
配管リフォームの費用相場
家の配管工事にかかる費用(配管工事費)は、内容により0.8万〜100万円です。一般に「水道管工事」と呼ばれる給水管の引き込み・交換も、工事範囲や内装の解体・復旧の有無で費用が変わります。給排水管の洗浄や詰まりの解消は比較的安い一方、下水道への接続や給排水管の交換は規模が大きく、高額になりやすい傾向があります。床・壁の解体や復旧、水まわり設備の交換も必要な場合は、総額が100万円を超えることもあります。

| リフォーム内容 | 費用相場 |
|---|---|
| 給水管の引き込み | 30万〜50万円 |
| 下水道の排水工事 | 30万〜100万円 |
| 宅内の給排水管工事 | 25万〜50万円 |
| 給排水管の交換工事 | 10万〜100万円 |
| 排水管の高圧洗浄 | 1.5万〜6万円 |
| 詰まりの解消 | 0.8万〜3万円 |
| 防サビ(ライニング工法) | 15万〜50万円 |
上記費用は、配管工事や洗浄作業の標準的な範囲を示したものです。給水管の引き込みでは水道加入金や各種手数料、下水道への切り替えでは浄化槽の撤去・埋め戻しや便器交換などが別途かかる場合があります。宅内配管の交換で床や壁の解体・復旧が必要な場合は、内装工事費が加算されます。見積もりでは、道路の掘削・舗装復旧、既存管や設備の撤去・処分、内装復旧、申請費用、諸経費、消費税が含まれているか確認しましょう。
配管リフォームの費用を抑えるコツ
工事内容や実施のタイミングを工夫すれば、配管リフォームの費用を抑えられる可能性があります。ここでは、3つのコツを紹介します。
水まわりと同時にリフォームする
キッチンや浴室などの水まわりと配管を同時にリフォームすると、壁・床の解体や復旧を1回にまとめられます。人件費や資材費、廃材処分費に加え、職人の手配や現場管理にかかる費用を抑えられる可能性があります。水まわりの設備交換も予定している場合は、同時施工が可能か業者に相談しましょう。

給排水管のトラブルを放置しない
給排水管の異変に早く対処すれば、大規模な工事や高額な修理を避けやすくなります。小さな水漏れでも、放置すると壁や土台の腐食、カビ、シロアリ被害につながることがあります。被害が広がれば、配管の修理に加えて構造補修や内装復旧も必要です。木造住宅で土台や柱を交換する場合は、被害の程度によって数十万〜100万円以上かかる可能性があります。水道料金の急な上昇など、初期のサインを見逃さないようにしましょう。

早期発見のためのチェックポイント
- 普段と比べて水道代が不自然に高くないか
- 排水口や蛇口からの水の流れが遅くなったり、詰まりやすくなったりしていないか
- 壁の中や床下から「ポタポタ」と水の滴る音がしないか
- 下水の臭いがしないか
これらのサインに気づいたら、すぐに専門の業者に点検を依頼しましょう。早期の対応が、結果的に費用を最小限に抑えることにつながります。
複数の業者で相見積もりをとる
配管リフォームの費用は業者によって異なるため、1社の見積もりだけでは金額の妥当性を判断しにくいものです。複数社から相見積もりをとれば、費用相場を把握し、不当に高額な請求を避けやすくなります。金額だけでなく、工事内容や担当者の対応も比べ、信頼できる業者を選びましょう。
配管リフォームの種類
住宅の水道管や排水管を対象とする給排水設備工事には、おもに5つの種類があります。水道管のリフォームや水道配管工事を検討する際は、給水管・排水管・給湯管のうち、どの配管が工事対象になるのかを確認しましょう。

