目次
アスベストの解体費用相場
アスベスト処理面積 | 除去費用 |
300m2以下 | 2万~8.5万円/m2 |
300~1,000m2 | 1.5万~4.5万円/m2 |
1,000m2以上 | 1万~3万円/m2 |
国土交通省が発表しているアスベストの解体費用相場は、1m2あたり1万~8.5万円です。
具体的な費用相場は、建物の面積や形状、使われている箇所によって変化します。
とくに処理面積が300m2以下の場合は、費用の幅が大きい傾向にあります。
上記の費用相場はあくまで目安であり、これより上回るケースや下回るケースもあることを把握しておきましょう。
アスベスト(石綿)とは
アスベストとは、耐火性や防音性に優れた性質を持つ繊維状の天然材料です。
かつては建築資材に多く使われていましたが、健康被害の原因になることがわかってからは、製造や使用が禁止されました。
空気中に飛散したアスベストを大量に吸い込むと、肺がんや肺線維症のリスクがあるといわれています。
規制後アスベスト含有の建物は建てられていませんが、規制前に建てられたアスベスト含有の建物は、今でも多く残っているのが現状です。
建物を解体する際はアスベストが含まれていないかを調査することが義務付けられているほか、アスベスト解体時は適切な飛散対策が必要になります。
アスベストの飛散対策や廃棄物の処理方法は、環境省の公式ホームページで確認できます。
作業レベル別の費用相場
アスベストは発じん性(粉塵の発生しやすさ)の高さによって、レベル1~3に分類されます。
発じん性が高いアスベストほど解体作業時の管理も厳しくなり、費用相場が上がります。
【レベル1】1.5万~8万円
レベル1の解体費用相場は、1m2あたり1.5万~8万円です。
レベル1は最も発じん性が高く、解体作業時は広範囲にわたって飛散を防ぐための対策が求められます。
使用されている可能性が高い場所は、ビルの柱や梁、機械室やボイラー室などが挙げられます。
【レベル2】1万~6万円
レベル2の解体費用相場は、1m2あたり1万~6万円です。
比較的発じん性が高く、解体作業時はレベル1に準じた飛散対策が必要です。
配管・空調ダクト・ボイラー本体・焼却炉などに使用されている場合があります。
【レベル3】3,000円程度
レベル3の解体費用相場は、1m2あたり3,000円程度です。
レベル3は比較的飛散しない建材を解体するので、解体費用も安く済みます。
一般的に住宅の屋根や天井、壁などに使用されています。
事前調査の費用相場
アスベストの事前調査にかかる費用相場は、3万~5万円が目安です。
2022年の法改正により、建物の解体時はアスベスト事前調査結果を労働基準監督署と自治体に報告することが義務付けられました。
規制前の建物を解体する場合は、書面調査と目視調査を受ける必要があります。
具体的な費用相場は、調査の規模や依頼先によって変化します。
アスベスト除去方法は5種類
アスベストを除去する際の工法は5種類です。
工法の種類と処置方法を紹介します。
【1】除去工法
除去工法はリムーバル工法とも呼ばれており、アスベストを下地から除去する工法です。
アスベストを完全に除去できるため、建物の解体時に最も推奨されている工法です。
【2】封じ込め工法
封じ込め工法は薬剤を用いてアスベストを固着させ、飛散を防ぐ工法です。
アスベストが固まった状態で残るため、建物を解体する際は再度工事が必要になります。
【3】囲い込み工法
囲い込み工法は、アスベストを含まない建材でアスベストを覆う工法です。
板材などでアスベストを囲い、飛散や損傷を防ぎます。
封じ込め工法と同様にアスベストが残るため、建物の解体時は再度工事を行う必要があります。
【4】剥離工法
剥離工法は、アスベスト含有の仕上げ塗材を除去する際に用いられる工法です。
薬品で仕上げ塗材を湿潤化して取り除くため、アスベストの飛散を防げます。
【5】ウォータージェット工法
ウォータージェット工法は、高い水圧で水を噴射してアスベスト除去する工法です。
アスベストを湿潤化して取り除くので、空気中への飛散を防ぎながら除去できます。
また、水で除去できるため環境にもやさしいのが特徴です。
事前調査からアスベスト解体工事までの流れ
事前調査からアスベスト解体工事までの流れを紹介します。
提出が義務付けられている届出の種類も紹介するので、参考にしてみてください。
アスベストの事前調査では、書面調査と目視調査を行います。
規制後に建てられた建物は書面調査のみで大丈夫ですが、それ以外の建物は書面調査と目視調査を両方行う必要があります。
事前調査の結果は、労働基準監督署と自治体へ報告することが義務付けられているので覚えておきましょう。
書面調査では、設計図などをもとにアスベストが含まれている可能性のある建材を特定します。
目視調査では実際に現地へ赴き、書面調査の情報をもとにアスベストの有無を確認します。
アスベストの含有が認められたら、アスベストレベルに応じて必要書類を用意しましょう。
届出名 | アスベストレベル |
特定粉じん排出等作業実施届 | レベル1~2 |
工事計画届出書 | レベル1 |
建築物解体等作業届 | レベル1~2 |
必要書類を提出する必要があるのは、レベル1~2のアスベスト解体工事を行う場合です。
届出の提出は業者に代行してもらうケースも多く見られます。
届出の必要性があることを、施主も把握しておくとよいでしょう。
必要な届出を提出しないで解体すると、罰則が科されるので注意しましょう。
例えば、「工事計画届出書」の提出を怠ると、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。
