2024年07月24日更新

監修記事

年金受給者・高齢者がリフォームローンを借りる方法は?特例制度も解説

バリアフリーにしたり手すりを付けたりするリフォームを検討される方が多い昨今、高齢者でもリフォームローンを組めるのでしょうか。そこでこの記事では、高齢者でも利用できるリフォームローンや年金受給者・高齢者でも利用しやすい「高齢者向け返済特例」の魅力について解説します。

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リフォームローンとは

リフォームローンとは

リフォームローンとは、自宅のリフォームをした際にかかった費用を金融機関などから借り入れして、長期的に返済していく支払い方法のことです。

次のようなリフォームを対象に、ローンが適用できます。

  • 内装工事
  • 外装工事
  • エクステリア工事
  • バリアフリー工事

以下の項目より、リフォームローンの基礎情報を解説します。

リフォームローンの有担保・無担保の違い

リフォームローンには、抵当権の設定が必要な「有担保」、抵当権の設定が不要な「無担保」の2種類があります。

2つの違いを下表に整理しました。

有担保無担保
抵当権必要不要
審査スピード時間がかかる早い
借入限度額高い低い
返済期間長い短い
金利安い高い

高額な費用がかかるリフォームなら有担保のローン、早く借入する必要があり短期間で返済できるリフォームなら無担保を選択するのが良いでしょう。

リフォームローンと住宅ローンの違い

リフォームローンと住宅ローンの違いを下表にまとめました。

リフォームローン住宅ローン
対象工事リフォーム・リノベーションの関連工事住宅の新築に関連する工事
借入限度額10万~1,000万円500万~1億円
返済期間短い長い
金利高い安い

基本的に、自宅のリフォームやリノベーションに利用できるのはリフォームローンです。

ただし、新築住宅の購入に合わせてリフォーム・リノベーションをするといった限定的な条件に限り、住宅ローンにリフォーム費用を組み込めるケースもあります。

リフォームローンの組み方を詳しく知りたい方は、以下の記事をチェックしてみてください。

>>【基本編】リフォームローンの組み方は?必要書類や流れ、審査が通らない原因と対策

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年金受給者・高齢者でもリフォームローンは組める?

年金受給者・高齢者のリフォームローン

高齢になり体力に自信がなくなってきたことを理由に、自宅のバリアフリー工事といったリフォームを検討している人も多いでしょう。

結論として、年金受給者・高齢者といった高齢の方でもリフォームローンを組めます。

ただし、民間の金融機関が定めているリフォームローンの審査条件を満足できないケースも少なくありません。

リフォームローンを組む際に関係する条件を詳しく解説します。

民間の金融機関におけるリフォームローンの年齢制限

民間の金融機関のほとんどは、リフォームローンの審査条件に年齢制限を設けています。

参考として、リフォームローンを提供しているオリコの場合を見てみましょう。

満20歳以上で安定した収入のある方、その他当社が認める方

引用:リフォームプラン(オリコ)

オリコには年齢の上限が明記されていませんが、ほかの金融機関では、年齢の上限が80歳で制限される傾向があります。

自身の年齢が審査条件を満たしているのか確認しておきましょう。

ローン審査で重要視されるポイント

リフォームローンの審査では、年齢以外にも次のポイントをチェックされます。

  • 安定した収入・貯蓄があるか
  • 健康状態に問題がないか
  • 所有する不動産にどれくらいの担保価値があるか
  • 滞納した経歴がないか

年金受給者や高齢者は会社員と比べて収入が減るため、現在の貯蓄や資産の有無などが審査に影響してきます。

また高齢者はローンを完済できる健康状態にあること、過去に滞納した経歴があるのかといった点をチェックされるのが一般的です。

年齢の条件はもちろん、紹介した項目についても条件を満たしているか確認しておきましょう。

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年齢制限でリフォームローンの利用できないときの対処法

リフォームローンの利用できないときの対処法

年齢制限を受けてリフォームローンを利用できそうにないとお悩みなら、本項で紹介する4つの方法で対処できます。

制度の概要や条件を解説しているので、リフォームの目的に合うかチェックしてみましょう。

【対処法1】住宅改修費支給制度を活用する

住宅改修費支給制度とは、厚生労働省が提供している補助金のことをいいます。

以下に示す自宅リフォームをする場合に、20万円を限度としてリフォーム費用を支援してもらえます。

  • 手すりの取付け
  • 段差の解消
  • 滑り防止および移動の円滑化を目的とした床・通路面材の変更
  • 扉の取替え
  • 和式便器から洋式便器への交換
  • 住宅リフォームに付帯して必要となる改修工事

