目次
掘り込み車庫とは
掘り込み車庫とは、敷地の地盤面と道路面における高低差をいかして造作した駐車場のことをいいます。
一般的には、前面道路に傾斜がある住宅や、省スペースに建てられた分譲住宅などで多く採用されています。
なお、高低差のない平坦な住宅は地盤ごと改良する必要があるため、掘り込み車庫へのリフォームは難しいでしょう。
そのため、掘り込み車庫のリフォームを検討する際は、あらかじめ地盤の形状や状態を専門業者に確認してもらうのがおすすめです。
掘り込み車庫と地下車庫の違い
掘り込み車庫と地下車庫のおもな違いは、敷地の地盤面から車庫の天井までの高さです。
敷地の地盤面から車庫の天井までの高さ | |
---|---|
掘り込み車庫 | 1m未満 |
地下車庫 | 1m以上 |
掘り込み車庫にリフォームするメリット
掘り込み車庫にリフォームすると、車の乗り降りがスムーズになる、車庫の上部を庭として活用できるなど、さまざまな恩恵を受けられます。
掘り込み車庫にリフォームするメリットを把握し、リフォーム後の生活を具体的にイメージしてみましょう。
【メリット1】車の乗り降りがスムーズになる
掘り込み車庫にリフォームすると、車の乗り降りがスムーズになります。
オープンタイプやカーポートタイプの駐車場と違い、掘り込み車庫は屋根と壁で囲われているため、雨風による影響を受けません。
そのため、悪天候でも車の乗り降り時に服が濡れたり、トランクの大事な荷物が濡れてしまったりするなどの心配も減るでしょう。
掘り込み車庫の中に、玄関へつながる内階段を設置すれば、雨に濡れることなく移動が可能となります。
掘り込み車庫から玄関への動線も考えて、より快適な住まいづくりを実現しましょう。
【メリット2】車を雨風から守れる
掘り込み車庫のリフォームによって、車を雨風から守れます。
屋根と壁で囲われた掘り込み車庫にすれば、愛車を外部要因による劣化や汚れから守る効果が期待できます。
また、掘り込み車庫は雨風の影響を受けにくいため、車をメンテナンスする空間として活用できるのも嬉しいポイントです。
車以外にも、大切な自転車やアウトドア用品などを置いて、スペースを有効活用するのもよいでしょう。
【メリット3】耐火性や耐久性に優れている
掘り込み車庫にリフォームすることで、耐久性や耐火性に優れた駐車場づくりが実現します。
掘り込み車庫は、周囲を鉄筋コンクリートで囲って建てられるため、丈夫なつくりとなります。
また、耐火性や耐久性のみならず、防音性能にも優れているため、車のエンジン音や生活音が気になりにくいでしょう。
【メリット4】車庫の上部を庭として活用できる
掘り込み車庫のリフォームにより、車庫の上部を庭として活用できます。
たとえば、車庫の上部にある敷地を人工芝で整備すれば、バーベキューやガーデニングを楽しめる空間として使えます。
また、車庫の上部に大きめのウッドデッキを設置して、洗濯物や布団を干すなど生活スペースとして活用するのもよいでしょう。
なお、車庫の上部にある敷地を活用する際は、地盤の状態を確認したうえで、防水工事を忘れずに行いましょう。
【メリット5】車の盗難リスクが軽減する
掘り込み車庫にリフォームすると、車の盗難被害に遭うリスクを軽減できます。
一般的な住宅でも、車の盗難や車上荒らしに遭うケースは少なくありません。
出入り口にシャッターを取り付けた掘り込み車庫であれば、防犯性能をより高められるでしょう。
電動シャッターならリモコン操作だけで開け閉めできるため、車の出入りがスムーズになります。
負担をかけずにシャッターを開け閉めできることから、女性や高齢者でも使いやすいでしょう。
掘り込み車庫にリフォームするデメリット
掘り込み車庫のリフォームにおいて、場合によっては工事費用が高額になったり、車庫から玄関への移動に苦労したりする可能性があります。
掘り込み車庫にリフォームするデメリットを事前に理解し、「リフォームしなければよかった」と後悔しないようにしましょう。
【デメリット1】工事費用が高め
掘り込み車庫のリフォームは、工事費用が高くなる傾向にあるため注意が必要です。
掘り込み車庫をつくるには、地盤を徹底的に調査したうえで、敷地にある擁壁を壊していきます。
そして、残土処分やコンクリート打設などの工程を経て、駐車スペースができあがります。
このように、一般的な駐車場リフォームよりも大規模な工事となるため、余裕をもって予算を計画しましょう。
【デメリット2】車庫の広さを変えるのが難しい
掘り込み車庫にリフォームすると、将来的に車庫の広さを変えるのが難しくなります。
もし掘り込み車庫の広さを変える場合は、擁壁を再度取り壊す必要があるため、大規模なリフォーム工事となります。
地盤の状態や形状によっては、車庫の広さを変えられないかもしれません。
掘り込み車庫のリフォームは、車の台数が増える、または車のサイズが変わる可能性も考えたうえで慎重に検討しましょう。
