目次
ベランダ(バルコニー)の屋根はあとから延長できる?
ベランダやバルコニーの屋根をあとから延長することは、基本的に可能です。
しかし、場合によっては屋根の延長ができない場合もあります。
まず、リフォームを検討している屋根が、延長できる条件を満たしているか確認しましょう。
ベランダ(バルコニー)の屋根を延長できる条件
ベランダ(バルコニー)の屋根を延長するためには、建ぺい率と建物形態への規制が、建築基準法の範囲内に収まるか確認する必要があります。
土地によって建てられる建物の面積は、建ぺい率によって制限があるため、建ぺい率を超えてしまわないように確認しましょう。
また、建ぺい率の他に建物形態への規制もあります。
斜線制限や絶対高さ制限など、建築基準法で定める範囲でのリフォームに抑える必要があります。
建ぺい率は地域によって違いがあります。
自身の建物の建ぺい率を調べるには、建物がある市区町村の「都市計画課」などに問い合わせて確認可能です。
ベランダ(バルコニー)の屋根を伸ばす費用と方法は?
ベランダ(バルコニー)の屋根を伸ばすには、条件や素材によって費用と方法が変わります。
主なリフォーム方法は以下の通りです。
- 屋根を新たに後付けする
- 軒を延長する
- 屋根材を連結する
それぞれ費用などを詳しく解説していきましょう。
屋根を新たに後付けする費用
テラス屋根新設 | 10万〜22万円 |
テラス屋根を設置するのにかかる一般的な費用は10万〜22万円が目安です。
屋根が広い場合、グレードの高い屋根材を選んだ場合、費用は高くなります。
テラス屋根にはさまざまな形状があり、それぞれ特徴が異なるため、求める機能に合わせて形状を選びましょう。
以下に屋根の形状ごとに特徴をご紹介します。
アール型
アール型のテラス屋根の特徴は、先端が曲線を描いた形状になっています。やわらかな印象になりやすく、どんな建物にも合わせやすい形状です。
屋根先が低くなっているため、雨や風の吹き込みを軽減する効果も持っています。
雨や風の吹き込み防止を重視するのなら、アール型のテラス屋根がおすすめです。
フラット型
エフ型のテラス屋根は、屋根先までフラットで直線的な形状が特徴です。
アール型のテラス屋根と比べると、シャープな印象が強いため、モダンでスタイリッシュな建物と相性が良いです。
アール型とは違い屋根先が下がっていないので、視界がよくなりやすく、価格もアール型より安い傾向にあります。
他にも、フラットな形状のため、形状を斜めにカットするなど、設置場所の形状に合わせた加工ができるのもメリットです。
ルーフ型
テラス屋根は通常、屋根を支えるための柱つきのものが主流です。しかし、ルーフ型は柱がなく、外壁への固定だけで取り付けできます。
ルーフ型は柱がないため、すっきりとした開放感を求める場合に適しているでしょう。
ルーフ型のテラス屋根の場合も、アール型とフラット型を選べるため、目的や状況に合わせて形状を選べるのもメリットです。
軒を延長する費用
軒延長の費用 | 5万〜8万円/m2 |
軒の延長にかかる費用は1m2あたり5万〜8万円が目安です。
軒を延長した際にも、テラス屋根同様に雨や風を防ぐ効果が期待できます。
軒を延長する際には以下の工事が必要です。
- 延長する屋根部材の取り付け
- 木製部材の塗装(防水・防腐処理)
- 板金施工
- 軒点施工
- 雨樋取り付け
テラス屋根の設置に比べ、必要な工事が多く、コストもかかります。そのため、通常はテラス屋根を後付けするのが基本です。
洗濯物を干すための屋根ではなく、日よけや雨よけのみを目的とするのであれば、後付けタイプの庇の取り付けを検討してもいいでしょう。
リフォーム方法によって、方法や費用は大きく変わるため、業者とよく相談して決めてください。
屋根材を連結する費用
テラス屋根の連結 | 12万〜24万円 |
波板屋根の連結 | 0.5万〜0.8万円/m2 |
既存の屋根材を連結して屋根を延長する方法もあります。
既存のテラス屋根に連結材を使用して、テラス屋根を連結させる場合は12万〜24万円が工事費用の目安です。
注意点として、連結させるテラス屋根は、基本的に同じ形状のものでないと連結はできません。
すでに既存のテラス屋根が古くなって、廃盤となっている場合は、連結できないケースもあるため注意が必要です。
既存の波板屋根の場合は1m2あたり0.5万〜0.8万円程度の費用がかかります。波板屋根の場合は、下地の延長も必要です。
施工する状況や、素材などによっても費用は変わるため、事前によく確認しましょう。
ベランダ(バルコニー)の屋根を延長した際のデメリットは?
