2024年08月02日更新

監修記事

リフォームローンの繰り上げ返済におけるメリット・デメリットを解説

リフォームローンは繰り上げ返済することで、返済総額を軽減できたり返済期間を短縮できたりします。しかし、やみくもに繰り上げ返済すると、かえって負担を増やしてしまうことも。
この記事では、繰り上げ返済の種類やメリット・デメリット、繰り上げ返済する際のポイントなどをくわしく解説します。繰り上げ返済をうまく活用し、負担をおさえながらも余裕のある返済プランを構築しましょう。

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リフォームローンの繰り上げ返済とは

リフォーム ローン 繰り上げ 返済

繰り上げ返済とは、毎月の返済とは別に任意の額を追加で返済することにより、元本と借入期間を圧縮し、完済までの利息を減らす方法のことをいいます。

また、すべてのローン商品は、借入期間が長ければ長いほど利息が大きくなります。

そのため、金額が大きいために借入期間が長くなりやすいリフォームローンにおいて、繰り上げ返済は有効な手段になるでしょう。

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リフォームローンにおける繰り上げ返済の種類

リフォームローンにおける繰り上げ返済は、以下の2種類があります。

  • 返済期間短縮型
  • 返済額軽減型

ここでは、返済期間短縮型と返済額軽減型で、どのような違いがあるのかを見ていきましょう。

返済条件
借入額800万円
返済期間10年
ボーナス返済しない
金利タイプ固定
金利2.85%
返済方式元利均等返済
繰り上げ返済予定1年後に100万円

具体的な数字を使った比較は、以下のとおりです。

返済期間短縮型返済額軽減型
返済期間8年8カ月
▲ 1年4カ月
10年
毎月の返済額7.7万円6.7万円
▲ 1万円
返済総額894万円907万円

【種類1】返済期間短縮型

返済期間短縮型とは、繰り上げ返済することによって返済回数を減らし、完済までの期間を短くする方法のことをいいます。

たとえば、以下の条件のもと返済期間短縮型で繰り上げ返済したとします。

  • 毎月の返済額:10万円
  • 返済期間:10年(120回)
  • 返済総額:1,200万円
  • 繰り上げ返済計画:3年後に100万円

この場合、残りの返済額は740万円です。

1,200万円【A】 – (360万円【B】 + 100万円【C】) = 740万円【D】

  • A:返済総額
  • B:3年間の返済額
  • C:繰り上げ返済額
  • D:残りの返済額

返済期間短縮型で100万円を繰り上げ返済すると、以下のとおり返済回数が10回短縮されることになります。

返済期間短縮型での繰り上げ返済
繰り上げ返済前繰り上げ返済後
残りの返済額840万円740万円
残りの返済回数84回74回
▲ 10回
毎月の返済額10万円10万円
変更なし

今回の例は100万円の繰り上げ返済でしたが、額が大きくなれば返済期間を年単位で短縮できるでしょう。

返済期間が短くなれば、それだけ利息を軽減できます。返済総額をできる限り減らしたい場合は、返済期間短縮型を選びましょう。

【種類2】返済額軽減型

返済額軽減型とは、繰り上げ返済することによって、返済期間は変えずに毎月の返済額を減らす方法のことを指します。

以下の条件を例として、返済額軽減型で繰り上げ返済したとします。

  • 毎月の返済額:10万円
  • 返済期間:10年(120回)
  • 返済総額:1,200万円
  • 繰り上げ返済計画:3年後に100万円

100万円を繰り上げ返済すると、残りの返済額が740万円に。

1,200万円【A】 – (360万円【B】 + 100万円【C】) = 740万円【D】

  • A:返済総額
  • B:3年間の返済額
  • C:繰り上げ返済額
  • D:残りの返済額

返済額軽減型で100万円を繰り上げ返済すると、以下のとおり毎月の返済額が1.2万円減額されることになります。

返済額軽減型での繰り上げ返済
繰り上げ返済前繰り上げ返済後
残りの返済額840万円740万円
残りの返済回数84回84回
変更なし
毎月の返済額10万円8.8万円
▲ 1.2万円