【デメリット3】車庫から玄関への移動が大変
掘り込み車庫のリフォームにおいて、車庫から玄関への移動に苦労するケースも少なくありません。
たとえば、掘り込み車庫と玄関の間を外階段で移動しなければならない場合、毎回の移動に負担がかかります。
外階段での移動は、雨風にさらされる心配もあるため、荷物の持ち運びに苦労するほか、足を滑らせて転んでしまうリスクも考えなければなりません。
移動の負担を軽減するために、ホームエレベーターを導入するなど、安全面を考えたリフォームプランも視野に入れましょう。
【デメリット4】湿気がこもりやすい
掘り込み車庫にリフォームする場合、車庫内にこもる湿気に注意が必要です。
掘り込み車庫は、3面の壁がコンクリートで密閉されているため、地上にある駐車場に比べて通気性が悪くなります。
そして、空気の循環が悪くなることで、結露が発生しやすくなります。
結露の発生を放置すると、壁にカビが生えるおそれもあるため、リフォームプランに湿気対策も盛り込みましょう。
車庫内に湿気がこもらないように、換気口や換気扇を設置して空気の循環を促すのがおすすめです。
【デメリット5】防水対策が必要
掘り込み車庫にリフォームするなら、車庫から雨漏りしないように防水対策が必要となります。
防水対策を怠ると、車庫の壁に雨が浸水し、コンクリートで覆われた壁や屋根が劣化するおそれもあります。
壁や屋根が著しく劣化すると、掘り込み車庫の構造自体に悪影響を及ぼしかねません。
掘り込み車庫を安全に長く使うためにも、定期的な防水対策を行うことが重要です。
掘り込み車庫の寿命
掘り込み車庫の寿命は、鉄筋コンクリート製で30〜50年が目安となります。
ただし、この寿命は必要なメンテナンスを行うことが前提となります。
業者に点検を依頼したうえで、必要に応じてメンテナンスを行い、掘り込み車庫をより長く使いましょう。
掘り込み車庫の定期的なメンテナンスは、将来売却する際の不動産価値に良い影響を与える可能性があります。
掘り込み車庫をより良い状態に保つためにも、点検やメンテナンスを定期的に行いましょう。
掘り込み車庫にリフォームする際の費用相場
掘り込み車庫にリフォームする際の費用相場は、100万〜800万円が目安となります。
なお、費用相場は擁壁の高さや車の収容台数によって変動します。
擁壁の高さ (単位:メートル) | 費用相場 (車1台分のスペース) |
---|---|
~1 | 100万〜200万円 |
1〜3 | 300万〜400万円 |
3〜5 | 500万〜600万円 |
5〜8 | 700万〜800万円 |
車2台分の駐車スペースを必要とする場合は、上記の費用に加えておよそ30万円ほどかかるため、予算を多めに見込んでおきましょう。
既存の掘り込み車庫におけるメンテナンス費用は、劣化の状態や広さによって異なります。
正確な費用を把握するなら、専門業者に現地調査してもらい見積もりを取得しましょう。
掘り込み車庫にリフォームする際の注意点
掘り込み車庫にリフォームする際は、「地盤が車庫をつくるのに適した強度であるか」「建ぺい率の規制を受けないか」などを確認しなければなりません。
リフォーム後のトラブルを回避するために、リフォームする際の注意点をあらかじめ頭に入れておきましょう。
【注意点1】地盤の強度を調べる
掘り込み車庫のリフォームは、敷地内の擁壁を壊す必要があるため、地盤の強度を念入りに調べなくてはなりません。
弱体化した地盤に掘り込み車庫をつくろうとすると、地盤の崩落を招くおそれがあります。
また、地盤沈下によって車庫の上部にある建物が傾くなどのリスクも考えられます。
このようなリスクを回避するためにも、業者に事前調査を依頼し、安全性を確認したうえでリフォームを検討しましょう。
【注意点2】建ぺい率を確認する
掘り込み車庫のリフォームにおいて、建ぺい率の確認は必要不可欠です。
敷地面積に対する建築面積の割合こと。
掘り込み車庫は壁で囲われた空間であるため、建ぺい率の規制を受けるケースも少なくありません。
なお、建ぺい率は敷地や車庫の形状によって条件が変わります。
心配な場合は、前もって業者に相談して、建ぺい率の規制を受けるかどうかを調べてもらいましょう。
【注意点3】固定資産税がかかる可能性もある
掘り込み車庫は、固定資産税の課税対象になる可能性があります。
条件 | 内容 |
---|---|
外気分断性 | 3方向以上の壁と屋根で囲まれていること |
土地への定着性 | 簡単に移動できないもの |
用途性 | 利用目的が明確であること |
掘り込み車庫はこれらの条件に当てはまるため、固定資産税がかかるかもしれません。
したがって、あらかじめ業者に相談し、固定資産税の有無を確認しておくと安心です。
掘り込み車庫が売れないといわれる理由
「掘り込み車庫がある家は売れない」と耳にしたことはありませんか?