- 給水管の引き込み
- 下水道の排水工事
- 宅内の給排水管工事
- 給排水管の交換工事
- 排水管の高圧洗浄・詰まりの解消・防サビ
専門業者に配管の状態を点検してもらい、状況や予算に合ったリフォームを選びましょう。
給水管の引き込み
給水管の引き込みは、道路の下に埋設された「水道本管」から敷地内へ給水管を引き、住宅に水を供給するための工事です。宅内の給排水管工事と同時に行われることが多く、費用は配管の長さや口径、道路の舗装状況によって大きく変動します。専門的な知識と技術が必要なため、地域の指定給水装置工事事業者へ依頼しましょう。
指定給水装置工事事業者とは
水道事業者から、給水管や蛇口などの給水装置工事を適正に行える事業者として指定を受けた業者のことをいいます。排水設備工事の指定とは別の制度です。給水装置工事は地域の指定給水装置工事事業者へ、排水設備の新設・増設・改築は自治体の指定排水設備工事事業者へ依頼する必要がある場合があります。工事内容に応じて、水道局や下水道担当部署のウェブサイトで指定業者を確認しましょう。
※ 参考1:国土交通省「指定給水装置工事事業者制度〈制度の要点〉」
※ 参考2:東京都下水道局「排水設備の工事には、下水道局へ届出が必要です」
下水道の排水工事
下水道の排水工事は、トイレや浴室、キッチンなどから出る汚水・雑排水を公共下水道へ流すための工事です。おもに、浄化槽から公共下水道へ切り替える場合や、水まわりの配置を変更する場合に行います。浄化槽から切り替える場合は、敷地内に排水管を新設し、道路の下にある公共下水道の本管へ接続します。自治体の条例に基づく届出や計画確認が必要になることが多く、指定排水設備工事事業者による施工を求められる場合もあります。手続きや着工条件は地域で異なるため、下水道担当部署または指定事業者へ事前に確認しましょう。
浄化槽の使用を廃止した場合は、廃止日から30日以内に届出が必要です。撤去するか残置するかも含め、自治体の指示に従って処理します。工事費は、配管の長さや浄化槽の有無、工事規模によって大きく異なります。
※ 参考1:国土交通省「公共下水道と各戸からの排水設備設置等について」
※ 参考2:環境省「浄化槽法の一部を改正する法律の施行について」

宅内の給排水管工事
宅内の給排水管工事は、住宅内の給水管と排水管を新設したり、配管ルートを変更したりする工事です。キッチンの移動や浴室の拡張など、間取りを大きく変えるリフォームに伴って行われます。配管を通すために壁や床を解体し、工事後に内装を復旧するため、配管の交換だけを行う場合よりも大がかりで、費用も高くなる傾向があります。ほかのリフォームと同時に行うことが多いため、間取りの変更も含めた工事方法と費用を専門業者に相談しましょう。
給排水管の交換工事
給排水管の交換工事は、老朽化した配管を新しいものに一新するリフォームで「配管の取り替え工事」とも呼ばれます。配管の腐食による水漏れや、赤水の発生といったトラブルが起きた場合に検討すべき工事です。
給排水管の交換が必要なトラブルの例
- 配管の腐食による水漏れ
- サビが原因の赤水の発生
- 内部の詰まりによる水の流れの悪化
露出している配管は比較的交換しやすい一方、壁や床に埋め込まれた配管では内装の解体と復旧が必要になり、工事が大がかりになります。浴室やキッチンのリフォームと同時に行い、解体・復旧工事をまとめられないか検討しましょう。
排水管の高圧洗浄・詰まりの解消・防サビ
排水管の高圧洗浄・詰まりの解消・防サビは、配管の機能を維持し、将来的なトラブルを予防するためのリフォームです。配管を交換するほどではないものの、気になる症状がある場合に検討します。
排水管の高圧洗浄
給排水管の洗浄では、高圧洗浄機などを使って配管内部に溜まった油汚れやヌメリを除去します。定期的な洗浄は、詰まりや悪臭の予防につながります。
詰まりの解消
排水の流れが悪い場合や完全に詰まった場合は、原因となる異物や汚れを取り除く作業が必要です。排水できない状態では、緊急の対応が求められます。
防サビ
配管の防サビは、おもに金属製の古い配管に行われるリフォームです。配管内部に防サビ効果のあるコーティングをほどこすライニング工法などがあり、赤水や水漏れのリスクを減らせます。
配管の種類ごとの耐用年数と特徴
給排水管は、管材によって耐用年数や特徴が異なります。リフォーム前に、既存の管材と交換後の選択肢を確認しておきましょう。

