外壁塗装で2色を使う「ツートンカラー(2色塗り)」は、1色のベタ塗りでは出しにくい立体感やデザイン性を得られる塗装方法です。この記事では、ツートンカラーの種類・費用相場・人気の配色パターン・色選びで失敗しないポイントをまとめています。
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目次
外壁塗装の2色塗り(ツートンカラー)とは
外壁の2色塗り(ツートンカラー)とは、2色の塗料を使って外壁を塗り分ける方法です。「2色塗り」「2色塗分け塗装」「ツートンカラー」「ダブルトーン塗装」など、業者によって呼び方が異なりますが、いずれも同じ施工を指しています。
塗り分け方には大きく2つのパターンがあります。サイディング(外壁材)の凹凸に合わせて色を塗り分けるケースと、1階・2階やベランダなどエリア単位で塗り分けるケースです。前者を「2色塗分け塗装」、後者を「ツートンカラー」と区別して呼ぶ業者もいます。
凹凸塗り分けとエリア別塗り分けの違い
凹凸に合わせた塗り分けは、レンガ調・タイル調などのサイディングに向いています。目地部分と出っ張り部分を別の色にすることで、素材本来のデザインが引き立ちます。1色で塗るとのっぺりと見えがちなサイディングも、2色にすることで奥行きと立体感が生まれます。
エリア別の塗り分けは、1階と2階で色を変えたり、ベランダや幕板(1階と2階の境目に取り付ける板)を別色にしたりする方法です。建物の形に合わせて自由度が高い反面、色の組み合わせや面積バランスによって印象が大きく変わります。
1色塗り・クリヤー塗装との比較
外壁塗装には「1色塗り」「2色塗り(ツートンカラー)」「クリヤー塗装」の3つの方向性があります。
1色塗りは最もシンプルで費用が抑えやすく、どの業者でも施工できます。外壁の状態改善を優先したい方や、コストを最小限にしたい方に向いています。
クリヤー塗装は透明な塗料を使うため、サイディング本来の柄やデザインをそのまま残せます。ただし、傷や色褪せを隠すことはできません。外壁の劣化が少なく、元の見た目をそのまま保ちたい方に向いています。
2色塗りはデザイン性と劣化カバーの両立を求める方に向いています。傷や色褪せの程度に関係なく施工できる点も、クリヤー塗装との違いです。
2色塗りにするメリットとデメリット
2色塗りは1色塗りに比べてデザイン面で優れる反面、費用・工期・業者選びで注意が必要な点もあります。

メリット
2色塗りの最大のメリットは、外壁に立体感と奥行きが生まれることです。レンガ調・タイル調・ストーンブロック調など、表面に凹凸があるサイディングに塗り分けを施すと、素材のデザインがくっきりと引き立ちます。1色のベタ塗りでは全体がフラットに見えてしまうサイディングも、2色にすることでまるで張り替えたかのような仕上がりになります。
また、1階と2階で塗り分けた場合、紫外線が当たりやすい部分に耐候性の高い塗料を使い、それ以外の部分に一般的な塗料を使うといった機能面の使い分けが可能です。部位ごとに最適な塗料を選べるのは、1色塗りにはないメリットです。
クリヤー塗装との比較では、2色塗りは外壁の傷や劣化の度合いに関係なく施工できます。色褪せや細かい傷を目立たなくしながら、デザイン性も高められます。
デメリット
1色塗りに比べると、費用と工期が増える傾向があります。通常の外壁塗装は「下塗り・中塗り・上塗り」の3工程ですが、2色塗りでは1色目の上塗りの後にもう1色を塗る工程が加わります。サイディングの種類によっては塗装回数が4〜5回になることもあります。筆を使って細部を手直しする作業も発生するため、費用と工期がある程度増えることは、あらかじめ想定しておきましょう。
