目次
フッ素塗料とは?
フッ素塗料は、一般的に使われているシリコン塗料と比べて長持ちする塗料です。
フッ素塗料による塗装を依頼する前に、フッ素塗料がどのような性質をもった塗料なのか把握しておきましょう。
フッ素塗料の特徴
フッ素塗料は、優れた耐久性と耐候性をもつ塗料です。蛍石(ほたるいし)を原料としたフッ素樹脂を配合しているため、長期間美しさが保てます。
このような特徴から、一般住宅の屋根や外壁・シャッターなど、紫外線や風雨にさらされやすい部分に使用される傾向があります。
また、一般住宅のほかにも航空機や調理器具など、その用途は多岐にわたります。
フッ素塗料は決して安価とはいえませんが、一般的な塗料に比べて建物のメンテナンスサイクルが長くなくなるため、長期的に見るとコストパフォーマンスの高い塗料といえるでしょう。
フッ素塗料の代表的なメーカーと製品
フッ素塗料を販売している会社は多くありますが、その中でも代表的といえるメーカーとその製品を紹介します。
気に入った色の塗料があれば、塗料のメーカーや製品名を伝えて希望通りの塗装も可能です。
日本ペイント
日本ペイントは1881年に創業された日本初の塗料メーカーであり、国内でも一二を争うシェアを誇る企業です。
建築用だけでなく、工業用・自動車用塗料など、多分野で高品質な塗料を製造・販売しています。
代表的な塗料名 | 塗装可能な面積/缶 | カラーの種類 |
---|---|---|
ファイン4Fセラミック | 約115㎡/回 | 40種以上 |
サーモアイ4F | 約83~125㎡/回 | 40種 |
どちらもフッ素塗料の中でも特に安定性の高い「4フッ化フッ素塗料」で、耐候性や耐汚性が高いのが特徴です。
価格に関しては定価が存在しないため、複数の業者から見積もりを取得しましょう。
関西ペイント
関西ペイントも国内シェアトップクラスのメーカーで、海外でも広く知られている企業です。
海外でのシェアも伸ばし続けており、高品質かつ信頼性の高い塗料を販売しています。
代表的な塗料名 | 塗装可能な面積/缶 | カラーの種類 |
---|---|---|
セラMフッソ | 約55~65㎡/回 | 35種 |
スーパーフッソルーフペイント | 約70~85㎡/回 | 20種 |
実際の塗装では2回塗装が基本であり、関西ペイントは2回塗装を前提にした実際に塗装可能な面積を記載しています。
同様に定価が存在しないので、気に入ったカラーがあれば施工業者に相談してみましょう。
フッ素塗料を建物に使用するメリット
フッ素塗料を建物に使用する最大のメリットは耐久性です。
どのような機能をもった塗料なのかを事前に把握しておけば、どの部位にフッ素塗料を使用するか判断がしやすくなります。
【メリット1】耐用年数が長い
フッ素塗料の最大の特徴は耐用年数の長さです。通常の塗料は10年程度で劣化しますが、フッ素塗料は15年以上の性能維持が期待できます。
さらに、塗り替えの頻度が少なくなると、長期的なメンテナンスコストの削減にもつながります。
初期投資は高くなりますが、耐用年数の長さで見るとコストパフォーマンスの高い塗料と言っても過言ではありません。
【メリット2】日差しや温度変化に強い
フッ素塗料は、日差しや温度変化に強い塗料です。紫外線による色あせや劣化を防ぎ、美しい外観を長期間維持できます。
そのため外壁や屋根など、屋外のさまざまな場所に用いられています。
また、温度変化によるひび割れが起こりにくいので、建物の寿命を延ばす効果も期待できます。
特に、夏の強い日差しや高温下でも劣化しにくいのがフッ素塗料の強みです。
【メリット3】酸性雨やカビ・藻にも強い
日当たりや風通しが悪い場所は、カビや藻が発生しやすくなるためフッ素塗料がおすすめです。
カビや藻は、見た目が悪くなるだけでなく塗料がはがれやすくなるため、カビや藻がつきにくいかが重要といえます。
また、カビや藻が発生している場合、外壁自体の傷みが進んでいる可能性も考えられます。このような問題を防ぐために、フッ素塗料の使用が効果的です。
フッ素塗料には防藻性・防カビ性があるため、湿気がこもりやすい壁でもカビや藻の発生予防が期待できます。
湿気の多い場所でも安心して使用できるフッ素塗料は、外壁塗装に適した塗料です。