金属管
金属管には、亜鉛めっき鋼管やライニング鋼管、ステンレス鋼管など複数の種類があり、耐食性や使用できる用途が異なります。古い亜鉛めっき鋼管などは、内部の腐食によって赤水や漏水が生じる場合があります。一方、金属管を一律に15〜20年で交換すべきとは限りません。給水管の寿命は、管の種類、継手、施工状態、水質、使用環境などで変わるため、年数だけで判断せず、漏水や赤水の有無を含めて専門業者に調査してもらいましょう。
ステンレス鋼管
ステンレス鋼管は、一般的な鋼管に比べてサビにくく、給水・給湯などに使用される配管材です。ただし、交換時期は一律に30〜40年と決まっているわけではありません。管そのものだけでなく、継手やゴムパッキン、施工状態、水質、使用温度などで耐久性が変わります。漏水や腐食の有無を点検し、建物の条件に応じて交換時期を判断しましょう。
ステンレス鋼管の費用は高額になりやすい
ステンレス鋼管は、ほかの配管材より初期費用が高くなる傾向があります。管材の耐久性だけでなく、継手や施工条件、将来の修理費用も含めて比較しましょう。
硬質ポリ塩化ビニル管
硬質ポリ塩化ビニル管には用途に応じた種類があります。HIVPは耐衝撃性を高めた水道用の硬質ポリ塩化ビニル管で、給水管に用いられます。排水管には、建物内や屋外などの条件に応じてVP管やVU管などが使われます。いずれも金属管のようにサビることはありませんが、使用できる温度や圧力、施工場所が異なるため、給水用と排水用を区別して選ぶ必要があります。交換時期は一律ではなく、管の種類、継手、施工状態、使用環境を調査した上で判断しましょう。
用途に合う配管材を選ぶ
給水管、給湯管、排水管では必要な性能が異なります。リフォームでは、既存の配管経路や水圧、湯温、建物の構造に合わせて、用途に適合する管材と継手を専門業者に選定してもらいましょう。
架橋ポリエチレン管
住宅内の給水・給湯配管には、耐熱性を高めた架橋ポリエチレン管が広く使われています。柔軟性があり、サビにくいのが特徴ですが、通常のポリエチレン管と架橋ポリエチレン管は同じものではありません。また、給水・給湯用の管材であり、排水管の選択肢として一括りにしないことが重要です。実際の交換時期は、管だけでなく継手や施工状態、使用温度などにも左右されるため、「30年以上」と一律に判断せず、点検結果をもとに決めましょう。
配管リフォームを検討すべきタイミング
漏水や赤水、排水不良などの症状があるときは、配管リフォームを検討するタイミングです。
- 給排水管から漏水している
- 給水管から赤茶色の水が出る
- 排水の流れが悪い
- 掃除してもすぐに詰まる
- 排水時に変な音がする
- 水まわりをリフォームする
配管の状態は、見ただけでは判断しにくい部分も多いため、少しでも気になる点があれば、専門の業者に点検を依頼しましょう。
給排水管から漏水している
給排水管から漏水している場合は、早急な対応が必要です。放置すると建物の構造に深刻なダメージを与えたり、下階の住人に被害がおよんだりするおそれがあります。漏水は、配管や継手の劣化だけでなく、接合不良、外部からの力、器具やパッキンの不具合などでも発生します。築年数だけで原因や工事範囲を決めず、漏水箇所と周辺の配管を専門業者に調査してもらいましょう。その上で、部分補修で足りるのか、同時期に施工した配管まで交換すべきかを判断します。
給水管から赤茶色の水が出る
給水管から赤茶色の水が出る場合は、給水管や水道本管に生じた鉄サビが流れ出している可能性があります。自宅の一部の蛇口だけで発生し、しばらく流すと透明になる場合は、宅内の給水管が原因と考えられます。一方、近隣でも同時に発生している場合は、水道工事や水道本管の影響かもしれません。
赤茶色の水が出たときの対処法
- 透明になるまで水を流し、その間の水は飲用や調理に使わない
- 透明になった水は、においや濁りに異常がないことを確認してから使用する
- 自宅だけで続く場合は、指定給水装置工事事業者に宅内の給水管を点検してもらう
- 広い範囲で発生している場合や、流しても改善しない場合は、水道事業者へ連絡する
赤水だけで配管全体の交換が必要とは限りません。発生範囲や継続時間を確認し、原因に応じて洗浄や部分補修、給水管の交換を検討しましょう。

