目次
コーキングの基礎知識
「コーキング」とは、気密性と防水性の向上を目的として、壁などの隙間をペースト状のコーキング材で埋める作業です。
コーキング材は防水性が高く、乾燥させると固くなるという特徴があるため、水漏れを予防できます。
そのため、キッチンや浴室といった水回りだけでなく、外壁・屋根・サッシなどにも施されます。
コーキング材には複数の種類があり、それぞれ特徴が異なるため、施工する場所や目的に応じた製品選びが重要です。
なお、コーキング材とシーリング材は厳密には異なりますが、一般的には同義語とされています。
コーキング材の種類
コーキング材には以下のような種類があります。
- シリコン系コーキング材
- 変成シリコン系コーキング材
- ウレタン系コーキング材
- アクリル系コーキング材
- ポリサルファイド系コーキング材
それぞれの特徴を紹介します。
【種類1】シリコン系コーキング材
シリコン樹脂を主成分とし、主に屋内で使用されるコーキング材です。
耐水性・耐熱性が高く、キッチンや浴室といった水回りの補修に適しています。
また、シリコン系コーキングは耐候性も高いため、雨や日差しの影響を受けるガラス回りにも使用できます。
なお、注意点としては、硬化した後もシリコンオイルが出る点が挙げられます。
コーキング材の上から塗装してもオイルによって塗料がなじまないことがあるため、使用する場所に注意が必要です。
また、シリコン系のコーキング材には、ベトベトと汚れやすいというデメリットもあります。
【種類2】変成シリコン系コーキング材
ウレタン樹脂を主成分とし、外壁・屋根材などに使用されるコーキング材です。
耐候性が高く、外壁のひび割れ・内外装の目地などに適しています。
その一方で、水回りなど水に濡れるおそれがある場所の補修には向いていません。
なお、シリコン系コーキングと混同されやすいのですが、以下のような異なる特徴があります。
- 汚れがつきにくい
- コーキングの上から塗装が可能
このような特徴のちがいから、施工する箇所に合ったコーキングを選びましょう。
【種類3】ウレタン系コーキング材
ポリウレタンが主成分で耐久性や密着性が高く、屋内だけでなく屋外の塗装下地として使用されるコーキング材です。
比較的安価で手に入るため、屋内では水漏れの応急処置によく使われます。
その一方で、ウレタン系コーキング材には以下のような特徴もあります。
- 紫外線に弱い
- ホコリが付着しやすい
このような特徴から、屋外では施工後に十分乾燥させたうえで塗料による保護が欠かせません。
【種類4】アクリル系コーキング材
アクリル樹脂を主成分としたコーキング材です。
カラーバリエーションが豊富で、壁紙などの色に合わせてコーキング材を選ぶことができます。
また、水性で扱いやすいためDIYでも使用されます。
反面、アクリル系コーキング材は耐久性が高くないため使用する場所には注意が必要です。
水回りや屋外での使用には不向きといえます。
【種類5】ポリサルファイド系コーキング材
ポリサルファイドを主成分とし、耐久性が高くホコリやごみが付きにくいため、外壁・窓枠・石目地などに適したコーキング材です。
DIYで扱う際は、硫黄化合物の独特な匂いがするため換気が必要です。
また、上から塗装すると変色する可能性もあります。
コーキングのやり方
コーキングには「打ち直し」「打ち増し」の2種類の施工方法があります。
- 打ち直し:古いコーキングを剥がして新しくコーキングを打つ方法
- 打ち増し:既存のコーキングの上から新たにコーキングを充填する方法
これらの施工方法はコーキングの劣化状況によって変わるため、自分で判断せずプロのアドバイスを参考にするとよいでしょう。
ここからは「コーキングの打ち直し」について、具体的なやり方を解説します。
【手順1】古いコーキングを撤去する
まず、古くなって劣化したコーキングを撤去します。
古いコーキングが残った状態で新しいコーキングを充填すると、施工不良の原因となる場合があります。
専用のヘラなどを使い、丁寧にそぎ落とします。
【手順2】養生する
周りにコーキング材が付着しないよう、マスキングテープなどで養生します。
テープが曲がっていると仕上がりが美しくないため、丁寧に行う必要があります。
【手順3】プライマー(下塗り剤)を塗布する
コーキング材と建材の密着を高めるために、プライマー(下塗り剤)を塗布します。
接着剤の役割を果たす製品だと考えるとよいでしょう。
ただし、材質や施工方法によってはプライマーが不要な場合もあります。
【手順4】コーキングを充填する
コーキングガンなどを使い、コーキング材を充填していきます。
ただ充填するだけでは盛り上がっただけの状態になり、目地の奥まで入り込みません。
ヘラを使って押し込み、表面をならしていきます。
【手順5】養生をはがす
コーキング材を充填したら、乾燥させる前に養生を剥がします。
乾燥後に剥がすと、コーキングも剥がれてしまう可能性があるため注意しましょう。
コーキングの乾燥時間はどれくらいかかる?