ベランダ(バルコニー)の屋根を延長した際には、デメリットになり得る部分もいくつか存在します。
とくに、台風などの被害にあった際、延長した分被害の範囲が大きくなるケースも考えられるでしょう。
ベランダ(バルコニー)の屋根を延長した際の、主なデメリットを紹介します。
デメリット① 突風や台風の影響を受けやすくなる
屋根は建物の中でも、台風の被害を受けやすい箇所です。
テラス屋根は、ある程度以上の強風を受けると屋根が外れるように設計されています。
強風がふくと屋根部分が凧のようになり、固定された本体ごと引っ張る形になってしまいます。
屋根が外れず、建物に固定された本体ごと引っ張る形になると、建物自体にも損傷を与えてしまいます。
そのため、テラス屋根はある程度以上の強風を受けると、屋根が外れる仕組みになっているのです。
屋根を延長すれば、強風の影響を受ける面積が広くなるため、より注意が必要になるでしょう。
デメリット② 掃除やメンテナンスが必要になる
他のデメリットとして、掃除やメンテナンスの手間が挙げられます。
テラス屋根は一般的に多くの場合、屋根材として使われているのは、ポリカーボネート製です。
ポリカーボネートは一般的に、強度が強く、透明性があります。透明性が高いと汚れが目立ちやすく、定期的に掃除が必要です。
しかし、高所の掃除は自分で行うのは難しい場合もあります。
業者に依頼するなどして、定期的にメンテナンスを行う必要が考えられるでしょう。
屋根の面積が増えれば、掃除の手間も増える可能性を考慮しておく必要があります。
デメリット③ 建物の外観が変わる
ベランダやバルコニーは、外から目につきやすい場合が多いです。
屋根が延長されると、建物の印象も変わる可能性が考えられます。
人によっては、建物の外観が変化するのをデメリットに感じる場合もあるでしょう。
しかし、建物と馴染むデザインであれば気にはなりません。
ベランダやバルコニーの屋根を延長する際には、建物とのバランスを考えて計画するのをおすすめします。
ベランダ(バルコニー)の屋根を伸ばすことで得られるメリットは?
ベランダやバルコニーの屋根を伸ばすことで得られるメリットも数多くあります。主なメリットを紹介しましょう。
ぜひリフォームを検討する際の参考にしてください。
メリット① 雨や雪を防ぐ範囲が広がる
ベランダやバルコニーの屋根を延長すると得られる最大のメリットは、雨や雪を防ぐ範囲が広がることです。
ベランダは洗濯物を干す場合が多いと思います。
洗濯物を干している際に、急な雨が降ってきたとしても、屋根の範囲が広ければ濡れずに済むのは嬉しい効果です。
他にも、雪が多い地域の場合はベランダやバルコニーに雪が積もりにくくなります。
屋根の範囲が広ければ、雪かきの手間も省けるでしょう。
メリット② 建物の劣化を抑えられる
雨や雪などを防ぐ効果が高まれば、雨や雪で生じる建物への影響も少なくできます。
雨や雪が外壁に降りかかると、雨だれになり汚れが目立ちやすくなってしまいます。
屋根の面積が広がれば、雨だれなどを防ぎ、建物を綺麗に保てる効果が期待できるでしょう。
紫外線も防げるため、ベランダやバルコニー、外壁の劣化を防ぐ効果にもつながるメリットがあります。
メリット③ 洗濯物や室内の目隠しになる
ベランダやバルコニーの屋根は、洗濯物や室内の目隠しにも有効です。
屋根の範囲が広がれば、目隠しの効果は高まるでしょう。
ベランダやバルコニーが道路に面している場合は、外からの視線が気になりがちです。
近隣との距離が違い場合でもプライバシーの確保に役立つでしょう。
テラス屋根には、前面にオプションで“目隠しパネル”の取り付けができます。
費用はかかりますが、外からの目隠しを目的とするなら、目隠しパネルをオプションで選択するといいでしょう。
ベランダ(バルコニー)の屋根延長はDIYでもできる?
DIYをしている人は、ベランダ(バルコニー)の屋根延長も自分でできるか考える人がいるかもしれません。
しかし、屋根の延長はDIYでは難易度が高いです。
DIYで屋根の延長を行った場合、施工が適切でないと雨漏りのリスクがあります。雨漏りが起こると、建物の劣化を早める原因にもなるため注意が必要です。
高所の作業になるため施行中に落下の危険性もあります。
雨漏りや落下のリスクを考えれば、最初から施工に慣れたプロに依頼するのが無難でしょう。
プロに依頼していれば、万が一のトラブルの際も適切に対処してもらえるため、おすすめです。
ベランダ(バルコニー)の屋根を延長する際の注意点
ベランダやバルコニーの屋根を延長する際には、いくつか注意しておく点があります。
中には、後から税金の支払いに関わってくる項目もあるので、注意が必要です。
知らずに後から「思わぬトラブルにつながってしまった」という事態にならないためにも、参考にしてください。
固定資産税が変わるケースに注意
ベランダやバルコニーの屋根を伸ばすと、固定資産税が変わるかもしれません。
屋根が建物から1m以上突き出ている場合は、屋根の一部が建物面積に含まれます。
屋根の延長によって、建物面積が増えた場合、建ぺい率が増えることに注意しなければなりません。
建ぺい率が増えれば、支払う固定資産税が上がる可能性があります。
屋根の延長によって、建ぺい率や固定資産税にどの程度影響があるのか、リフォームを実施する前に確認しておきましょう。
状況によって足場が必要になる
足場工事の費用相場 | 600〜1,000円/m2 |
リフォームを行う場所や状況によっては、足場工事が必要になる場合もあります。
足場を設置するのにかかる費用は、1m2あたり600〜1000円が相場です。
2階のベランダの屋根を延長する際などは、足場が必要になる可能性が高いでしょう。
広さや施工箇所の状況により、どの程度の足場を組むかは状況次第で変わります。
足場を組む場合は、屋根の延長費用とは別で費用がかかるため、覚えておきましょう。
役所への確認申請が必要な場合もある
ベランダやバルコニーの屋根を延長する場合、役所への申請が必要になるケースがあります。
・防火地域(準防火地域)内に設置する場合
・面積が10m2(平方メートル)を超える場合
また、確認申請には、図面の作成などが必要となるため、業者に依頼するのが一般的です。
増築面積が10m2以内に収まる場合は、基本的に確認申請の必要はありません。しかし、例外もあるため、前もって確認しておくと安心でしょう。
ご自身で判断せず知識のあるリフォーム業者へ相談し、確認申請が必要かどうか判断してもらうのがおすすめです。
また、ベランダの屋根を延長する際には、行政機関に確認したかリフォーム業者に確認しておくと安心です。
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