※ 参考:東京都水道局「水道水がいつもと違う」
排水の流れが悪い
排水不良が続く場合は、一時的な詰まりではなく、配管の劣化や構造上の問題が原因かもしれません。改善しなければ、配管の点検やリフォームを検討しましょう。
排水の流れが悪くなるおもな原因
- 配管内部の汚れの付着
- 配管の勾配(傾斜)不良
- 配管の老朽化による変形
排水の流れが悪い状態を放置すると、最終的に配管が完全に詰まり、水が逆流するなどの緊急事態につながることがあります。また、詰まった箇所に強い圧力がかかり、配管が破損して水漏れを引き起こす可能性もあるため、専門業者による早めの対処が必要です。
掃除してもすぐに詰まる
掃除してもすぐに詰まる場合は、汚れの蓄積だけでなく、配管自体に問題があるかもしれません。配管の点検やリフォームを検討すべきサインです。
配管を掃除してもすぐに詰まるおもな原因
- 配管内部への汚れの蓄積
- 配管の劣化
- 配管の勾配(傾斜)不良
- 配管の老朽化や変形
- 配管の構造的な問題(複雑な形状になっているなど)
詰まりを放置すると、配管の破損や水漏れにつながるおそれがあります。内部の汚れが原因なら洗浄、勾配不良や老朽化が原因なら配管の交換など、必要な対処は原因によって異なります。自分で掃除しても改善しない場合は、専門業者に調査を依頼しましょう。
排水時に異音がする
排水時に変な音がする場合、配管内部で何らかの異常が発生している可能性もあります。
排水時の異音のおもな原因
- ゴボゴボ
排水口から空気が逆流している際に発生する。配管が詰まりかけている、または配管内部に空気が溜まっている可能性もある。 - コーン、コーン
排水管の中で、水が落ちる際に配管を叩く音。配管の固定が緩んでいる、あるいは配管の勾配が不適切で、水がスムーズに流れていない。 - キュルキュル
排水管の内壁に水が擦れる音。配管内部に油汚れやゴミが付着し、水の通り道が狭くなっている。 - ポタポタ
壁の中や床下から聞こえる場合、配管のどこかで水漏れが発生している可能性もある。

異音を放置すると、配管の詰まりや、振動・水圧による破損につながるおそれがあります。音が続く場合は、早めに専門業者へ相談しましょう。
水まわりをリフォームする
水まわり設備の交換に合わせて配管を点検すると、壁や床の解体・復旧をまとめやすくなります。ただし、配管の寿命は一律に20〜30年と決まっているわけではなく、管の種類、継手、施工状態、使用環境によって異なります。設備交換時に漏水や赤水、腐食などの劣化が確認された場合は、必要な範囲の配管を同時に交換するか専門業者と相談しましょう。
配管のリフォームで活用できる補助金・助成金制度
国や自治体が実施している補助金・助成金制度のなかには、配管工事と同時に行うリフォームで活用できる制度があります。一戸建ての水道管交換で補助金を利用したい場合も、配管の交換・移設そのものが一律に補助対象になるわけではありません。国の省エネ補助制度では、断熱改修や、登録された高効率給湯器・節水型トイレ・高断熱浴槽・節湯水栓など、制度で定められた工事や設備が補助対象です。配管工事を含む契約でも、どの工事費が補助対象になるかを契約前に施工業者へ確認しましょう。
国が実施している主な補助金・助成金制度
2026年9月現在、配管工事とあわせて活用を検討できる国の制度として「みらいエコ住宅2026事業」があります。ただし、配管の交換・移設そのものが一律に補助対象になるわけではありません。原則として2016年12月31日以前に新築された住宅を対象に、外皮に面する開口部がある1室で所定の省エネ改修を行うことが要件です。条件を満たす場合は、高効率給湯器、節水型トイレ、高断熱浴槽、節湯水栓などの対象設備も補助額の算定対象となります。
リフォームの交付申請は2026年6月30日に始まり、遅くとも2026年12月31日までです。予約は遅くとも11月16日までですが、予算上限に達すると受付が終了します。2026年9月29日0時時点の申請額は予算の7%です。申請は登録事業者が行い、一般消費者が直接申請することはできません。工事内容、対象製品、着工日などの要件を、契約前に登録事業者へ確認しましょう。
※ 参考1:みらいエコ住宅2026事業(公式)
※ 参考2:みらいエコ住宅2026事業「申請手続きの詳細(リフォーム)」

