目次
窓の基本的な構造について
窓には、引違い窓、すべり出し窓 、内や外への倒し窓、上げ下げ窓、ルーバー窓、オーニング窓など多様なタイプがあります。
以下では、一般的に使われている、左右にスライドして開閉する引き違い窓について、紹介します。
なお、「サッシ」という名称は、窓枠として用いる建材、または、窓枠を用いた建具であるサッシ窓そのものを意味し、一般的には、アルミ製などの窓枠にガラスなどをはめ込んで用いるガラス窓全体として使用されています。
窓は高度成長期以降、安価で腐食に強く加工しやすいアルミサッシが主流でした。
しかし、冷暖房効率に優れているとは言えず、結露も発生するため、最近では樹脂素材やアルミと樹脂の複合素材などに代わってきています。
窓枠
窓ガラスには、框(カマチ)と呼ばれる周囲を覆う4本の枠があり、ガラスと枠を合わせて「障子」と呼びます。
一般的な引き違い窓の場合、「窓枠」とは2枚の障子が収まっている外側の枠のことを指します。
窓枠の各箇所は、レールのある下側を敷居、溝のある上側を鴨居、左右を方立と呼びます。
敷居には、水抜き穴が設けられています。
窓
引き違い窓の場合は、一般的に障子2枚で1セットの窓となります。
そしてこの2枚の障子をロックするために、クレセント錠と呼ばれる鍵が用いられています。
ガラスは框に直接固定すると割れやすくなるため、クッションとなるゴムパッキンまたはシーリング材によって框に固定されています。
ゴムパッキンはガラスに取り付けられ、シーリング材は、框とガラスの隙間に充填されます。
框は、四隅をキャップ付きのネジで固定されています。また、障子の下部は特徴的な構造となっていて、障子を移動させる戸車と呼ばれるローラーが付いています。
戸車
引き違い窓は、障子の下部にある戸車をレール上で滑らせることにより小さな力でもスムーズに動く構造となっています。
戸車は、一般的に1つの障子に2つずつ付けられています。
戸車は常に障子の重量がかかっているため、劣化しやすい消耗品であり、戸車の不調はスムーズな移動を妨げる主な原因の一つとなります。
レール
引き違いの窓の場合、外側の障子用と内側の障子用でレールが分かれており、合計2本のレールが設置されています。
またレールは外側から吹き付ける雨を防ぐ役割も持っています。
レールにゴミや埃が溜まった場合や変形した場合には、スムーズな開閉に支障を来す原因にもなります。
【症状別】建て付けが悪い窓を自分で調整する方法
右下に隙間ができてしまう場合
障子の建て付けが悪く、窓のスムーズな開閉ができない場合、多くのケースでは、左右の戸車の高さがずれているか、クレセント本体とクレセント受けがずれていることが原因です。
戸車の高さがずれている場合や、クレセントの位置がずれている場合には、プラスドライバーが1本あれば、多くの場合は自分で調整することが可能です。
障子の傾きを確認するには、隙間を目で確認する方法と、窓を手で押して隙間の有無を確認する方法とがあります。
実際に戸車の高さを調整する際には、障子の左右両側下に設けられている調整用のネジをプラスドライバーで左右いずれかに回すことで戸車を上げ下げすることで、障子の傾きを調整することができます。
ネジは、障子の重量でスムーズに回らない場合もありますが、握り部分が太めのドライバーを使い、障子を持ち上げるようにしながら回すと容易に回すことができるでしょう。
しかし、回し過ぎてネジが外れないように注意が必要です。
右下に隙間ができている場合は、障子が左に傾いていると考えられるので、右側の戸車を下げ、左側の戸車を上げることによって、左右の障子の高さを揃えます。
また、クレセント錠を閉めた状態で障子が傾いている場合はクレセント本体とクレセント受けの位置が合っていない可能性があります。
戸車と同様、プラスドライバーを使って、クレセント調整用のネジで調節すれば、傾きを直すことが可能でしょう。
しかし、クレセント調整用のネジも、戸車調整用のネジと同様に緩めすぎて中の金具が落ちないように注意が必要です。
サッシや窓が重たくて窓が開けにくい場合
窓が重くて開けにくい主な原因の1つとして、レール部分にたまった砂や埃が考えられます。
レール部分は砂や埃が溜まりやすい構造となっているため、定期的な清掃を行うようにしましょう。
また不具合の原因として、障子とレールとの間の隙間を塞いでいる「下部摺動片」と呼ばれる部品の間隔が狭すぎることも考えられます。
風雨を防ぎ、気密性を高めるために隙間はより狭いことが求められますが、間隔が狭すぎると障子とレールが接触し、窓が開けにくくなってしまいます。
この場合は適度な間隔に調整する必要があります。
レールと下部摺動片との間隔を調整する場合は、障子の枠組みである框を固定するネジを反時計回りに緩めた状態で行います。
この際も、ネジを外してしまわないように回し過ぎに注意が必要です。
調整したらネジを締め、開閉を試しながら位置を決めていきます。
このほか、戸車の破損やレールの歪みなどが生じている場合は、戸車の交換やレールの修復が必要ですが、障子を外した状態での作業になるため、専門業者に依頼することをおすすめします。
戸車が破損したまま使い続けるとレールが破損する恐れもあるため、早めに対処するようにしましょう。
建て付けが悪くなる原因
窓の建て付けが悪くなる原因はさまざまです。主な原因を確認しておきましょう。

