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目次
地下外壁の防水工法の種類
地下にコンクリートの建造物を建てるために必ず行わなくてはならない工事が防水工事です。地下から湧き出てくる水が建造物内への侵入するのを防いで建造物を守ることが目的です。
地下外壁の防水工法には2種類あり、従来からある「後やり工法」と、工事期間の短縮等の理由により需要が増えている「先やり工法」があります。
そこで「後やり工法」と「先やり工法」の特徴を説明します。
「後やり工法」
「後やり工法」とは従来からある地下外壁の防水工法で、躯体が完成した後に躯体の外側から防水作業をする方法です。躯体の周囲に後やり工法をするためのスペースが余分に掘られ、躯体への防水作業が終わると作業スペースは土によって埋められます。
躯体が建てられた後に行われる防水作業なので「後やり工法」と呼ばれます。
「先やり工法」
「先やり工法」は、建築物が建てられる部分のみの土地が掘り返されて地下工事を進める「外型枠省略工法」という建築方法のときに施工される工法です。
「外型枠省略工法」では掘削部分の壁面を建造物の外型枠として利用して、壁面に沿って防水層を躯体工事の前に作ってしまいます。その後、躯体工事にかかるので「先やり工法」と呼ばれています。
先やり工法では防水層は掘削部分の壁面に沿うような形で作られるため、後やり工法のように作業後に土地の穴埋めをする必要がありません。先やり工法は、工事期間の短縮や、従来工法よりも掘削する土の量が減るなどの作業を減らすうえでもメリットがあります。
地下外壁の防水工事にかかる期間は?
地下室を施工する際には、防水工事が必ず必要となります。地下外壁の防水工事には代表的な方法が2つあります。「先やり工法」と「後やり工法」です。それぞれの特徴について説明していきます。
一般的には先やり工法の方が後やり工法に比べて、工事期間は短縮できると言われています。敷地の形状や地下室の部位により施工できる工法は限定されてきます。
工事期間の目安としては、約5~20日と言われています。しかし、これは敷地の形状や隣地境界の兼ね合い、地下室のプランニングなど様々な条件により大きく異なってきますので、具体的に工事期間を知りたい場合は、専門業者に相談することをお勧めします。
また地下外壁の防水工事に関しては、地下室をどのように利用するかにより防水施工グレードに違いがあります。居室として利用する場合はグレードを高く、倉庫などの場合はグレードを低くすることができます。
この防水工事の施工グレードの違いでも工事にかかる期間は変わってきますので、その点は注意が必要です。地下室の設計の時点で、用途と防水施工のグレード、期間を一緒に考えるようにしましょう。
地下室構築にかかる費用
地下室を構築する際にかかる費用の相場は、坪単価約60万円~約80万円です。山留め工事にかかる費用や防水工事費用、断熱工事費用などのほかにボーリング調査費用や構造計算の費用、残土処理費用などがかかります。
ボーリング調査とは、地中に孔を掘り地質構造などを調べる調査法を言います。ボーリング(boring)は英語でくりぬくことを意味します。
地下室の防水工事にかかる費用の相場:坪単価約6万4,000円
地下室の断熱工事にかかる費用の相場:坪単価約2万8,000円
施工方法や使用する材料、半地下なのか全部埋まっているのかなど様々な要素を考慮しなけらばならず一概に相場を設定するのは困難です。まずは地下室の施工経験が豊富なリフォーム会社に見積もり依頼をするとよいでしょう。
地下外壁の防水工事の注意点は?