色の組み合わせを選ぶのも手間がかかります。異なる系統の色を組み合わせるとメリハリが生まれますが、バランスを誤るとうるさい印象になることがあります。色見本で良いと思った組み合わせが、広い面積に塗ると想定と異なって見えるケースも少なくありません。
施工の仕上がりが業者の技術力に左右されやすい点も注意が必要です。仕上げ塗りや細部の手直しにはある程度の経験が求められます。また、着工前に塗り分けの範囲を細かく確認しておかないと、完成後にトラブルになるケースがあります。例えば、バルコニーの壁・縦樋・換気フードなどの付帯部分をどちらの色で塗るかを事前に取り決めておかないと、仕上がりのイメージにズレが生じやすくなります。2色塗りを依頼する際は、着工前の打ち合わせで塗り分け範囲を図面や写真で明確にしておくことが大切です。
2色塗りにすると費用はどれくらい変わるか

外壁塗装の費用は塗料の種類によって異なります。30坪の建物を基準にすると、ウレタン塗料で60万〜80万円、シリコン塗料で70万〜90万円が1色塗りの相場です。2色塗りにした場合でも、使う塗料が同じであれば費用はほぼ同額か、やや高くなる程度で収まることが多いです。
同系統の塗料で塗り分ける場合
1階と2階の両方にシリコン塗料を使い、色だけ変える場合などは、1色塗りとほぼ同じ費用で施工できるケースがほとんどです。塗料のグレードが変わらなければ材料費の差はほとんどなく、作業工程がわずかに増える分だけ費用が上乗せされる程度です。
凹凸に合わせた塗り分けは、手作業で細部を仕上げる工程が増えるため、エリア別の塗り分けよりも人件費が高くなりやすい傾向があります。
塗料のグレードが異なる場合
1階をウレタン塗料、2階をフッ素塗料にするなど、部位によって塗料のグレードを変える場合は費用が高くなります。塗料の価格差に加え、それぞれの塗料に合った施工工程・乾燥時間が必要になるためです。フッ素塗料の相場は30坪で90万〜110万円で、ウレタン塗料との差は30万円以上になるケースがあります。
3色以上に塗り分ける場合や、複雑なパターンで塗り分ける場合も、手間が増える分だけ費用が上乗せされます。見積もりの段階で「何色で、どの部位をどのように塗り分けるか」を業者に具体的に伝えると、費用の目安を確認しやすくなります。
ツートンカラーの塗り分けパターン
ツートンカラーには、建物の形や外壁の素材によって向き・不向きがあります。

代表的な塗り分けパターンを3つ紹介します。
上下(1階・2階)の塗り分け
最も一般的な塗り分け方です。1階と2階で色を変えることで、建物に横方向のラインが生まれ、外観に変化が出ます。1階に少し濃い色・2階に明るい色を配置すると、重心が下がって安定感のある外観になります。反対に1階を明るく・2階を濃くすると、スタイリッシュな印象を出せます。
幕板がある建物は、幕板のラインで色を切り替えやすいため、上下の塗り分けに向いています。幕板がない場合でも、胴差し(木造住宅で1・2階の境目付近に位置する横架材)のラインを境にすると自然に仕上がります。
総二階(1階から2階まで外壁が途切れずに続く形状)の建物では、外壁の一部を縦方向に別の色にするパターンも人気です。
凹凸に合わせた塗り分け(サイディングの意匠を活かす)
レンガ調・タイル調・ストーンブロック調などのサイディングに向いている方法です。凸部分と凹部分(目地)をそれぞれ別の色で塗ることで、素材のデザインが際立ちます。例えばレンガ調サイディングの場合、凸部分をレンガ色・目地をホワイトにすると、遠目からでもレンガらしさが際立ちます。
この方法はサイディングの意匠を最大限に活かしたい方に向いています。クリヤー塗装と違い、劣化・色褪せの状態に関係なく施工できます。ただし、細部を筆で手直しする工程があるため、業者の技術力が仕上がりに影響しやすい塗り分け方でもあります。
ベランダ・幕板などをアクセントに使う
