフォーム工事では、減税制度として住宅借入金等特別控除や特定増改築をした場合の住宅借入金等の特別控除があります。
さらに、既存の住宅を特定改修した場合の税額控除や固定資産税の減額などもされます。
ただ減税制度を受けるためには、バリアフリー改修工事の内容にも制限がありますので確認してください。
例えば、通路や出入口の幅を介助用の車いすが通れるように拡張する工事や、入浴の際の介助をしやすくするために浴室を広げる工事なども含まれます。
またその際に、住宅ローンで返済期間が10年以上の場合には、所定のバリアフリー工事をすると住宅借入金等特別控除を利用することができます。
所得税の控除
リフォームをした場合の所得税の控除では、ローンを組んでいるかどうかに関わらず投資型減税を適用することができます。
5年以上のローンの償還期間がある場合には、ローン型減税を受けられます。
また10年以上の期間がある場合には、住宅ローン減税でもいくつかの種類がありますので検討してください。
リフォーム業者でも相談にのってくれます。
固定資産税の減税措置
固定資産税でも減額をすることもできます。リフォームの減税での優遇措置をできる税金の一つとなります。
リフォーム工事でも適用する要件がありますが、それらを満たすと固定資産税の減額措置を受けられます。
ただ、同居対応のリフォーム工事には当てはまりません。
リフォーム工事が完了した後には、3ヶ月以内に住居を移し市区町村へ申告してください。
親の住居のリフォーム費用を子供が援助する場合
今までの事例とは異なり、親の住居のリフォーム資金を逆に子供が援助するという場合には、贈与税が関係するのでしょうか。その点についてご紹介します。
親名義の住居のリフォーム資金援助には贈与税がかかる
親名義の住居のリフォームをする場合の資金援助には、贈与税がかかるのでしょうか。
親の名義になっている住居に子供が増築などのリフォーム工事を実施した場合には、増築等のリフォーム工事をした部分も親の建物ですので、所有者も親ということになります。
そのため親名義の建物のリフォームに資金を子が援助した場合にも贈与税はかかります。
贈与税をなくすには?
親が子供にリフォーム工事代を支払わない時には、親は増築資金相当額の利益を子供から受けたものとなり、贈与税が課税されます。
しかしこの場合、子供が支払ったリフォーム工事代に相当する住居の一部分を親から子供へと所有権を移転させることで贈与税の課税はありません。
このように贈与税をできるだけ支払わないようにするためには、住居を売却して名義変更をするか譲渡して名義を変更するという方法があります。
リフォームする住居を売却して名義を変更する
減税対策として、リフォームする住居を親が子供に売却して名義を変更する方法があります。
ただ売却して名義を変更すると、子供が親に建物の費用を支払うので贈与とはならないのです。
そのため贈与税もかかりませんが、登録免許税や不動産取得税などはかかります。
注意したいのは、建物を売却する場合の金額が実際の建物の評価額より高いという場合、売却をした親に対して譲渡所得税がかかることがあります。
譲渡所得税は、売却した金額に対してかかりますが、建物を所有して5年以下の場合には39.63%、5年を超えた場合は、20.315%の税率となります。
建物が古いのであれば、建物の評価額より低い金額で売却すると譲渡所得税はかかりません。
その後にリフォームすることで、住宅ローン控除の対象となりますので検討してみてください。
リフォームする住居を贈与して名義を変更する
建物を譲渡して名義変更をした場合には、贈与とみなされますので贈与税を支払う必要があります。
贈与税には、贈与された金額で税率が異なります。
200万円以下であれば10%、600万円以下の場合には20%、4,500万円を超えると55%の支払いとなり、かなりの負担です。
しかし、「相続時精算課税制度」という贈与税と相続税を合算したシステムを利用することができます。
その場合、贈与税が2,500万円までは非課税となりますので、建物の評価額が、2,500万円以内であれば相続時精算課税制度を利用することをおすすめします。
登録免許税や不動産取得税はかかりますが、住宅ローン控除の対象となります。
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この記事の監修者プロフィール

タクトホームコンサルティングサービス
亀田融一級建築施工管理技士、宅地建物取引士。東証1部上場企業グループの住宅部門に33年間勤務。13年間の現場監督経験を経て、住宅リフォーム部門の責任者として部分リフォームから大規模リノベーションまで2,000件以上のリフォームに関わる。2015年に退職して現在は、タクトホームコンサルティングサービス代表として、住宅診断を行う傍ら、住宅・リフォーム会社へのコンサルティング活動を行っている。

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