地下外壁の防水工事をするときにはいくつか注意すべき点があります。その中から代表的な注意点をいくつか紹介していきます。
まず、地下外壁の防水工事の施工方法は条件により、選べるものとそうでないものがあるということです。地下外壁工事を早く施工したいから「先やり工法」で依頼したくても、必ずしも先やり工法で施工することが出来る訳ではありません。
隣地境界が近い市街地などでの施工の場合は、先やり工法が適していたり、それぞれに特徴がありますので、最もベストな施工方法を検討することが大切です。
また地下外壁の防水工事での注意点として、施工不備には注意する必要があります。不備があったまま施工が完了し、後でトラブルが発生しても外壁防水をやり直すことはなかなか困難になります。
特に、先やり工法では山留壁に防水壁を施工するので、次の工程である配筋・型枠工事などで、防水層を破損したりすることもあります。このような施工不良がないかをきちんと確認することが大切です。
トラブルがあった場合でも、施工後にきちんと対応してくれる地元で信頼のおける業者を選定することが最も重要かもしれません。業者によっては保証期間を設けているところもありますので、参考に業者を選ぶようにしましょう。
材料の違いによる防水工事の種類
材料の違いによる分類としては、主にアスファルト防水、シート防水、塗膜防水の3つがあります。
アスファルト防水
液状の溶解アスファルトと、防水性の高いアスファルトシートを積層し、厚みのある防水層を作る工法です。
アスファルト防水の施工方法は、主に熱工法と冷工法の2つに分かれます。熱工法は加熱・溶融したアスファルトでアスファルトシートを積層し防水層を形成する工法です。一方、冷工法では熱を使わずに防水層を形成します。
熱工法はアスファルトを250℃まで熱し溶融する必要があるため住宅ではほとんど行われていません。住宅の施工では、粘着層付のアスファルトシートやアスファルト系の塗膜防水を使用する冷工法やトーチ工法が採られます。
ガムロン防水
冷工法の一つにガムロン防水という施工方法があります。ガムロン防水とは、高強度・高伸度の合成繊維不織布を基材とする防水材「ガムロン」を用いた施工法です。地下外壁の防水施工でも用いられます。
シート防水
シート防水はゴムや塩化ビニールでできたシートを下地に貼り付けて防水する工法です。素材自体が伸縮するため建物の伸縮に追従して防水性能を維持することができます。
塗膜防水
塗膜防水とは現場で液状の防水材料を塗り、化学反応で防水の膜を作る工法です。ウレタン防水、FRP防水などの種類があります。塗膜防水は複雑な形状にも対応が可能で、地下室の防水工事にも適した工法です。
曲部やコーナーに適した防水材料
アスファルト防水やシート防水は平らな下地に適した防水材料のため、曲部の施工には向いていません。コーナー部の施工には専用の役物を使用します。
曲部やコーナーの施工に適しているのが塗膜防水です。塗膜防水は複雑な形状でも簡単に施工することができます。
防水工事の「プライマー」とは
防水工事において下地と塗布する材料とをきちんと接着させる役割を果たすのが「プライマー」です。プライマーとは建築工事で使われる下塗り塗料で、ウレタン防水用、FRP防水用、シート防水用などの種類があります。
ウレタン防水用のプライマー
ウレタン防水用のプライマーはウレタンプライマーと呼ばれ、1液溶剤型がメインで密着性に優れています。防水工事の際の防水層の塗り替えに最適です。
FRP防水用のプライマー
FRP防水用のプライマーはトップコートを塗り替える際のプライマーとして使用することができます。下処理などが不要で粉塵なども発生しないのでクリーンな環境で作業をすることが可能です。
シート防水用のプライマー
シート防水用のプライマーは保護や美装用の1液型がほとんどです。取り扱いが容易で作業性にも優れています。
地下室が水漏れした場合の原因と対処
地下室が漏水した場合、地中を掘り起こし防水をやり直すことは莫大な費用がかかり現実的ではありません。そのため、水漏れが起こらないように最初の工事の段階での防水をしっかりと行うことが重要となります。
漏水が起こってしまった時には、漏水部分に薬剤注入を行い化学的に止水します。水漏れの原因として考えられるのは、設備配管の不具合によるものや地下水位の上昇によるものです。
地下室の漏水の修理は屋根・外壁に比べ原因の特定が難しく、また防水処理も高い技術と経験が必要です。熟練の技術者も少なく一般のリフォーム業者では対応は難しいでしょう。
できるだけ地元で実績の多い専門業者を探しましょう。
設備配管からの水漏れ
地中に埋設された給排水管などが劣化し水漏れすることがあります。配管の破損部分の修繕・交換と内部からの止水工事が必要です。
地下水位の上昇による水漏れ
東京都内では過去に地下水の過剰な汲み上げによって地下水位が著しく低下し、激しい地盤沈下を経験しました。このため法律や条例による揚水規制を推し進めてきた結果、地下水位が上昇し地盤沈下は鎮静化しつつあります。
しかし、地下水位の上昇に伴い水圧が増大し新たな問題が起こるようになりました。水圧に耐えきれない地下構造物が漏水を起こすようになったのです。地下室の設置の際には地下水位や土質などを考慮する必要があります。
地下室の断熱工事の方法
地下室の結露対策として有効なのが、土壌に接する面の断熱工事です。断熱工事は快適な地下室を作るために重要な工事となります。
地下室の結露で多いのが、夏の外気が持つ水蒸気が原因で起こるものです。日本の夏の外気は高温多湿で、この夏の外気が室内に流入することによって結露が起こります。
鉄筋コンクリート造の断熱方法
鉄筋コンクリート造の断熱方法には外断熱工法と内断熱工法があります。外断熱工法は、構造体の外側に断熱材を入れ構造体全体を外側から覆う工法です。一方、内断熱工法では構造部材間の空間に断熱材を詰めて断熱します。
外断熱工法のメリットは内断熱工法と比べて外気の影響を受けにくく、蓄熱利用ができることです。しかし地中の温度は地上とは違い一年中安定しているため、外断熱工法の優れている点が生かしきれないこともあります。
一方デメリットは、日本では外断熱工法の技術者が少なく内断熱工法と比べて費用が高額になるという点です。予算や地上の断熱方法との兼ね合いなどによって断熱方法を選択するとよいでしょう。
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