【メリット4】汚れを落としやすい
フッ素塗料は親水性が高く、汚れを落としやすいメリットがあります。親水性とは水とのなじみやすさです。
雨が降るとフッ素塗料の表面に水がつき、壁に付着した汚れを一緒に流す働きが期待できます。
ただし、雨だけで完全に汚れが落ちるというわけではありません。
ほかの塗料と比較して汚れを落としやすいため、日頃のメンテナンスが軽減されます。
フッ素塗料を建物に使用するデメリット
フッ素塗料にはいくつものメリットがありますが、デメリットも存在します。
フッ素塗料を使用するか検討するときには、メリットだけでなくデメリットも知ることが大切です。
【デメリット1】塗料の価格が高め
フッ素塗料は高価な塗料の一つであり、初期費用がほかの塗料に比べて高くなります。
そのため、一般住宅では屋根などの限られた箇所に使用されることが多く見られます。
しかし、耐久性など塗料の性能が高いため、一般住宅であってもフッ素塗料を建物全体に使うケースは増えつつあります。
【デメリット2】塗膜が固くひび割れやすい
フッ素塗料は高い耐久性を誇りますが、塗膜が硬くて弾力性が低い弱点もあります。
ほかの塗料に比べて塗膜が伸びにくく、モルタル外壁などの凸凹とした素地に塗装すると、ひび割れ(ヘアクラック)が発生しやすくなります。
外壁のひび割れリスクが心配な場合は、柔軟性の高いフッ素塗料がおすすめです。
【デメリット3】マットな仕上がりになりにくい
フッ素塗料は塗料の性質上、光沢のある仕上がりになるため、マットな仕上げを希望する方には不向きです。
シリコン塗料にはマットな仕上がりになる塗料がありますが、フッ素塗料は光沢のない塗料がありません。
マットな仕上がりを希望する場合は、フッ素塗料以外の塗料をおすすめします。
フッ素塗料で建物を塗り替えた際の価格相場
実際は建物によって塗装面積が異なるので難しいですが、一般的な一戸建てで、フッ素塗料を使用した再塗装の価格相場は100万円~150万円です。
フッ素塗料を使った塗装費用は3,000円〜5,000円/㎡なので、一般的な一戸建てを30坪~40坪程度だとすると、外壁100㎡~150㎡分と屋根の塗装が必要になります。
計算すると塗装費用は40万円~60万円となり、残りの金額は足場の設置費・養生・修繕費などです。
各費用が個別にいくらになるかは計算が難しいため、複数社で見積もりをして総工事費で比較するのが重要です。
塗料の価格だけに目がいきがちですが、実際は塗料以外の費用も多く発生すると覚えておきましょう。
フッ素塗料の耐用年数
フッ素塗料は15年以上の性能維持が期待できる塗料です。
フッ素塗料の最大の特徴は耐用年数の長さといえるでしょう。
メンテナンス頻度が少なくて済み、再塗装までの期間が長いのがフッ素塗料の大きなメリットです。
フッ素塗料による塗り替えがおすすめの部位
フッ素塗料の強みが特に発揮される部位は「屋根」「外壁」「軒天・雨樋」です。
それぞれの部位にフッ素塗料が適している理由がわかれば、どこにフッ素塗料を使うか判断しやすくなります。
屋根
屋根は劣化しやすく、メンテナンス周期が最も短い部位のため、フッ素塗料がおすすめです。
屋根は住宅の部位の中でも、最も風雨や紫外線の影響を受けやすい場所のため特に効果が期待できます。
塗料の劣化が早くなる屋根をフッ素塗料で塗り、外壁はほかの塗料にして次の塗り替え時期に合わせることもできるでしょう。
さらに、屋根は外壁に比べて面積が小さいため、塗り替え費用を抑えられます。
フッ素塗料が長持ちするメリットと、価格の高さというデメリットどちらにも対応しやすくなるでしょう。
フッ素塗料の価格面でお悩みの人は、塗料の使い分けがおすすめです。
外壁
外壁は面積が広いため耐用年数が長いフッ素塗料を使用すれば、塗り替えの頻度を低くできます。
耐用年数が長いフッ素塗料は長持ちするので、特にその効果が顕著です。
また、汚れが比較的落ちやすいので、定期的な掃除が手軽でいい点もメリットでしょう。そのため、初期費用が高額でも、長期的に見たメンテナンス費用も抑えられます。
外観で最も目立つのは外壁なので、美しさを長期間保てるフッ素塗料はおすすめです。
軒天・雨樋など