コーキングが乾燥するまで、どのくらい時間がかかるのか解説します。
コーキングの乾燥が不十分だと、防水機能が低下するなど問題が発生するため、事前に確認しておきましょう。
乾燥時間は季節や気温、塗料によって異なる
コーキングの乾燥時間は、使用する製品によって異なります。
表面硬化 | 皮膜硬化 | 完全硬化 | |
ウレタン系コーキング材 | 約2時間 | 約4時間 | 約3~7日 |
変成シリコン系コーキング材 | 約1時間 | 約1.5時間 | 約3日 |
また、同じ製品を使用しても季節・気温によって乾燥時間は変動します。
気温が高い夏は乾燥が早く進みますが、冬や梅雨は完全硬化までに時間がかかります。
見た目だけで判断せず、環境に合わせた施工が重要です。
乾燥までの3段階
コーキングが完全に乾燥するまで、3つの段階があります。
- 表面硬化
- 皮膜硬化
- 完全硬化
各段階ごとに、コーキングがどのような状態なのか解説します。
【1】表面硬化
表面硬化とは、塗膜の表面に触れるだけなら問題ない状態です。
しかし、内部はまだ硬化されていないため、強く押すとコーキング部分が崩れてしまう危険性があります。
触って確認する場合も、優しく触るのみにしましょう。
【2】皮膜硬化
皮膜硬化とは、塗膜の表面が乾燥した状態で、塗装を行っても問題ない状態です。
【3】完全硬化
完全硬化は内部までしっかり乾燥した状態で、コーキング作業が完了したといえます。
完全硬化すれば、水に濡れたり衝撃が加わったりしても問題はありません。
しかし、完全に硬化していない状態で必要以上に触れると、変形してしまう可能性があります。
乾燥時間中は、必要以上に触らないようにしましょう。
乾燥時間が不十分だと起こる問題
コーキングの乾燥時間が不十分だと、防水機能が低下する危険性があります。
防水機能が低下すれば水漏れしやすくなるため、改めてコーキングし直さなくてはなりません。
乾燥時間は十分に確保する必要があります。
コーキングの値段は?リフォームにかかる費用相場
一般的なサイズの浴室をコーキングする場合の費用相場は、以下の通りです。
補修方法 | 費用相場 | 費用相場 |
打ち直し | 700~1,200円/m | 10,000~24,000円 |
打ち増し | 500~1,000円/m | 7,000~20,000円 |
なお、浴室やキッチン、トイレなどの水回りを複数同時に施工する場合は、上記金額よりも高額になるケースもあります。
また、使用するコーキング材の種類やによって費用は異なるため、具体的な費用が知りたい方は業者に見積もりを依頼しましょう。
業者によっては、施工範囲にかかわらず一定の費用を支払う「最低費用」を設定しているところもあります。
費用面に不安がある場合には、無料で複数の業者を紹介してくれるサービスを利用すると安心です。
水回りでコーキングを施す場所
浴室や洗面所など、水回りでコーキングが施されているのは以下のような場所です。
浴室 | ・浴槽と壁の隙間 ・壁とドアの隙間 ・給湯器のリモコンと壁の隙間 |
洗面所 | ・洗面台と壁の隙間 |
キッチン | ・ビルトインガスコンロのつなぎ目 ・調理台と壁の隙間 ・シンクのつなぎ目 |
必ずしも、すべての場所にコーキングが施されているわけではありません。
ご自宅ではどこにコーキングが施されているか確認しておけば、日々の生活でコーキングの劣化にも早く気づけるでしょう。
コーキングの劣化症状とは
コーキングが劣化してくると、以下のような症状が見られます。
- 痩せる
- ひび割れる
- 断ち切れる
- 目地から剥離する
- 黒く汚れる
劣化症状が現れたら、早めのリフォームがおすすめです。
具体的な症状を解説するので、ご自宅のコーキングをチェックしてみましょう。
【劣化症状1】痩せる
コーキングの厚みがなくなり、薄くなってきた状態です。
コーキングに厚みがあれば、壁などの間に大きな凹凸はありません。
しかし、劣化してコーキングが痩せてくると明らかな凹みが生じます。
そのままにしておくとひび割れや破断が発生し、水漏れにつながってしまいます。
コーキングが痩せたと感じたら、劣化が進む前に対処しましょう。
【劣化症状2】ひび割れる
コーキングの劣化が進行すると、表面にひび割れが生じます。
コーキングがひび割れた状態では、すでにコーキングから弾力性が失われ、こ本来コーキングがもっている機能も低下します。
このようなひび割れが大きくなると、水漏れにつながる危険があるため注意しましょう。
【劣化症状3】断ち切れる
ひび割れが進行すると、コーキング材は断ち切れてしまいます。
コーキングが取れて隙間が露呈し、そこから水が浸入してしまいます。
防水機能が失われてしまっているため、早めにリフォームを行いましょう。
【劣化症状4】剥離する
剥離とは、コーキングが目地から離れて隙間ができる状態のことを指します。
このような剥離は、コーキングの劣化のほかにもプライマー(下塗り剤)の塗りムラや、塗り忘れなどが原因で生じる可能性もあります。
コーキングに剥離が見られると、隙間から水が漏れる可能性があるため早急に対処しましょう。
【劣化症状5】黒く汚れる
コーキング材に含まれている成分がにじみ出て、黒く汚れたように見えることがあります。
触れるとベタベタしていてごみやホコリが付着しやすいため、さらに汚れてしまうでしょう。
また、ひび割れから水が入ったり、せっけんや油といった汚れが付着したりして、カビが生える場合もあります。
水回りのコーキングではよく見られる症状で、進行するとカビが繁殖し、劣化を早めてしまいます。
カビが生えていないか、水回りのコーキングをこまめにチェックしましょう。
DIYで水回りのコーキングは可能か?注意点は?
コーキング材はホームセンターなどで購入できるため、DIYでの補修を検討する方もいらっしゃいます。
しかし、以下の点からDIYによるコーキングの施工はおすすめしません。
理由は、以下のとおりです。
- 水漏れ箇所などによっては、コーキングが最適なリフォーム方法ではない場合がある
- 専門知識や経験がないと、防水が十分にできないおそれがある
- 水漏れが解消されず、二次被害に発展する危険性がある
このように、DIYによるコーキングは水漏れの被害拡大や二次被害のおそれがあるため、経験豊富な専門業者に依頼しましょう。
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