2023年12月12日更新

監修記事

【建て替えと増築】メリットとデメリットも踏まえて違いを解説!

建物の老朽化や生活環境の変化等で、建て替えや増築を検討している場合、どちらを選択する方が良いのかについて気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。この記事では建て替えと増築、それぞれの違いやメリット、デメリットについて解説します。

建て替えや増築を検討する時期とは

建て替えや増築はどのような時期に検討されることが多いのでしょうか?

築年数の経過

まずは、築年数が経過したときです。一般的な目安としては、築25年~30年が建て替え等の目安と言われています。

これは、木造住宅の寿命が約30年程度であることから来ていますが、それとは別の理由として、生活スタイルが変化する時期でもあるからです。

家族構成の変化

次に家族構成に変化があったときです。仮に30代で家を建築したとして、25年~30年後ともなると、小さかった子供も成長し、独立している可能性が高い時期です。

はじめは2階中心で生活していても、年々階段の上り下りもきつくなり、1階に寝室スペースを移して、2階を使うのは盆や正月に子供が戻ってきた時だけ、という方もいるでしょう。

このように生活スタイルや家族構成が変化し、コンパクトで使いやすい間取りに変更したいと思った時に、家の手直しが検討されるケースも多いと言われています。

また逆に、家族が増えるケースもあります。離れて暮らしていた両親が高齢になり、二世帯同居を検討するようなケースです。

二世帯で住む場合、部屋数やトイレやキッチンなどの水回り設備等が足りなくなることから、建て替えや増築が検討されます。

建て替えと増築ではどのように違うのか

そもそも「建て替え」と「増築」では何が違うのでしょうか。この違いをしっかりと把握しておくことで、建て替えと増築のどちらが自分たちに合っているかが、より見えてくるでしょう。

「建て替え」とは

建て替えとは既存の建物を解体し、同じ土地に建物を一から作り直す工事のことを指します。

建築する建物の法的な基準や性能は、現行の建築基準法が元になります。古い基準で建てられている住宅の中には、法的な理由から建て替えができないケースもあるので注意が必要です。

増築とは

増築とは建物の床面積を増やす工事全体を指しますが、一言で増築と言ってもいくつもの種類があります。

差し掛け増築

増築の中でも一番スタンダードな増築方法で、住宅の1階部分の外壁を一部取り壊し、そこに付け足すかたちで新しい部屋を作る方法です。既存部分の解体が増築部分への出入り口のみと少なく、他の方法に比べて費用を抑えられる点が特徴です。

突き出し増築

住宅の東西南北いずれかをそのまま伸ばすようなかたちで増築する方法で、外観に一体感が出るのが特徴です。壊す部分、増やす部分ともに差し掛け増築より増えるため、費用も高くなります。

おかぐら増築

平屋の屋根を取り払って2階建てに増築する方法です。敷地の建ぺい率に余裕がなく、かつ、居住スペースを多く増やしたい場合に有効です。

しかし、2階部分のみが増えるため、高齢世帯に向いている増築方法とは言えないでしょう。また、家屋の補強をきっちり行わないと、耐震上非常に不安定になる可能性があります。

取り壊し増築

突き出し増築と似ていますが、スペースを増やしたい家の一部分を完全に取り壊し、部屋自体を広げる方法です。

2階のバルコニーを壊し、代わりに部屋を作る等がこちらにあたります。解体する部分も多く、屋根を新しく作る必要がある場合も多いため、こちらも差し掛け増築と比べて費用は高額になるケースが多くなります。

別棟増築

倉庫や車庫、離れと言った、母屋と切り離して使用することができない建築物を、別棟で建築することを別棟増築と言います。

建築基準法上、同じ敷地に2棟の住居を建築することは不可となっています。しかし、車庫のように、それ単体では生活の用をなさないものについては建築可能です。

また、住居であっても、風呂、トイレ、キッチンのいずれか1つ以上が設置されていない建物については、離れと見なされ建築が可能となります。

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建て替えと増築のメリットとデメリットとは

建て替えにも増築にもそれぞれにメリットとデメリットが存在します。それらをしっかりと把握したうえでどちらにするかを選択することで、後悔しない住まいづくりを進めることができるでしょう。