740万円【A】 ÷ 84回【B】 = 8.8万円【C】

  • A:残りの返済額
  • B:残りの返済回数
  • C:毎月の返済額

返済額軽減型を利用すると毎月の負担はおさえられるものの、1回あたりの元本の返済率が少なくなります。そのため、最終的に支払う利息はそれほど減少しません。

返済総額よりも毎月の支払い負担を軽減したい場合は、返済額軽減型を選びましょう。

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リフォームローンの繰り上げ返済とボーナス払いの違い

リフォームローンの支払いには、ボーナス払いという方法もあります。

ボーナス払いとは、契約時に定めた時期に返済額を上乗せして支払う方法です。一般的なボーナス時期である、6月と12月での設定が多い傾向にあります。

繰り上げ返済とボーナス払いの違いは、以下のとおりです。

 返済方法返済時期・返済額
繰り上げ返済任意
ボーナス払い契約時に定める

ボーナス払いの場合は、契約時に返済時期や返済額を定めているため、簡単に返済時期や返済額を変更できません。

繰り上げ返済は契約時に定めるものはなく、返済時期や返済額を自由に決められます。

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リフォームローンを繰り上げ返済するメリット

リフォームローンを繰り上げ返済した場合のメリットを、具体的に解説します。

【メリット1】利息を軽減できる

リフォームローンの元本を減らして利息を軽減できるのは、繰り上げ返済における最大のメリットでしょう。

リフォームローンは高額になる場合が多いため、借入期間が長くなる傾向があります。

借入期間が長くなるほど利息の負担が大きくなるため、リフォームローンでは繰り上げ返済を活用すべきでしょう。

【メリット2】今後の金利上昇に備えられる

変動金利タイプのリフォームローンを利用している場合は、繰り上げ返済しておくことで、今後の金利上昇に備えられます。

日本銀行は2024年3月19日の金融政策会合で「マイナス金利政策」を解除し、およそ17年ぶりに政策金利の引き上げを決定しました。そのため、今後は長期的にローンの金利が上昇していくことが予想されます。

繰り上げ返済で今後の金利上昇に備えられるのは、メリットといえるでしょう。

参考

最近のデータやヒアリング情報から、賃金と物価の好循環の強まりが確認されてきており、先行き、「展望レポート」の見通し期間終盤にかけて、2%の「物価安定の目標」が持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況に至ったと判断。