外壁全体は1色または上下2色にして、ベランダや幕板など一部分だけ別の色を入れる方法です。アクセントに使う面積が小さいため、色の主張が強すぎず、まとまりある外観に仕上がりやすいのが特徴です。
ベランダは建物から張り出した形状のため、色を変えても違和感が出にくく、はじめてツートンカラーに挑戦する方にも取り組みやすいパターンです。幕板をアクセントにする場合は、ホワイトやダークブラウンなど、上下の外壁色の両方に馴染む色を選ぶと失敗が少なくなります。
人気のツートンカラー配色と組み合わせ事例

ツートンカラーで外壁を塗る場合、色の組み合わせによって仕上がりの印象は大きく変わります。施工事例で人気の高い配色を4パターン紹介します。
ベージュ・ブラウン系(温かみのある定番配色)
ベースカラーにベージュやクリーム系、アソートカラーにブラウンを組み合わせるパターンです。和風・洋風どちらの建物にも馴染みやすく、周囲の街並みから浮きにくい配色です。1階を濃いブラウン・2階をベージュにすると重厚感が出て、1階をベージュ・2階をブラウンにすると落ち着いたナチュラルな印象になります。
汚れが目立ちにくいという実用面のメリットもあります。雨だれや泥はねが付きやすい1階部分に中〜濃めの色を使うと、日常の汚れが目立ちにくくなります。
グレー・ホワイト系(モダン・クールな配色)
グレーとホワイトの組み合わせは、シンプルで現代的な印象を出せる配色です。サッシ(窓枠)が黒・シルバー・白のどの色でも合わせやすく、建物を選びません。グレーの明暗によって印象が変わり、明るめのライトグレーは清潔感、暗めのチャコールグレーはスタイリッシュな雰囲気を演出できます。
長期的に飽きが来にくく、施工事例でも人気の高い配色です。
ネイビー・ブルーグレー系(メリハリのある配色)
ネイビーやブルーグレーとホワイトを組み合わせると、外観にメリハリと個性が出ます。ネイビーは中〜低彩度のものを選ぶと上品にまとまり、鮮やかすぎる青は避けるのが基本です。アクセント的にネイビーを使い、ベース面積はホワイトを大きく取ると、派手になりすぎず洗練された外観になります。
ブルーグレーとホワイトの組み合わせは、ネイビーよりもやわらかい印象になり、和モダンや北欧風の外観にも合わせやすい配色です。ブラック×ホワイトのモノトーン配色も同様の方向性で、よりコントラストを強調したい場合の選択肢です。ただし、全体が引き締まる反面、周囲の街並みによっては目立ちすぎることがあるため、使用エリアの雰囲気を確認した上で選ぶとよいでしょう。
レンガ調サイディング向けの配色
レンガ調サイディングへの塗り分けは、凸部分をレンガ色(テラコッタ・ブラウン系)、目地部分をホワイトまたはアイボリーにするのが定番です。目地に白系を入れることでレンガのラインが浮き上がり、1色塗りでは出せない立体感が生まれます。
目地をグレーにするとシックでモダンな仕上がり、目地をアイボリーにするとナチュラルで温かみのある仕上がりになります。同じサイディングでも、目地の色を変えるだけで印象が大きく変わります。
色選びで失敗しないための3つのポイント
色の面積比(ベースカラー・アソートカラー・アクセントカラー)を意識する
外壁の配色を考えるとき、「ベースカラー」「アソートカラー」「アクセントカラー」の3つの役割を意識すると整理しやすくなります。

ベースカラーは外壁全体で最も広い面積を占める色で、デザインの方向性を決めます。鮮やかな色をベースにすると周囲から浮きやすいため、中〜低彩度の落ち着いた色が向いています。
アソートカラーはベースより狭い面積に使う色です。ベースに近い色合いを選ぶとバランスが取りやすくなります。
アクセントカラーはベランダや幕板など小さな面積に使い、デザインを引き締める役割があります。