実際に、掘り込み車庫のある家を売却する場合、値がつなかいケースも少なくありません。
ここでは、なぜ掘り込み車庫が売れないのか理由を学んで、掘り込み車庫にリフォームするリスクを知っておきましょう。
【理由1】車庫の強度に問題がある
掘り込み車庫が売れないといわれる理由のひとつに、車庫の強度に対する問題が挙げられます。
家の売却時に、長年使われた車庫をそのまま残すとなると、経年劣化によるコンクリートの崩壊や雨漏りのリスクを伴います。
買い手側は、それらのリスクを回避するために一からリフォームしなければなりません。
掘り込み車庫をリフォームするとなると、何百万円もの費用がかかるため、売却しても値がつかないというのが現状です。
【理由2】建物の建て替えが難しい
掘り込み車庫が売れないといわれる理由として、建物の建て替えが難しいことも要因として挙げられます。
車庫の強度によっては、車庫の上部にある建物を建て替えるのが難しい場合もあります。
もし、建物の建て替えが難しい状況で、買い手側が建て替えを希望する場合は、掘り込み車庫ごとリフォームしなければなりません。
掘り込み車庫のリフォームが必要となると、売却時の条件面で不利になるため、売れない可能性が高くなるでしょう。
掘り込み車庫におけるリフォームの施工事例


リフォーム期間 | 50日 |
リフォーム費用 | 約1,000万円 (シャッター取り付けの費用を含む) |
車の収容台数を増やす目的で、掘り込み車庫の幅を広げたリフォーム事例です。
建物の下を掘ることで奥行きを確保し、鉄筋コンクリートで固め直しています。
出入り口にはシャッターを取り付けたことで、防犯性が格段にアップ。
外からほこりや汚れが入るのも防げるため、愛車を大切に保管できるようになりました。
【Q&A】掘り込み車庫に関するよくある質問
- 掘り込み車庫の高さは変更できる?
-
掘り込み車庫の高さは、変更できる可能性があります。
ただし、車庫の上部に建物が建っている場合は、高さの変更が難しくなります。
古い掘り込み車庫の高さを変える場合長年使用した掘り込み車庫の高さを変える場合、車庫を解体して作り替えることが必要かもしれません。
そのため、業者に車庫の強度や地盤の状態を確認してもらったうえで慎重に検討しましょう。
- 掘り込み車庫の解体費用はいくら?
-
掘り込み車庫の解体費用は、1坪あたり7万〜12万円が目安となります。
ただし、場合によっては解体費用が前後する可能性もあります。
解体費用が前後するケース- 車庫の構造が複雑
- 排水処理に時間がかかる
- 掘り込み車庫のメンテナンス方法は?
-
掘り込み車庫の代表的なメンテナンス方法として、定期的な防水工事が挙げられます。
なお、掘り込み車庫にひび割れなどが見られる場合には、コーキング材やモルタルなどを使用した補修が欠かせません。
ひび割れ補修は専門業者に相談しよう掘り込み車庫にひび割れが生じている場合は、壁の内部への雨漏りが懸念されます。
したがって、専門業者に点検してもらい、必要な補修を行うことがおすすめです。
外構・エクステリアリフォームの業者選びで後悔しないために
必ず相見積もりを複数取って比較しましょう!
なぜならリフォームの費用・工事方法は、業者によって大きく異なるからです。
とはいえ「信頼できる業者が分からない」「何度も同じ説明をするのが面倒」と踏み出せない方もいらっしゃると思います。
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