提出期限までに届出を提出しないと、工期が大幅に伸びるリスクもあるので注意が必要です。
解体工事中は騒音や業者の出入りで周辺住民にも影響が出るため、事前にあいさつ周りや近隣説明を行うことが大切です。
また、作業現場には事前調査の結果や工事内容を掲示しましょう。
掲示する内容は、主に以下の通りです。
- アスベストの有無
- 必要な届出を行っていること
- アスベスト飛散防止措置の概要
- 作業期間
- 施工業者名と現場責任者名
- 石綿作業主任者の氏名
- 作業員が適切な指導を受けていることの説明
解体工事の準備では、足場を組み立てて、水や飛散防止材をまきます。
作業場を湿潤化することで、アスベストやほこりの飛散を防ぐことに繋がります。
また、周囲をしっかりと養生することも大切です。
レベル1のアスベスト解体工事では、前室や集塵・排気装置の用意と、作業場の隔離が必要なことも覚えておきましょう。
解体工事の準備が整ったら、アスベストの解体作業に入ります。
アスベストを扱う解体工事では、石綿作業主任者の資格を取得している人が現場を指揮します。
解体したアスベストは密閉した状態で、内容がわかるようにして保管しましょう。
解体工事を終えたら、使用した器具や作業場所を清掃します。
解体したアスベスト廃棄物は処理場へ運搬し、足場や養生も撤去します。
また、アスベストが適切な方法で処分されたかを、産業廃棄物処理業者に委託して確認しましょう。
アスベスト解体工事で使える補助金制度
アスベストの解体工事を行う際は、国の補助金を利用できる場合があります。
補助の対象は、アスベスト調査またはアスベスト解体工事にかかる費用です。
アスベスト調査の補助金
対象 | アスベストが使用されているおそれのある建物 |
補助内容 | アスベストの有無を調べる調査費用 |
国の補助額 | 限度額25万円/棟 |
アスベストの事前調査を行う際に受けられる補助金制度です。
補助金の有無や要件は自治体によって異なるので、お住まいの地域にある自治体へ問い合わせてみてください。
アスベスト除去工事の補助金
対象 | アスベストが施工されている建物 |
補助内容 | アスベスト除去に要する費用 |
国の補助額 | 地方公共団体の補助額の1/2以内(かつ全体の1/3以内) |
建物のアスベスト解体工事を行う際に受けられる補助金制度です。
除去工法のほか、封じ込め工法や囲い込み工法で工事する場合も対象になります。
アスベスト調査の補助金と同様に、補助金の有無や詳細は自治体によって異なります。
周辺住民への対策で行うこと
近隣に住む人々との関係を良好に保つためにも、解体工事前には近隣説明を行いましょう。
あらかじめ工事内容や期間を伝えておくことで、クレームやトラブルを防ぐことに繋がります。
工事前に近隣説明を行う
工事の詳細を伝える近隣説明には、書類の投函や戸別訪問、説明会の実施などいくつかの方法があります。
近隣説明では以下の内容を伝えましょう。
- 作業内容・工事期間・作業時間など
- 騒音や振動、粉じんへの対策について
- アスベストの有無および除去方法
- 周辺の安全対策
- 業者の搬入出経路
作業内容や工事期間に加えて、騒音や振動の影響が少なからず生じることを説明します。
天候により粉じんが飛散しやすいときは、散水や飛散防止ネットで対策することも伝えましょう。
飛散対策や安全対策は業者がすべて行うため、家主が用意する必要はないので安心して大丈夫です。
アスベスト解体工事に心配や不安を抱いている近隣住民には、アスベストの使用状況や健康被害の可能性を説明し、工事の必要性を伝えることが大切です。
レベル1~2の解体工事では、粉じん対策に防じんマスクや保護衣を着用します。
レベル3では防じんマスクを着用するほか、必要に応じて保護衣を着用することがあります。
工事期間中の過ごし方を伝える
周辺住民の方へ工事期間中の過ごし方についても伝えておくとよいでしょう。
具体的には、以下の内容を伝えておくと親切です。
- 解体工事中はほこりや塵が飛散しやすいため、洗濯物を外に干すのは避けた方がよい
- 工事中は騒音や振動の影響があるため、事情により控えてほしいときがあれば相談してほしい
また、アスベストの飛散対策はしっかりと行っており、衣類に付着する心配はないことも伝えましょう。
まとめ:費用を抑えつつ安全にアスベストを除去・解体するには?
アスベストを含有している建物は専門業者に依頼して適切に処理することで、安全に除去・解体できます。
アスベストの処理方法は、建物の解体を予定している場合は除去工法で完全に取り除くのが適しています。
アスベストの調査や解体工事にかかる費用は、補助金を利用できる場合もあるので、お住まいの自治体へ問い合わせてみるとよいでしょう。
Q&A アスベストの解体工事についてよくある質問
アスベストの解体工事に関する、よくある質問を紹介します。
アスベストを含有した家には住み続けられる?
解体工事やリフォームを行わなければアスベストは飛散しないため、アスベストを含有している家にも住み続けられます。
ただし、経年劣化でアスベストがはがれてくると、飛散したものを吸い込んでしまう可能性もあるので注意しましょう。
業者を選ぶときに気を付けるポイントは?
アスベストの解体業者を選ぶ際は、石綿作業主任者がいることを確認しましょう。
また、過去の実績や資格の有無もチェックしておくと、信頼できる業者に依頼できます。
アスベストの解体費用は30坪でいくら?
アスベスト解体費用は30坪で125万~165万円が目安です。
アスベスト除去費用は誰が負担するの?
一般的に、アスベスト除去費用は建物の所有者が負担します。
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