面積の目安は、ベースカラー70%・アソートカラー25%・アクセントカラー5%程度です。

アクセントカラーはうまく使えると外観が引き締まります。バランスが難しいと感じたら、業者に相談しながら選ぶのが安全です。
サンプルは屋外・大きな面積で確認する
塗料の色は、小さな色見本と実際に塗った仕上がりで印象が異なります。面積が広いほど色は薄く・明るく見えるため、色見本で選んだ色が実際の外壁では薄すぎると感じることがあります。
塗料サンプルを確認する際は、室内ではなく屋外で見ることが大切です。外壁は屋外にあるものですから、蛍光灯やLED照明の下で見た色と、自然光の下で見た色は異なります。できるだけ大きなサンプルを用意してもらい、晴天時・曇天時の両方で確認できると理想的です。
シミュレーションと業者相談を活用する
色選びで迷ったときは、近似した色のトーン違いから選ぶのが失敗の少ない方法です。例えばベージュとブラウンのように、色相が近く明暗だけが違う組み合わせは、バランスが崩れにくい配色です。逆に色相が大きく異なる2色を組み合わせる場合は、必ず業者と相談しながら進めることをおすすめします。
鮮やかな色(高彩度の色)は、自治体の景観計画で使用が制限されるエリアがあります。国の景観法を根拠に、自治体ごとに外壁の明度・彩度・色相に数値基準が設けられているためです。東京都内では、港区・台東区・大田区・府中市など多くの自治体で、アクセント色は外壁各面の5%(1/20)以下に限るというルールが共通して定められています。
鮮やかな色や暗い色を検討している場合は、施工前に市区町村の公式サイトで景観計画の色彩基準を確認するか、業者に確認を依頼するようにしましょう。
【FAQ】よくある質問
Q1. 2色塗りにすると耐久性が落ちますか?
同じ塗料を使う限り、1色塗りと2色塗りで耐久性に差はありません。外壁塗装の耐久性や防水性は、使用する塗料のグレードによって決まります。ただし、凹凸に合わせた塗り分けで仕上げ塗りの品質が低い場合、塗膜が薄くなる箇所が生じることがあります。施工実績のある業者に依頼することで、このリスクは防げます。
Q2. ツートンカラーに向いていない家はありますか?
外壁に継ぎ目や幕板がなく、1階から2階まで一面でつながっている建物は、色の切り替えラインを設けにくく、上下の塗り分けが難しいことがあります。また、外壁の劣化が進んでいる場合はまず補修を優先する必要があり、塗り分けの前に外壁の状態を確認してもらうことが大切です。
サイディングの凹凸がほとんどないフラットな外壁材は、凹凸に合わせた塗り分けには向いていません。
Q3. 景観条例で外壁の色が制限されることはありますか?
あります。国の景観法を根拠に、自治体が景観計画を定め、外壁の明度・彩度・色相に数値基準を設けている地域があります。東京都では「東京都景観色彩ガイドライン」が策定されており、港区・台東区・大田区・府中市・江東区・墨田区など都内の多くの自治体で、アクセント色は外壁各面の5%(1/20)以下に限るというルールが共通して定められています。
出典:東京都景観色彩ガイドライン/東京都都市整備局
外壁色を決める前に、施工地の市区町村公式サイトで景観計画の色彩基準を確認するか、業者に問い合わせておくと安心です。
Q4. 色を決める前にシミュレーションはできますか?
リフォーム会社の中には、実際の外観写真を使ってカラーシミュレーションを行ってくれる業者があります。完成後のイメージを事前に確認できるため、「思っていた色と違った」というリスクを減らせます。対応の有無は業者によって異なるため、見積もり依頼の際に確認しておくとよいでしょう。
メーカーのウェブサイトでも外壁色のシミュレーションツールを提供している場合があるため、サンプル確認と合わせて活用するのがおすすめです。


