建て替えのメリットとデメリット

建て替えのメリット

建て替えを選択するメリットは、大きく3つあります。間取りの自由度と性能、耐震性の向上です。

建て替えの場合、一から作り直すので、自分たちの希望を十分に叶える形で間取りを検討することができます。また、建築当時と比べれば、断熱材の性能や断熱工事の技術も大幅に向上しており、隙間の少ない、暖かな家を作ることも可能です。

また、更地の状態からやり直すので、仮に地盤が弱い土地であっても、地盤改良工事を行うことで地盤をより安定させることも可能ですし、基礎や構造面も、増築に比べて安価に性能を上げることが可能です。

建て替えのデメリット

建て替えをする場合、既存の建物を解体しなくてはならないため、新しい建物が完成するまでは、別の場所に仮住まいをしなくてはいけない点がデメリットです。

2回分の引っ越し費用と仮住まい先の家賃も必要になります。また、仮住まい先に荷物が入りきらない場合はトランクルーム等の費用も発生し、お金も手間もかかってしまいます。

また、建物を取り壊すため、既存建物の滅失登記、新しい建物の表示登記、保存登記も必要になり、手続きの手間や費用もかかります。

その他、不動産取得税が必要であったり、固定資産税が上がったりなど、税制面での負担が増えるというデメリットもあります。

増築のメリットとデメリット

増築のメリット

増築は、既存の建物を全て壊す必要がない分、引っ越し費用や解体費用のような、建設工事以外にかかる費用を抑えることができます。また、税制面でも既存のものがそのまま適用されるので、諸費用面も含めて建て替えと比べて安価です。

予算に合わせて工事内容を選択することもできるので、無理のない計画を立てることができるという面もあります。

なにより、愛着のある今の家を壊さずにすむという感情面でのメリットも大きいでしょう。

増築のデメリット

既存の建物を残して工事をする以上、設計上どうしても取り払うことのできない壁や柱が存在するため、建て替えに比べて間取りの自由度は落ちる点がデメリットです。また、構造上、希望する箇所に増築ができないケースもあるでしょう。

水道配管等も既存のものを使用するので、キッチンやお風呂等も、極端に位置を変えることは難しくなります。

また、増築では既存の住宅についての強度補強が難しいというデメリットもあります。基礎や柱の全てを補強し直すとなると、高額な費用が発生するでしょう。

建て替えか増築か決めるポイントとは

これまで建て替えと増築、それぞれのメリット・デメリットについて見てきましたが、どのような点を重視して建て替えか増築かを決めると良いのでしょうか?

築年数

まず1点目は、既存の建物の築年数です。一般的な木造住宅の場合、耐用年数は約30年と言われており、キッチンやユニットバスなどの水回り設備等は約20年目が交換時期とも言われています。

築30年を過ぎ、設備等の入れ替えリフォームなども行っていない住宅の場合は、建て替えを中心に検討を進めたほうが良いと言えるでしょう。

増築で必要な部分を増やすのも1つの方法ですが、いずれ近いうちに既存部分のメンテナンスを行う必要があると考えれば、建て替えの方が良いとも言えます。

一方で、築年数が浅く、必要な部分だけを増やしたい場合などは増築のほうが向いているでしょう。

予算

2点目は予算です。どの程度の費用を建て替えや増築に当てられるかでも選択は変わってくるでしょう。

建て替えと増築を比べれば、建て替えの方が費用は大きくかかります。そのため、予算を多めに取れる場合には建て替えを視野に入れて検討すると良いでしょう。

一方で、費用をできるだけ抑えたい場合には増築が選択肢として上がるでしょう。しかし、既存の建物をより長持ちするように改装するための費用等についても頭に入れておく必要があります。

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建て替えや増築ができないケースはあるの?