マイナス金利政策やイールドカーブ・コントロールなどの大規模な金融緩和は、その役割を果たしたと考えている。

引用元:日本銀行「金融政策の枠組みの見直し(2024年3月)」

【メリット3】ほかのローン枠を確保できる

返済額軽減型で繰り上げ返済する場合、月々の返済負担率が軽減されるため、ほかのローン枠を確保しやすくなります。

返済負担率とは、住宅ローンの年間返済額が年収に占める割合のことで、あらゆるローンの審査における重要な指標とされています。

自動車ローンなどを検討している場合、繰り上げ返済によるローン枠の確保はメリットになるでしょう。

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リフォームローンを繰り上げ返済するデメリット

リフォームローンを繰り上げ返済する場合のデメリットについて、解説します。

【デメリット1】繰り上げ返済の手数料が発生する

リフォームローンを繰り上げ返済する場合、金融機関では返済プランの再計算などの事務作業が発生するため、手数料が請求されます。

繰り上げ返済の手数料は金融機関によって異なるだけでなく、変動金利や固定金利などの金利タイプによっても変動します。

また、一部返済なら無料の場合もありますが、金融機関によっては2~3万円の手数料がかかる可能性もあるでしょう。

【デメリット2】繰り上げ返済すると利息が再計算される

繰り上げ返済後に利息が再計算されることも、デメリットになる可能性があります。

変動金利で契約している場合、金利が上がったとしても金融機関で一定期間は返済の内訳を調整してくれます。そのため、月々の返済額が変わることはほとんどありません。

しかし、繰り上げ返済した場合は利息が再計算されるため、金利が上昇していた場合は月々の返済額が増える可能性があるでしょう。

【デメリット3】リフォームにおける住宅ローン控除の額が減る

リフォームに住宅ローン控除を利用している場合、繰り上げ返済するとローン残高が減るため、控除の額も減ってしまいます。

返済額を減らそうと繰り上げ返済したつもりが、住宅ローン控除額の減少のほうが多くなってしまうと、繰り上げ返済の意味がありません。

繰り上げ返済する際は、住宅ローン控除の額を試算した上で検討しましょう。

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リフォームローンを繰り上げ返済する方法

繰り上げ返済の手続きは、金融機関の窓口で必要な書類を記入する場合が多いでしょう。

金融機関によってはインターネット経由で申請できたり、店頭にあるテレビ電話を利用したりして申請できます。

窓口へ書類を提出する方法は、以下の2パターンです。

  • 窓口で記入してそのまま提出
  • 事前に書類を送ってもらい、記入してから窓口へ提出

どちらの対応になるかは金融機関によって異なるため、電話やメールで確認しておくことをおすすめします。

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リフォームローンの繰り上げ返済に必要な書類

繰り上げ返済する際は、以下の書類などを用意しておかなければなりません。

  • 身分証明書(運転免許証など)
  • 印鑑(返済用口座に登録しているもの)
  • 通帳またはキャッシュカード

また、金融機関によっては返済予定表が必要な場合もあります。

繰り上げ返済する際は、電話やメール、ホームページの問い合わせフォームなどから必要なものを確認しておきましょう。

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リフォームローンの繰り上げ返済が向いている人の特徴

繰り上げ返済するべきかどうかは、家計やリフォームローンの状況によりけりです。

ここでは、繰り上げ返済が向いている人の特徴を解説します。

【特徴1】1~2年生活できるくらいの貯蓄がある

1〜2年生活できる程度の貯蓄がある場合は、リフォームローンを繰り上げ返済したほうがよいかもしれません。

貯蓄が少ない状態で無理に繰り上げ返済してしまうと、急なトラブルで大きな出費が発生した場合に対応できなくなってしまいます。病気やけがで無収入の状態が続く場合は、さらに負担が増すでしょう。

このようなトラブルの可能性もあるため、繰り上げ返済する金額のほかに1〜2年生活できる程度の貯蓄を残しておくことが大切です。

【特徴2】リフォームローンの金利が1%を超えている

リフォームローンは金利が低い部類のローンですが、変動金利タイプで金利が1%を超えるような場合は、返済総額が大きくなってしまいます。そのため、繰り上げ返済を検討したほうがよいかもしれません。