自治体が独自に実施している補助金・助成金制度
多くの地方自治体でも、住民の住環境改善などを目的とした独自の補助金・助成金制度をもうけています。たとえば、東京都北区の2026年度「住まい改修支援助成」では、住宅内の給排水管の更新工事などが助成対象です。
住まい改修支援助成(東京都北区・2026年度)
- 助成対象承認申請の受付期間
2026年4月1日〜12月28日。ただし、予算上限に達した時点で受付終了 - 助成対象工事
住宅内の給排水管の更新工事など。外構部分だけの給排水管工事は対象外 - 助成額
税抜10万円以上の対象工事について、見積額と実際の工事費の低い方の20%。上限10万円 - おもな要件
工事着工前に承認を受けること、北区内の自宅を所有して居住していること、区内の中小事業者を利用すること、過去にこの助成を受けていないこと
※ 参考1:東京都北区「住まい改修支援助成」
※ 参考2:東京都北区「令和8年度 住まい改修支援事業パンフレット」
自治体独自の制度は、次の方法で探せます。
自治体の補助金・助成金制度を探す方法
- 自治体の公式サイトで検索する
- 「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト」で検索する
- 補助金や助成金の活用に詳しいリフォーム業者に相談する
これらの方法を組み合わせて、お住まいの地域で利用できる制度がないか、情報を収集してみましょう。自治体の補助金・助成金制度にも申請期間や予算の上限があるため、早めの行動が重要です。
配管リフォームの施工事例
配管リフォームの費用や仕上がりは、物件の種類や工事規模、目的によって異なります。ここでは、マンションと一戸建ての施工事例を紹介します。
配管をリフォームする際の注意点
配管リフォームは、建物の見えない部分にかかわる工事です。管理規約や追加工事の可能性を事前に確認し、管理組合とのトラブルや想定外の費用を防ぎましょう。
マンションの管理規約を確認する
マンションで配管をリフォームする前に、管理規約を確認しましょう。
マンションの管理規約とは
管理規約とは、マンションなどの共同住宅に住む人々が、快適で円滑な共同生活を送るために定めた、そのマンション独自のルールのことをいいます。
管理規約には、「水まわり設備の位置変更は不可」など、工事の範囲や内容が定められている場合があります。違反すると工事の中止や原状回復を求められるおそれがあるため、計画段階で内容を確認してください。

直床の場合は費用が高額になりやすい
マンションが「直床」の場合、水まわり設備の移動に伴う配管工事が高額になりやすいため、注意が必要です。
マンションの床の構造は「直床」と「二重床」の2種類
- 直床
コンクリートの床スラブ(建物の構造体となるコンクリート床)の上に、直接フローリングなどの床材を施工する床構造のこと - 二重床
コンクリートの床スラブと床材の間に空間を設け、支持脚で床を支える構造のこと

直床は床スラブと床材の間に配管スペースがないため、水まわり設備を移動するには、床の解体やかさ上げが必要になる場合があります。排水に必要な勾配を確保するために床を高くすると、建具の調整や段差解消の工事も加わり、費用が増えることがあります。配管リフォームを検討する際は、直床か二重床かを確認し、直床の場合は工事範囲を専門業者と入念に打ち合わせましょう。
給排水管の延長ができないケースもある
配管をリフォームする際、給排水管の延長ができず、水まわり設備の位置を変更できないなど、希望どおりのリフォームができない場合もあります。
給排水管の延長ができない原因
- 排水をスムーズに流すための勾配(傾斜)が確保できない
- 床の構造が「直床」である上に、床の高さを変えることも難しい(天井高が低くなるなどの理由から)
- 他の住戸の配管と干渉してしまう

給排水管を延長するには、水が滞りなく流れる経路と勾配を確保する必要があります。勾配が不足すると逆流や詰まりの原因になるため、物件の構造と既存配管の状態を業者に調査してもらい、延長できる範囲と費用を確認しましょう。
壁や天井の解体が別途必要な場合もある
壁の中や天井裏の配管をリフォームする場合は、配管周辺を広く解体し、工事後に復旧する必要があります。壁紙や天井クロスの張り替え、塗装などの内装費用も別途見込んでおきましょう。

| 工事内容 | 費用相場/㎡ |
|---|---|
| 壁の解体・撤去・処分 | 4,000〜6,000円 |
| 天井の解体・撤去・処分 | 4,000〜6,000円 |
| 壁の下地補修 | 3,000〜5,000円 |
| 天井の下地補修 | 3,000〜5,000円 |
| 壁・天井の壁紙の張り替え | 1,000〜2,000円 |
上記の費用は目安であり、壁・天井の構造や建材によって変動します。解体・復旧・内装工事を一式価格で提示する業者もいるため、見積もりに含まれる工事範囲を確認しましょう。

騒音や振動などで近隣住民に迷惑がかかる
配管リフォームでは、解体や内装工事に伴う騒音・振動が、近隣トラブルにつながることがあります。とくにマンションは戸建てより音や振動が伝わりやすいため、工事前に両隣と上下階の住人へ期間や時間帯を伝えておきましょう。管理規約で定められた工事時間を守り、管理会社や管理組合へ必要な届出を行うことも欠かせません。リフォーム業者と連携し、掲示板での周知や共用部の養生など、必要な対策を確認してください。
壁・床配管のメリット・デメリット
壁配管と床配管では、見た目やメンテナンス性、施工費用が異なります。それぞれの特徴を比べ、専門業者と相談して選びましょう。

