天然木ウリンの特徴とイペ・イタウバとの特徴比較
天然木には、ハードウッド(広葉樹)とソフトウッド(針葉樹)がありますが、ウリンはハードウッドです。特にハードウッドの中でも、ウリンとイペは耐久性に優れており、高級素材として有名です。
また、近年、イタウバも人気が高まってきています。ウリン・イペそれぞれの特徴と共に、イタウバの特徴についても説明します。
天然木ウリンの特徴
ウリンは別名ボルネオ・アイアンウッド、ビリアンなどとも呼ばれています。クスノキ科の樹木で、マレーシアやインドネシアなどの東南アジアが原産国です。
ウリンの材質は堅くて重いため、「鉄の木」としても知られています。家庭のウッドデッキはもちろんのこと、浮桟橋や公園、港などの公共事業にも多く使われています。
それでは、ウリンの特徴ついて詳しくみてみましょう。
ウリンの割れ・反り・ささくれ
ウリン材は天然木のため、割れが出ることがあります。反りに関しては、小さな反りが出る場合があるといった程度です。
ささくれは出来にくいのですが、一度出来てしまうと堅くて痛いため、ウッドデッキを裸足で歩くのは危険です。
ウリンの耐久性・耐候性
東南アジアの海辺で生育するため、水や海水に強いという特徴があります。メンテナンスなしでも約30年以上の耐久性があり、条件次第では約100年腐らないといわれています。
抗菌、防腐作用があり、耐久性・耐候性共に優れています。
ウリンの加工性
ウリンは丈夫で堅い材質のため、加工は簡単ではありません。ビス止めなどをするときは、予め下穴を開けておく必要があります。その分、施工費用も割高になる傾向があります。
ウリンの色
赤茶系の色ですが、経年変化で濃赤茶からシルバーグレーに白銀化していきます。
ウリンの樹液ポリフェノールについて
ウリンにはポリフェノールという成分が含まれています。ポリフェノールは防虫性があり、非常に高い抗菌、防腐作用もあります。
しかし、ウッドデッキを施工して約2~3カ月は、雨が降るごとに赤黒いポリフェノールが含まれた樹液(アク)が出ます。
ポリフェノール自体に害はありませんが、ウッドデッキの周囲が汚れてしまうという可能性があるので注意が必要です。ポリフェノールの赤黒い樹液は、目安として雨が約10回降ると出なくなります。
その間、ウッドデッキ周辺に自動車や自転車などが置いてある場合は、カバーをかけることをお勧めします。万一、汚れてしまった場合は中性洗剤や塩素系の洗剤で落とすことができます。
ウリンの供給量と値段
ウリンは世界中で人気がある木材のため、輸入規制や為替変動の影響を受けます。そのため、長期的にみると資源保護の観点からも供給量は不安定で、木材の値段も高めで変動しています。
天然木イペの特徴
イペの別名はパオロペです。ウリン同様ハードウッドですが、ノウゼンカズラ科の樹木で、樹木の直径は1m以上になることもある大きな樹です。ブラジルからペルーにかけてのアマゾン川の流域に生育しています。
世界最強といわれるほど耐久性に優れているため、ウリン同様、公共事業にも多く使用されています。
イペの割れ・反り・ささくれ
非常に密度が高いイペは、他の木材よりも木肌が滑らかです。水や湿気に強く、耐塩性もあるのですが、乾燥すると多少の割れが出ます。ささくれや反りの発生は少ないといわれています。
しかし、雨と日差しを繰り返すうちに表面が荒れて、硬いささくれ状態になることは否定できません。メンテナンスなしの状態で、ウッドデッキを裸足で歩くことは危険なので注意が必要です。
イペの耐久性・耐候性
ウッドデッキの王様といわれるほど、耐久性や耐候性に優れた材質です。ウリンと同様、メンテナンスなしでも約30年の耐久性があります。
イペの加工性
イペもウリン同様、非常に蜜で堅い材質のため、加工性は低いといえます。ビス打ちも、ドリルであらかじめ穴開けをしておかないと、容易に加工することができません。
イペの色
イペの色味は木白色から褐色に変化しますが、木材によって色のばらつきがあります。経年変化によって、シルバーグレーに変色します。
イペに含まれる成分について
イペ材には、防虫・防腐効果が高いラバコールという成分が含まれています。ラバコールによるアレルギーを引き起こすこともあるので、加工する際には、マスクなどの使用をお勧めします。
イペの供給量と値段
イペ材もウリン同様人気が高い木材であるため、資源保護や輸入制限等の制約があり、値段は高くなっています。
人気が高まっているイタウバの特徴
ウリンやイペは耐久性があり、人気も高いのですが、供給量が減少して価格高騰しています。
そこで近年、イペ材の代替品としても人気が高まっている、ブラジル原産クスノキ科のイタウバが注目されています。イタウバの特徴をみてみましょう。
イタウバの耐久性と防蟻性
ブラジル現地では、イタウバの優れた耐久性はイペ以上だともいわれており、耐用年数はメンテナンスなしで約25年です。また、シロアリなどに対する防蟻性が非常に高いことでも有名です。
イタウバの材質
イタウバには天然の油分が豊富に含まれています。そのため、木肌は滑らかで、反りやささくれは出来にくく、施工後の変形もほとんど見られません。しかし、天然木のため、小口割れはあります。