返済期間短縮型で繰り上げ返済すると、返済総額をおさえられるため、利息を軽減できます。

一方で、1%以下など金利が低い場合の繰り上げ返済は元の利息が少ないため、手数料や貯蓄の減少といったリスクに対するリターンが減ってしまうことも。

金利が1%を超えている場合は、手数料などのリスクを考慮してもメリットが得られる可能性が高いため、繰り上げ返済に向いているといえます。

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リフォームローンを繰り上げ返済する際のポイント

リフォーム ローン 繰り上げ 返済

【ポイント1】インターネットを利用する

繰り上げ返済の手続きは、リフォームローンを契約している金融機関の窓口でできるほか、インターネットでも可能なケースがほとんどです。

インターネットを利用すると、金融機関に出向く手間が省けるため、手軽に申請できます。

インターネットで繰り上げ返済する場合、手数料が無料になる金融機関があるのもメリットでしょう。現在、無料で繰り上げ返済できる金融機関は増加傾向にあります。

リフォームローンの繰り上げ返済を予定している場合は、インターネットでの手続きで手数料が無料になる金融機関を選ぶとよいでしょう。

【ポイント2】手数料がかかる場合はまとめる

リフォームローンの繰り上げ返済で手数料がかかる場合は、まとめての支払いを検討しましょう。

手数料は繰り上げ返済のたびに発生するため、1回の返済で減らせる利息の額によっては、まとめて支払うほうがお得な場合があります。

ただし、インターネット手続きなどで手数料が無料の場合は、金銭的余裕がでたタイミングでこまめに支払うべきでしょう。

手数料が無料の場合も

オリコのリフォームローン は、繰り上げ返済の手数料が無料です。

【ポイント3】家計の見通しを立てておく

リフォームローンの返済は長期間にわたることが多いため、将来的な家計の見通しを立てた上で繰り上げ返済しましょう。

繰り上げ返済で貯蓄を減らしてしまうと、子供の進学や住宅の補修など多額の出費がある場合に、金銭的な余裕がなくなってしまう可能性があります。

リフォームローンはほかのローンと比較すると金利が低いため、無理に繰り上げ返済する必要はありません。将来的に予想される出費など、ライフプランを立てた上で繰り上げ返済を検討しましょう。

【ポイント4】返済のタイミングを図る

リフォームローンは、繰り上げ返済のタイミングが重要です。

返済期間が長ければ長いほど利息が大きくなるため、早い段階からこまめに繰り上げ返済して利息を減らしておくべきでしょう。

また、リフォームローンに住宅ローン控除を利用している場合は、繰り上げ返済のタイミングに注意してください。

住宅ローン控除は、年末のローン座高をもとに控除額が決まります。年末に繰り上げ返済してしまうと控除額が減ってしまうため、年明け以降に返済するのがおすすめです。

【ポイント5】繰り上げ返済以外の手段も検討する

繰り上げ返済を考えたとき、資産運用などほかの手段も検討してみましょう。

繰り上げ返済よりも、リターンの見込める資産運用が見つかる可能性があります。まとまった資金がない場合は、積立投資なども有効でしょう。

たとえば、住宅ローンを金利2%で借りている場合、金利2%以上のリターンを見込める資産運用のほうがお得になります。

繰り上げ返済か資産運用か、試算した上でお得なものを選びましょう。

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【Q&A】リフォームローンの繰り上げ返済に関するよくある質問

リフォームローンを繰り上げ返済する際はいくら残すのがおすすめ?

繰り上げ返済する場合は、生活費の1〜2年分の金額を残すことをおすすめします。

病気やけがで長期療養が必要になるなど、万が一のケースに備えておきましょう。

リフォームローンを繰り上げ返済するときに利息はとられるの?

繰り上げ返済した分は、元金の返済に充てられるため利息はとられません。

なお、繰り上げ返済のあとは、残った元金をもとに利息が再計算されます。

リフォームローンの繰り上げ返済って回数制限はあるの?

繰り上げ返済の回数制限はないケースが多いですが、金融機関によっては回数制限を設けている場合もあります。

わからない場合は、金融機関に問い合わせましょう。

リフォームローンは一括返済できるの?

リフォームローンは、一括返済できます。

一括返済することで大幅に支払利息を軽減できるため、資金に余裕がある場合は活用しましょう。

リフォームローンは工事完了後でも申し込めるの?

たとえ支払い前であっても、工事完了後はリフォームローンの申し込みができません。

工事前に、リフォーム費用のめどがついたタイミングで申し込みましょう。

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この記事の監修者プロフィール

【監修者】タクトホームコンサルティングサービス

タクトホームコンサルティングサービス

亀田融

一級建築施工管理技士、宅地建物取引士。東証1部上場企業グループの住宅部門に33年間勤務。13年間の現場監督経験を経て、住宅リフォーム部門の責任者として部分リフォームから大規模リノベーションまで2,000件以上のリフォームに関わる。2015年に退職して現在は、タクトホームコンサルティングサービス代表として、住宅診断を行う傍ら、住宅・リフォーム会社へのコンサルティング活動を行っている。

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