壁配管のメリット・デメリット
メリット
- 配管が露出しないため、部屋全体がすっきりとした印象になる
- 配管スペースが不要で、部屋を広く使える
デメリット
- 施工が複雑になり、コストが高くなる傾向にある
- 後から配管の位置を変更するのが難しい
床配管のメリット・デメリット
メリット
- 床下収納や点検口から配管にアクセスしやすい
- 配管のメンテナンスや修理が比較的簡単
- 配管のレイアウト変更が比較的容易
デメリット
- 配管が見える場合があり、部屋の美観を損なう可能性がある
- 床下に配管スペースが必要
- 水漏れが発生した場合、発見が遅れやすい
【Q&A】配管のリフォームに関するよくある質問
マンションでも、給排水管の移設やリフォームは可能?
マンションでも、専有部分の給排水管を移設・交換できる場合があります。ただし、配管の区分や工事手続きはマンションごとの管理規約で確認しなければいけません。国土交通省のマンション標準管理規約では、給水管は本管から各住戸メーターを含む部分、雑排水管・汚水管は配管継手と立て管を共用部分の例とし、それ以外の各住戸専用の枝管などは専有部分となるのが基本です。専有部分の工事でも、共用部分やほかの住戸に影響するおそれがある場合は、理事長への申請と理事会の承認が必要とされています。まず管理規約と配管図を確認し、管理組合や管理会社へ相談しましょう。

※ 参考1:国土交通省「マンション標準管理規約」
※ 参考2:マンション管理・再生ポータル「専有部分の模様替え工事の届出」
トイレのむき出しになった配管はリフォームで隠せる?
トイレの露出した配管をリフォームで隠すことは可能です。キャビネット付きのトイレに交換するなど、いくつかの方法があるため、予算やトイレの構造に合わせて最適な方法を選びましょう。
トイレのむき出しになった配管を隠す方法
- 配管を隠すキャビネットが一体になったトイレに交換する
- 配管を隠すための新たな壁(ふかし壁)を造作する
- DIYで配管カバーや目隠しを作る
トイレの排水方式が「床排水」か「壁排水」かによって、リフォームのしやすさや選べる商品が異なります。とくに、壁排水の場合は配管が複雑になりやすいため、リフォーム業者とよく相談して、どの方法が最適かを検討することが重要です。

配管の劣化による漏水は、火災保険が使える?
配管の劣化による漏水では、建物や家財に生じた「損害」が火災保険で補償される可能性があります。一方、原因となった「配管自体の修理費用」は、原則として補償対象外となるケースが多いでしょう。契約によって補償範囲が異なるため、保険証券を確認するか、保険会社の窓口へ相談してください。
配管リフォームの業者選びで失敗しないためのポイントは?
配管リフォームの業者を選ぶ際は、施工実績や指定の有無などを確認しましょう。
配管リフォームの業者選びで失敗しないためのポイント
- 配管工事の実績が豊富であるか
- 給水装置工事では、工事を担当する地域の指定給水装置工事事業者であるか
- 排水設備の新設・増設・改築では、自治体が指定する排水設備工事事業者であるか
- 事業所に給水装置工事主任技術者など、工事内容に必要な資格者が配置されているか
複数社から相見積もりをとり、同じ条件で費用や工事内容、対応を比べると、信頼できる業者を選びやすくなります。
※ 参考:国土交通省「指定給水装置工事事業者制度〈制度の要点〉」
【まとめ】配管のトラブルは深刻化する前にリフォームを検討しよう
漏水や詰まりを放置すると、建物の腐食やカビを招き、配管の修理だけでなく内装の復旧も必要になるおそれがあります。水道水が赤茶色になる、排水の流れが悪い、掃除してもすぐに詰まるといった症状があれば、早めに点検を依頼しましょう。ただし、赤水は水道工事や水道本管の影響で発生することもあり、症状だけで配管の寿命とは判断できません。発生範囲や継続時間を確認し、水道事業者または専門業者へ相談してください。配管リフォームには、全体の交換だけでなく、部分補修、高圧洗浄、防サビ対策などがあります。配管の状態を診断してもらい、原因と劣化範囲に合った方法を選ぶことが、被害と費用の拡大を防ぐことにつながります。

