軒天・雨樋も屋根と同じように外壁よりも劣化しやすい部位なので、フッ素塗料を使用するのがおすすめです。
塗装面積が少ないため軒天・雨樋などの付帯部にだけフッ素塗料を使うという方法もあります。
軒天・雨樋の素材は木材や塩化ビニルが一般的で、簡易的な塗装しか施されていないことが多いのです。
木材や塩化ビニルは、10年程度で塗装が劣化するため、フッ素塗料を使った塗装をおすすめします。
フッ素塗料とシリコン塗料の比較
比較項目 | フッ素塗料 | シリコン塗料 |
---|---|---|
塗装費用 (1㎡あたり) | 3,000〜5,000円 | 2,000〜3,500円 |
耐用年数 | 15〜20年 | 8〜15年 |
柔軟性 | やや低い | 高い |
美観性 | ◎ | ○ |
施工のしやすさ | やや難しい | 比較的容易 |
カラーバリエーション | 少なめ | 豊富 |
仕上がり | 高級感のある光沢が出る | 光沢 or マット |
補修のしやすさ | 塗り替えは若干難しい | 補修や塗り替えが容易 |
メンテナンス | 定期的な清掃で十分 | こまめな清掃が必要 |
フッ素塗料を使用すると、塗装費用が約1.5倍になってしまうものの、耐用年数に関してはフッ素塗料の方が1.3倍~1.9倍ほど優れていることがわかります。
フッ素塗料がシリコン塗料より若干劣っている部分もありますが、経験豊富で的確な塗装ができる施工業者に依頼すれば、ほとんど気にする必要はありません。
また、塗装工事全体の費用で長期的に比較すると、再塗装の回数が少なくて済むフッ素塗料の優秀さが際立つでしょう。
フッ素塗料による塗装がおすすめなケース
フッ素塗料は、温度変化や紫外線・雨風にも強い丈夫な塗料です。
どのようなケースでフッ素塗料おすすめなのか把握しておけば、自宅の再塗装にフッ素塗料が適しているか判断できます。
きれいな外観をできるだけ長く維持したい
フッ素塗料は、紫外線や雨・酸性雨などの耐性が高いため、経年劣化や変色が気になってしまう人におすすめの塗料です。
汚れがこびりつきにくい性質をもっているため、高圧洗浄機がなくても柔らかいブラシでの清掃で汚れを落とせます。
そのため、フッ素塗料であれば従来の塗料よりも普段の掃除頻度が少なくて済むというメリットがあります。
きれいな外観をできるだけ長く維持したいと考えている場合はフッ素塗料がおすすめです。
建物を塗り替える回数を減らしたい
フッ素塗料を使用すれば塗り替えの頻度が減るため、塗り替える回数を減らしたいには特におすすめです。
フッ素塗料はほかの塗料と比べて耐久性が非常に高く、一般的に15年〜20年は塗り替えが必要ありません。
その結果、長期的に見てメンテナンスコストが抑えられます。
また、外壁塗装を依頼した場合、足場の設置や養生など、塗装以外の工程も必要です。
塗装部位によっては窓が開けられない・塗装のにおいがするなど、生活で不便を感じる期間が出てしまいます。
塗り替え頻度が少なくなれば、不便な期間が減るので、フッ素塗料がおすすめです。
フッ素塗料を使用した実際の施工事例
フッ素塗料を実際に使用した施工事例を紹介します。
落ち着いたブラウンでシックな仕上がり
項目 | 内容 |
---|---|
住宅の種類 | 一戸建て |
リフォーム費用 | 約140万円 |
施工期間 | 20日 |
リフォーム箇所 | 屋根 外壁 |
屋根・外壁部分の塗装に、フッ素塗料を使用した施工事例です。
もともとはアイボリーの外壁でしたが、落ち着いたダークカラーにすることで高級感のある外壁になりました。
スタイリッシュなカラーかつ汚れが目立ちにくい仕上がり
項目 | 内容 |
---|---|
住宅の種類 | 一戸建て |
リフォーム費用 | 約97万円 |
施工期間 | 14日 |
リフォーム箇所 | 屋根 外壁 |
外壁にフッ素塗料2色を塗り分けた事例です。
汚れが目立っていた部分をブラックに、レンガ調の部分はベージュにして、オシャレな仕上がりになりました。
メリハリのあるダークカラーで洗練された雰囲気の外壁
項目 | 内容 |
---|---|
住宅の種類 | 一戸建て |
リフォーム費用 | 約130万円 |
リフォーム箇所 | 屋根 外壁 ベランダ |