住宅改修費支給制度は、ケアマネジャーに相談してリフォーム工事が完了したのち「領収書」「工事費内訳」「工事書類・写真」「承諾書」を提出することで審査を受けられます。

【対処法2】リバースモーゲージを活用する

リバースモーゲージとは、自宅を担保にして毎月の利息分だけを支払う終身型ローンです。

借入人が死亡した際にリフォーム費用を一括で返済される仕組みであり、利息分だけを支払うため、リフォーム費用の返済負担を抑えられます。

リバースモーゲージは借入人の死亡時に一括返済されることから、家族に返済の義務が引き継がれません。

55歳~80歳の方を対象にする金融機関が多いため、年金受給者・高齢者でもローンを組みやすいのが魅力です。

主な金融機関
  • りそな銀行
  • 三井住友銀行

【対処法3】日本政策金融公庫のリフォームローンを検討する

政府が提供している日本政策金融公庫では、事業向けのリフォーム費用の借り入れが可能です。

主に「一般貸付」の融資制度が該当し、企業経営もしくは個人事業主として活動している人の場合(高齢者も含む)、次の条件で借り入れできます。

項目借り入れ内容
金利タイプ変動金利
融資限度額4,800~7,200万円
融資期間5~20年
保証人・担保要相談

日本政策金融公庫ではシニア向けの支援も提供しているため、高齢の方でも借りやすいのが魅力です。

自宅兼事業用として利用している建物のリフォーム・リノベーションを検討している方は、融資を申請してみてはいかがでしょうか。

【対処法4】住宅金融支援機構に相談する

住宅金融支援機構では、次のような高齢者向けのローンが多数提供されています。

リフォーム融資は最大1,500万円まで借り入れでき、月々の支払いを利息だけに抑えられるのが特徴です。

前述したリバースモーゲージと同様に、死亡時にローンが一括返済されます。

同様にグリーンリフォームローンも年金受給者・高齢者が借入しやすいリフォームローンです。

最長返済期間が80歳までであり、79歳の方でも借り入れできます。

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高齢者向け返済特例制度のリフォーム融資がおすすめ

高齢者向け返済特例制度

年金受給者・高齢者という条件でリフォームローンの借り入れが厳しいとお悩みなら「高齢者向け返済特例制度」が適用されたリフォーム融資を受けるのがおすすめです。

制度の概要や対象工事など、借り入れの条件をわかりやすく解説します。

ここでは、住宅金融支援機構のリフォーム融資をもとに解説しています

高齢者向け返済制度とは

高齢者向け返済制度とは、満60歳以上の方が自宅のリフォームをするとき、支援機構や財団が融資の保証人となり、リフォームローンの借り入れができるようになる制度です。

当制度を適用すると、リフォーム工事にかかった費用の返済が不要となる代わりに、毎月の返済にかかる利息分のみを返済していきます。

借入人が死亡すると、対象の土地や建物が売却され、その費用でローン分の費用をまかなえるようになるのが制度の特徴です。

高齢者向け返済制度を提供している支援機構や財団

リフォーム融資の対象工事

高齢者向け返済特例制度のリフォーム融資を受けられる対象工事は、次のとおりです。

部分的なバリアフリー工事

・床の段差解消
・廊下・居室の出入り口幅員の確保
・浴室や階段への手すり設置

耐震改修工事

・耐震改修
・耐震補強

ヒートショック対策工事

・外壁、床、屋根、天井に断熱材を設置する工事
・内窓の設置工事または複層ガラスへの取替工事
・非居室に据え付け式の暖房機・熱交換型換気設備を設置する工事
・トイレに暖房便座・温水シャワー付便座を設置する工事       
・浴室をユニットバスにする工事

なお、これらは複数箇所のリフォーム工事でも融資を受けられます。

融資額に関する条件

高齢者向け返済特例制度が適用されたリフォーム融資では、融資額について「保証ありコース」「保証なしコース」の2種類が用意されています。

保証ありコース
  • 最大融資額:1,500万円
  • 融資条件:以下に以下に示す条件のうち、金額が低い項目
    (1)1,500万円
    (2)高齢者住宅財団が保証する限度額
保証なしコース
  • 最大融資額:1,500万円
  • 融資条件:以下に示す条件のうち、金額が低い項目
    (1)1,500万円
    (2)建物と土地の担保評価額の合計額