また、ヤニや樹液も出にくい材質です。
イタウバの色など
オリーブ色から黄褐色、その後、経年変化によって、シルバーグレーに変色していきます。
イタウバには油分による黒い斑点がみられることがありますが、黒斑点は色の経年変化でほとんど目立たなくなります。また、約2mm~3mmのピンホールが少量見られますが、劣化の原因になることはありません。
イタウバの加工性
油分を含んだイタウバは、イペやウリンに比べると加工性は良く、ビス打ちも下処理なしで出来ます。木材の裁断時も白煙が出ないので、比較的楽に加工できます。
供給量と値段
現段階では、イタウバはイペやウリンのように知名度が高くないので、供給も安定しており、木材の値段もイペ・ウリンのように高くありません。
しかし、今後、人気が出てくると、供給量や価格にも変化が現れることが予想されます。
ウリンのウッドデッキをリフォーム・施工する費用
ここでは仮に、ウリン材で3坪(約9.9平方メートル)のウッドデッキを新規で施工するときの費用と価格の概算をみてみましょう。
価格には、ウリンの材料費の他、取り付け用の金物、施工費用が含まれています。
ウリンのウッドデッキ3坪を設置する場合の一式の費用は、約36万円です。但し、ウリン材は供給量などにより価格の変動があるため、注意が必要です。
束石(つかいし)および束石設置費用は別料金となります。
束石とはデッキを設置する場所が土や砂地の場合、デッキの下のデッキ全体を支える束柱(つかばしら)の土台となる石のことです。
束石費用は1カ所当たり約5000円~1万円ですが、束石の数はデッキの大きさだけではなく、ウリン材の床板の厚みによっても異なります。
ウッドデッキの床板の厚みが仮に3cmだとすると、デッキ3坪の束石の数は約12個~15個です。しかし、床板の厚みが2cmになると、束石の数は、床板厚3cmのときの約2.5倍必要になるといわれています。
床板の厚みが薄いと、板にたわみが出る可能性があるので、多くの束石で支える必要があります。そのために束石の数は増えるのです。
その他、ステップやフェンスなどを取り付ける場合も、別途費用が必要です。
また、遠方の場合は出張費として、ウッドデッキ価格全体の約10%の費用がかかるので、念頭に置いておくと良いでしょう。
リフォームでウッドデッキを設置する場合の費用
リフォームでウリン材のウッドデッキを設置する場合は、新規取りつけ費用の他に、既存のウッドデッキの解体工事費用と廃材の処分費用が加算されます。
解体費用と廃棄処分費用の目安としては、畳3畳分(約5平方メートル)で約3万円~として計算すると良いでしょう。
天然木のウリンと人工木との比較
ウッドデッキを施工する際に、天然木のウリンと、人工木のどちらを選択したら良いのか迷うこともあるかもしれません。ウリンと人工木を比較してみましょう。
人工木とは、一般に木粉とプラスチックなどの樹脂を使用して、天然木を模して製造された工業製品のことです。
耐久性比較
人工木の保証期間は一般に約1年~2年ですが、実際には半永久的に使用できるものもあるといわれています。シロアリに強い素材ですが、木粉部分に黒カビが出ることがあります。
一方、ウリンはメンテナンスしなくても約30年持つといわれており、水に強く、防蟻性、防腐性は人工木以上だといわれています。
色調比較
人工木は一定色のため、経年変化で色あせがみられます。しかし、ウリンは色のパターンが約1~5色あり、経年変化でシルバーグレーになるまで変化を楽しむことができます。
伸縮度と夏季の体熱比較
人工木は長さ1mに対して約1mmの伸縮があります。また、盛夏の熱い時期には約40度~50度以上になることもあります。
ウリン材では伸縮はありません。また、熱伝導も小さいという特徴があります。
加工性・施工性比較
人工木は、ほとんどがキット物になっているため、加工も施工も比較的容易です。
ウリン材の場合は、堅い木材なので加工性はあまり良くありませんが、天然木なので、現場に合わせて施工することができます。
メンテナンス比較
人工木もウリンもメンテナンスフリーといわれています。しかし、長持ちさせるためには、人工木では日常のデッキブラシでの掃除が必要ですし、ウリンも定期的に保護剤や防腐剤を塗ることが必要です。
ウリンのメンテナンスについて
ウリンはとても丈夫な材質で、腐るということはほとんどありません。そのため、防腐剤を塗る必要はないといわれています。
しかし、雨や紫外線によるダメージによって、木肌が荒れてささくれができたり、色の変化が起こったりするので、保護剤を塗ることをおすすめします。
経年変化による色変化を楽しみたいという場合は、クリア色の保護剤を定期的に塗りましょう。また、ウリンの赤茶系の色を保持したいのならば、赤茶系のカラーオイルなどを塗っても良いでしょう。
ウリンはメンテナンスフリーの材質ではありますが、保護剤や防腐剤入りのカラーオイルなどで定期的にメンテナンスすることで、さらに耐用年数を伸ばすことができます。
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