建て替えや増築不可の物件というものもあります。

建て替えの場合、建築基準法の条件として、建築基準法上の道路に最低2m接道している必要があります。この基準を満たしていない場合、その土地に新たに建物を建築することはできません。これを「再建築不可物件」と言います。

また、10平方メートル以上の増築を行う場合、既存の建物も含め、現在の耐震基準を満たす必要があります。つまり、10平方メートル以上の増築の場合は、同時に既存部分の耐震補強も行わなければならないのです。

この場合、現在の耐震基準に適合していることを証明するために、増築部分と合わせて適合証明を出す必要があるのですが、古い物件の場合、そもそも既存の建物が完了検査を受けていないという事例も多数見受けられます。

2階建てで申請をして、実際は3階建てを作り、完了検査を受けずに完成させてしまった物件等がこの事例に当てはまります。こうなってしまうと建築確認申請の必要がある工事は一切行うことができません。

建築基準を満たした家に工事し直し、完了検査を受けるという方法もありますが、ここまですると建て替えをするよりも大きな費用が発生するため、現実的ではありません。

これらの場合は、建築確認申請の必要がない、既存の建物の範囲内で間取りを変更したり、耐震、断熱補強をするリフォーム工事等で対処しなければなりません。

リフォーム工事であれば、構造部分以外を全て作り直すスケルトンリフォームであっても問題なく可能です。

また、10平方メートル以内の増築であれば建築確認申請の必要はありませんので、その範囲内であれば増築も可能です。(ただし、防火地域・準防火地域に該当する場合は建築確認申請が必要です。)

建て替えと増築では費用相場にどれくらいの違いがあるの?

建て替えの場合、どの建築会社に頼むかによって費用は大きく変わるでしょう。

地元の工務店やローコスト系ハウスメーカーに依頼する場合であれば坪約30万円~約40万円台から可能ですし、大手ハウスメーカーであれば、坪100万を超える場合もあります。

また、建築費用だけでなく、既存建物の解体費用、確認申請や火災保険等の各種諸費用、地盤改良の費用等も見ておく必要があります。

これらを踏まえ、一般的な35坪前後の2階建てを建て替えする場合の目安として、大体2000万~3500万は必要と考えておいた方が良いでしょう。

増築の場合、既存部分については増築する部分と接触する一部をやり替えるだけで良いので、コストは大きく下がります。

ベランダやバルコニーを設置するような簡易な増築工事ならば50万もあれば可能でしょう。また、4~5帖程度の部屋を一部屋増やす工事ならば、屋根の増設や既存部分との取り合いの施工も含め約200万~約250万が相場でしょう。

しかし、水回りの増築、特に2階部分となると、費用は大きく上がります。配管からやり替える必要があるため、たった1畳のトイレを増やすだけでも100万以上の費用が必要になるケースもあります。

建て替えも増築も、規模や工事内容によって費用に大きな差があります。

どうすればコストを抑えられるか、得になるかも大事ですが、最も重要なのは、住んだときに快適かどうかです。その工事を行うことによって、どのような生活ができるのかを念頭に置きながら、計画を進めていきましょう。

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ここまで説明してきた建て替えは、あくまで一例となっています。

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一生のうちに建て替えをする機会はそこまで多いものではありません。

後悔しない、失敗しない建て替えをするためにも、建設会社選びは慎重に行いましょう!

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この記事の監修者プロフィール

【監修者】弘中純一

一級建築士事務所アルド住宅研究所

弘中純一

一級建築士、宅地建物取引士。プレファブ住宅の開発からスタートし、以来40年にわたり住宅産業に従事。建築設計事務所・住宅リフォーム会社の経営を経て、現在は住宅の悩みを解決する、コンサルティングを中心に活動中。

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