窓の建て付けが悪くなる主な原因として、レール部分のゴミ溜まり、建物の経年劣化による歪み、戸車のずれや破損、サッシのがたつき、窓や窓枠の部品劣化、建物構造自体の歪みなどが挙げられます。それぞれの原因について詳しく見ていきましょう。
レール部分にゴミが溜まっている
窓サッシのレール部分は細かな凹凸形状となっているため、ゴミが溜まりやすく、このゴミによって窓の動きが阻害されることがあります。
この場合は掃除機や歯ブラシなどの小さなブラシを用いて、ゴミを取り除けば元通りスムーズな開閉が行えるようになるでしょう。
建物の経年劣化による歪み
建物はどうしても経年劣化によって微妙に歪みが生じます。
この歪みによって窓とレールの隙間が狭まると、窓がサッシで挟み込まれるような状態となるため、スムーズに開閉できなくなってしまうのです。
戸車がずれている
窓にはスムーズな開閉のために戸車という車輪のようなものが取り付けられていますが、この戸車の調整がずれてしまうと、窓が傾いてしまい隙間が空いてしまったり、開閉がスムーズに行えなくなったりしてしまいます。
また、戸車は車輪と同じ形状のため、頻繁に開閉する窓の場合、経年劣化で回転が悪くなったり、摩耗したりして動きが悪くなることもあります。
サッシのがたつき
レールの掃除や戸車の調整をしても不具合が直らない場合、サッシのがたつきが原因として考えられます。戸車が損傷している場合は、レール部分に擦れた跡や破片が残るため取替えが必要です。
また経年劣化によるサッシの傷みも原因の1つで、サッシの耐久年数は約30年と言われています。表面に白い粉が付着していたり固定ネジ部分がさび付いている場合は経年劣化による腐食が疑われます。地震などの衝撃や風雨によるクッション材・枠組みの劣化や破損も、サッシの傾きやがたつきの原因となります。
窓や窓枠の部品劣化
障子の開け閉めがきつくなったり障子が傾いたりする原因として、窓や窓枠の部品劣化が考えられます。窓下部の気密パッキンなどの部品が経年劣化によってねじれや縮みでひび割れ・ちぎれが発生している場合は、部品交換や窓自体の交換が必要です。
また、窓枠の土台となっている木枠が湿気で膨張・収縮して変形しているケースもあります。長期にわたって不具合が続く場合は、レールの損傷や劣化も引き起こす恐れがあるため、早めの対処が必要です。
建物構造自体の歪み(不同沈下など)
築年数の古い家に多く見受けられる原因として、建物の構造自体が歪んでいることが挙げられます。建物構造が歪む原因としては経年変化や不同沈下などが考えられ、建物が歪むと木材にも歪みが発生し、鴨居(かもい)が下がる・柱が傾く・窓枠が歪むなどの症状が現れます。
また、シロアリの被害によって基礎や土台、柱と梁などの接続部分が揺らぎ、施工当時の強度を保てなくなり建物が歪んでしまったケースもあります。障子が窓枠をこすっている場合は、不同沈下や傾斜など建物の構造に由来する影響が疑われるため、プロによる精密な調査を行った上で大規模なリフォームを検討する必要があります。
窓の建て付け修理・リフォームの費用相場
窓の建て付けが悪い場合や、窓の建て付け修理を業者に依頼する際、費用相場が気になる方も多いでしょう。