最大融資額は1,500万円ですが、担保評価額や補償限度額といった条件で融資額が変化します。

融資の申請時に(2)の項目が確認されるため、詳しい金額を知りたい方は融資機関に問い合わせをするのが良いでしょう。

融資を受けるための条件

高齢者向け返済特例制度のリフォーム融資の申込条件は、次のとおりです。

  • 借入申込時に満60歳以上(年齢上限なし)
    ※満60歳以上の同居親族は連帯債務者になれる
  • 自分が居住している住宅をリフォームする
  • 総返済負担率が次の基準以下である
    (1)年収が400万円未満の場合 30%以下
    (2)年収が400万円以上の場合 35%以下
    ※本人の収入だけで総返済負担率の基準を満たさない場合は、同居予定者(満60歳以上)の収入を合算できる場合がある
  • 日本国籍の方または永住許可などを受けている外国人

また融資を受けられるのは、リフォームをする本人・配偶者・内縁関係にある人が条件となります。

融資手続きの流れ

リフォーム融資を受けるためには、機構・保証機関のどちらかに相談し、カウンセリングを受けることからスタートします。

STEP
カウンセリング

高齢者向け返済特例制度の条件や仕組みを理解するためにカウンセリングを受ける

STEP
保証限度額設定

保証限度額証明書を以下の方法で発行する

  • 融資機関から評価証明書を受ける
  • 不動産鑑定士による価格調査等を受ける
STEP
融資申込み・保証委託申込み

取扱金融機関に、融資申込み・保証委託申込みを同時に行う。

自宅建物や土地の担保評価について、不動産鑑定士が行う担保物件の評価の場合は「保証ありコース」、機構が定める担保評価額の場合は「保証なしコース」として手続きを進めるのが特徴です。

保証ありコースは、機構融資取扱金融機関の窓口でカウンセリングを受けられます。

保証なしコースは、機構本店に申請書類を郵送することで相談をスタートできるのが特徴です。

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高齢者向け返済特例制度のメリット・デメリット

メリット・デメリット

年金受給者・高齢者が、高齢者向け返済特例制度を利用するメリット・デメリットを以下にまとめました。

メリット
デメリット
  • 毎月の返済額を減らせる
  • 高齢者でも気軽に融資してもらえる
  • 死亡後の返済リスクが発生しない
  • 担保物件の評価額で限度額が変わる場合がある
  • 担保する物件の価値によっては審査に通らないおそれがある
  • 死亡後に家や土地を失ってしまう

高齢者向け返済特例制度は、毎月の利息分だけを支払う返済負担が少ない融資制度です。

借入人が死亡したあと、所有している物件や土地を売却することでローンが返済されるため、家族などにローンの負担が引き継がれません。

ただし、担保とする物件や土地の評価額によってはリフォーム費用をまかないきれない場合があります。

死亡後には家や土地を失ってしまうため、将来、家族の移住が必要になることも視野に入れておく必要があるでしょう。

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「高齢者向け返済特例」による返済シミュレーション

返済シミュレーション

高齢者向け返済特例は、毎月の返済を利息金額だけに抑えられます。

参考として、一般的な元利均等返済のリフォームローンとの違いをシミュレーション付きでまとめました。

高齢者向け返済特例のリフォームローン一般的な元利均等返済のリフォームローン
条件・借入金額:500万円
・年利:1.27%
・返済方法:利息のみ
・借入金額:500万円
・年利:1.27%
・返済期間:10年
・返済方法:元金・利息
計算500万円×1.27%=63,500円/年
63,500円÷12ヶ月=5,291円/月
44,390円/月
(元金・利息は毎月変化)

以上より、従来のリフォームローンと比較して月あたり4万円近く安く返済を続けられるのが特徴です。

毎月の返済額を減らしたい方は、利息分だけを支払う高齢者向け返済特例を選択するのが良いでしょう。

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この記事の監修者プロフィール

【監修者】タクトホームコンサルティングサービス

タクトホームコンサルティングサービス

亀田融

一級建築施工管理技士、宅地建物取引士。東証1部上場企業グループの住宅部門に33年間勤務。13年間の現場監督経験を経て、住宅リフォーム部門の責任者として部分リフォームから大規模リノベーションまで2,000件以上のリフォームに関わる。2015年に退職して現在は、タクトホームコンサルティングサービス代表として、住宅診断を行う傍ら、住宅・リフォーム会社へのコンサルティング活動を行っている。

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