外壁の一部をベージュカラーからダークカラーに塗装した事例です。
部分的にダークカラーを使うことでメリハリが生まれ、スタイリッシュな仕上がりになりました。
フッ素塗料を使用した塗装工事の価格を抑えるコツ
フッ素塗料自体の価格はほかの塗料より高価になる傾向はありますが、塗装工事全体で見れば価格を抑えるコツはいくつかあります。
価格を抑えるコツを把握しておき、余分な出費を抑えるのもテクニックです。
経験豊富でしっかり相談に乗ってくれる業者を選ぶ
フッ素塗料を使用した塗装工事の価格を抑えるために、経験豊富でしっかり相談に乗ってくれる業者を選びましょう。
フッ素塗料に限りませんが、下塗りや塗装の方法が悪ければ塗料は本来の性能を発揮できないため、経験が豊富な施工業者を選ぶというのは重要です。
高い耐久性をもつフッ素塗料も適切な施工ができなければ、ひび割れや早期の劣化を起こしてしまう可能性もあります。
そのため、経験が豊富なことはもちろん、要望や相談をよく聞いてくれて信頼できる業者を選ぶことが、塗装工事の価格を抑えることにもつながるでしょう。
フッ素塗料を使用する場所を限定する
塗装費を抑えるコツとして、屋根や雨樋などの劣化が激しい部分のみに限定するという手もあります。
劣化が激しい箇所には耐久性が高いフッ素塗料が特に有効です。
再塗装などの場合、塗装部すべてにフッ素塗料を使わなければいけないわけではありません。
すべてフッ素塗料で塗装できるのが理想ではありますが、場合によっては特定の部位だけシリコン塗料を使用するのも可能です。
建物によって劣化しやすい部位は違うので、施工業者とよく相談してみましょう。
劣化・ひび割れが悪化する前に塗装を依頼する
全体的な施工費用を抑えるために、劣化やひび割れが悪化する前に再塗装をするのもコツの一つです。
塗装する際に、木材部分が劣化して崩れている・壁にひび割れが発生している場合は先に修繕が必要になってしまいます。
塗装には、建物に使われている部位を紫外線などによる劣化から守る役割もあります。
塗装だけでなく建物自体が劣化してしまい、大掛かりな修繕が必要になる前に、再塗装を依頼できれば修繕にかかる費用を抑えられます。
見える範囲だけでも定期的に確認し、早めに修繕や再塗装の依頼をして価格を抑えましょう。
屋根や外壁の塗装はまとめて行う
屋根の塗装となると建物の周囲に足場を組んで作業することが前提になるため、屋根と外壁をまとめて塗装するのもコツの一つです。
塗装工事の費用には塗料の代金だけでなく、さまざまな費用が発生します。
別々のタイミングで塗装する場合、2回足場を組む必要があるため、足場費用が重複してしまいます。
できる限り同じタイミングで再塗装ができれば足場などにかかる費用が少なくて済むでしょう。
可能な限り再塗装はまとめて行うのがおすすめです。
フッ素塗料に関するよくある質問
- フッ素塗料はひび割れやすいって本当?
-
フッ素塗料がひび割れやすいというのは誤りです。
シリコン塗料などと比較すれば柔軟性が低いのは事実ですが、下地などの施工が適切であれば耐候性の高さを十分に発揮でき、長期間にわたって塗膜を維持できます。
- フッ素塗料の上からシリコン塗料を塗っても大丈夫?
-
フッ素塗料がある程度劣化していれば可能です。
フッ素塗料は表面が非常に滑らかで摩擦係数が低いため、再塗装が難しいというデメリットがあります。
しかし、経年劣化しているフッ素塗料の上であれば、適切な下塗りをすることで、シリコン塗料での再塗装も可能です。
- フッ素塗料は汚れやすいって本当?
-
フッ素塗料が汚れやすいというのは誤りです。
フッ素塗料はシリコン塗料などと比較して、汚れがこびりつきにくい性質をもっています。
ただし、お手入れをなしで綺麗な状態を保てるという塗料ではないため、定期的な掃除は必要です。
- フッ素塗料は有害?
-
一般的に人体に害を及ぼすことはありません。
溶剤が含まれているので、塗装時は揮発性有機化合物(VOC)などを放出する可能性はあります。
ただし、完全に硬化した後なら、有害物質の放出は人体に悪影響を及ぼすことはありません。
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