サッシの建て付け調整やがたつきの調整、部品交換を業者に依頼する場合、1万~3万円が相場です。戸車の交換のみであれば5千~1.8万円で済みますが、サッシのモデルチェンジ周期は4~5年と早いため、長期間経過すると部品の調達が難しくなり費用がかさむ傾向にあります。
窓枠ごと交換する場合は10万~50万円が相場で、窓のサイズや外壁・内装の補修範囲によって費用が大きく変動します。窓枠の劣化が激しく周辺の壁を壊してから設置する場合は、より高額になるでしょう。
不同沈下や傾斜してしまった建物の補修には、専門業者に調査を依頼して家屋の状態にあった最適なリフォーム方法を提案してもらうことが大切です。
窓の建て付け修理を依頼する際の注意点
窓の建て付け修理を業者に依頼する際、事前に確認しておくべきポイントがいくつかあります。

これらのポイントを押さえることで、後悔のない窓リフォームを実現できます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
サッシ交換を検討する場合のポイント
建て付けの修理で改善されない場合、サッシの交換を検討することになります。サッシ交換の際は、断熱性の高い製品を選ぶことで将来的な光熱費削減につながります。
断熱ガラスには「複層ガラス」「Low-Eガラス」「真空ガラス」「アルゴンガラス」などがあります。

また、サッシ枠も「アルミサッシ」「樹脂サッシ」「複合サッシ」など種類があります。

それぞれ断熱性能や価格が異なるため、予算と目的に応じて選びましょう。
防火地域では防火窓が必須
住居が都市計画法で定められた防火地域及び準防火地域内にある場合、サッシや窓ガラスを交換する際、防火性能を有する製品を選ばなければなりません。
敷地における建物の位置などから割り出される「延焼のおそれのあるライン」にかかる窓は、すべて防火窓にすることが法律によって定められています。防火窓とは網入りガラスを使った窓のことで、火災の際に割れにくく延焼のスピードを遅くする効果があります。
防火窓は一般のガラス窓に比べて価格が高価になります。近年では、防火機能をもつ網のない耐熱強化ガラスもあり、網のないクリアな視界と自然な色調が得られます。
マンションの場合は管理組合への確認が必須
マンションは戸建て住宅と違い、住人がサッシの交換をするかどうかを決めることができません。分譲で購入した部屋でも共有部分と専有部分とがあり、サッシは共有部分とされているので、住人の判断でリフォームを行うことができない決まりになっているからです。
共有部分とは、エントランスホールや廊下、エレベーターなどの住人同士で共有して使用する部分はもちろん、バルコニーや窓など外壁に面する部分も含まれます。
マンションに住んでいてサッシの交換などを検討しているときには、規約を確認し、規約に則った手順を踏んでリフォームを行わなければいけません。
見積もりで工事内容と諸経費を確認
窓の建て付け修理を業者に依頼する際は、見積もりの工事内容と諸経費を必ず確認しましょう。「建付け調整」とだけ記載されていても、内容は枠の調整から戸車の交換までさまざまです。
サッシ交換の場合は、使用するサッシのグレード(断熱性能や防火性能)が明記されているか確認してください。グレードによって価格が変わるため、「サッシ一式」などの曖昧な表記では適正価格かどうか判断できません。
また、諸経費が全体の工事費に対して適正なバランスかどうか確認しましょう。諸経費の割合が極端に高い見積書は、利益を大きく上乗せしている可能性があります。複数の業者から見積もりを取り、比較することをおすすめします。
リフォームする際の最適なリフォーム会社の選び方について
リフォーム会社ごとに得意不得意な工事もあることから、依頼する会社が何を得意としているかを把握したうえで、その分野が得意な業者に依頼するのがベストだと言えます。
窓のリフォームでは、窓に関する知識やリフォーム技術が確かで、施工経験も豊富で評判の良い会社を選ぶことが大切です。
リフォームでは、サッシの不具合に応じた調整や修理、取替えだけでなく、建物の構造的な補修を行うリフォームなども考慮する必要があります。
その際、経験豊富で技術が確かな業者なら適切なアドバイスや提案が受けられるでしょう。
また、リフォーム会社に依頼する際は、リフォームを行う範囲を明確にしておくことや、完成時のイメージを業者としっかり共有することもポイントになります。
特に、窓の場合は紫外線カット効果や断熱効果のある窓ガラスなど種類やデザインも豊富なため、窓に求める機能と予算を決めておくことで、より最適なプランを提案してもらいやすくなるでしょう。
そして、リフォーム会社を選ぶ際は、1社だけではなく複数の業者に見積もりを依頼することも重要です。
金額や費用の内訳を確認して、納得の上で依頼するようにしましょう。


















